ツインテールとゲームで世界を守る。【とりあえず凍結】   作:熊0803

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こんばんは、先日リアルスティールというロボット系の映画を借りて来たのですが、終盤は泣きながら応援してたりしました作者です。
この特別編は5部構成でお送りいたします。
楽しんでいただければ幸いです。


特別編 仮面ライダードラゴンズ[裏技]My Heroineを奪還せよ! ステージ1

《GASHAKON DRAGON BLADE!》

《GASHAKON DRAGON FANG!》

 

  千優とグラファイトが変身した二人のハンターゲーマーレベルXの体の周りに一つの巨大な光輪が出現し、その光輪に所狭しと並べられているパネルのうち二つが自動でセレクトされる。パネルが変形して立体化し、二人の武器となる。

 

  二人が手に取ったそれは双剣だった。千優のドライトの方は本来の彼の姿であるテイルドラゴンの武器であるドラゴファングにガシャットを差し込むスロットが追加されたものであり、それに加え所々装飾が足されている。一方グラファイトは彼のエレメリアン態の武器であるグレングラファイトファングが持ち手の真ん中で分割し双剣に変わったもので、しかしこちらにはガシャットを使うまでもないとでも言うようになんの装飾も足されていない。

 

  それぞれの武器を見て少し驚いている仮面ライダードライトと仮面ライダーグラファイトを見てソーラと総二のマイティシスターズは好戦的に笑い、先ほどの彼らのように自分たちの体の周りに現れた巨大な光輪のパネルのうち一つを叩いて選択した。そして二人が同じ場所に突き出した手の中に機械じみた両刃の薙刀が現れる。それを真ん中で分割して一本ずつ装備する。

 

  その二人の隣に立っていたパラド改め仮面ライダーパラドクスも、どこからともなくAボタンとBボタン、ガシャットのスロットが備え付けられた、銃と斧が合体したような彼女の細身にはやや不釣り合いな大きな手斧を手にして獰猛に笑う。愛香ことテイルブルーもウェイブランスを顕現させて握った。

 

《GASHAKON TWIN BLADE!》

「「超協力プレイで、ツインテールを結ぶぜ(よ)!」」

《GASHAKON PARA−BLAGUN!》

「さあ、オレと遊ぼうぜ!」

「どこからでもかかって来なさい!」

 

  お互いが武器を持ったのを確認すると、どこからともなく銅鑼を鳴らす音が会場に響き渡る。そしてそれまで空っぽだった観客席にホログラムの観客がぎっしりと出現した。彼らの合成の熱狂や歓声が、六人の戦士の心を滾らせる。

 

  最初に飛び出したのは、やはりあちらの世界で戦闘狂だのバーサーカーだの貧乳モンスターだのと色々と言われているブルーだった。この戦いを正斗によるモニターで見ている自分の世界の総二にいいところを見せたいので、速攻ケリをつけるつもりである。

 

  しかし、千優とグラファイトもそう易々とやられるわけにはいかない。彼らには慧理那をゲムデウスという魔の手から救い出すという大事な使命があるし、何よりもう色々な意味で引き返せないのである。故に各々の武器を強く握り締め、攻撃に備えた。

 

「ハァッ!」

「フンッ!」

 

  ブルーの鋭い刺突を、一歩前に出たグラファイトがグレングラファイトファング……今はガシャコンドラゴンブレードと名を変えたそのふた振りの愛剣をクロスして防ぐ。ブルーはすぐさま槍を引き戻し、横薙ぎに力強く振るった。しかしそれも綺麗に揃えられたガシャコンドラゴンブレードに阻まれる。伊達に戦いを繰り返してきてはいない。

 

  そのまま、超至近距離での攻防が展開された。突き、斬り払い、横薙ぎ、様々な角度から繰り出される槍の攻撃と時折混ざる拳撃、そして脚撃をいなし、防ぎ、時には交わして反撃をする。グラファイトの鋭い双剣捌きをブルーもまた、その研ぎ澄まされた反射神経で防ぎ、交わしていた。

 

  おそらく一番厄介な相手をグラファイトが相手をしている間に、ドラゴナイトハンターツウィンガシャットの機能の一つである思考の一部分限定の同調(シンクロ)により残りの三人を任されたドライトは前進し、まずは小手調べと言わんばかりにパラドクスに斬りかかる。

 

  パラドクスはドライトの繰り出す重い双剣の剣戟を手に持ったガシャコンパラブレイガンのアックスモードで応戦した。その金色の刃……アックスエリミネーターPBGの機能により高熱衝撃波を纏った斧撃がドライトの嵐のような攻撃と見事に相殺しあう。風を裂き、空気を震わせるその光景はいっそのこと、美しくすらあった。

 

「オルァッ!」

「ハァァッ!」

 

  ガシャコンパラブレイガンの体の回転を加えた右上段からの三連続の袈裟斬りをドライトが逆手に持った双剣でいなす。そしてその刃をパラドクスの装甲にたたきつけようとして……後方から危険を察知し、即座に飛び退いた。

 

  それまでドライトがパラドクスと斬り合っていた場所に炎で形作られた極太の矢が五本勢いよく突き刺さる。後ろを見てみれば、ガシャコンツウィンブレイドを再び合体させアローモードにしたものをソーラが構えていた。あれで射撃したのだろう。

 

  ではもう一人のダブルアクションゲーマー……総二はどこへ行ったのかと思えば、つい一瞬前まで構えていた大弓をソーラが前方の空中に向かって勢いよく投げ、それを空中でキャッチしてそのまま大上段から斬りおろしをお見舞いしてくるところだった。

 

  とっさに右手に持ったガシャコンドラゴファングでそれを防ぎ…しかし変身してスーツを纏ったことにより84tまで引き上げられている膂力をもってしてもその圧力に耐えきれずに片膝をついてしまう。

 

  それを待っていましたと言わんばかりに、押し込まれるブレードに対抗しようとしているドライトの背後からパラドクスが斬りかかろうとした。しかしどこからともなく風切り音とともに剣が飛んできてそれを妨害する。

 

  パラドクスが体を逸らして回避したその剣は、ブルーと戦っているグラファイトの空いていた片手の中に収まった。ドライトの危険を予測し、ブーメランのごとく投げていたのだ。驚いて顔だけ振り向くドライトに、グラファイトはこくりと頷く。

 

  それに頷き返したドライトは、ギリギリ付いていない方の膝を跳ね上げ、なんと総二の薙刀を防いでいる自分の剣ごと上に吹っ飛ばした。驚いた表情をする総二にニヤリと仮面の下で笑い、勢いよく立ち上がってそのさらけ出された腹部に鋭い回し蹴りを叩き込む。

 

「がはっ!」

「総二!」

「まだまだいくぜ!ハッ!」

 

  横薙ぎに振るわれたガシャコンパラブレイガンをその場でジャンプして回避し、さらにガシャコンパラブレイガンを足場にして勢いよく前にジャンプしたドライトは先ほどのグラファイトのようにソーラに剣の片方を投げつける。

 

  総二がガシャコンツウィンブレイドを持ったままなので武器を持たないソーラは飛んできた剣を両手を上げて頭を守ろうとするが、しかしソーラに届く寸前に剣は時間を巻き戻すようにドライトの手に戻った。

 

  それに気がつかずおもわず目を瞑っているソーラの腹部に蹴り飛ばされた総二の頭が激突、そのままもつれ合ってその場に倒れてしまう。

 

  その様子を見てパラドクスは目を見開くが、しかしドライトのスーツの手首のリングから光る金属の糸を見て合点がいったような顔をする。そう、ドライトはガシャコンドラゴンファングの柄頭にワイヤーを接続していたのだ。それを使って剣を引き戻したというわけである。

 

「……ふーん、面白いことするね。でもまだだよ!」

《ズ・ガーン!》

「くっ!」

 

  ガシャコンパラブレイガンのAボタンを押して斧の刃の部分を手動で反転、一瞬でガンモードに変わったそれから高速で飛び出す光弾をギリギリで避けるドライト。そんな彼に、パラドクスは笑いながら銃撃を繰り返す。

 

  パラドクスにドライトが翻弄されている隙になんとか態勢を立て直した総二とソーラは一瞬のアイコンタクトで作戦を変更し、地面に転がっていたブレイドを分割して片刃の剣に変えるとそれぞれドライトとグラファイトの方に一人ずつ走っていった。

 

  グラファイトの方に走っていった薄緑色の髪で左サイドテールのダブルアクションゲーマー……つまり総二は、愛香とほぼ五分五分の猛攻を繰り広げているグラファイトの背後から接近し、地面を蹴って空中でひと回転すると急所である頭上からの斬撃を繰り出した。

 

  あと数ミリというところでグラファイトは機敏にそれを察知し、左腕前腕のアーマーで防御する。つい先ほどドライトのほうは押し込めたが、しかしグラファイトのほうは完全に防ぎきり、あまつさえ片腕で愛香と戦闘を続けた。思わず驚く総二。

 

  彼が驚くのも無理はあるまい。なぜならば、千優とグラファイトの使っているドラゴナイトハンターツウィンガシャットにはとある能力が搭載されており、それはライトガシャットとレフトガシャットを使用して変身している場合一緒に戦っている時間が長いほど能力が引き上げられるというものだ。

 

  つまり、既に開始から数分が経った今、本来のハンターゲーマーに設定されたステータスから少しずつ上昇されているため、先ほどのドライトより力も防御力も増しているのである。だから防がれたのであり、それを知らない総二が驚いてもなんら不思議はない。

 

  グラファイトは総二の攻撃を防御した上げている方の腕を横薙ぎに降るって、双剣の片割れで総二を斬りはらう。とっさに飛び退いたので直撃は免れ、そのまま総二は後方宙返りをしてブルーの横に着地した。

 

  そうするとガシャコンツウィンブレイドを下段から斬りあげて逆袈裟斬りをグラファイトに放つ。グラファイトは片足を上げて、膝のブレードでそれを防いだ。が、すぐに剣を引いてくるりとひと回転、横薙ぎに剣を振るう。

 

「ブルー、スイッチ!」

「えっ!?あ、うん!」

 

  ガシャコンツウィンブレイドを叩きつけ、グラファイトがそれを両手の双剣で防いだのを見ながら言われた総二の言葉にブルーは一瞬困惑し、すぐに事前に打ち合わせたかけ言葉だと気付いて槍で追撃をした。

 

  繰り出される斬撃と鋭い刺突がグラファイトの首筋に叩き込まれるかと思うが…しかし寸前にグラファイトの背中の装甲から金属でできたかのようなドラゴンの片翼が出現し、ウェイズランスを防ぐ。さらにお返しと言わんばかりに翼で総二とブルーは押し返され、吹き飛ばされた。

 

「うわっ!」

「きゃっ! くっ、まだまだ!」

 

  すぐに態勢を立て直したブルーと総二は再びグラファイトに攻撃を仕掛け、グラファイトもそれに応戦する。その隣ではドライトがソーラの近接攻撃、パラドクスの斧撃も交えた射撃をなんとか対応しながら戦っていた。

 

  それから数分、しばしの間攻防が続く。一回戦目から強敵揃いなだけに、なかなか二人は勝つことができていなかった。それに制限時間があるため、あまり時間をかけてもいられない。少しずつ焦り始めるドライトとグラファイト。

 

(このままじゃまずいな……どうする?)

(……!そういえばさっきのワイヤー、射程距離はどれくらいだ?)

(えっ? あ、ああ、なんか仮面の裏には数十メートルって表示されてるけど……)

(それをこちらの壁に投げろ!)

(! なるほど、そういうことか!)

 

  ハンターゲーマーの同調(シンクロ)機能により口に出さず脳内の思考だけで作戦を構築した二人は、お互いが相手している相手の武器を大きく上に跳ね上げた。そしてその一瞬の隙に手に持った双剣の片方の柄頭にワイヤーを接続し、お互いの体めがけて勢いよく投擲する。

 

  風をきって高速で飛んで行った剣が体にあたる刹那の瞬間ドライトとグラファイトは飛び上がり回避、そのまま剣は突き進み、更に奥へ……闘技場の壁へと突き刺さる。それを確認すると遠隔操作で実は内蔵されていたガンモードへと変え、それによって壁の中で展開した刀身パーツをつっかえのようにする。

 

  そして先ほどドライトがやったこととは反対に、剣の柄頭めがけてワイヤーをリングの中に全力で収納し始めた。当然二人の体はそれに引っ張られ……だがそれこそが、二人の狙いだった。

 

「「えっ!?」」

「なっ!」

「っ!まさか!」

 

  驚く四人に二人は仮面の下でしてやったりと笑いながら、ワイヤーにより引かれる力に逆らわず空中を移動する。そしてちょうど中間の地点でパシン!と手を叩きあった。

 

(後は……)

(頼んだぜ……)

 

「「相棒!」」

 

  ワイヤーにより急激に位置が変えられたことにより、それまでお互いが相手していた相手の方へと移動した二人はブレイドモードに戻した剣を戻し、驚いて硬直している相手に向かって思い切り斬りつけた。ドライトは総二とブルーに、グラファイトはソーラとパラドクスに。

 

  こんな方法をとることなど予想していなかった四人はとっさに反応して応戦することもできるはずもなく、思い切り攻撃を受けてしまい、《CRITYCAL!》のエフェクトとともに吹き飛んでいった。

 

  地面を転がる総二、ソーラ、ブルー、パラドクス。対して地面に着地した二人の竜騎士はトドメを刺すべく、双剣の柄頭を使って腰のバグルドライバーのAボタンとBボタンを同時に押した。

 

《キメワザ……》

《キメワザ!》

 

「こいつでフィニッシュだ……」

「とくと味わえ!」

 

《DRAGOKNIGHT CRITYCAL SLASH!》

 

  バグルドライバーからややテンション高めな必殺技音声が発せられたかと思うと、仮面の目が光り輝き、双剣に莫大なエネルギーがチャージされていく。そしてそれが最高潮に達した瞬間、二人はなんの偶然かひとかたまりになり、よろよろと立ち上がる総二達めがけて突進していった。

 

  総二達は二人が前方の左右から超エネルギーを纏った双剣を構えた二人が突撃してきたことにギリギリのところで気づくが、しかし剣を構えた瞬間、既に二人は四人の後ろに立っていた。

 

  遅れて、四人の体に四つの斬撃が走り、それに伴って《HIT!》のエフェクトが乱舞する。必殺の一撃を受け、巨大な爆風とともに四人が倒れ伏した。

 

「うわぁああぁぁぁっ!」

「「キャァァァッ!?」」

「ぐはっ……!」

 

《GAME CREAR!》

 

  総二とソーラ、パラドクスの胸部装甲に表示されたHPバーが点滅し、どんどん減少していったかと思うと全損した。すると自動で変身が解除される。ブルーも被ダメージが限界値に達したので愛香に戻った。

 

「ちっくしょー、負けちまったな」

「でも楽しかったね、総二!」

「やっぱ勝てなかったか……そーじにいいところ見せられたかな?」

「いや〜、私としたことが油断したなぁ」

 

  疲労困憊の様子で地面に仰向けになり、悔しがる四人の後ろで双剣を振り切ったままの体制だったドライトとグラファイトがゆっくりと体を起こす。そしてバグルドライバーからガシャットを引き抜き、変身を解除した。

 

「ナイスファイト、グラファイト。さすがは俺の尊敬する怪人だ」

「フン。貴様こそ、俺の背中を預ける相棒にふさわしい健闘ぶりだった。見事だぞ」

 

  お互いのことを称賛し合いながら、千優とグラファイトはフッと笑いハイタッチを交わす。そうすると倒れている総二達の方に近づいて同じように健闘を褒め称えた。

 

  千優とグラファイトが一人ずつ腕を取り、全員が起き上がったところで開始の合図であった銅鑼が今度は三度叩かれる。そしてファンファーレとともに総二達が最初に立っていた場所の後ろの壁が開いて階段が姿を現した。

 

  それを見て二人がガッツポーズを決めていると、ノイズとともにまたしても正斗の声がどこからともなく響いてきた。

 

『おめでとう二人とも。一回層を見事にクリアしたな。タイムは14分39秒と言ったところだ。4階層あるからな、一階層を15分弱でクリアはいいペースだろう。とはいえ、まだまだ道のりは長い。油断するなよ』

「フッ、当たり前だ。これしきのことで喜んでいてはいくら時間があっても足りはしない」

「ああ、あと二つの階層も油断せずクリアして、絶対に慧理那を取り戻してみせる!」

『その意気や良し……さて、愛香君。こちらの総二と一緒に戦ってみた感想はどうかね?』

 

  そう。それは開始した時から二人も気になっていたことだ。なぜ、以心伝心でコンビネーションも抜群の正斗の世界の愛香にしなかったのか。

 

「……まあ、やりやすかったかな?いつもはあたしが隙を突かれてるのをカバーしてエレメリアンを仕留める感じだし。なんていうのかな、こっちが何をやりたいのかすぐに察してくれるっていうのか……ウチの総二だとそういうのあんまりないから、サポートしてもらってるっていうのがなんか新鮮だった」

 

  なるほど、そういうことかと千優とグラファイトは得心がいったように頷く。つまり、同じ人間でもある意味違う人間とやってみた場合、どうなるのか試してみたかったということだろう。その目論見は無事に達成されたようだ。

 

『ふむ、それは僥倖。この経験が今後のそちらの戦いに活かされることを祈ろう……さて、それでは次に総二。お前には罰ゲームを執行する』

「えぇっ!?マジかよ!?」

『当たり前だ、ゲームは常に万人に公平でなければいけない。ということで早速、総二の愛香とラブラブな写真&動画集鑑賞ショーをお楽しみください』

「嘘だろぉおおぉおおおマジでやめろぉおおおおぉおぉおおおお!?」

 

  総二の叫びも虚しく、天井から六つ大きなスクリーンのついた機械が降りてくる。全方面に対応しているそれに、本当に総二と愛香のラブラブすぎる写真と動画が垂れ流しになり始めた。パラドは腹を抱えて爆笑し、ソーラは恥ずかしそうにふいっと目をそらす。

 

「ぎゃあぁあぁああぁぁああああああぁぁぁああああああぁぁぁああああぁぁああぁああああぁぁぁああああぁぁああっ!!!」

「えっ、ちょ、あ、あっちの世界のあたし、こんなこと普段からして……!?」

((エ、エグい……エグすぎる!?))

 

  絶叫を上げて崩れ落ちた総二と顔を真っ赤にしてスクリーンを凝視している愛香に、千優とグラファイトは思わずドン引きした。そしてクリアできなかった時自分たちが同じことになるのを想像し……即座に階段に向かって走り始めるのだった。

 

『フッフッフッ……さあ、第2ステージだ』

 

 

 ●◯●

 

 

  総二の末路を見てより一層ゲームオーバーになった時の恐怖を掻き立てられた二人は階段をひたすらに走り続け、最初の時と同じく存在していたアーチから二階層に飛び出した。

 

  そこは一回層とどこか似てはいるが、しかしコロッセオではなかった。どちらかといえば、どこかのファンタジー世界で開催されている武闘会といったところだろうか。歓声が飛び交い、擬似的な太陽の明るさと青い空が非常に美しかった。

 

  非常に趣向の凝らされたステージに二人が内心感心していると、自分たちが第2階層の敵と戦うことになる舞台に先ほどと同じく人が並んでいるのが見えた。その数は三人。少年が一人に少女が二人だ。

 

  唯一の男である一人目は観束総二。こちらはゲーマドライバーを持つこともなく周囲の歓声に少し居心地が悪そうにしているので、千優の世界の総二である。

 

  二人目は津辺愛香。先ほどの一階層の愛香とは反対に堂々と佇んでおり、また既に腰にゲーマドライバーを装着済みなことから正斗の世界の愛香である。その手には純白の美しい鎧を着込み、手に長槍と盾を持つ戦神のイラストと反対側には緑色の剣を縦横無尽に操る青い鎧の双剣士のイラストが描かれた真っ白なガシャットギアデュアルΣ(シグマ)を持っていた。

 

  そして三人目は……やはりというべきか、正斗の世界のトゥアールだった。彼女の想い人である正斗の従兄弟、万堂龍兎(ばんどうりゅうと)にもらった彗星の形をした青いイヤリングをしていることからそれがわかる。そして片手には金色のバグルドライバーがついた白と金で彩られたバグヴァイザー……彼女がオリジナルを模倣して作ったガシャコンバグヴァイザー(フィーア)を持っている。

 

  千優とグラファイトが警戒する中、真ん中に立っていた愛香が一歩二人に向かって前に出てゲーマドライバーの装着された腰に手を当て、堂々と宣言した。

 

「来たわね。今度はあたし達が相手よ。さっきのそーじたちの二の舞になるのはゴメンだから、全力で勝たせてもらうわ!」

「ああ、あれこっちにも映ってたんだ……」

「……なんかこの空気の中にいると居心地が悪いな」

「何を言っているんですかあちらの総二様。男ならドンと構えましょう、ドンと!」

 

  あまりの熱気に萎縮している総二の肩を龍兎が観ているので先ほどの愛香同様いつも以上に生気の満ち溢れた表情でそう言い、トゥアールは愛香の横に並んで自分の細いウェストのへそにバグルドライバーⅣを押し当てて装着する。

 

  それに苦笑した総二も腹をくくったのか、真剣な顔で愛香とトゥアールの横に並んで腕を胸の前で構える。それを待っていましたと言わんばかりに愛香はガシャットギアデュアルΣを構え、白鎧の戦士の方にダイヤルを傾ける。トゥアールも白衣のポケットから配線の飛び出た白と金色のガシャットを取り出し、スタータースイッチを押し込んだ。

 

《THE WAR GOD!》

《TADDLE LEGACY!》

 

  愛香の背後にはガシャットに描かれているイラストと全く同じものがディスプレイとして現れ、ディスプレイから飛び出した白い聖杯が周囲の展開したゲームエリアの中に配置されていく。

 

  トゥアールの背後にも同じように白い鎧を纏った老人の横姿と厳かな雰囲気を醸し出すガシャット名の描かれたディスプレイが出現し、広がった白いゲームエリアに石像が配置されていった。

 

《He is〝POWER〟! He is 〝RULE〟!He is the strongest 〝WARRIOR〟!》

 

「第五十撃、変身!」

「プロセスナンバー50、変身!」

「て、テイルオン!」

 

  愛香はゲーマドライバーにガシャットギアデュアルΣを差し込みレバーを引いて展開して出現した光輪のパネルのうち一つを左手でパンチしてセレクトし、トゥアールはその場でひと回転した後ガシャットを挿入、バグルアップトリガーを押し込み、総二の掛け声とともにテイルブレスが起動する!

 

《デュアルガシャット! ガッチャーン! デュアルアーップ!》

《The endless battle! God descending! Prepare for death! THE WAR GOD!》

《ガシャット! ウェイクアッープ!》

《目覚める歴史! 真なる騎士! TADDLE LEGACY!》

 

  それぞれのドライバーから変身音がなったかと思うとレバーの奥にある小窓とバグルドライバーⅣ中央のディスプレイから槍と盾を持ったその背に二対の羽を持つ白騎士の表示されたパネルと錆色と金色、白色が混じり合った騎士の描かれたパネルが出現し、愛香とトゥアールの体を通り抜けその身を変身させた。

 

  まず愛香のほうだが、かなり特別な装甲を身にまとっていた。というのも、まず頭部のもともと鋭い形状をしていたリボンに30センチ長にもなる白く鋭いパーツが足されており、後ろから前にかけて鋭く尖るそれは非常に攻撃的なフォルムだ。そのパーツの付け根から左顎にかけて白いパーツが顔を覆っている。

 

  次に胴体の元々のテイルギアの装甲に白い装甲を纏い、これもまたとても鋭い形状をしている。その胴体の背中からはまるで戦闘機の羽のような白く大きな背負いものが存在していた。その胴体の鎧につながっている両肩の角ばったアーマーには灰色の二つの噴射口が付いていた。

 

  腰には正六角形と長細い六角形を組み合わせたかのような鎧を前、左右の腰、後ろ腰につけており、肌に張り付くような形状の装甲ですらりと長い両足が覆われている。足の甲には食らえば痛そうな装飾が付いていた。

 

  緑色に変わった両目を輝かせ、右手に持ったビームの両刃の槍と、その槍と同じくビームの拡張が付いた盾を構えるその戦士の名は……仮面ライダーヴァルキュリア:オーディーンゲーマーレベル50。

 

  対してトゥアールの方は近未来的な形状のオーディーンゲーマーとは反対にいかにも聖騎士といった感じの出で立ちだった。白い鎧のパーツとボンキュッボンなダイナマイトボディを包む黒いアンダースーツ、さらにその上から木の蔦が巻きついたかのような錆色の装飾。

 

  トゥアールの美しい銀髪によく映える、両端に翼を模した金色の装飾がある額を守る兜は中央の大きな球が光を失っており、頬の上部分までを守る形状になっている。更に兜から伸びる頭頂部を騎士の鎧のようなトサカのような錆色の装甲が保護していた。

 

  鎖骨のあたりから豊満な胸、さらにその下の鳩尾までかけて守る胸部装甲は背中から肩のアーマーまで全てが一体化しており、両胸にあたる部位に金色の目を閉じたかのような装飾がなされ、小さな腕のようなとんがりが下の部分から前に飛び出している。黒い筋の走った大理石のような光沢を持ち、非常に美しかった。

 

  二の腕まで守る方のアーマーにも金色の装飾がなされ、そのすぐ後ろには小さくデフォルメされた天使の翼が一対生えている。さらにその翼の間には丸みを帯びた背中からうなじまでを保護するアーマーと、彼女がいつも来ている白衣の如き純白のマントが地面すれすれまで垂れ下がっていた。

 

  左腕には前腕全体を守る小さな錆色の盾が装備され、もう片方と両足には正斗の作ったライダーシステム共通の銀色のガードパーツとブーツのような見た目のスーツ。そこに腹部からわき腹にかけて描かれた不思議な形の錆色の模様が特徴的で、模様はベルトで固定された腰マントと前掛けにそのまま繋がるようになっていた。

 

  手には不思議な形をした鍔と赤い宝石が柄頭に埋め込まれた持ち手、波打つような形のフランベルジュに似た半分純白で半分錆色の片手剣を持ち、左腕の盾の横に刃をつけて油断なく構えている。その奥で光る錆色の目が、未だ彼女が現役時代の実力を保っていると言わんばかりの凄みを引き出していた。

 

  それがトゥアールが変身した、仮面ライダートゥルーブレイブ:レガシーゲーマーレベル50の姿である。更に派手な変身をした二人の横に、炎の繭に包まれて一瞬で変身を完了した総二ことテイルレッドが並ぶ。

 

  三人の変身を見て覚悟を決めた千優とグラファイトは腰に装着したままのバグルドラバーⅡとバグルドラバーⅢのAボタンをそれぞれ押して、手に持ったドラゴナイトハンターツウィンガシャットを起動させる。

 

《DRAGOKNIGHT HUNTER ! TWIN!》

 

「EXステージ、変身!」

「ミステリーウィルス、培養!」

 

《ガシャット……》

《ガシャット!》

《バグルアーップ!》

《パージアッープ!》

《ドラゴナイトハンター!ツウィン!》

 

  左右にパネルが出現し、通り過ぎて砕け散ったことによりハンターゲーマーレベルXに変身した二人も、それぞれの武器を構える三人を見据えながら各々の武器を取り出した。

 

「……さあ、裁きの時(ジャッジメントタイム)よ」

「これより、テイルドラゴンならびにグラファイトの撲滅作業を開始します!」

「え、えーと……いくぜ!」

「「我ら龍騎士、愛する姫を助けんがため、この力を振るわん!」」

 

 第二ステージ、スタート。




オーディーンゲーマーのモチーフはダンボール戦記のオーディーンMr.Ⅱです。
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