「こっちは興味あんだよ!幻獣捕獲に加えてソルジャー倒したとなりゃ将軍間違いなしだからよ!!」
ザックスからしてみれば、まさに"興味ないね"なセリフを叫びながらウェッジが魔導アーマーの操縦桿を動かす。
ファイアビーム
ウェッジの魔導アーマーの口らしきところから、真紅の光線が放たれる。
ザックスは右手の剣を逆手に持ち替えて体の横まで引き、左手を突き出す。ザックスの大剣に嵌め込まれた石が淡い光に包まれる。
ブリザド
ザックスの前に魔法による氷が出現する。魔導アーマーの砲撃は氷塊によって防がれ、程なくして放出を止める。
「ちっ、マテリアか。厄介だな」
マテリア――神羅が生産している魔法道具。生命学的には星の記憶が結晶化したものらしい。自身の魔法力を原動力として、宿された星の記憶を具象化することができるアイテムであり、ザックスの剣に装着されている石がまさにそれである。
「行くぞ――」
ザックスが大剣を持っているとは思えない速度でウェッジの魔導アーマーに迫る。ビッグスの魔導アーマーが助けに入るが、ザックスとウェッジの距離が近すぎるのかビームを使わずに魔導アーマーの腕でザックスを狙う。
その腕を避けるように、ザックスが大きく――魔導アーマーの頭上まで跳び上がる。
ブレイバー
落下の勢いと振り下ろす力を鉄塊とも言える大剣に乗せてウェッジを狙う。
後方に控えていたティナの魔力が高まる。
魔導ミサイル
ザックスの強撃を阻むようにティナの魔導アーマーから放たれたミサイルが滑り込み爆発を起こす。合計五つ発射されたミサイルの残り四機がザックスへ向かう。
サンダー
ザックスは自身を守るように雷魔法を展開する。ミサイルはザックスに到達する前に次々と雷電に捕われて墜落していく。
「ちっ…」
身を翻して雪面に降り立つザックス。本気で最初の一撃で仕留めるつもりだったらしい。
「ふぅ…ヒヤヒヤしたぜ。さすがソルジャー、恐ろしいな…」
軽い口調のウェッジだが、先程までのハイなテンションはすっかり鳴りを潜めている。帝国兵とティナの視線がザックスに向いている。ザックスもまた、生き延びたウェッジを睨み返している。
この機を逃さなかった。味方のザックスを含めた全ての他人の意識からロックが消えた一瞬、ロックは音もなく魔導アーマーらの懐に潜り込む。三角飛びの要領でビッグスの魔導アーマーを蹴り、ティナへと飛び掛かる。
無感情に見つめるティナ、反応が遅れて慌てて振り返る帝国兵二人。
「ザックス!」
「ああ!」
ロックが振り向くことなく出した合図にザックスが応える。
凶斬り
ザックスの素早い五連撃がビッグスとウェッジの魔導アーマーに叩き込まれる。人間相手ならば腕と脚を斬った後に胴体をニ回刻む攻撃になるだろう。
「このやろうっ!」
ロックは斬撃音と帝国兵らの声で後方の安全が確保されたことを確かめるとそのままティナへ向う。
空中で姿勢を変えられないロックにティナの魔導アーマーが腕を伸ばす。両手で挟むようにしてロックが捕らえられた――かと思いきや、その姿が揺らぐ。
ミラージュダイブ
ロックは魔導アーマーの手をすり抜け、残像を見せながらティナと交錯する。雪面に着地したロックの手にはナイフが握られていた。
「ッ――」
ティナが苦悶の声を漏らすと、頭にはめられたサークレット――"操りの輪"がバチバチと火花を散らす。
「ぁ――」
ティナが短く喘ぎ、力が抜けたように前に倒れ込むと魔導アーマーから滑り落ちる。
「あぶねっ!」
落下地点にロックが滑り込みティナを受け止める。
「貴様、何をした!」
ウェッジの激昂。ロックは先程までの彼の真似でもするかのように――
「いやぁ、ちょいとこの娘の頭についてた忌々しい道具を破壊してやっただけさ」
ティナの頭から輪を外して人差し指でくるくる回しながら軽い調子で返す。
「んじゃ、あとは頼んだぜ。ソルジャー様!」
ロックはティナを抱えたまま後ろを振り返り、一目散に逃げ出す。
「逃がすと思うかよ!」
二機の魔導アーマーがロックを追いかける――ことなく、その場で膝をつく。
「なにっ…!」
「こっちのセリフだ、ということだな」
ザックスは戸惑う帝国兵二人に種明かしでもしてやるかのように大剣を振る。
「まさか、さっきのアレで…アレだけで魔導アーマーを……?」
困惑――否、恐怖が表情に滲むウェッジ。隣のビッグスも流石に顔色が変わる。
「降りてこい。ソルジャーの力、教えてやる。しかも無料でだ」
本日初めて、ザックスの口元が歪む。
幻獣を守ってる感が一切ないですね(笑)