幼女戦記×編隊少女   作:アル・ソンフォ

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遅くなりました。


第9話:模擬戦闘3

 大空には、小さな幼女とさえいうべき航空魔導士の自分と全長十メートルを超える戦闘機三機の編隊があった。

 ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐は、最初のうちこそ制御に苦労したものの、すぐに当初の予想に反して比較的順調に編隊行動が行えていることに自らのことながら感心していた。

 そして、実際の飛行を見て分かったが少女たちの操縦技能はベテランのそれといっていい見事なものであった。現実離れしているなと思い、ああそういえば元はゲームの世界だったかと余計な考えすら行える余裕がある。

 そういえばこの世界に来て渡された新型魔道具について、こちらのセレブリャコーフ少尉はシューゲル博士の開発だと言っていたが、やはり異世界だ、きっとMADでない有能な博士なのだろう。元の世界に帰ることになるのならついでに交換したいものだ。

 

 ターニャはそのようなことを考えられるぐらい機嫌が良かった。地上から無線で藤堂司令官が訓練継続が可能か確認してきたとき、順調といって差し支えない状況とこちらの世界の戦闘能力も知りたいという思いから、無論可能と回答する。

 当初は訓練でも呪い付きの九五式を使用することを覚悟していたターニャにとって、慣れれば九七式でも編隊行動が可能。実戦となれば使わざる得ないだろうが索敵や後方攪乱であれば九七式でも対応可能といううれしい誤算は大歓迎であった。まあ、戦闘に積極的に駆り出されることはないだろうが、自分の外見を考えれば少佐という肩書と司令官の後ろ盾だけで航空大隊大隊長など勤まらない。せいぜい実力があることを見せつけておこう。

 

「司令官、確認なんだけど、本当に撃っちまっていいんかい。模擬弾でも生身の人間に当たってしまったら即死だぜ。」

 

 模擬戦闘訓練開始準前に、無線越しにアデル・ガーランド少尉が確認してくる。極東基地で出撃数随一を誇る彼女でも、フーファイター以外との戦闘経験などない。

 考えてみれば空飛ぶ少女と戦闘経験があるほうがおかしいのだと藤堂司令官は思い直す。確かに、戦闘機で生身の人間を撃てば木端微塵になって即死する。だが、デグレチャフ少佐に対してなら問題はない。航空魔導士は一般的に防御に徹すれば防御膜で四〇㎜程度までは持ちこたえることができる筈だし、エレニウム九五式であれば八八㎜程度の対空高射砲を弾けるのだから問題ないだろう。

でも、まあ、もう一度言っておいた方がいいだろうと無線機をとり、アデル・ガーランド少尉とグンヒルド・リュッツオー軍曹に語り掛ける。

「問題ない。今の高度を確認は高度一五〇〇〇だ。そんなところに何の防御もなく生身の人間はおれないよ。航空魔導士というには防御膜というもので特殊な防御機能で保護されている。四〇㎜程度の砲撃なら防御可能、並の戦闘機の装甲と比較にすらならない。模擬弾ならダメージすらないだろう。訓練なのだ少佐に失礼のないよう遠慮せずに全力で撃て。」

「へえー、航空魔導士っていうのは、スゲーな。じゃっ、遠慮せず撃っちまおうか。グンヒルドも準備はいいな」

「はい、了解しました。」

ガーランド少尉、リュッツオー軍曹は無線でそう答えた。

 

 模擬戦闘訓練開始の合図とともに、ターニャに向けて正面から現れたメッサーシュミット Bf109K二機の機首上面から機銃が放たれる。ターニャはあえて防殻を強化し受け止めて見せる。七・九二㎜機関銃だと思っていたがどうも最終型で一三㎜機関銃であったことと、命中精度が予想以上に良かったことで模擬弾とはいえ威力は予想以上であった。

 しかし、思い起こせば航空機のと戦闘は北方ノルデンで経験がある、あの時は、鈍重な旧式爆撃機、今回は第二次大戦型の戦闘機、スピードも機動性も異なるがこちらの世界に来て渡された新型魔道具であれば九七式でも十分戦闘機とダンスが踊れる。こちらの世界でも航空魔導士というものがどういうものかご覧にいれでみせよう。

 

 

 一方、アデル・ガーランド少尉とグンヒルド・リュッツオー軍曹にとっても、全て弾かれたことに驚きを隠せなかった。

「おいおい、機銃の弾すべて弾いちまったぞ。航空魔導士の防殻ってのはすごいな」

「ガーランド少尉、引き続き撃ち続けますか?」

「いや、あいつは動いてさえいなかった。あの感じでは一三㎜じゃダメだ。今度は三十㎜機関砲で撃ち抜いてやる。グンヒルド、援護を頼む。」

「わかりました。えっ!、あれを!!」

「どうした、グンヒルド。あっ、あいつ突っ込んできやがる!」

 

 デグレチャフ少佐は、今度はこちらの攻撃とばかりに、二機に向かって急速接近する。迎撃のため撃たれてくる機銃は防殻と機動回避で全て避けてみせ二機の後方へ回る。

 そして、急旋回し一機に取り付き、ターニャは操縦席前に降り立ってみせる。中にいる驚いた顔をした淡い金髪の操縦士の少女に短機関銃を向け、ご挨拶をする。

「ごきげんよう。貴官は運がいい。今日は訓練だ。もし、これが訓練でなかったら撃墜されていたな。さて、もう一機にも挨拶行くか」

 ターニャはそう言い残すと、グンヒルド・リュッツオー機から飛び立ち、もう一機に突進する。

 

「なんなんだよあの機動は、戦闘機並の速度であの機動なんで冗談じゃないぜ。でも、これで燃えてきたってばよ。あの少佐に、アタシが撃墜判定を喰らわしてやる」

 アデル・ガーランドは、デグレチャフ少佐がいとも簡単に戦闘飛行中の僚機に降り立ったを見た驚きを闘志に変えるあ

 デグレチャフ少佐との距離は、彼女がグンヒルドの機体に飛び乗っていた間に丁度良い間合いとなっている。デグレチャフ少佐がグンヒルドの機体から離れた瞬間から銃撃を行う。

 

「あたれ、あたれ、あたれ~~~!」

 アデル・ガーランドが全力で機銃を撃ってきた。しかし、ターニャは巧みな乱数機動をとって掻い潜り、アデル・ガーランドの機体にも降り立った。

「うむ、以前爆撃機との戦闘経験は、戦闘機相手でも通用するようだ。これで二機撃墜といえるが、何か聞きたいことはあるかな貴官は?」

「アタシの負けだよ。でもよ少佐殿。起動や回避の能力は分かったけど。実際毎回こんな風な戦闘をする気か。その手持ちの短機関銃じゃどうやっても、接近戦でしか戦えないように見えるんだが?」

 アデル・ガーランドは、操縦席の風防ガラスの前に立つデグレチャフ少佐に無線越しで聞く。

「そうか、貴官らには単純に短機関銃にしか見えないのだったな。」

 デグレチャフ少佐は納得する。一応、こちらの世界にも航空魔導士いるらしいし、先程現れたこちらのセレブリャコーフ少尉も航空魔導士であった。しかし、列強各国に航空魔導士がいたあちらの世界と異なり藤堂司令官から渡された資料では、ドイツにわずか三個大隊のみが存在する幻のような存在、こちらの二〇三大隊というのはなんでも軍大学時代に私がゼートゥーア少将に航空魔導士の戦略的有用性を説いたことで設立された試験増強大隊らしい。見せた方が、早いであろう。

 

天井に向け、術式を放った。

 




おまけコント2

作者「少佐殿、なぜ、お出にならないのですか!」
デグさん「貴様、神になど祈ったのではないだろうな。存在Xにたよるなど許されないことだ。
作者「しておりません。」
デグさん「ならばよい。まあ、なんだ。私の撃墜姿など見る必要はないのだ。」
作者「え?」
デグさん「まあなんだ。私の戦闘中のあられもない姿なら東條チカ先生がコンプエースで描いてくれただろう。あれで我慢したまえ。おい、あれ、作者、どこへ行った。」
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