「アンタ…寒くないのか…?」
「興味ないね」
ロックはこの極寒の地をノースリーブで歩く自称元ソルジャーの協力者に疑問を投げかけるが、短い付き合いながら何度聞いたかわからない口癖であっさりと切り捨てられる。
「ソルジャーってのは本当にバケモノなんだなぁ…」
神羅電気動力株式会社――通称、神羅カンパニーは大商業都市ミッドガルを企業城下町とする企業であり、その影響力の大きさから国家と同レベルの自治権を認められている程の巨大企業である。当然のように私設軍隊を擁しており、その中のエリート兵がソルジャーと呼ばれる戦士である。そして、寒冷地を軽装でありながら平然な顔で歩いている男――ザックス=フェアはかつてソルジャーとして神羅カンパニーに所属していたらしい。疑わしいほどの経歴だが、それが偽りでないことを彼の青い瞳が証明している。
「それにしても、ザックス。何で神羅をやめちまったんだ?」
「興味ないね」
大企業の精鋭兵士。その地位を自ら捨てて傭兵に身を窶すとは相当な事情があるはずだが、彼にとっては興味のないことらしい。
「へいへいそうですかい…」
予想通りの返答に、ロックはつまらなさそうに自慢のバンダナを整える。誰にだって他人に言いたくない過去のひとつやふたつあるものだ、とロックは納得することに。こんなことならムスタディオのやつでも連れてくるべきだったか。ロックは年下の友人の顔を思い出しながら黙って雪道を歩く。
冷めた空気の中をしばらく歩いていると、遠くに建造物の一群が見える。
「あれか」
「ああ、そうみたいだな」
やっと口癖以外の発言――とはいっても3文字だが――をした元ソルジャーに対して、ロックは自信なさげに答える。彼らはとある任務のために、雪山の炭鉱都市ナルシェを目指しており、たった今吹雪の向こうにそれらしきものが見えたところだ。こんなところにナルシェ以外の都市があるという話は聞いたことがないしあるとも思えない。だが、ロックも実際に来るのは初めてであり、雪山に都市が存在しているというのは何とも不思議な光景だった。
ロックはそのまま真っすぐナルシェに向かわずに迂回するような進路をとる。
「どうした?」
「ナルシェはリターナーに加盟してない――どころか、はっきりと反目の姿勢をとってるんだ。だから、俺たちの目的はあくまでも幻獣を帝国の手から守ることであって、ナルシェの防衛じゃない――って説明しなかったっけ?」
「興味ないね」
ああ、そういえば仕事内容の説明もこうやって適当に聞き流していたな、ということを思い出してロックは苦笑を浮かべる。
やっと二次創作っぽさとクロスオーバーっぽさが出ましたね。今回のタイトルとメインキャラの名前が一致していない理由は、原作をプレイされてある方であればお察しかもしれないですね。そもそも未プレイの方は何もかもさっぱりだと思いますが…