FINAL FANTASY Union   作:緑汁

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初の戦闘らしい戦闘が船の上なのはどうなのかと思ったが、奇しくもFF4の原作再現になったのか…?


E.「海上戦」

Main character:バッツ=クラウザー

Scene:タイクーン地中海

 

 

 

 

 タイクーン地中海の北端に位置する風の神殿へ向うバッツ達。風を受けずに海竜に牽引されて進む船はやはり普通の船とは乗り心地が違う――ような気がする。

 

 船から身を乗り出して海を眺めるガラフ。それを危ないですよと諌めるレナ。マストに背中を預けて腕組みしているカイン。ファリスとセシルはそれぞれ何やら話しているようだ。お互い髪が長く顔立ちが端正なので女性同士に見えなくもない。一方バッツはと言うと――

 

「バッツ、海が綺麗じゃぞ!」

 

「海に落ちたら怖いだろ…船から降りたら見てみるよ」

 

「なんじゃ、バッツ。飛空艇に乗っている時も思ったが、お前さんもしかして高所恐怖症か?」

 

「わ、悪いかよ!ガキの頃色々あって高いところは苦手なんだ…」

 

 ニヤつくガラフと苦笑いするレナ。いいじゃないか、誰だって苦手な物くらいあるだろ。ちなみに、バッツは今はデッキに出ているが飛空艇のときは船室から出てくることすらなかった。

 

「でも、バッツの言うとおりですよ。ここから先は魔物がウヨウヨしている海域らしいです。ガラフさん、そんなところにいたら魔物に海に落とされてしまうかもしれないですよ」

 

 おそらくファリスから聞いたであろう情報を伝えながらセシルがやってくる。肩まで伸びた銀髪を上手く纏めて暗黒の甲を被るセシル。

 

「ごっつい兜だよなぁ…せっかくのきれいな顔が台無しだぜ」

 

「そういうものかな…?」

 

 談笑するセシルとバッツの元にレナとガラフ、そしてカインが集まってくる。

 

「この船は結構な速度で進んでいるから、船に上がってきた魔物は無理に殺さずに海に叩き落とせばそれ以上は追ってこない。後ろで控えてくれているファリスが弓矢で撃ち落としてくれるらしいけど、流石に1人じゃ限界があるから残りの魔物は僕達で各個撃退――でいいかな?」

 

 作戦ってほどのことでもないけどね、とセシルが苦笑いする。それに皆が頷く。セシル達の他にも海賊達が迎撃に参加してくれるらしいが、海上での戦闘に慣れているであろう彼らはバッツらの作戦会議には参加せずに甲板をウロウロしている。

 

「お姫様は隠れてなくて平気かい?」

 

 少し離れたところからファリスが笑いながらレナを煽る。それを聞いてレナがムッとした表情で――

 

「私だって戦えます!余計なお世話です」

 

 こういうところでムキになるのは年相応の女の子らしい。いや、むしろ普通よりも気が強いくらいか。さすが王族である。

 

「はっ、そいつは頼もしいねぇ――さて、そろそろ魔物たちがやってくる頃だぜ」

 

 ファリスが矢を番えたのを見て、バッツたちも戦闘態勢に入る。

 

 

 

「GISYAAAAAAA!!!」

 

 雄叫びを上げながら魔物――魚のような特徴を持ちながら人の形をしているサハギンと呼ばれる魔物が三体船に上がってくる。ファリスが隙かさず一体に矢を放ち、その腹に矢が突き刺さる。あっさり仲間が一体やられたことに一瞬動揺した素振りを見せた残りの二体だったが、すぐにバッツ達に向かって走り出す。ファリスがその隙にもう一体のサハギンを射抜く。

 

「あと一体は頼んだぜ!」

 

 ファリスの声より一瞬早くカインが甲板を蹴ってサハギンに肉薄。着地と同時に石突で打突。胸を突かれたサハギンが勢い良く船の外に吹き飛んでいく。

 

「フッ、モタモタしていたら俺が全部片付けてしまうぞ」

 

 正直そうしてくれると楽ではあるが、顔を半分こちらに向けたカインの口元が歪んでいたのがまるで挑発されているような気分で、バッツは次の敵は逃すまいと剣を構えて腰を深く落とす。

 

 シルドラが叫ぶ。それを聞いたカインが口元で笑って見せていたのをやめ、後ろからファリスが声を上げる。

 

「こっからが本番だぜお前ら!」

 

 その号令を合図としたかのように、船の左右からサハギンが五体ずつ飛沫を上げながら船に飛び上がってくる。

 

 

 

 

 

 甲板には常に魔物――すべてサハギンだが――が十体前後いるような状態が続いていた。可能な限りはファリスが矢で追い返したが、それでは追いつかず、右舷からの魔物をバッツ達、左舷を海賊達が担当していた。

 個々の戦闘能力は海賊よりバッツ達が上のようだったが、海戦への慣れや連携の練度を加味するとこの状況下での左右の戦力はほぼ同程度だと言える。

 

 襲来する魔物を捌きながら、バッツは癖で皆の動きを観察していた。流石にセシルとカインは強い。一撃でサハギンを海へ追い返していた。ガラフも剣の技量で言えばセシル達より上に見えたが、流石に歳のせいで筋力が劣っているのか一撃とはいかない。レナは本職の戦人ではないので、彼らに比べると一歩劣っているようだった。得物がナイフだというのもあるかもしれないが。そういうバッツの自己評価は、武器の扱いについては性質こそ違うもののセシル達に引けを取るものではないが、竜騎士暗黒騎士としての特殊技能の分、僅かに劣っていると見ていた。

 

「お頭、陸が見えてきました!」

 

「よし、もう少しだ!」

 

 海上戦の終わりが見える――そんな希望をあざ笑うかのように今までの倍の数のサハギンが一斉に襲来する。

 

「セシルッ!」

 

「ああ!」

 

 相棒の名を呼びながらカインがサハギンの群れに飛び込む。これを取り囲むようにサハギン達が襲ってくるのを確認したカインは地面を蹴って突進の勢いのまま垂直に飛び上がる。

 

 直後、背後に恐ろしい気配を感じたバッツが思わずサハギンから目を離して振り返る。

 振り返った視線の先には、黒いオーラを身に纏い剣を水平に担いでいるセシル。

 何の構えだ。いや、何だこの嫌な気配は。セシルから放たれる気に、バッツは思わず飛び退く。レナとガラフも同様だった。

 

「おぉおおおおおおおお!!!」

 

 セシルが雄叫びをあげると、全身に纏っていたオーラが切っ先に集中し、力の奔流となり放たれる。

 

 

暗黒

 

 

 黒い衝撃波がカインによって集められたサハギンの群れに直撃する。暗黒波は爆発を起こし、サハギン達を散り散りに吹き飛ばす。

 

「よし、ここから先はもう大丈夫だ」

 

 ファリスがバッツ達の元へ歩み寄る。

 

「セシル、何だ今のは。凄かったな」

 

負の力(ダークフォース)を衝撃波として放つ暗黒騎士の技さ」

 

 バッツは感嘆の声を漏らしながら負の力(ダークフォース)の余韻で黒く光っているセシルの剣を眺めている。

 

 世の中は広いな、と途方もない感覚に打ちひしがれながらもどこかワクワクしているバッツ。

 

「ほら、降りるぞお前ら」

 

 いつの間にか陸に到達していた船の甲板から橋が架けられている。ファリスは皆に降りるように促しながら一足先に大地に降り立った。

 

 

 

 




セシルの暗黒はPSP版やDFFACのヴィジュアルに近い感じですね。
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