FINAL FANTASY Union   作:緑汁

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バロン城下町攻防戦、クライマックスです!


J.「兆し」

Main Character:ロック=コール

Scene:バロン城下町

 

 ロックの頭の中でアラートが鳴り響く。未だ嘗てない命の危機。眼の前に迫る巨大な死の圧力。

 

(『赤い翼』のセシル=ハーヴィ…!何てプレッシャーだ…これで、俺より若いだなんて信じられねぇぜ……)

 

 飲んだ唾液が乾いた喉を流れる感覚が嫌というほど感じられる。暗黒騎士の放つ負の力(ダークフォース)が自身のセンサーを狂わせている事は頭ではわかっているが、それでもセシルから与えられる恐怖が嘘になるわけではない。

 

「どいてください。セシルさん――」

 

「アーロン殿――やはり竜騎士団はバロンを裏切ったのか」

 

「陛下は間違っている!」

 

「それでこんなことをやっているのか!」

 

 負の力(ダークフォース)の圧力に負けじと、ロックの前に出たアーロンだったが、セシルの素の気迫に気圧されてそこで足が止まる。竜騎士団副団長といえど、グレア同様セシルは簡単に突破できる相手ではないということか。いや、グレアとの戦いの負担が残っている今、勝つべくもない相手なのかもしれない。だが、それはセシルとて同じであろう。ミシディアでの出来事は預かり知らぬことではあるが、セシルの漆黒の鎧に無数の傷が刻まれているのを見ればそれなりの戦いがあったことは想像できる。

 

(だってのに、この嫌な気配は何だ――俺は、何かを見落として――)

 

 ロックがそう思案していると、物陰からふらりと一人の男が現れる。アーロン、そしてセシルもそれに気を取られるがロックにその隙を付くことはできなかった。何故なら――

 

「クラウド!」

 

 その男は、ロックの此度のミッションの相棒であるクラウド=ストライフだったからだ。

 

「よかった。無事だったんだな。いや、おまえが負けるとは思ってなかったけど、とっくに街の外に撤退してたもんだと――」

 

 ロックは相棒への言葉を止めて身構える。明らかに様子がおかしい。大した傷は負っていないようだが、苦しげに頭を抑えて小さくうめき声を上げている。そして、クラウドの姿を視認してから、脳内のアラートが更に勢いを増しているのだ。

 

(何だ――何なんだ?クラウド――いや、クラウドじゃない!)

 

 顔を上げロックに視線を向けた相棒の瞳は、より純粋な魔晄の緑に染まっており、瞳孔が縦長に開いていた。

 

「マズイ、皆逃げろ!」

 

 何が起きているのかはわからないが、今のクラウドからはとてつもない死の気配を感じる。先程からロックが警戒していたのはセシルだけではなく、相方であるはずのクラウドに何かを感じ取っていたのだ。

 

「うぁ…あぁああああ!」

 

 クラウドが咆哮すると、左肩のショルダーアーマーを吹き飛ばし漆黒の翼が生えてくる。その姿は、さながら片翼の悪魔とでも表すべきか。

 

「っ!」

 

 セシルとアーロン、二人の軍人は経験と本能で瞬時にそれを敵と見なし己の武器を構えて対峙する。

 

「駄目だ!アレと戦っちゃ!」

 

 ロックの制止も二人にとって意味はない。ここは自国の領土、それも城下である。そこに現れた脅威を前に逃げ出すという選択肢があるはずがなかった。反乱を企てたとはいえ、心から祖国を裏切ったわけではないアーロンも、それは同じである。

 

 先に動きを見せたのはセシル。剣を水平に構え切っ先をクラウドに向け、

負の力(ダークフォース)の出力を一気に上げる。だが、負の力(ダークフォース)の高まりを感知したクラウドはセシルへ視線を切り替え、大剣を天高く突き上げる。その体験の切っ先の上空に、空間の歪みが発生する。

 

「セシル=ハーヴィ!クラウドの本体じゃない!あの歪みを狙うんだ!」

 

 相変わらずアレが何かはわからないが、とてつもなくヤバいことだけはわかる。ロックは直感に従ってセシルに指示を出し、セシルもそれに従い剣を斜めに構え直す。

 

暗黒

 

 セシルの剣から闇の衝撃波が放たれる。それに対応するようにクラウドが剣を振り下ろす。

 

メテオレイン

 

 クラウドの剣の動きに導かれて空間の歪みから出現したのは、人の大きさほどの隕石状のエネルギー弾。それも1つではなく複数。セシルの暗黒波がそれらを掻き消しながら突き進むが、全てを消すには至らず残りの弾がセシルに向かって降り注ぐ。

 

グングニル

 

 自身の魔力を腕に集中させる全力の投擲。同名の槍を持つバロン王オーディンが得意とする技であるため、その名を冠してバロン流槍術に組み込まれている必殺の投擲術である。アーロンの投擲はクラウドのメテオレインを更に消し飛ばすが、散らして放たれたエネルギー弾を横からの投擲では消しきれず、残った1つがセシルに直撃する。

 

「がぁあっ!」

 

 着弾したエネルギー弾は爆発し、吹き飛んだセシルの身体は民家の壁を突き破る。

 

 残りは2人。アーロンは主装備の槍を手放し、サブの長剣しか残っておらず、ロックはそもそも短剣のみの武装である。人の枠を明らかに超えている規格外の化け物へと変貌したクラウドを相手するにはあまりにも心許ない。

 だが、クラウドはこちらに襲いかかるどころか、現れたとき同様に頭を抱えて苦しむ様子を見せる。

 

「お、俺は――何を――クラウド…?」

 

「クラウド…?クラウド!」

 

 苦しむクラウドに駆け寄るロック。だが、クラウドはそれを拒絶するように大剣を振り回す。

 

「俺は――オレは――あぁああああ!」

 

 クラウドの咆哮に呼応するかのように左肩の翼が彼の体を包み込むように羽撃く。

 

「くっ…!」

 

 あまりの風圧に腕で顔を守るロックとアーロン。再び顔を上げたとき、そこには既にクラウドの姿はなかった。

 

 




バロン戦の後はなんやかんやあってセシルにロックとクラウド(あとセリス?)がついていく形でFF4本編スタートしてファブールのFF5組と合流みたいな展開を考えてたんですけどまさかのクラウド離脱となりました。

このままだと特に交わることなくストーリーが3箇所同時並行になってしまうので、何かしら良い展開を思いつかねば……
しかも、そろそろ未登場の原作キャラで登場させたい方々がいるのでそれもねじ込まなきゃいけないんですよね。

FF5組とカインの今後の行動をあの時点で決めてしまったのは非常に良くなかった可能性がありますね。こっそり改変する可能性全然ありますねコレ。
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