若葉薫り、爽やかな涼風が町の中の風車を回す町、ワカバタウン。多くの建物が林立したり、高い建物が存在していることもなく、まばらに小さな住宅が立ち並んでいるだけの田舎町とも言われている。
しかし、こんな町には他の街に自慢することができるあるものがあった。
それはウツギ博士の研究所が町の中に建っていることだった。ウツギ博士は学会でも有名な博士で専攻はポケモンのタマゴに関するものであった。
『ピカチュウはタマゴから生まれたポケモンではなく、ピチューと呼ばれるポケモンが最初である。ピチューが進化することによってピカチュウは生まれるのだ。』
今となっては当たり前であるピチューの発見をおこなったのもウツギ博士のなのだ。
そんな町を初めて訪れている少女がいた。身長はそれほど高いというわけではないが、小さいというわけでもないようなたかさで、仄かで明るいピンク色の髪を肩ほどにまで伸ばし、頭には白を基調とし、ピンクのリボンが入った帽子を被っている。
群青色を色をしたアンダーアーマーのような服の上に白をを基調としたシャツを着ていて、同じく群青色のスカートをはいていた。
彼女は隣に母親のような女性を伴ってワカバタウンの中を歩いていたが、周りにいる人たちが彼女が通り過ぎると振り返ってしまうため、大きな注目を集めていた。
そんなことに恥ずかしさを感じて少し下を向けてしまっているのも周りにいる人たちはかわいいと思っているようであった。
そんな注目を集めながらそんな少女はウツギ博士の研究所へと入って行った。
*
「博士、結構ワカバタウンって結構遠いんですね。」
マサラタウンを出発したリンドウとオーキド博士はワカバタウンを車で目指していた。だが、ワカバタウンというのはリンドウが思っていたよりも遠いものであり、かれこれ3時間くらい座席に座っていた。
3時間も座っていれば退屈さを感じ暇になるもので、今まさにリンドウが感じていた。
「あと少しで着くからもう少し待っていてくれ。」
博士は同じような言葉を繰り返していたが、実際ポツリポツリと民家が見えてきていたため、本当に少しなんだろうと思っていた。
そこからまたしばらく経って、ポツリポツリと存在していた民家は徐々に多くなっていき、やがて周りの民家と比べてとても大きな建物が見えてきた。
「ようやく着いたぞ。あれがウツギ博士の研究所じゃ。」
オーキド博士はウツギ博士の研究所の近くに車を止めるとリンドウは車から降りてワカバタウンに降り立った。
リンドウがワカバタウンに降りて思ったのは、爽やかな涼風が心地よいということだった。流石町の紹介でも始まりを告げる風吹く町と紹介されているだけあると思った。
そうしていると研究所の中から比較的若めな見た目をした男性が中から現れた。
「お待ちしていました、オーキド博士、リンドウくん。長旅だっただろうけどどうだったかな?僕はウツギ。ここで研究者をしている者だよ。」
「こちらこそ初めまして。自分がリンドウです。よろしくお願いします。」
初めて会う博士のためにかしこまった挨拶をしていると横からオーキド博士か話に入ってくる。
「ウツギくんか。君のことはよく聞いておるぞ。君の功績はとても素晴らしいものじゃ。君と話がしてみたかったじゃが、この後どうじゃろうか?」
その言葉にウツギ博士はとても嬉しそうに答えていた。そんな様子を見ながら待っていたリンドウは研究所の方を見ていた。淡い緑色をした壁色でこの町の景色とぴったりでとてもいい建物だと思っていると、研究所の中の窓から誰かこちらを見ているのを見つけた。
それが誰なのか、確認をしようとしたがその人物はすぐにこちらからは見えない場所に隠れてしまって見えなくなってしまった。
その子は誰なんだろうと思っているとウツギ博士に促され研究所の中へと入ることになった。
中はオーキド博士の研究所のように、様々な書類や研究をしている研究者たちがいた。
リンドウはウツギ博士に連れられて奥の部屋へと連れていかれた。
「入りますよ。」
コンコンとドアをノックして、ウツギ博士が中へと入る。それに合わせてリンドウも中へと入った。
そこは小綺麗にされた会議室のような部屋であった。大きい机が1つと椅子が8席あり、普段はここで討論をしているようだった。
そして今回はドアと反対側に二人の女性が座っていた。
一人は美しい美貌をして凛として座っている女性で、もう一人は少し緊張しているような様子をしていた。
ウツギ博士に促されてその緊張している子の前に座らされた。
リンドウが前を見ると、その子は一瞬だけリンドウと目を合わせたがすぐに目線を下に向けてしまった。
そうしているとウツギ博士が話を始めた。
「それじゃあ、みんな揃ったんで始めましょう。まずは紹介からだね。こちらがリンドウくん。モミジさんもルリちゃんも知っているだろうけど、今回ルリちゃんが旅をする上で護衛をするようになった子です。オーキド博士の推薦でリンドウくんに任せることになりましたが、リーグバッジを8個揃えているので実力も申し分ないです。」
「初めまして。今回仕事をさせてもらいますリンドウです。怪我がないように細心の注意を払って頑張らせてもらいますのでよろしくお願いします!」
ウツギ博士の説明が終わるとリンドウも挨拶をする。
「それじゃあ、こちらルリちゃん。今回リンドウくんに護衛をしてもらう子だよ。事前に伝えているようにこの子はアイドルだからこのことは他言無用だよ。」
「分かっています。」
「うん、それならいいよ。それじゃあ、モミジさんからも何かありますか?」
そうウツギ博士が言うとモミジさんと呼ばれた女性がこちらへ視線を向けた。
「あなたがリンドウくんね。あなたがどれくらい腕が立つのか分からないけれども、二人の博士が言われるのなら確かな腕を持っているんでしょう。ルリに怪我がないようにお願いしますね。」
言葉を告げてモミジはリンドウにお辞儀をする。それに合わせてリンドウもお辞儀を返してモミジに言葉を返す。
「はい。出来る限り頑張らせてもらいます!」
リンドウの言葉は会議室の中に響き渡り、それを聞いていたモミジ、オーキド、ウツギの全員がリンドウの宣言に満足したような笑顔を浮かべていた。