ミッドガル――世界一の大企業、神羅カンパニーの都市開発により発展してきたこの街は今や世界でも有数の大都市となっている。
このミッドガルの都市は、地上約80mの高さの円形のプレート上に形成されており、ミッドガルに正式な居住権を持つ「ミッドガル市民」は皆このプレートの上に居を構え生活している。
一方で、プレートに覆われた地表にはスラム街が広がっている。上空のプレートのせいで、日の光も雨の恵みも受けられないだけでなく、ミッドガル外縁に設置された8基と神羅カンパニー本社ビルを支える1基の計9基の魔晄炉により魔晄を吸い上げられているせいで、スラム街の土地は植物が全く育たない枯れた土壌と成り果てている。
スラム街のとある一角、廃材で作られた小屋にその男は帰ってくる。
「ただいま――ザックス」
リターナーにてザックスと呼ばれた男は、その名を自分ではない別の男に投げかける。
「おう、おかえり。で、どうだった?」
今、ザックスと呼ばれた男はボロボロの車椅子を走らせ、小屋の入り口まで帰還した男を迎えに来る。
「ああ、無事に任務は終えたよ。報酬も、結構貰えた」
「ははっ、知ってる。だって、スラムで配られてたんだ、新聞。『元ソルジャー1st 大剣のザックスがガストラ兵を撃破!』ってさ」
「凄いな……そんな情報、どこから…?」
「確かになー。凄腕の情報屋でもいるのかな?」
ザックスは車椅子の上でうーんと首を傾げる。
「ってか、クラウド――お前、俺の名前使ってんだな?」
「ああ――だって、ネームバリューあるだろ?」
「まあ、そうかも知んないけどさ…でも、まさかあのひよっこ兵士だったクラウドくんが、元ソルジャーを騙って立派にお仕事をこなすなんて……」
クラウド――それが、ザックスの名を使い『なんでも屋』としてリターナーに雇われていたこの男の本当の名前だ。
「なんだよ。そんなに言うなら、もうアンタの名前は使わない。リターナーには俺の実力は示せたし、もう必要ないだろう…」
「うんうん、それがいい!で、その『ザックスさん』にお客さんみたいだぜ?」
サックスは口元では笑いながら、クラウドと同じ蒼き双眸でクラウドの後ろを見つめる。
「ッ――」
クラウドは背中に備えた剣の柄を握りしめ、自身の背後を振り返る。そこには、クラウドも見知った顔があった。
「よっ!」
なんでも屋に訪れた客は、ロック=コール――クラウドとともに幻獣守護の任務を行った男だった。
「流石はドロボウ。音もなく家に侵入してくるもんだ」
「ドロボウじゃねぇ!トレジャーハンターだ――っと、そんなことはどうでも良くて。ザックス――改めクラウドさんに新しい依頼だ」
「なんだ?」
「今回はまたとびきりデッケェ任務だぜ。しかもクライアントは――バロン王国竜騎士団長、カイン=ハイウインドときた!」