FINAL FANTASY Union   作:緑汁

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3章プロローグのガストラ皇帝とセリスのくだりが、バロン王とセシルのやり取りにそっくりになったのは意図的だよ。ホントウダヨ


A.「魔法の国」

Main Character:バッツ=クラウザー

Scene:ミシディア

 

「やっとついたー!」

 

「なーにが『やっとついたー!』だ。ずーっと、船内に籠もってたくせによ」

 

 着船して真っ先に飛び出るように陸に上がったバッツに続き、ファリスが呆れ顔で続いて船から降りてくる。

 

「まあまあ、誰にだって苦手なものはありますから、仕方ないですよ――ね、バッツ?」

 

「あ、ああっ…ありがとう…………レナ」

 

「あれ、いつからお前ら――」

 

「ふいーっ…船での長旅は老体に堪えるわ……」

 

 バッツとレナのやり取りの違和感にファリスが言及しかけるが、それは最後に船から降りてきたガラフのボヤきに遮られてしまう。誂ってやろうと思ってはいたものの、あえてもう一度言い直すほどでもない。

 ファリスはバッツたちに向けようとしていた指で自分の髪を弄る。

 

「にしても、ミシディアとやらはどこじゃ?町らしきものは見当たらんが…もっと街の近くまで船で行くことはできんかったのか?」

 

 もう歩くのもヘトヘトだとばかりにガラフがまたも不満の色が混じった疑問を口にする。

 

「いやぁ、そりゃ行くことは可能だけどよ。流石にシルドラがいるからな。あれだけ大きな竜、ミシディアの魔道士からしたら魔力の塊てぇなもんだ。魔物と勘違いして攻撃してくる可能性もあるし…まあ、単純にあんまり騒ぎを起こしたくはないだろう?」

 

「俺達が町に近づく分に問題ないのか?ほら、俺達魔法使えるようになったし、ミシディアの人達からしたらよくわからない魔力が近づいてくることになるんじゃないかな?」

 

「流石に、連中も相手が何者かどうか見もせずに攻撃はしてこねぇだろ。シルドラの場合は、その見られた時点でアウトな可能性が高すぎるってだけだ」

 

「なるほどなー」

 

 荒っぽい言動とおおらかな性格の印象が強すぎるファリスが思いのほか物事を考えてることに、つい感嘆の声を上げるバッツ。

 

「お前ちょっとオレのことバカにしてないか?」

 

 ファリスの鋭い発言にギクッとするバッツ。だが、魔力の感知についての話をしていたことで、とある疑問が浮かぶ。

 

「そういえばさ、俺とレナがエドガーさんに連れられている間…何かなかったか?」

 

 クリスタルの力を手に入れてからというもの、バッツ達はお互いが近くにいるとき、その存在を感じられるようになっていた。最初はクリスタルの力が共鳴することで気配を察知しているのかと思っていたが、バロンとリターナーのアジトでも同じように他人の気配を感じることができたので、あれは単純に魔力を感知しているのだということがわかった。

 そして、バッツが今疑問としたのは、まさにリターナーのアジトでの出来事――ティナとの接触の際の異変についてだ。ティナが持つという幻獣の力とレナのクリスタルの力が何かしらの反応を起こし、不思議なイメージが頭の中に流れたあの現象。

 

「あー…もしかしてあの変な映像が頭ん中で流れたアレか?やっぱり、バッツ達んところでなにか起きたんだな?いや、何だったんだろうな?」

 

「そっか、ファリスも見たんだ、アレ。ということは、ガラフさんも?」

 

「みたいだぜ」

 

 ファリスの返答はバッツも予想はしていたものだった。だが、あの現象が何だったのかわかっているわけではない。

 

「それよりも、なにか近づいてきてない?」

 

 二人のやり取りを遮ったレナが見つめる先――バッツ達が向かっている方角の上空に視線をやると、たしかに何やら大きな影が近づいてくる。

 

「魔物じゃ!気をつけろ!」

 

 その影の姿形が判別できる距離まで接近してきた。巨大な鳥型の魔物――ズーだ。

 

「なんだなんだ?オレ達、でっけぇ鳥にやたらと縁があるな」

 

「そんなこと言ってないで――」

 

シーフアビリティ・ダッシュ

 

 4人は四方に散開し、その中心をズーが風を切り裂きながら地面スレスレで通り過ぎる。大きな翼を羽ばたかせて上空へと舞い登ったズーは、大きく旋回し、散り散りなった四人のうちの一人――『ダッシュ』で想定以上の速度で移動してしまい、茂みに突っ込んでしまったバッツめがけて再び突進を行う。

 

「あのバカ――」

 

 バッツに一番近いファリスが再度『ダッシュ』を使ってバッツの援護に向かう。だが、ズーの突進のほうが幾分か早くバッツへと迫る。

 

(マズい――)

 

 体勢を立て直し後ろを振り返ったバッツの眼前にはズーの巨体。もう回避は間に合わない。

 

ナイトアビリティ・護りの盾

 

 ズーの嘴がバッツの身体を捉える寸前で光の盾がそれを遮る。速度の乗ったズーの突進が光の盾ごとバッツを巻き込んで、森に向かって突き進む。

 

ブリザド

 

サンダー

 

 ガラフとレナが放った氷塊と雷撃がズーの翼を捉える。

 

 翼の動きを止められたズーの巨体は、ズシンと重い音を響かせて腹から地面に墜落し、砂煙を上げる。

 

「らぁっ!!」

 

 その砂煙の一部が螺旋を描きながら霧散する。代わりに現れたのは、両手で剣を振りかぶっているファリス。

 

ナイトアビリティ・一刀両断

 

 ファリスは地面を蹴って突貫するエネルギーをそのまま両腕に伝えて剣を振り下ろし、ズーの体を一太刀で真っ二つに切り裂く。

 体を両断されたズーは、緑白色の血液を吹き出しながら短く呻き声を上げ、その後すぐにピクリとも動かなくなった。

 

「あ、ありがとう…ファリス、助かったよ…」

 

「気にすんなよ。しっかし、いくらクリスタルの力が弱まったからって『ダッシュ』で茂みに突っ込むのはあんまりだろ」

 

「ホント、そうだな。気をつけるよ」

 

 ファリスに自らの失態を指摘され、苦笑いで返すバッツ。しかし、バッツが感じていたことはファリスとは真逆だった。

 

 バッツの体感からすると、クリスタルの力の出力はバロンでセシルと模擬戦を行ったときより数段上がっている。故に、バッツは想定以上の速度が出てしまった『ダッシュ』の制御ができずに無様な姿を晒し、ピンチを招いてしまった。

 

(そうだよな、ファリス達はあれ以来クリスタルの力を使って戦ってないはずだから――もしかして、水のクリスタルが近いからだろうか)

 

 バッツは、自分がクリスタルの力を使った三度の戦いを思い返し、その条件の違いから出力に差が生じる原因を考察する。まあ、ミシディアに行けばわかることかもしれないが。

 

「バッツ、大丈夫?ケガはない?」

 

 ファリスに遅れてやってきたレナは、地面に座り込んでいるバッツの顔を覗き込みながら身体をペタペタと触る。

 

「うん。とりあえず、なんともないよ。盾も間に合ったし、みんなが助けてくれたから」

 

 それを聞いてほっと息をついて胸を押さえるレナ。

 

「バッツも無事なようじゃし、また協力な魔物に襲われんとも限らんし、さっさとミシディアに向かうとしよう」

 

「ガラフさんの言うとおりだな」

 

 我先にとミシディアへ歩を進めるガラフを追うべく、バッツも立ち上がる。

 

 




原作のナイトアビリティ「りょうてもち」をどう読み物に落とし込もうかなと思った結果こうなりました。
本当は原作のパッシブスキルはFFUではアビリティ化しないつもりだったのですが、物理攻撃アビリティが少ないので泣く泣く…(笑)

ちょっと最近バタバタしていて更新が空きそうなので、いったんここで区切って投稿してしまいます。
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