ツインテールとゲームで世界を守る。【とりあえず凍結】 作:熊0803
楽しんでいただければ幸いです。
注意、この特別編には本編にまだ登場していないキャラクター、ガシャットが登場いたします。過分なネタバレを含みますので、それが嫌という方はブラウザバックを推奨いたします。
特別編 仮面ライダードラゴンズ[裏技]My Heroineを奪還せよ! プロローグ
当初はツインテール部の合宿兼、その世界のツインテールの戦士の救援要請を受けたことによる異世界への一時的な旅行からはや数週間が経過した。
そんな中、俺は神崎邸の地下の研究ルームにこもりきりになり、とあるものを作っていた。並行世界間の人間の行き来を可能にする装置……まあようするにゲームで言うところのゲートみたいなものを組み上げている。
その理由は、異世界にて出会った新たな友であり、仲間……並行世界の総二、愛香、神堂、トゥァール、そして俺やパラド、バグスターたちの代わりにDr.シャインなるものとテイルドラゴンとしてツインテイルズの一員となり、あちらの世界を守っている
ディメンションライナーによりこの世界……俺たちの世界に帰る際、千優の弟の守友君や、他の人間とももう一度会えるようにすると約束したのである。俺としても新たな友人たちといつでも会えるようにはしておきたいということで、ここ数日こもりきりになってずっと移動装置を開発している。
それにしても、彼らに出会って話を聞いた時は驚いたものだ。まさか、俺たちの世界のガシャットや仮面ライダーが特撮番組として放送され、子供達に限らず大人にも大人気の長編シリーズだったとはな。
まあ、その可能性を考えなかったわけではない。この世界を含めた無数に連なる並行世界、その一つの中に仮面ライダーが架空の存在である世界があるのではないかと。それでも驚いたものは驚いたのだ。
……そういえば守友君に一緒に楽しくゲームをしたよしみで特別なガシャット……人口成長型バクスター、ライゼクスを渡してしまったが大丈夫だろうか。まるっきりモンスターだからな、あちらの世界に俺と幻夢コーポレーションが存在しているならともかく、人目についてはまずいだろう。
まあ、この程度のことはすぐに思いつくだろうから、うまく飼ってくれているだろう。そもそも守友君は俺に匹敵するゲームバカであるし、まだ生まれたばかりのライゼクスを外に連れ出して散歩ということもあるまい。
そんなふうに様々なことを思い出して柔らかく笑いながら超高速で手元のホログラムのキーボードを操作していると、ピーッ!という音が鳴った。
物思いにふけっていたので少し驚きながら眼前の空間にいくつも展開されていたホログラムのディスプレイを見てみれば、無数の数式と設計図が表示されたそこには《COMPLETE》という文字の羅列が。
それと同時に、俺の座っている作業スペースの横にある、コンピュータの操作から命令を受信し装置を作っていた機械の上部分が展開し、蒸気とともにそこから完成した二つの〝それ〟を露出させる。
それは、端的に言うならば一対の手だった。俺の手と同じくらいの大きさの、金属の赤い右手と青い左手。だが指は鋭い形状をしており、手のひらには一つの目玉が設置されている。いかにもゲームに出てくる装備アイテムのような見た目である。
俺は満足げに席を立ち、それを手に取った。そして青色の方をトゥァールにより亜空間に改造された上着の胸元のポケットにしまい、赤い方を近くにあった複雑な形状をした台座……先に完成していた、無機物を異世界間で移動させられる装置…に乗せ、行き先をDr.シャインのところに設定する。
そのまま転送しようとしたが……最後のボタンを押そうとした瞬間、ふと閃いた。ただこれを完成させてはい終わり、というのはいささかつまらなくはないか?
なら……
「……なら、ゲームをしようではないか」
誰にそれを聞かせるわけでもなくそう呟き、作業スペースにすぐさま戻ると予備のキメワザスロットホルダーを二つ引っ張り出してくる。そのカバーの一部を開けて内部とコンピュータを有線で繋いだ。
そうするとコンピュータを操作して以前実験で作ったゲームエリアを改造&改良するとそこへの情報をキメワザスロットホルダーの中にインプットした。よし、これでいいな。
色々な線につながれていたキメワザスロットホルダーを持ってもう一度立ち上がり、置きっぱなしになっていた転送装置の上の赤い手の横に二つのキメワザスロットホルダーのうち、一つを乗せる。そして転送装置の音声発信機能を起動させ、
「やあDr.シャイン、調子はどうかな?例のものが出来上がったからそちらに送ろう。そしてそれと一緒に転送するものを千優君とそちらの神堂君に渡してくれたまえ。あるゲームをしようではないか」
そういうやいなや、ボタンを押して赤い手とキメワザスロットホルダーを転送した。それが終わると以前〝龍兎〟から受け取ったもの……
「ああ、総二君。夜分遅くにすまない。え、呼び捨てでいい?はは、こちらの世界の総二と区別するためのものだから気にするな。それで、君と愛香君に相談があってね……」
数分の話し合いの後、あちらの世界の総二と愛香のとあることへの協力を得ることに成功したので電話を切る。フルボトルを取り出し携帯をしまったところで、そういえば今日はまだ風呂に入っていないことに気がついた。
もう夜遅いし、早く入ってしまおうと踵を返して研究ルームを出ようとしたところで……扉の隙間からのジトッとした目に思わず足を止める。
「……パラド?そんなところで何をやっているんだ?」
「……………エム、作業終わったの?」
「あ、ああ。もうあちらの世界に送った」
「……そっか。なら一緒にお風呂、入ろ?」
「…わかった」
どうやら、ずっと作業に没頭しすぎていたせいで構ってもらえなかったのが不満だったらしいパラドは俺が答えた瞬間ぱぁぁっと顔を輝かせ、俺の手を引いて研究ルームから出させる。
そのまま上の脱衣所に向かおうとしたパラドを制止し、自分の部屋に寄って入浴用の道具類を取ると再度一緒に風呂場へと向かう。
その道すがら、そういえばと思い出したのでパラドにもあることへの協力を求めてみた。するとさすが俺のゲーム愛から生まれた存在と言うべきか、目をキラキラとさせて頷いてくれる。
「わかった、そのゲーム私も参加するよ!今から心が躍るなぁ!」
「ふむ、そうか。なら楽しみにしておいてくれ」
「うん!」
パラドの笑顔に癒されながら、俺は例のゲームに思いを馳せて思わず口元を歪めるのだった。
●◯●
それは正斗が並行世界間移動装置を完成させてから数日後のことであった。
「「ゲーム?」」
「ああ、そうだ」
首をかしげるその二人……正斗から生まれたバグスターの一体であり、現在神堂慧理那の婚約者となっている男グラファイトと、世界をアルティメギルから守るツインテイルズの一員たるテイルイエローこと神堂慧理那に、正斗は鷹揚に頷いた。
それに対して今日も今日とて正斗とトゥアールの技術力を活かした転送装置を使って特撮関連の地域限定品を集めに行き、満足げな顔の慧理那とそれについていったグラファイトは帰ってきた瞬間、正斗にゲームをしてみないかと言われ首をかしげていたところである。
そんな二人に正斗は少し苦笑し、細かい説明をする。以前から言っていた並行世界間の移動装置が完成したので、その記念にあちらの世界の人間……つまり、千優達も招いて特別に用意したゲームエリアでとあるゲームをやらないかということを。
二人は、特にグラファイトは並行世界の同じ人間を愛していることもあって千優と仲が良く、慧理那もあちらの慧理那とお互いのパートナーのことを語り合ったりしていたのでそれを快く了承、ゲームに参加することにした。
頷く二人に正斗はニヤリと笑い、すでにあちらの世界とこちらの世界両方の総二達がすでにゲームエリアに行っていることを説明し、二人の準備ができたのを確認した後で亜空間になっている胸ポケットから並行世界間移動装置の片割れ……〝エニグマ〟と名付けた青い手を取り出し、一緒に取り出したキメワザスロットホルダーをグラファイトに渡す。
「これは……?」
「異世界間移動装置、その名を〝エニグマ〟。二つ作ったうちの片割れだ。もう片方はすでにあちら側に送ってある。グラファイト、そのキメワザスロットホルダーを腰に装着して神堂を抱き寄せろ」
「…ふぇっ!?」
「ああ、わかった」
一瞬で顔を真っ赤にする慧理那にグラファイトはほんの一瞬躊躇った後、正斗が無意味にそういうことを言うはずもないと考えて慧理那を抱き寄せた。途端に慌て始める慧理那。
恥ずかしさのあまりグラファイトに抗議しようとするが、当人も少し顔を赤くしているのを見て恥ずかしいのが自分だけでないことを悟り、赤面したまま俯いてしまう。
それにニヤニヤしそうになるのを必死にこらえながら、正斗はグラファイトが腰の普通のベルトにキメワザスロットホルダーを装着したのを確認するとエニグマを天に掲げ、高らかに宣言した。
「エニグマ、起動!」
……ヴゥン。
正斗の声を認識したエニグマが低い起動音を立てながら起動し、青い金属の左手はその内部に搭載された機構を起動させる。ゆっくりと指が開いてゆき、手のひらの目が開き始めた。
すると、手のひらの目の目線上に立っていたグラファイトと慧理那が突如輝き出し、転送が開始される。それに呼応するようにひとりでにキメワザスロットホルダーも起動してステージ選択を開始した。
長方形のディスプレイが頭上で円形に並び、どんどんスクロールされていく。そしてやがて、暗黒の空の下、雷に照らされた円筒形の巨大な塔が聳え立つステージがセレクトされ、他のディスプレイが消滅した。
ワクワクとした表情の二人に……正斗はただ、無言でニヤリと笑いグラファイト達がゲームエリアに転送されていくのを見送ったのだった。
一方、そんな正斗に見送られ、特別なゲームエリアに連れていかれた二人は転送の瞬間生じた強烈な光によって目を閉じていたのだが、やがてそれが収まるとゆっくりと目を開けた。
そこは、一言で言うならば遺跡だった。等間隔に並べられた石造りの柱に支えられ、松明で部屋全体を照らしているいかにもな大きな広間だった。その広間の中心に設置されている二つの台座のうち、左の青く縁取られた台座の上にグラファイト達は転送されていた。
「……どうやらついたようだな」
「そのようですわね、鉛龍様」
「……あれ? その声はもしかして、グラファイトと慧理那か?」
「む? そう言う貴様は……」
唐突に隣の台座……赤く縁取られたそれの方から聞こえてきた声に反射的に振り返れば、やはりと言うべきかそこにはつい数週間前から仲良くなった二人の男女が立っていた。
身長180センチほどの細身でいてしなやかで健康的な体格の、前髪が所々くの字になっているハネ毛の黒髪の男は
その隣で千優と腕を組んでいる小柄な少女はもちろん、あちらの世界の神堂慧理那。いつもの民族衣装じみた格好のグラファイトやラフな格好の慧理那同様、あちらもデートでもしていたのか少しおしゃれな私服といった感じだ。
先んじて完成していた通信装置越しではなく、数週間ぶりに会った同じ者を愛する二人の男と、それぞれ違う相手を愛する同じ少女は邂逅を嬉しく感じ、台座から降りようとする……その瞬間。
ジャラララッ!
「「えっ?」」
突如二つの台座の上に位置する天井の蓋がパカリと展開して、そこから黒光りする長鎖が飛び出してきたかと思うと二人の慧理那の体に巻きついた。そして悲鳴をあげる間も無く、呆然としている二人をそのまま天井の中に引っ張り上げてしまった。
咄嗟に恋人の危機に気がついたグラファイトと千優が振り返り、その体をつかもうとジャンプするがあいにく一瞬遅かった。二人の手がその足先に触れるか触れないかのところで手の届かないところまで持ち上げられ、そのまま天井裏に連れ去られてしまったのだ。
「くっ、油断したか!」
「おい、これはどういうことだ!」
地面に着地した二人は怒りと後悔の入り混じった口調でどこからかこの場所を見ているであろう正斗に対して声を荒げた。するとノイズのような音が数秒した後、声が聞こえ始める。
『やあ二人とも。まずは君達が無事に合流出来たことを嬉しく思うと言っておこう』
「こんなことより、慧理那をどこへやった!」
怒りのこもった声で言うグラファイトに社長モードに入っている正斗は含み笑いを上げ、このゲームのルールを説明し始める。
まず、このゲームの主人公はグラファイトと千優である。そして一番重要なゲームの内容は……至極単純、魔王(ゲムデウス)に攫われた姫(慧理那)を襲いくる敵をなぎ倒し、戦い勝って取り返せというものだ。
『ゲムデウスがいるのは四階だ。それまでに三度、敵が立ちはだかる。見事勝利し、ラスボスに辿り着きたまえ』
「……なるほど。随分と大掛かりなゲームだな」
「…なんにせよ、やることは決まってる」
「ああ」
「「この手で慧理那を取り返す!」」
二人の了承とも取れる宣言を聞いた正斗はゲームエリアを観戦しているルームで不敵に笑い、コントロールパネルに設置されているボタンの一つを押した。剣と盾のマークの赤いボタンだ。
すると、ゲームエリア内のグラファイトと千優の前に床が展開し、一つの台が現れる。そこには真紅のバグスターバックルと灰色のバグスターバックル、青に近い緑色と灰色で彩られたパッド型のアイテム、ガシャコンバグヴァイザー
グラファイトと千優はそれぞれ赤と黒、金と黒のガシャットを手に取り、間近で眺める。するとガシャットのイラストがグラファイトの方は左半身に赤と黒の鎧を纏った赤眼の騎士、千優の方は反対に右半身に黒と金の鎧を纏った金眼の騎士であることがわかる。
それに呼応するように顔の片方のみが細かく造形されているドラゴンの顔をまじまじと見つめている二人に正斗が再度話しかけた。
『それが今回のゲームで使える装備だ。千優、君にはガシャコンバグヴァイザーⅡとバグスターバックル、『ドラゴナイトハンターツゥイン:ライトガシャット』を、グラファイトには
「……千優」
「ああ、絶対にクリアして慧理那を取り返してやる!」
決心も新たに、装備を携えていざ行かんとしたところで……不意に正斗が付け足すように言った。
『ああ、一つ言い忘れてたことがあった。このゲームには制限時間と罰ゲームがあるぞ』
「制限時間と…」
「罰ゲームだと……?」
『制限時間は一時間、それ以内にゲムデウスを倒すことができなかったら……君たちの持っている秘蔵写真集を総二達に公開する』
「「なぁぁああっ!?」」
正斗の横暴な言葉に目を剥いて絶叫する二人。ちなみに二人の持つ秘蔵写真集とは、自分たちが本人と一緒に撮ったりした以外の普段の慧理那の写真集である。それは自分で撮ったり、ファンクラブから買収したり……などなど。
あれを誰か……それもよく見知った総二達に見られるのは二人にとってかなりまずかった。最初に極限の羞恥により精神がノックアウトされ、次に総二達…特にトゥアールにからかわれて撃沈。
そして最後に、おそらく羞恥心によりイエローに変身したW慧理那によってぶっ飛ばされるのは確実だろう。
つまり、クリアできなかった時二人に訪れるのは……地獄である。グラファイトと千優はお互いの顔を見合わせ、先ほど以上に
『ククッ……さあ、ゲームスタートだ』
●◯●
正斗の(恐怖の)発破をかけられ、少しでも早くクリアしようと走り出したグラファイトと千優は階段を駆け上がり、階段の終着点のアーチをくぐるとまず初戦の舞台となる階層へと到達した。
そこはまるで、中世に出てくるグラディエーター達が血で血を洗う争いを繰り広げる
一人目は観束総二。赤色に近い黒髪を持つ(ツッコミを封じて)黙っていればイケメンな我らが世界一のツインテールバカである。また、ゲーマドライバーを片手に持っていることから彼は正斗の世界の方の総二であるので、宇宙一の愛香ラブ男でもあった。
その隣にいるのは、身長146センチほどの平均身長からすると少し小柄な少女。テイルレッドによく似ているがこちらは幾分か成長しており、高校生といっても不思議はないくらいだ。端正な顔立ちと適度に肉のついた身体が、その灼熱色のツインテールでさらに美しく際立っている。
ソーラ・ミートゥカ。それが総二の隣に立っている少女の名前である。当初は総二の善と悪の迷いにより変わってしまった姿だったが、今は多数のバグスター……良性エレメリアンに、何よりゲムデウスたる正斗などに囲まれていることにより総二の世界最強のツインテール属性が自我を持ち、バグスターとして誕生した少女だ。
さらにその右隣にいるのは津辺愛香。超武闘派少女であり、ツインテイルズの一員、テイルブルーでもある。だが総二と手をつないでいることもなくただ恥ずかしそうにしているのを見ると、あれは千優の世界の方の愛香であろう。
そして最後に左隣、正斗の愛する彼女?妻?どちらでもいいが、最初に正斗から生まれ、この世界の誰よりも正斗に愛され、また愛していると自負しているツインテイルズの一員にして仮面ライダーパラドクスこと、パラド。
ラフな私服姿……パラドはいつも通りの格好……をしている四人を見て思わず二人が目を見開いていると、総二が苦笑して前に出た。
「なんか、正斗に頼まれちまってな。とりあえず全力で戦うから、グラファイトも千優さんもよろしくな」
「あ、ああ。わかった」
「…そっちが全力なら、俺たちも全力で行くぜ」
二人の言葉にコクリと頷いた総二はソーラとアイコンタクトを取り、右腕を肩と水平になるまで上げる。そこに横に並んだソーラが同じように左腕を上げ、そして総二の握り拳とコツンと当たった瞬間粒子となり総二と合体した。
全ての粒子が融合すると総二の両目が赤く輝き、どこからともなく風が吹いて前髪を揺らす。それに構うことなくニヤリと好戦的に笑う総二に、テイルブレスのはまった手を胸の前で構えた愛香と総二と同じくゲーマドライバーを持ったパラドが並んだ。
「行くぜ、みんな!」
《了解だよ、総二!》
「……よしっ、こっちのそーじも見てるんだし、頑張らなくちゃ!」
「あはっ、心が躍るなぁ!」
それぞれの受け答えとともに、総二とパラドはゲーマドライバーを自分のへその部分にあてがう。すると自動で黒いベルトとキメワザスロットホルダーが装着された。
《ゲーマドライバー!》
そんな二人に対して決意のこもった目をした愛香も、再度ポーズを取る。それを横目に見ながら、総二は懐から取り出したそのガシャット……二本分の規格の分厚いガシャットのスタータースイッチを押し込んだ。パラドもガシャットギアデュアルを持ち構える。
《MIGHTY SISTER'S !!
「ゲームスタートだ!」
「心が躍る……」
《Dual GASHAT!》
総二の背後に左右反対のサイドテールにした薄緑色とオレンジ色の少女が剣を持っているディスプレイが現れ、またパラドの背後にもゲーマドライバーにそのままガシャットギアデュアルが装填されたことによりノックアウトファイターとパーフェクトパズルの二つのディスプレイが出現する。
総二は右手に持ったマイティシスターズガシャットを体の左前に突き出し、そのまま大きく縁を描くように右側に戻す。その右腕に伴うように鋭い動きで同じ軌道で左腕も振るい、マイティシスターズガシャットを上下逆さにすると左手で掴みゲーマドライバーのスロットに装填する。
対してパラドは先程までの笑みはどこへやら、真剣な顔で左足を大きく開き、胸の前で左腕を下に、右上を上にしてクロスさせる。そのまま右腕を上に、左腕を下に縁を描くように大きく振り、腰や上半身の動きも合わせてやや大げさに変身ポーズを取った。そして最後に左側で両腕を止める。
《ダブル・ガシャットォ!》
「ダブルテイル・オン!」
《The strongest Fist!! What's the next stage? The strongest Fist!! What's the next stage?》
「マックス大変身」
「テイルオン!」
総二は左手をベルトに添えるようにし、ドライバーのレバーを引いて展開し、パラドは直立体制に戻りながら右手でレバーを引いて展開、そして愛香も
《ガッチャーン!ダーブルアーップ!》
《俺がお前で〜!〔貴方が私で!〕〈We are!〉MIGHTY!〔MIGHTY!〕SISTER'S!〈Hey!〉
《ガッチャーン! マ・ザ・ル・アーップ!》
《赤い拳強さ! 青いパズル連鎖!赤と青の交差!パーフェクトノックア〜ウト!》
レバーを展開した瞬間現れたキャラクターセレクトの光輪のうち一つが総二の振り切られた右手にあたり、回転して体の全面で二人の少女が描かれた巨大なパネルに変化、そのまま通り過ぎ、ソーラが担当する右サイドテールのオレンジ色の髪のダブルアクションゲーマーと総二が担当する左サイドテールの薄緑色の髪のダブルアクションゲーマー、二人合わせて合計レベル60に変身させた。
右手を上げたままのパラドも身体の前にファイターゲーマーとパズルゲーマーのパネルが合体した赤と青のパネルが組み上がり、それはパラドの体を通過する。するとパラドを特徴的な胸アーマーと角ばった肩アーマー、パズルピースと炎を模したくるぶしまで届く中華服のようなアーマー、そしてたてがみのように揺らめく額を守る兜を纏ったパーフェクトノックアウトゲーマーレベル99に変身させた。
愛香の方もテイルブレスが起動し、水の繭がその体を包んだかと思うとやや露出の激しい青と白で彩られたテイルギアを纏い、テイルブルーに変身した。
変身した三人を見てグラファイトと千優は再度顔を見合わせ、頷きあうと同時に懐から取り出したバグスターバックルを腰に押し当てた。するとそれぞれ黒と真紅のベルトが自動的に装着される。完全に装着されると二つの突起から内部に充填されたバグスターウィルスが発散された。
それが終わると二人はドラゴナイトハンターツウィンガシャットを取り出して……不意に、千優が感慨深げに言葉を吐き出す。
「本物のヒーローになる夢は叶えた。けど、まさか仮面ライダーになれる日がくるなんてね…それなら、存分に楽しませてもらおうか!行くぜグラファイト!」
「応ッ!」
千優の言葉にグラファイトは力強く答え返し、それぞれガシャコンバグヴァイザーⅡとガシャコンバグヴァイザーⅢを銀色と真紅色のバックルに嵌め込む。
《ガッチャーン!》
バックルへはめ込まれたことでバグルドライバーⅡとバグルドライバーⅢへと変わったバグヴァイザーから渋い声と、ゲーマドライバーと同じ男の声が鳴り響く。それを確認した二人はそれぞれ右手と左手でドラゴナイトハンターツウィンガシャットのスタータースイッチを押し起動させた。
《DRAGOKNIGHT HUNTER! TWIN!》
基盤が金色と赤色に発光し、従来のドラゴナイトハンターZガシャットの荒々しいエレキギターの音楽が鳴り響く。それに伴い二人の背後にそれぞれ、炎の中で龍を模した左右非対称の鎧を着てドラゴンにまたがり、双剣を掲げる二人の竜騎士が描かれたディスプレイが現れた。
千優とグラファイトはバグルドライバーのAボタンを押し、ポップな変身待機音とオルガンを弾き鳴らしたような変身待機音が流れ出したのを聞くと、千優は右手で、グラファイトは左手で剣を引き抜くような動作をしながらその手に持ったガシャットを眼前にかざし、二人で走っている中で思い付いたセリフを叫ぶ。
「EXステージ、変身!」
「ミステリーウィルス、培養!」
《ガシャット……》
《ガシャット!》
そしてそれぞれのドライバーにガシャットを差し込み、バグルアップトリガーを押し込む!
《ランクアーップ! ドッドッドラゴラー・ラ・ラ・ラーイド! ドラ! ゴラ! ドラゴナイトハンター! ツウィン!》
《パージアッープ! ドッドッドラゴラー・ラ・ラ・ラーイド! ドラ! ゴラ! ドラゴナイトハンター! ツウィン!》
かなりド派手な変身音が鳴るとバグルドライバー中央の画面から飛び出た、千優の黒で縁取られた金のパネルは体の右側に、グラファイトの赤で縁取られた黒のパネルは体の左側に展開され、そして通り過ぎて二人の体の間でぶつかり、砕け散った。
後に残ったのは、変身した二人の竜騎士。その体にクロノスのように鎧とスーツを纏い、正斗が設計図のみ完成させていたマイティブラザーズのように左右非対称の姿形をしていた。
それぞれ右側と左側だけに髪のように生えている後頭部の首まで届く荒々しい形のパーツは前髪に相当する部分が龍を模した形をしており、そちら側の仮面の目は刺々しい形をしている。それ以外はクロノスや他のライダーと形状は同じだった。
右側は龍と剣を組み合わせたかのようなレリーフの浮かび上がり、左側には三本のHPゲージ、その他のパラメータが表示されている胸のアーマーには見事な装飾と龍を模したペイントがなされ、全身同様胴体を覆うスーツの前面には太極図のような二匹の龍が描かれ、背面には龍の背びれのような模様が描かれている。
丸みを帯びた肩アーマーとスーツ、前腕を守る装甲だけの片腕に対して、千優は右腕は肩がグラファイトのエレメリアン態のように龍の頭骨で覆われており、前腕の装甲も龍が浮き彫りになった、手の甲よりさらに先まで伸びる二つの鋭い爪のついたものに変わっている。反対に右腕が質素なグラファイトは左側が特別な鎧で覆われており、蛇型の龍が十数匹も絡み合ったような肩アーマーであり、前腕は千優のものと共通であった。
そして下半身、千優は上半身の鎧に倣うように右側に斜めになった、グラファイトは反対に左側に斜めになった長い腰マントをしており、そこには空を飛び回る巨大な龍を彷彿とさせる絵が描かれている。両足も太ももには龍の鱗のような堅牢な鎧を、膝には長い刃が飛び出た装甲を、膝より下には前面に上に突き出た三本のブレードが備え付けられた装甲を纏い、足を覆うブーツは龍の頭を模したつま先から刃の飛び出た形状だった。
「……仮面ライダードライト、ハンターゲーマーレベルX」
「…並びに、仮面ライダーグラファイト、ハンターゲーマーレベルX」
「あれ、名前そのままでいいのか?」
「ああ。俺はただバグスターからライダーに変わっただけだからな。それに、これは正斗がくれた大切な名だ」
「そっか……それじゃあ」
「ああ」
「「我ら龍騎士、愛する姫を助けんがため、この力を振るわん!」」
二人の半身を引いて背中合わせになり放たれた決め台詞により、戦いの火蓋は切られるのだった。
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