Scene:ファブール城
「訓練場、ですか?」
エブラーナの女忍者は、ファブール王の下へ向かう途中、訓練場に行きたいと言い出した
「おう」
「
「
エブラーナはファブール教の影響を強く受けている国の1つであり、エブラーナの正規軍──エブラーナ忍軍の訓練はファブール教の修行がベースになっている。故に、その本場がどのようなものか興味を惹かれるというのは理解できる。だが──
「それだけではないですよね?」
女忍者の主──エブラーナ国第一王子エドワード=ジェラルダインが、このような事を言い出すときは、大抵何か裏がある事を、女忍者は知っている。
「流石はフルム。まあ、忍者の勘ってやつだ。なんか、匂うんだよなぁ」
Scene:ファブール城・訓練場
「これ以上ヤンさん達の邪魔をするのも悪いし、早く宿に行こう!」
「バッツ?」
バッツの言い分も間違ってはいないのだが、それでも様子がおかしい。何やら焦っているらしいバッツを、レナが怪訝な表情で見つめる。
「ふむ。別に邪魔ということはありませぬが、マッシュ殿のワガママに付き合わされてお疲れでしょう。城を見て回るなり、宿に行かれるなりお好きに過ごしていただいて構いませぬぞ」
「ほら、ヤンさんもそう言ってることだしな!」
微妙に話が噛み合っていない。
バッツの様子が変わったのは、エブラーナの名を聞いてからだ。何かあるのは間違いない。
「そうですね。ひとまず宿に向かいましょうか。その後のことは改めて決めましょう」
バッツとエブラーナの間に何があるのかは分からぬが、それを聞き出すにしてもひとまず彼に落ち着いてもらう必要がある。そう判断したレナは、この場での追求は避けて、バッツの提案に同意する。
「邪魔するぜぇ」
だが、一足遅かった。
お供の忍者を連れて訓練場に入ってきたのは、エブラーナ王子エドワード。
「おや、エドワード王子。このようなところに何用ですかな?」
「エッジでいい。突然悪いな、ヤン僧長。ちょろっと見学させてもらいたくて──ん、先客か⋯」
エドワード──改め、エッジは目を細めて明らかにファブールの人間ではないレナ達を少し見つめて──
「もしかしてレナ王女か!?」
「ご無沙汰しております。エドワード王子」
先程までの相手を見定めるような目つきは、一瞬で好奇の目へと変わる。
「何年ぶりだ?こりゃまた随分と美人さんになって──」
「な、なんだコイツ⋯⋯」
そんなエッジの態度に難色を示したのはファリス。
「コイツではありません。エブラーナ第一王子、エドワード=ジェラルダイン様でございます」
ファリスの単なる不快感から来るリアクションに応えたのは、エブラーナ忍軍"乙"部隊隊長フルム。エブラーナ軍唯一の女性隊長である。
暗めの赤色の忍装束をアレンジしたエブラーナの礼装に身を包む、大人びた女性。齢はレナ達の少し上──20代半ば程度だろうか。
「んで──どういう、集まりだ⋯?」
ファリスとガラフの立ち位置から、2人をレナの従者だと推測するが、見た目の印象がそれと一致せず困惑するエッジ。
「クリスタルの戦士ですよ」
エッジの疑問に答えたのは、またもフルム。
「ですが、だとするとあと一人は⋯?」
フルムが聞き及んだ話では、クリスタルの戦士は4人。だとすれば、あと1人がこの場にいるはずだが、当然ヤンはそうではないし、クマのような大男もガラフ、ファリスの2人とはレナとの距離感の微妙な違いを感じる。
「そりゃ──」
エッジが何かを言い始めると同時にレナ達の前から姿を消して──
「コイツだろ?」
大回りしてエッジ達を避けて訓練場から逃げ出そうとしていたバッツを捕らえる。
「なあ、バッツ?」
「バッツ──様⋯?」
「様⋯?」
まだ名乗っていないバッツの名を呼ぶエッジとフルムに驚くレナ。
「ひ、久しぶり⋯エッジ
「にい⋯?」
バッツが口にしたエッジの呼び名に更に疑問符を浮かべるレナ。
「ば、バッツ⋯?エドワード王子とは、一体⋯」
「え、えっと⋯その⋯エッジ兄は⋯俺の、従兄だよ⋯」
「ええーっ!?」
レナの大声がファブールの訓練室に響き渡る。
というわけで、衝撃の事実でした。
バッツ+忍者の設定は前々から考えてたんですけど、エブラーナ王家の血族にする設定はファブール編書き始めてから思いつきました。
リックスの村に忍者用のアイテムが売ってるのを拾った形になります。
本当はバッツだけ忍者アビリティが発動できない(素で忍者の戦闘技術を使えるため)とかやりつつ小出しにしていく想定で前話も書いてたんですけど、更新も滞っていたのでここで一気にお出ししてしまいましたね