ツインテールとゲームで世界を守る。【とりあえず凍結】   作:熊0803

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楽しんでいただければ幸いです。


究極のDragon Warrior !

  ガシャコンバグヴァイザーⅢから一定のリズムを持った音声が流れるのと同時にグラファイトの全身をボコボコと漆黒に近い赤色の気泡が覆い、やがて音声が終わるのと同時に一気に弾ける。

 

  その時、グラファイトの代わりに一体の怪物がそこに顕現した。

 

  赤と黒で構成された全身は細身で高身長だったグラファイトの時とは正反対に筋肉と鎧で覆われ、左肩と右腰には下顎のない恐竜の頭蓋骨のような真紅の装飾が。

 

  左腰からは牙が二本生えた鎧を二枚重ね、腰から伸びる血管のような浮き彫りがあるマントが広がる。

 

  全身を支えるたくましい両足のうち、赤い右脚の脛の部分にはには刺々しい突起がいくつも飛び出し、太ももには腰のマントと同様の浮き彫り、膝下の一部が赤黒い左脚にもまた突起が生え、あれから繰り出される脚撃を喰らおうものなら瞬く間に体に穴が開いてしまうだろう。

 

  どこかへと消えたガシャコンバグヴァイザーⅢが握られていたゆっくりと降ろされた真っ赤な右腕は二の腕から先が何十もの棘を重ね合わせた手甲に包まれ、肩には同じく赤い鎧、先端が鋭く尖った五本の指。全身から立ち上る闘気を表すようなその造形は秀逸の一言に尽きる。

 

  反対の左腕は上記の通り、4本の角がある恐竜ともドラゴンとも取れる頭蓋骨が左肩を覆い、二の腕は赤い羽毛に包まれ、その中からは他の箇所同様三本の赤い棘が飛び出る。右腕とは正反対に籠手のような形をした左腕は拳骨の部分に小さな4本の爪が備わっており、殴られればタダではすまないだろう。

 

  胴体は人間であればヘソにあたる部分に五つの立体的な正方形の組み合わさったバックルをつけ、四角形になっている正方形の対角線の中心に一つ付いているという配置。赤と黒で彩られた胸を覆う鎧の中心には真っ赤な宝玉が輝き、そこからはより一層強い属性力(エレメーラ)が発せられる。

 

  最後に頭部はやはりというべきかここも厳つい見た目をしており、鳥の頭蓋骨のようなものが頭部の上半分を覆い隠していた。くちばしの部分は赤く染まっており、目に当たる部分はぽっかりと黒い空洞が空き、その奥からは鋭い眼光が覗く。

 

  後頭部からうなじにかけてを守る鎧は堅牢そうであり、荒々しい形の鎧兜と相まって恐ろしさを醸し出していた。

 

  それがグラファイトのエレメリアン態……〝グレングラファイト〟の姿だった。

 

「なっ……!?」

 

  グラファイトが異形の怪物……あのエレメリアンとかいう化け物と同じような姿に変わる一部始終を見た尊は思わず声をあげた。当然だ、今まで人間と思っていた相手が人外だったのだから。その驚きはなんらおかしいものではない。

 

  慧理那もまた、グレングラファイトの……鉛龍の〝変身〟に呆然としていた。今まであのような姿は一度としてみたことがなく、彼女の中で彼はただ腕っ節が強い人間の男性という認識だったのだから。だが同時に、先ほど自分を守ると言ったことから、彼は必ずこの事態をなんとかしてくれるという確信もどこかにあった。

 

「き、貴様! 人間ではなかったのか!」

「クハハハハ! ああそうだとも!今一度名乗ってやろう!俺は〝ドラゴナイトハンターZ〟の龍戦士、〝グレングラファイト〟ッ!人間を……慧理那を守るためにこの力を振るわんとする、正義のエレメリアン(なり)ッ!」

 

  人間態だった時は口であった、真っ黒にどこぞの部族のペイントのような赤い線の走ったマスクから変身前と変わらない声を発し、グレングラファイトは笑った。動揺するクラブギルディ。

 

  しかしそれとは反対に、尊と慧理那は頭にはてなマークを浮かべていた。〝ドラゴナイトハンターZ〟とは、幻夢コーポレーションが発売している四人協力プレイ型の対モンスター狩猟ゲームだ。様々な続編や番外編のゲームが発売されているその中には、確かに今のグラファイトと名前も姿も瓜二つのキャラクターが存在していた。

 

  だがしかし、今目の前にいるグラファイトは決してコスプレとは思えない。触らずとも見るだけでわかる全身の質感、呼吸をしているのが上下している胸部、関節を曲げるとシワのできる特撮の怪人の着ぐるみとは明らかに違う、ちゃんとした筋肉を包む肌。それら全てが本物だということを証明している。

 

  そんな二人の疑問に構うことなく、グレングラファイトは背中にパーツを分割して携帯していた専用武装……〝赤龍牙槍グレングラファイトファング〟を取り出し、元の形に直すと豪風を立てながら体の周りで振るい、右脇に抱えて腰を落とし、クラブギルディに向かって左腕を突き出した。

 

「さあエレメリアン、死合おうぞ!」

「人間でないのならば遠慮情けは無用!全力でいかせてもらうぞ、グレングラファイトととやら!」

 

  グレングラファイトから発せられるオーラを感じ取ったのか、それまでオロオロと……直立した蟹のような見た目でオロオロとしているのはかなりシュールだったと言っておこう……していたクラブギルディは鋏の両腕で腕組みをして、そう宣言した。

 

  それに対してグレングラファイトは何も返答することなく、瞬時にクラブギルディの懐に潜り込むと同じ形ながらも白と赤一対のグレングラファイトファングを振るう。素人目から見ても超一流の一撃であり、慧理那と尊はクラブギルディが瞬殺されるかと思った……が。

 

  グレングラファイトファングは、クラブギルディの体を上下真っ二つにすることはなかった。というのも、グレングラファイトファングがその巨体に届いたかと思ったその瞬間、掻き消えたからだ。

 

「フッ、残像だ」

「ッ!」

 

  次にクラブギルディの声と気配が現れたのは、グレングラファイトの背後。うなじを見ることにかけて隣に並ぶものなしとまで言われたクラブギルディは、こと後ろに回り込むことだけなら部隊長に匹敵するスピードを持っているのだ。

 

  そのままクラブギルディは、右腕の大鋏をグレングラファイトめがけて振り下ろす。だがそれを甘んじて受けるグレングラファイトではない。即座に地面がめり込むほどの力で右足を踏み込み、前に傾いていた体を直すと背中にグレングラファイトファングを回し防いだ。

 

「何ッ!?」

「フハハ、今の俺のレベルは X(未知数)……この程度の攻撃で倒せると思うな!ハッ!」

 

  グレングラファイトがそう言った瞬間、慧理那と尊はゴォォンッ!という音ともにグレングラファイトの体がまるで蜃気楼のように揺らめき、全身から赤い電流が迸ったように見えた。

 

「グオォ!?」

 

  左脚を軸に回転のついたミドルキックを叩き込まれ、吹き飛ぶクラブギルディ。今しがたグラファイト自身が言った通り、正斗が自ら採取したゲムデウスウィルスを内包したガシャコンバグヴァイザーⅢで自分の属性力(エレメーラ)を培養した今のグレングラファイトは本来のレベル99の限界を超え、限界突破ーーすなわち、未知数を表すレベルXに至っているのだ。

 

  そのグレングラファイト相手に、スピード以外は部隊長クラスでもないたかだか並みのエレメリアンごときが叶う道理は、皆無。

 

「ハッ、ラッ、ハァァッ!!」

「ぐふっ、がはっ、がはぁぁっ!?」

 

  急接近したグレングラファイトの振るうグレングラファイトファングにより、クラブギルディの本来ならば堅牢な全身の甲殻が切り刻まれる。時折鋭い拳や刈り取るような蹴りも混ぜ、グレングラファイトはクラブギルディを圧倒した。

 

  クラブギルディはなんとか持ち前の、ただうなじを見るためだけに鍛え上げた超スピードで回避しようとするが、しかしそうしようとするたびに移動する軌道上にグレングラファイトファングを差し込まれ、結果的にさらに甲殻を砕かれる羽目になっていた。

 

  明らかにグラファイトが終始優勢な戦闘に、尊と慧理那はあっけにとられていた。まさか、エレメリアン……本人曰くバグスターというらしいが……だっただけでなく、あれほどの戦闘能力を有していたとは。慧理那は段々、ぽかんとしていた顔を紅潮させ、キラキラと目を輝かせ始めた。

 

  無理もあるまい。常に守ってくれるヒーローであり、同時に心から慕う男性がさらに幼い頃からずっと憧れている超常のヒーローだったのだから。恋は盲目とまではいかないまでも、すでに慧理那はあのグラファイトの姿を受け入れ始めていた。

 

  そんな彼女の心情も露ほども知らず、グレングラファイトは高笑いを上げながらクラブギルディを嬲る。すでにクラブギルディは自慢の大鋏を両方とも切り落とされ、全身の鎧もほぼ砕かれ瀕死だった。増援に慌ててアルティロイドが参入するが、グラファイトの裏拳一発でことごとく消滅していく。その様はいっそ、哀れですらあった。

 

  グレングラファイトもあまり相手に恥をかかせるのは戦士として忍びないと思い、残ったアルティロイドをボコしながら、クラブギルディの周りに誘導して集めていく。グレングラファイトは戦闘狂ではあるが、しかし同時に戦術を即座に構築する策士でもあった。

 

  そして全てのアルティロイドを集め終わった瞬間、ついにグレングラファイトが突き出したグレングラファイトファングがクラブギルディの腹を貫いた。

 

「ガハァッ……!?」

「……そろそろ終わりにしてやろう。さあエレメリアン、焼き蟹になる準備はいいか!」

 

  そう言うやいなやグレングラファイトファングを引き抜き、クラブギルディの体を蹴り飛ばす。するとまるでボーリングのようにアルティロイドを押し倒した。両腕がないので、立ち上がることができずにもがく。

 

  その間にグレングラファイトはコンクリートの地面にグレングラファイトファングを握った右拳を叩きつけ、右腕と上半身全体を使ってグレングラファイトファングを回転させる。するとグレングラファイトファングを極大の炎が覆った。

 

「超絶奥義!ドドドドド!」

 

  その炎を練り込むようにさらにグレングラファイトファングを回転させて、最後に右腕を後ろに引き絞ったグレングラファイトは高らかに自らの最高の技を解き放つ!

 

「〝紅蓮爆龍剣〟ッッッ!!!!!」

 

 

 ドガァァァンッ!!!

 

 

「がはぁぁぁぁっ!!?」

「「「モケ、モケケケーーーー………」」」

 

  グレングラファイトの解き放った技により、先ほど宣言された通りクラブギルディは全身を焼かれ焼き蟹になってしまった。アルティロイドは耐え切ることができず、全員消し炭になる。

 

「せ、せめて最後に……テイルレッドの、うなじを……見たかった……」

「フン……せいぜいあの世で思う存分うなじを見るがいい。さらばだ、エレメリアン」

 

  グレングラファイトの言葉に満足したかのように、クラブギルディは盛大に爆発四散した。クラブギルディのいた場所には、いつも通り項後属性(ネープ)属性玉(エレメーラオーブ)が残っていた。

 

  グレングラファイトはそれを拾い上げ、どこからか取り出したガシャコンバグヴァイザーⅢに格納すると変身の時と同じ気泡を纏い、人間態に戻る。

 

  ガシャコンバグヴァイザーⅢを懐にしまい、そのまま尊と慧理那の元に戻るが……やはり、尊が鋭い目とともに慧理那の前に立ち、グラファイトを睨む。それにグラファイトは肩をすくめ、口を開いた。

 

「警戒せずとも、俺たちバグスターはエレメリアンと違い人間と同じ生態を持っている。だからツインテールがなんだなど騒がんぞ」

「……そうか。なら「かっこよかったですわ!」お、お嬢様!?」

 

  尊を押しのけ、慧理那がキラキラとした目をグラファイトに向けた。グラファイトは首をかしげる。

 

「そうか?」

「ええ! 敵と同じ怪人でありながら、正義の心をその身に宿して戦う姿!とても素晴らしく、格好良かったです!さすがは鉛龍様ですわ!」

「……お前がそう言うのなら、そうなんだろうな。ともかく、守れてよかった。勿論、メイドもな」

 

  グラファイトはそう言うと、不器用ながらも慧理那の頭をポンポンと撫でる。「あ……」と声を上げてまた顔を赤くする慧理那に尊は苦笑し、この様子ならそこまで警戒する必要もないだろうと思い、「早くここを離れるぞ」「ああ、そうだな」といつも通りの態度に戻した。

 

  さあ歩き出そうかというところでふとあることを思い出し、グラファイトはスタスタと歩いていくと地面に転がっていた紙包みを拾い、慧理那に渡した。このような危険を冒してまで外に出て買った、大切な玩具だ。

 

「あ、ありがとうございます」

「……別にどうということはない。さあ、行くぞ」

「あっ……」

 

  ほんのりと微笑む慧理那に少し気恥ずかしくなったグラファイトは彼女の手を引いて、待機していたメイド達の所に止まっている車に向かい始めた。慧理那は継続して顔を赤くしながら、しかしどこか幸せそうな表情である。

 

  尊はそんな、明らかに想い合っているのに互いに気がつかず、兄弟にしか見えない二人に苦笑して後を追いかけるのだった。

 

(……しかし、何故だろう。少しだけ複雑な気分だ)

 

  その心に、未だ気づかぬ想いを抱きながら。

 

 

 ●◯●

 

 

  時間は少し遡って、グレングラファイトが戦っている時のツインテイルズ。別ポイントに出現したエレメリアンと交戦していた彼女達は今、

 

「いーーーーーやーーーーー!!」

「ふははははははは!!良い、良いぞテイルレッド!動きに伴い躍動するツインテールと上下する鎖骨!最高だ!」

 

 やはりと言うべきか、変態と戦っていた。

 

  テイルレッドががむしゃらに……しかしカイデンバグスターの鍛錬により技術を伴った剣戟の嵐を浴びせかけているエレメリアンの名はクレイフィッシュギルディ、クラブギルディ同様にザリガニが直立したかのような見た目のエレメリアンである。

 

  クレイフィッシュギルディの属性は先程叫んでいた通り、鎖骨属性(クラヴィクル)。うなじを愛するクラブギルディとはある意味正反対の属性である。テイルギアはタイガギルディも言っていた通りぴっちりと体を覆うスーツに装甲という構成なので、当然肩口が見えている。鎖骨ラブなクレイフィッシュギルディにはどストライクだったようで。

 

「くそっ、なんで当たらねえんだよ!」

「フハハ、わが奥義鎖骨への愛舞(アイ・ラブ・クラヴィクル)の前に手も足も出ないようだな!」

「何が踊りだただ円形になるほど残像が見えるくらい超スピードで上半身動かして避けながら鎖骨見てるだけじゃねーかこの変態!」

 

  そう、クレイフィッシュギルディはレッドの繰り出す斬撃を全て神業とも呼べる超回避でかわし続けているのだ。レッドの目にはクレイフィッシュギルディの上半身が10個くらいあるように見えている。ぶっちゃけ気持ち悪かった。

 

「いい加減にしなさい、この変態ザリガニッ!」

「あふんっ!」

 

  と、そこでパラドクスとともにアルティロイドを掃討していたブルーが戻ってきてクレイフィッシュギルディの尻を蹴り上げた。上半身を超速で動かしている以上下半身はお留守だったので、いともたやすくすっ転ぶクレイフィッシュギルディ。

 

  その隙にレッドは後ろにジャンプして一旦距離を取り、ブルーはその隣に着地する。出現場所がショッピングモールのこの時期的に首元の出る服が売っている服屋付近だったので、ちょうど上の階へと繋がる階段の近くだ。

 

  レッドがパラドクスは?と目線で問えば、ブルーはアルティロイド達の方を指差す。そちらに目を向ければ、楽しそうにアルティロイドをぶん殴っているパラドクス:ファイターゲーマーの姿が。どうやらいつも通りペースにはまってしまったらしい。

 

  はぁ、と一つため息をついた後、レッドはどうすればあの変た……クレイフィッシュギルディを倒せるのか考え始めた。ブルーも同様に。最悪、ブルーがウェイブ・ボルグで足を串刺しにして縫い付けている間にどうにかすればいいのだが、それはちょっと外見的にどうかと思うので。

 

  そんな風に二人が悩んでいると、不意にテイルギアに搭載された通信機能から正斗の声が届いてきた。

 

『ふむ、二人ともここらで〝あれ〟を使ってみるというのはどうだ?』

「「あ、なるほど」」

 

  頷いた二人はどこからともなく、レッドは黄金色の、ブルーは深い紫色のガシャットを取り出した。言わずもがな、《GOLDEN KING SAVIOR》ガシャットと《PURPLE BEAST BERSERKER》ガシャットである。ちらほらと上階などの遠巻きから見ていた一般人はわっと歓声をあげた。

 

  レッドとブルーは顔を見合わせて苦笑しながら、しかしすぐに真剣な表情に戻すと頷きあい、立ち上がってビーストゲーマーの鎧に隠されたブルーの鎖骨を見て残念そうにしていたクレイフィッシュギルディに向き直った。

 

「行くぞ、ブルー!」

「ええ!」

 

  声を掛け合い、二人は同時にガシャットのスタータースイッチを押し込む!

 

《GOLDEN KING SAVIOR !!!》

 

  基盤が金色に光ったゴールデンキングセイバーガシャットからブルーのブルービーストランサーガシャットのものと同じ男の声が響きわたり、《GAME - START》の文字とともに背後にガシャットに描かれた絵が描かれたディスプレイが現れる。そこから黄金に光る長剣を携えた、三頭身の青いドレスと銀の鎧を着たキャラクターが飛び出してくる。

 

《PURPLE BEAST BERSERKER !!!》

 

  基盤からグラファイトの気泡のような紫色のものを吹き出したパープルビーストバーサーカーガシャットからも発声がされ、やはり《GAME –START》の文字とともにガシャットのものと同じ絵がディスプレイに映し出され出現した。そこからも紫色のフードを被った、同じく紫色の骨鎧と長く赤い角を持った小さなドラゴンが飛び出てくる。

 

  それらを見て確認した二人は互いの武器を一度消滅させ、ゲームエリアが広がったのと同時に屋内なのにどうしてか吹いた風にツインテールをたなびかせ、好戦的な笑みを浮かべた。

 

  ブルーは以前と同じように差し込み口(スロット)の出現した左腕とガシャットを持った右腕を胸の前でクロスし、反対にレッドは右腕にスロットが出現し、同じようにガシャットを持った左腕をクロスして構える。

 

  そして、スロットにガシャットを差し込みながら叫んだ。自分達を変える、その言葉を。

 

《ガシャット!》

「第五撃、変身ッ!」

セカンドテイル(第二髪型)・オン!」

《ガッチャーン! レベルアーップ!》

 

《掲げよ剣! 我は王なり! さあ、勝利を叫べ! GOLDEN KING SAVIOR !!!》

 

《抉れ魔槍! 我は狂王! 穿ち呪うは因果逆転の呪槍! PURPLE BEAST BERSERKER!!!》

 

  それぞれの変身音声が鳴り響き、それまでぐるぐると体の周りを回転していたキングゲーマーとバーサーカーゲーマーがパーツに分割して二人の体にガシャンッ!と音を立てて装着された。

 

  まずレッドは、両腕に銀色の籠手を、胴体には装飾の施された同じく銀の鎧を、下半身全てを覆う白と青で形成されたドレススカートをつけていた。両目は群青色に光り、フォースリヴォンの一部が青色に変わっている。そして右手にはブレイザーブレイドに似た造形の、黄金の大剣を持っていた。

 

  ブルーはビーストゲーマーの時と違い人型ではなかったので、後ろ腰の装甲に重ねるように一メートル以上にもなる骨の尻尾を備えていた。頭部にはフォースリヴォンとツインテールを露出させる穴の空いたフードと斜めになった龍の頭骨をかぶり、肩、腕、腰、太もも、脛の全身各所に尻尾同様紫色の骨の鎧を纏い、両目は真紅に輝いている。傍に浮いている長槍は五メートル以上もの長大さで、何十もの棘が連なっている。

 

 

  今ここに、テイルレッド:キングゲーマーレベル2とテイルブルー:バーサーカーゲーマーレベル5が誕生した。

 

 

「へえ! なんか、力が湧いてくるな」

「ふうん、ビーストゲーマーと違ってだいぶ攻撃的なフォルムなのね」

『各自レベルアップは完了したな?それではエレメリアンを掃討しろ』

「「了解!」」

「来い、ツインテイルズよ!」

 

  互いの得物を力強く持ち、レッドとブルーはクレイフィッシュギルディに向かって突進した。まず最初にレッドが長剣……聖剣〝テイルカリバー〟をクラブギルディめがけて横に薙ぐ。当然クレイフィッシュギルディはまた避けるが、しかしそれを待っていましたと言わんばかりにブルーが尻尾を使い両足を縛った。

 

「なっ、しまった!?」

「ほら、行くぜクラブギルディ!」

「ぬおおおおっ!?」

 

  持ち上げられて空中で上下逆さまになってなお、クレイフィッシュギルディは超回避を続ける。流石はアルティメギルでも一目置かれるクラブギルディと並ぶ超スピードを持つエレメリアンだ。

 

  だがしかし、文字通りレベルアップしたレッドのテイルカリバーは少しずつクレイフィッシュギルディの体を捉え始めた。その荒々しい動きに伴い揺れるスカートに、ほう……と感嘆のため息を漏らすギャラリー。ブルーも負けじとクレイフィッシュギルディを吊り下げながら刺突を繰り出した。

 

 ザンッ!!

 

 シュドッ!!

 

  そしてついに、クレイフィッシュギルディの上半身をテイルカリバーが引き裂き、ウェイブ・ボルグオルタが刺し貫く。よしっと内心でガッツポーズを挙げた二人は、それぞれの腰のキメワザホルダーにスロットから取り出したガシャットを入れ、ボタンを押し込んだ。

 

《ガッシューン……ガシャット! 決め技!》

《KIME–WAZA! Dual GASHAT!!》

《巨大化!》

「フィニッシュは決め技で決まりよ!」

「さあ、ラストアタックだ!」

「これで終わりだ!」

《KING! CRITYCAL SRASH!!》

《BEAST! CRITYCAL STRIKE!!》

《KNOCKOUT CRITYCAL SMASH!!》

 

  キメワザホルダーのボタンを今一度押し込み、パラドクスがダイヤルを回転し直したガシャットギアデュアルをホルダーに装填する。ガシャットから膨大なエネルギーが、それぞれの武器に装填された。

 

  それを確認しながら、ブルーがウェイブ・ボルグオルタを逆手に持ち替え、尻尾を引っ込めてゼロ距離で投槍した。槍の貫通したクレイフィッシュギルディの体がさらに高い場所に打ち上げられる。

 

  そして当然、トドメは真ん中で分割し、炎を纏ったテイルカリバーをどちらとも大上段に構え、待機していたレッドだ。パラドクスの方も残っていた十数体のアルティロイドめがけて、エナジーアイテムで巨大化した炎拳を振るう。

 

約束された(テイル)ーー勝利の双刃(カリバー)ァアァアァッ!!」

「セアァァアアアァァァァアッ!!!」

 

 ドガァァァァアァァンッ!!

 

「ぐおぉおおおおお!も、もっと鎖骨を、見たかった……!」

 

  クラブギルディ同様、最後の最後まで世迷言をほざきながらクレイフィッシュギルディは爆発四散した。ゲームエリア内なので周囲への被害はない。ツインテイルズ側の攻撃も同様だ。

 

  レッドはテイルカリバーを納刀し、クレイフィッシュギルディの爆発した地点の床に落ちていた鎖骨属性(クラヴィクル)属性玉(エレメーラオーブ)を拾う。それをテイルギアに格納し、寄ってきたブルーとパラドクスと三人で拳を打ち付けあった。

 

「今日も無事勝利、だな」

「ええ。全く、エレメリアンに翻弄されてる時はどうなることかと思ったわよ」

「いや、ごめんごめん」

『三人とも、お疲れ様です』

『帰ってきていいぞ。グラファイトのほうも片がついたようだしな』

 

  通信機から聞こえてきた頼もしいサポーター二人の声に従い、三人は怪我人がいないかどうかを確認するとその場を後にした。

 

 

 ●◯●

 

 

「ふぅ……」

 

  ツインテイルズのオペレーションを終えた正斗は、地下秘密基地のモニター前にある椅子の背もたれに体を預けた。隣で同様に座っていたトゥアールは「お疲れ様です」と言ってくる。それに真斗は手をひらひらと振って応えた。

 

  それからしばらくぼーっとしていたものの、ふと思いついたように自分のスーツの内側の方の胸ポケットを探り出す。その様子を、胸ポケットの改造者でもあるトゥアールは不思議そうに見つめた。

 

  やがて目的のものを探り当てたのか、正斗はゆっくりと手をポケットから引き抜く。その手に握られていたのは、一つのガシャットだった。基盤の模様も本体カラーも黒色の、唯一スタータースイッチのみが暗いメタリックグリーンのガシャット。

 

「正斗さん、それは?もう新しいガシャットを開発なされたのですか?」

「ああいや、そんなところだ」

 

  トァアールに適当に応えながら、正斗は思考する。そろそろ、アルディメギル側に新しい部隊が派遣されている頃かなと。商談が失敗すれば新しい社員を用意するのは常だ。

 

「……そう時間がかからないうちに、これのお披露目になるかもな」

「へえ……それ、なんて言うガシャット何ですか?」

 

  トゥアールの問いに、正斗は言葉で答えることなく。ただ無言でニヤリと笑い、そのガシャットのスタータースイッチを押し込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  《KAMEN RIDER CHRONICLE !》

 

 

 

 

 

 

 

 

 




正斗がクロノスになるのはまだもう少し先です。

現れる新たなエレメリアン、その属性は……巨乳?

次回「乳と新たなテイルギア」

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