先日の大地震により各地で地形の変化が起きたらしい。
――地震?
今来ている洞窟だって、元々は祭壇があるだけの平地だったが、
――祭壇?
地震で祭壇が地中に沈んで洞窟化してしまったらしい。
別に祭壇自体には興味があるわけではない。幼い頃に村の大人に連れられて、それっきりだった。
だが、洞窟となれば話は別だ。洞窟には宝が付き物。男に生まれた以上、この手の探検に心が踊らないわけがない。もっとも、先日自然発生したばかりの洞窟に大した宝など期待できるわけがないのだが、こういうのは気分の問題で事実は二の次である。
予想通り。期待はずれ。祭壇の洞窟にはやはり何もない。宝どころか魔物の一体も出やしない。深い暗闇が出迎えてくれるだけだ。村の倉庫
――倉庫?
から拝借したロングソードもこれではただの飾り――いや、余計な荷物だ。
しかし、祭壇が沈んで出来た洞窟であればその祭壇がどこかにあるはずだ。今までは興味のなかった祭壇だが、洞窟探検のゴールとして見るのであればその風景は感動できるものだろう。こういうのは気分が大事なのだ。
また少し進んだところであることに気づく。洞窟の入り口からは随分と離れているはずなのに、松明なしでも周りがギリギリ確認できるほどの明るさがある。
何もなかった洞窟で初めてと言える発見に僅かに心が踊る。光源があると思しき方向へ歩を進める。岩肌の地面を擦る足音が響くたびに周りが明るくなっていく。もうすぐだ。何が待ち受けているのだろうか。
突然、まばゆい光が視界を覆う。が、不思議と眩しくはない。外にいるよりずっと明るい光の中で、何の苦もなく目を開けていられる。
これは太陽の光ではない。なんだろう。あたりを見渡すと、先程までの岩肌とは違って石造りの壁と床に囲まれていた。そう、ここが祭壇だ。そして、奥の台座に燦然と輝く巨大な
――クリスタル!
クリスタル。探検の末にたどり着いたクリスタルの祭壇は美しかった。祭壇観光は村の主要な産業らしいが、大地震が起きて祭壇が沈んでから、一人として観光客は訪れていない。しかし、洞窟には魔物が出るわけではないし、闇を照らすクリスタルの輝きは太陽のもとにあったときとは比べ物にならないほど美しく見える。祭壇観光もまだまだ捨てたものではない。
絶景と新たな村おこしプランに感動するのもつかの間、神秘的な空間に相反する黒い霧のようなものが発生する。その霧に体を包まれ、意識が闇に堕ちていく。