ツインテールとゲームで世界を守る。【とりあえず凍結】   作:熊0803

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今回はいよいよ正斗が変身します。まあ、最後ちょびっとだけですが…
楽しんでいただければ幸いです。


神の降臨

「然り!ツインテール属性は共鳴し合うものなのだ!」

「共鳴だと!馬鹿な、俺たちが!?」

「…ねえパラド…クス。これって…」

「あぁ…要約するとただの『類は友を呼ぶ』ってやつだな」

 

  至極真面目な顔でやり取りをするドラグギルディとレッドを見て、勘弁してくれと頭を抱えるブルーとパラドクス。もはやここまでくると呆れた声しか出ない、そう思っていると不意にバハムギルディがブルーを見てふむと頷く。そして、ニヤリと口元を歪めた。

 

「…初めて映像を見たときから何かが引っかかっておったが……こうして改めて間近で見ると、なるほどそういうことか。やはり、あの世界の戦士の差し金だったのだな」

「………」

 

  そう言われても、ブルーは眉一つ動かさない。思った通りの驚いた反応が返ってこなくて一瞬疑問を浮かべるが、バハムギルディはすぐに納得する。

 

「おや、その様子だとある程度は知っているようだな。先ほどドラグギルディが言った通り、かつて好敵手と呼ぶにふさわしい戦士が存在した。我らにたった一人で挑んできた少女がな…青の戦士よ、お主と同じ衣を纏ったな」

「ふはは、その少女はお前のような鎧は纏っておらず、ツインテールにそぐわぬ下品な乳を携えておった故、お主を見ても結びつかなんだわ!」

 

  声を大にして宣言するバハムギルディと、変態発言をするドラグギルディ。前半はシリアスだったのにドラグギルディのロリコン全開発言により台無しになってしまった。見た目にそぐわぬ趣味嗜好具合である。バハムギルディの方は別に幼女に限定的な関心があるわけではないようだ。

 

  しかしそれを軽やかにスルーし、暗に貧乳と言われたブルーを抑えながらパラドクスはやはり、と心の中で呟いた。あのとき彼女がはぐらかした部分、その一端を彼らが話してくれるかもしれないという予想を立てながら。故に、黙ってドラグギルディとバハムギルディの言葉に耳を傾ける。

 

「だが皮肉よな、同じ衣を纏う戦士を擁する世界。それ故に、同じ結末をたどる」

 

  バハムギルディは一度剣を下ろし、語り始めた。それを黙って聞くツインテイルズ。

 

  曰く、かつてのツインテールの戦士…先代テイルブルーは恐るべき強さを誇り、我らの侵攻を妨げ世界を守る守護者(ガーディアン)であった。彼女は今のレッドたち一人一人に匹敵するほどの強さを持っていたと。

 

「…ふーん、やっぱそういうことなのね」

「気づいてたのか?」

「うん、今まで言ってなかったけど、あの時聞いちゃってたから」

「あー…」

 

  独自の会話を繰り広げるブルーとパラドクスを見ながら、バハムギルディとドラグギルディは大仰に腕を掲げて話を続ける。侵攻者を追い払う戦美姫。彼女はいつしか世界をあげてたたえられる女神となり、誰しもが彼女のツインテールに魅せられた。

 

  そして…期せずして、ドラグギルディとバハムギルディ…否、アルティメギルにとって念願たるツインテール属性が世界を支配した。してしまった。これほど理想的な狩場が、あるであろうか?その答えは絶対的な否定だ。

 

  正斗があのとき感づいて立てた予想とは、このことである。つまりは、ツインテールの戦士はあくまで花壇いっぱいに花を咲かせるための種であり、それ故に今まで数は多いものの敵はそこまで強くなかった。ツインテールの戦士というヒーローに常勝させ、人々に嬉々としてツインテールをさせるために。

 

  事実、ツインテイルズの活躍で…一部パラドクスだが…ツインテールは世界に浸透し、レッド、ブルーの二人に憧れてツインテールにする少女、幼女に限らず女の子がこのわずか一ヶ月近くで急激に増えていった。まるで求心力のあるアイドルの髪型や服装を、世間の女の子がこぞって真似するように、あるいは、オタクたちがゲームやアニメーションのキャラクターにこぞって扮するように。

 

  全ては、最初から仕組まれたことだったのだ。トゥアールという異世界人…すなわちある意味の例外が来なくても、きっとレッドやブルーはいつしかツインテイルズに代わるツインテールの戦士として世界にその姿をあらわすはずだったろう。いや、正斗がいるのだから、そうありえない話でもないはずである。

 

  正斗によって知っていたパラドクスと直感していたブルーとは違い、一人胸騒ぎはしていたものの気がついていなかったレッドは愕然とした。これまで彼女はただ、マイノリティからツインテールが脱したことを喜んでいたのだ。

 

「まさか、今まで弱い敵ばっかりだったのは……!」

「フ…いたずらに同士の命を散らすことを望みはせぬ。皆可愛い部下、教え子たちであった」

「ああそうだとも。できるのならば、勝ってくれるのが一番良かった」

 

  しかし、もう時が遡ることはない。今を形作る結果として、ツインテイルズは連戦連勝してきてしまったのだ。結果として、散っていったエレメリアンたちは『無敵の守護者(ガーディアン)』の偶像の定着に一役買うことになった。

 

  バハムギルディとドラグギルディとて、いくら強くともただ指揮を任されただけの一介の将兵に過ぎない。効率の良い方法が見つかれば、それを使わざるをえなかった。

 

  そこまで聞いたところで、ようやくレッドとブルーはハッと思い出した。今目の前にいる黒と白の対なる竜は、世界に宣戦布告した張本人であることを。そしてもう一つ。あの時の世界に向けた放送は、恐怖を煽るのが目的ではなくツインテイルズの存在を発信していたのだということも。

 

  最強のツインテール属性で戦う戦士と、ゲームの主人公のようにばったばったと敵をなぎ倒していく戦士。しかしそれらは、むしろアルティメギルにとってありがたい存在だったのだ。

 

「…で、なんでそれをオレたちにここで話した?」

 

  なんの感慨も、衝撃も、落胆も、失意もなく、ただ純粋にパラドクスは…いや、パラドは尋ねた。なぜなら、彼女は知っているから。彼女の、トゥアールの総二たちを戦いに巻き込んだことへの後悔と罪悪感を、自分の世界を守りきれなかったことへの憤怒を、それらを飲み込んで、この世界だけでもという信念を。

 

「無論、テイルレッドのツインテール属性が、そして貴様…テイルパラドクスの戦う心が本物であったからだ。剣を、拳を交えてわかった。貴様らは、ツインテールと純粋な守護精神、その違いはあれども確かな愛を持っているとな」

「できれば、小細工などせず戦いたかった…それが、我らが獣畜生ではなく、たとえ奪う存在だとしても知性持つ存在であることの証明であるがゆえに」

「だから、せめてもの手向けに。世界が滅びた後で全てを知り、絶望に暮れぬように、とな」

 

  その答えに対して、テイルレッドの…観束総二の、テイルパラドクス…否、良性エレメリアン〝バグスター〟であるパラドの答えはーー

 

「礼を言うぜ、ドラグギルディ」

「何か勘違いしてねぇかバハムギルディ?」

「「…何?」」

「手向けどころじゃねえ、むしろ、これでもうなんの憂いもなくなったよ」

「オレはさっき言ったはずだぜ?んなこたぁどうでもいい、ってな」

 

  テイルレッドは、胸騒ぎが杞憂に終わって良かったと。テイルパラドクスは、いつもと変わらない、獰猛で好戦的な笑みを浮かべながらマテリアライズスマッシャーのはまった拳をバハムギルディへと向ける。

 

「お前らが一斉に奪うとするってことは、つまりは世界に芽吹き始めたツインテール属性は……見せかけ其の場凌ぎじゃない。本物なんだ」

「!!」

「オレにとってお前らの事情は関係ない。というかどうだっていい。オレにとって大切なのはただ一つ。また明日、エムと、レッドと、ブルーと、みんなで楽しくゲームをできるか。それだけなんだよ。だからいくら言葉を紡いだって意味は、ないっ!!!」

 

  レッドは、総二は怖かった。もともとマイノリティだったツインテールが一過性のブームとして祭り上げられ、あっさりと消えていくのが。踏みにじられるのが。

 

  だが、アルティメギルが作戦として立案し、標的にするというのなら、今ツインテールにし始めている女性たちも、ツインテールを好きになってくれた女性たちも同様に、まぎれもないツインテール属性が心に輝いていると、そういうことなのだ。

 

「今日ここでお前らを倒せば、ツインテール属性が世界に浸透して得しただけ。万々歳じやねえか!」

「な、なんと…」

「だから…明日ゲームを楽しむために、オレたちはお前らを、全力でぶっ潰す!覚悟しとけ!」

 

  あっけにとられたように、後ずさりするドラグギルディ、バハムギルディ。対してずっと黙っていたブルー…愛香は肩を震わせ、爆笑した。きょとんとする一同。ブルーは涙をぬぐいながら、ポンとレッドの肩を叩いて二人の横に並んだ。

 

「あー…やっぱり本物ね。あたしが長年ツインテールにし続けた甲斐があるってもんだわ。もうツインテール馬鹿っていうか、本当にただの馬鹿じゃない」

「な、なんだよ!別にいいだろ!?」

「うん、いいわよ。だってあたしが言いたいのは…そんな馬鹿なあんたの隣をずっとずっと…それこそ、一生歩いていくって、ことなんだから」

 

  そう言って、恥ずかしそうに頬を染めながらレッドの…総二の、恋人の手を取り、恋人つなぎにすると愛香は照れたようにはにかんだ。レッドはその表情にどきりとして、しかしすぐに最高の笑顔を浮かべる。パラドはやれやれといつもの調子で肩をすくめた。

 

「…テイルレッド、テイルパラドクス、テイルブルーよ。俺たちは今、心底感服したぞ。世界の終末を目前にしてなお揺るがぬその不動の意思」

「うむ、真なる美しさとは、目をそむけねばならぬほど眩しいものよな」

 

  本当に感嘆したような声音で言うドラグギルディとバハムギルディに、お互いの顔を見てふっと笑い合い、レッドはブレイザーブレイドを、パラドクスはもう一度マテリアライズスマッシャーを、ブルーはウェイブ・ボルクをそれぞれ突きつけ、声高に宣言した。

 

「世界の終末だのなんだの、スケールの大きい話はもうたくさんだ!俺は、俺たちは!」

「各々の愛するもののために、この力を振るおう!」

「そうよ!あたしとそー…レッドが仲良く暮らすために!いくらだろうとかかってきなさい、全員ぶちのめしてやるわ!」

「「あくまで…あくまで、己らが信念を貫くと申すか!」」

「ああ!ここからは、俺たちのーー」

 

「はっはっはっはっはっはっ!そこまでです、ドラグギルディ、バハムギルーーぶげらっ!」

「タイミングをわきまえたまえ馬鹿者」

 

  レッドの一世一代の花道に泥を塗りたくるどころかC4爆弾100個をまとめて放り投げた何者かは、台詞の途中で飽きれた声とともにもう一人の誰かによって沈められた。思わずバッ!と全員が振り返れば、そこにいたのはーー

 

「全く…もう少しためるつもりだったんだが」

「「「「「エム(正斗、マサ、神崎正斗!?!!?」」」」」

 

  ーー幻夢コーポレーション社長、そして我らが規格外の大天才にして最強のゲーマー、神崎正斗だった。

 

 

 ●◯●

 

 

  やれやれ…まさか、このタイミングとはな。役職柄様々な取引などをしてきた俺からすれば、一つタイミングを間違えるだけで悲惨な結果に終わると言うのもよくあるのでそこは重要視したかったのだが。

 

「神崎正斗、貴様が何故ここに!?」

 

  と、俺がそんなことを考えているとその三メートルと言う身長に比べてややスマートなフォルムの白竜エレメリアン…バハムギルディと言ったか?奴が声を荒げた。ちなみに俺はついさっき三十分ほど前まで会社で会議をしていたのでスーツ姿だ。タイミング最悪で出て行きやがったトゥアールがビジネスシューズの下で呻き声を上げているが、あえて無視する。

 

「なに、我が社の戦士が熱い宣言をしようとしているのだ、特等席で見ても問題はあるまい?」

「ぬ、ぬう、それは……」

「さて…おい、さっきのことはもういいからさっさと立って続きを始めろ」

 

  トゥアールをわざと少し強く足蹴にして復活させる。するとトゥアールはいつも通りの某黒光りする先輩が裸足で逃げ出すような速度で回復し、飛び上がってかっこよくポーズを決めた。今度は頭を覆っているスモークのかかったバイザーとツインテールのようなウィングが左右側面から飛び出たマスクも相まって少しはかっこよく見える。最初ので台無しだがな。

 

「私の名は、世界を渡る復讐者〝仮面ツインテール〟!」

「「仮面ツインテール、だとッ!?」」

「「「ブ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」 」」

 

  ネーミングセンスが少しおかしい。ほら見ろ、総二たちがあまりの驚きに吹き出してしまっているではないか。まるでアニメの敵キャラのようにいちいち大げさに反応をしてくれるドラグギルディたちがいるからいいものの、頭より下はいつも通りのコーディネートだから結構絵面ヤバイぞ、なんて言えないし言わない。時には静かに黙っていることも、ビジネス成功のコツだ。

 

「しかし貴様、そのなかなかの気迫とは裏腹に際立った属性力(エレメーラ)も感じぬが……よもや、ツインテイルズの加勢に来たとは言うまいな!?」

「加勢!?なにを馬鹿な!あなた方を相手にこの三人以上の戦力は必要ありません!私はただ、あなたたちの最後を見届けに来ただけです!」

 

  俺のジト目攻撃をわざと無視して、トゥアール…仮面ツインテールは山の中で木が生えそろっている中でもひときわ目立つ大木のぶっとい枝の上で腕組みして、白衣をたなびかせながら大きく声を張り上げる。そして、粛々と語り始めた。

 

「確かに、ドラグギルディとバハムギルディの言う通りです。本当は彼らの侵略の最中、私は既にテイルギアを開発し、自ら装着して戦っていました。テイルギアの原型となる属性力(エレメーラ)変換のテクノロジーは、アルティメギルが意図的に流出させたものだからです」

「意図的に流出!?」

 

  驚くレッド。まあ、予想通りといったところだな。自慢ではないが、たとえトゥアールが俺と同レベルの頭脳を誇っているとしても一から全てを作り出すのは困難を極めるだろう。俺だってパラドやグラファイト、カイデン…バグスターたちの存在があってこそガシャットを完成させられたし、()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「おそらく幹部クラスのエレメリアンしか知らないでしょうが…レッドとパラドクスが初めて戦ったあの日、究極のツインテールを探していたのは属性を奪取するのが本来の目的ではありません。この世界で最強のツインテール属性を持つものに、テイルギアの原型である属性力(エレメーラ)変換の技術を与え、自分たちの敵として仕立て上げるためだった……まあ、さっき私にチョップした隣の人がいるからその前になにかしらの力を得ていた可能性が高いですが」

 

  そうだな。もしトゥアールがやって来てテイルギアを総二と愛香に託さなければ、俺は単体変身が可能なガシャットを二人に渡して、自らもパラドとともに四人で戦うつもりだった。いや、もしかしたらバグスターたちも巻き込んで全員で、なんてこともあり得たかもしれない。

 

「まあそれはともかく……それは私の世界を滅ぼした時と同じ手口。まんまと利用されたんです……私は」

「「!」」

 

  トゥアールの言葉に、衝撃を受けた総二と愛香は同時に息を呑んだ。トゥアールの沈鬱な助長を、表情のないマスクが象徴しているようだ。やはり最初ので道化に極振りしていると思うが。

 

「…! そうか、貴様……かつて、我らと死闘を繰り広げた、最強のツインテール!世界を渡って来たか!」

「だが何故だ!?今の貴様からは、弾けんばかりに輝いていた無敵のツインテール属性が微塵も感じられぬ!我らは、終ぞ奪わず仕舞いだったはずだ!」

「それは…託したからです」

「「何ぃ!?」」

 

  トゥアールこと仮面ツインテールは、総二の方を見てニッコリと笑った。マスクの下に隠れているはずのその笑顔を、俺たちは確かに見たような気がした。

 

  そうすると、仮面ツインテールはドラグギルディとバハムギルディに対して言う。自分が戦っていた頃、途中で気がついていたと。何故敵が弱いにもほどがあるのか。何故死活問題である属性力(エレメーラ)奪取にさほど精力的ではないのか。世界がツインテール一色に染まっていく中、自分もまたレッドのような胸騒ぎを抱くようになっていたらしい。

 

  頭の良い彼女のことだ、もしかしたら、俺よりも先に気がついたに違いない。だからきっと、止める術はあった。なんでもいい、自分から世界の人々をツインテールから興味を失うように行動すればよかった。しかしトゥアールはできなかった。世界に芽吹いたツインテール属性を、むざむざ消すに忍びなかったがゆえに。

 

「私に憧れ、ツインテールにした可愛い幼j…『ガチャリ』……少女たちが、また元の髪型に戻っていくのが怖かったんです」

 

  シリアスな場面で言ってはいけないことを言おうとしたので、首筋にガシャコンバグヴァイザーIIIを押し当てて変えさせる。おそらく俺は今真顔だろう。

 

  そして仮面ツインテールこと先代ブルーは心の隙を突かれ、心がドラグギルディとバハムギルディに負けてしまった。基地にこもって策を練っている間に侵略は進められ、世界からツインテール属性は消えた。二度とツインテールを愛することのできない灰色の世界になってしまったようだ。

 

  後に残ったのは、様々な属性を奪われ尽くし覇気を失った世界、その中でただ一人ツインテール属性と幼女属性という危ない属性力を抱え、残されたトゥアール。トゥアールが道行く幼…少女にいたずらしてもろくに注意されない、そんな冷たい世界だという。

 

  その中で復讐を誓い、テイルギアと戦いのデータをもとに、徹底的に与えられたテクノロジーを分析し、どう考えても危ない…具体的に言うと幼女にイタズラする…方法で気力をつなぎ、認識撹乱装置(イマジンチャフ)を完成させて、世界間航行の技術までをも解析して旅立った。そこで俺が一発蹴りを入れ、ブルーが槍を投げそうになってレッドに止められていたのは言うまでもない。

 

  さらにけじめとして、トゥアールは自分の持つツインテール属性を核に、新たなテイルギアを作り出した。それこそが、テイルレッドの纏うテイルギア。それにとどまらず、断腸の思いで自分の使っていたテイルギアをブルーに託した。

 

「ブルーを戦いに巻き込んだのは、本当に後悔しています……」

「執念か、仮面ツインテール…否、先代テイルブルーよ!此度してやられたのは我らの方であったようだな!」

「どうやら我らは、貴様のツインテールへの愛の深さを侮っていたらしい!」

 

  ドラグギルディとバハムギルディの言葉に、深く頷くトゥアール。

 

「…ところで、なんで俺幼女なの?」

「ああそれは、本当にあくまで私の趣味です。私が作ったものですから…ツインテール属性を失い、残った幼女属性が色濃く反映されたのでしょうえへへ」

「マサ」

「オーケー」

 

 ガンッ!

 

「あぶんっ!」

「そろそろ我慢の限界だ。眠ってろ」

 

  仮面に包まれた後頭部を思い切り殴ってトゥアールを沈める。愛香とぐっとサムズアップを俺が交わしていると、その間に何やらレッドとパラドクスはドラグギルディたちと熱い会話を交わしていた。

 

「良き仲間を持ったなーーツインテイルズよ」

「良いかどうかは別として…まあ、最高の仲間だよ」

「ふっ、そうか…仮面ツインテールよ!そこまで弁を尽くさずとも、俺たちにもわかっておるわ!どれだけ打ちのめそうとも、こ奴らのツインテールは、闘志はいささかも輝きを失っておらんとな!鼻から御託でどうにかなるなど思っておらんわ!」

「だが、いかな輝きで照らそうと、覆らぬ闇もまたある!!」

 

  ドラグギルディが剣を振った瞬間、モケェーーーーー!と地鳴りのような音を響かせて地平を埋め尽くすほどのアルティロイドの大群が現れた。目測でも千はくだらない。

 

「これまでと同じよ!一人が三人になったとて何も変わらぬ!」

「ツインテールが世界を支配するまでの時間が短くなるだけなのだ!」

「くっ!」

「文字通り、世界に向け侵攻するのにふさわしい大戦力ってか!心が躍るなぁ!」

 

  やる気満々の様子でブレイザーブレイドを構えるレッド、マテリアライズスマッシャーをかち合わせるパラドクス、ぐるぐると回してウェイブボルクを脇に構えるブルー。いよいよ大決戦が始まるかと言う、その時。

 

 しかし。

 

「ーーいいや、戦う必要はない」

「…何?」

「正斗?」

「ここからは、俺の……()()ゲームだ」

 

 

 ●◯●

 

 

  俺は先ほどまで仮面ツインテールが立っていた場所に立ち、訝しげな顔をする一同を見回して口を開いた。

 

「さて、まず最初にーーアルティメギル、君たちには失望したよ」

「何っ!?」

「君たちのやり方は悪徳商社と何も変わらない。相手側に利益を優先するように見せてその実、最後に全てを持っていく。実にいやらしいやり方だ」

 

  もちろん、それを悪いとは思うが今まで我が社を害することがないのなら自主的に審判を下すことなどしていない。それはあくまでそのものたちのやり方であり、私はたとえこの命が尽き果てようとも決してその運営方針はとらないというだけだ。

 

「だが、君たちは我が社を…この世界を害そうとした」

 

  …総二がその身を賭して守るものが世界中のツインテールなのならば、私は世界中の我が社の…俺のゲームを楽しんでくれる全ての人間をこそ、守ろう。ゲームを愛し、楽しむ心を奪うなど、断じてこの私が許さない。

 

「故に、君たちは全員ーーこの場で絶版だ!!」

 

 ドンッ!

 

  木の幹を蹴り折らないギリギリの強さで足を踏み降ろす。俺の気迫に、アルティロイドたちは、ドラグギルディやバハムギルディでさえも後ずさった。しかしそれに構わず、俺はジャケットのトゥアールによって改造が施され、四次元となった内ポケットからあるものをーー赤と黒、金色で彩られたチェーンソーと銃口が二つ付いている大きなABボタンと画面が付いている武器、ガシャコンバグヴァイザーIII(ドライ)を取り出した。

 

「……? 一体、何をする気だ?」

 

  不思議そうに尋ねるドラグギルディに、俺は不敵に微笑んだ。

 

 

  ところで、『うしおととら』という作品を知っているだろうか。俺は趣味上サブカルチャーに精通しているのだが、様々な漫画の中でも特に好きなものだ。いわゆる少年漫画というものに分類されるその中でも名作と呼ばれた、少し古い作品であるのだが、その心踊る多数の伏線、キャラクター、ストーリー、設定全てが気に入っている。原作の漫画を全巻、初期のものとリメイク版アニメすべてを網羅してわざわざ日本全国から権力をフル行使してできる限りの関連物を集めるほどだ。

 

  中でも特にお気に入りのキャラクターは、やはりというべきか漫画のタイトルにもなっている主人公である人間『蒼月潮』と、強大な力を持った大妖『とら』だ。蒼月潮はとある寺の一人息子であり、ある日自宅の蔵の奥底に封印されたとらと出会うことから物語は始まる。潮ととらは時が経つにつれ絆を深め、いずれ『二体で一体の妖』『二体で最強』とまでよばれるほどになった。

 

  蒼月潮は対妖用究極兵器とも呼べる物語のキーアイテム『獣の槍』を携え、とらとともに多くの戦いを経て成長し、多くの出会いと別れを体験し、最後はその身が『獣』になろうとも人々をこの世界の負の化身である『白面の者』と戦い勝利した。

 

  一方、齢2000を超える強大な力を持った大妖とらもまた、潮とともにいるうちに数えきれぬほどの妖怪、人間に出会い、多くのものを彼ら彼女らから『喰って』成長し、当初の凶暴な性格から変化をしていった。そして最後は潮とともに白面の者に挑み、その身を犠牲にし勝利して散った。

 

  ああ、そう考えると私もこの短い人生の中で多くのものを今私の周りにいる人間たちから『喰った』のだろう。幼少期の私は本当にゲーム以外に何も興味がなかった。総二たちが、幻夢コーポレーションの仲間たちがいたからこそ、今の私がある。きっとそれがなかったら、私は人も物も全て商品価値で見る最低最悪の人間になっていたに違いない。

 

  まあそれはともかく。そんなとらは、かつて白面の者をその身に宿し血肉を与えた古代インド・マガダ王国にて英雄と呼ばれた呪われし男だった。邪妖による影響下にあったとはいえ悲劇の生い立ちを持つ憎悪の塊のような人物であり、あるとき愛する存在を手に入れるが白面の者により失ってしまう。

 

  白面の者に取り憑かれ、不死性を得てしまった男は失って初めて人らしい人となり、八百年もの間自らの体を魔改造して世界を放浪しながら妖怪との戦いに身を投じ、封印されていた獣の槍にたどり着き、そして妖怪『字伏(あざふせ)』の祖となった。

 

  そもそも獣の槍とは潮ととらが妖怪『時逆』によって連れていかれた大昔の中国にて、白面の者によって家族を滅ぼされた兄妹が、妹が人身御供となって刃に、兄がそれを打つ中で柄となった白面の者に、妖怪に対する怨念の詰まった代物であり、それを使った歴代の使い手は皆『字伏』となってしまった。

 

  その『字伏』の中でも、作中に現れた五体の字伏がいた。彼らはたとえ頭だけになろうとも潮たちに力を貸し、白面の者との最終決戦ではその身を賭して白面の者に大ダメージを与えた。その時、彼らはこう言ったのだ。

 

 

 

『我らは、白面()になる!』

 

 

 

  …要するに、何が言いたいのかと言うとだ。私は、総二のツインテール属性と同等とまでは言わないものの、この身に宿る多くの強力すぎる属性力(エレメーラ)より、何体もの良性エレメリアンーーすなわち、バグスターたちを生み出してきた。そして彼ら彼女らは今もなおこの世界でそれぞれ生き続けている。

 

  故に、その大元である俺はどうなるか。その答えは明快単純。

 

「私は今からーーお前たち(エレメリアン)となる」

「「「「「「ッ!?!!?」」」」」」

 

  パラドが、総二が、愛香が、足元のトゥアールが、ドラグギルディが、バハムギルディが目を見開き息を呑む中で、俺はガシャコンバグヴァイザーIIIのBボタンを左手の人差し指で押し込む。すると黄金色のBボタンは強く輝き、まるでオルガンで弾き鳴らしたような荘厳で、それでいて畏怖を感じる重厚な音を辺り一帯に響き渡らせた。

 

  それを聴きながら、俺はガシャコンバグヴァイザーIIIを高く頭上へ放り投げる。条件反射でそれを目で追うその場にいた全員を嗤いながら、俺は左手に漆黒のグリップをはめ込んだ。そして、計算通りのタイミングで落ちてきたガシャコンバグヴァイザーIIIの裏側のくぼみにグリップの出っ張りを勢いよく叩きつけ、はめ込む!

 

 

 ガシャンッ!!

 

 

 そうして始まるのは、転身の儀式。

 

「さあ…審判の時だ」

 

 

《Release……!》

 

 

 さあ、解放せよ我が力。

 

 

《Let's G A M E !!!》

 

 

 遊戯(ゲーム)を始めようではないか。

 

 

《Last G A M E !!!!》

 

 

 終焉の遊戯を。

 

 

《Mad G A M E !!!!!》

 

 

 最低最悪最凶の、絶望の遊戯を。

 

 

《What's my 〝 N A M E 〟!?》

 

 

 我が名はーー

 

 

《I'm the 〝GOD〟!!!!!!!》

 

 

 ーー遊戯神(ゲムデウス)なり。




作者はリメイク版しか見ていないのですが、最終回は号泣しっぱなしでした。

神と成った正斗ーー〝ゲムデウス〟。さあ、今こそ審判の時。

次回「蹂躙、その果てにあるEnding」

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