「あれが氷漬けの幻獣――と、邪魔者2匹」
帝国兵が魔導アーマー――魔法と科学を合わせたガストラの魔導技術の結晶である最新機動兵器の上で口元を歪める。
「油断するなよウェッジ、片方はソルジャーだ。神羅もリターナーに加盟したのか?」
「そんな話は聞いたことねぇが、まあ帰って報告だわな。書類の方は頼むぜ、ビッグス」
「油断するなと言ってるだろう」
「なに、こっちにはこの娘もいるんだぜ?」
ウェッジと呼ばれた帝国兵の締まらない態度にビッグスと呼ばれた帝国兵が呆れている。
「魔導アーマーか…実戦配備されていたとはな…」
その可能性については密偵から報告が来ていたので、ロックはさほど驚きを見せずにこちらへ向かってくる三機の魔導アーマーを眺めている。その大きさたるや人の二倍はあろうか。
「それよりも――」
ロックは二人の後ろにいる魔導アーマー――に乗る緑髪の少女へ目を向ける。
(やっぱり来たか)
まだ髪の色がわかるくらいではっきりと確認はできないが間違いない。生まれながらに幻獣の力を持つ少女――ティナ=ブランフォード。十数年前に皇帝がどこからか連れてきたらしい。その正体までは不明だが、帝国の人工魔導戦士とは比べ物にならない程の魔力を持っており、魔導アーマー50機を3分で全滅させたと報告書に記載されていた。
最新兵器とティナの同時投入。帝国の本気が伺える。
「あれか?」
ロックの視線に気づいたのかそれとも何かを感じたのか、ザックスが確認してくる。
「というわけで、プランBだ」
ティナは自分の意思ではなく、"操りの輪"という道具によって無理矢理戦わされているとのこと。
今回の一番の目的は帝国の手から幻獣を守ることだが、もしティナが出撃してきた場合は彼女を操りの輪による支配から解放するのも作戦のうちだった。
「雑魚は俺に任せておけ」
「ああ、頼んだぜ」
ザックスが前に出ると、お互いに顔が確認できるくらいの距離まで近付いてきた魔導アーマーが足を止める。傍から見れば、まさかこんな巨大兵器三機に生身の人間二人で対抗するつもりだとはとても思えないだろう。しかし、そんな相手を"雑魚"だと言い放ってくれたパートナーは頼もしい限りである。
「ん、あのソルジャー、ザックスじゃねえか?大剣使いのザックス。が、アレだ。髪の色が違うな。黒髪だったはずだが、イメチェンでもしたのか?」
有名人に会えて気が昂ったのか下品に笑うウェッジの言葉に、ザックスは表情一つ変えずに自慢の金のツンツンヘアーを僅かに揺らして――
「興味ないね」
いつもの口癖で返す。
戦いまで入れるつもりだったんですが、諸事情でここまで。
FF6原作における「魔導」と本作における「魔導」は(おそらく)意味が異なります。理由はFF6に比べると魔法の力がわりと普通なものだからです。