FINAL FANTASY Union   作:緑汁

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エピローグ

 耳を劈く爆音か体が宙に浮くほどの大地の揺れか、心地よい眠りを妨げたのがどちらかはわからなかったが、ただならぬ事態に見舞われたことだけはすぐに理解した――のとほぼ同時に、僅かに浮いた身体が寝ていたときと同じ体勢のまま地面に叩きつけられる。

 

「いてて…」

「クエー」

 

 茶髪の青年、バッツ=クラウザーは体を起こしながら駆け寄ってくれた相棒の走鳥(チョコボ)――ボコの頭を撫でる。

 

「ありがとう、ボコ」

「クエクエー」

 

 バッツは背中についた土と草を払いながら辺りを見回す。バッツの髪に残った草を、ボコが嘴で摘み取る。

 

「あれは…?」

 

 森――タイクーンへ向かう途中の草原で昼寝をしたのでタイクーンの森だろう――から空に向かって岩のようなものが突き出しているのが確認できる。今になって違和感を覚えるということは昼寝の前にはなかったのだろう。先程の音と衝撃はあの岩の出現と関係しているかもしれない。

 

 ただ事ではない。人為的な物――例えば魔法によるものなのだろうか。それとも自然発生したものなのだろうか。どちらにせよ森の動植物はもちろんのこと人間にだって被害を与えている可能性がある。

 好奇心ではないといえば嘘になる。しかし、バッツという青年はこの異常事態を黙って見過ごせるような男ではなかった。

 

「行こう」

「クエー!」

 

 ボコの背中に飛び乗ったバッツは自分の腰に剣が装備されているのを確認すると、相棒に呼びかけて森に向かって走らせる。

 つい昼寝をしてしまうほどに気持ちよかった空気が嘘のように淀んでいる。

 

(風が止まっている…?)

 

 風の異変。本来そこにあるはずの自然の営みが失われている。嫌な感じがする。こんな事態に見舞われれば当たり前ではあるが、そうではない。いつかこうなることがわかっていた気がする。バッツはこの異常事態に驚きよりも、何か記憶の一部に触れられたような感覚を覚えたのだ。それが堪らなく気持ちが悪かった。

 好奇心と正義感はすぐに不信感へと置き換わる。誰の為でもない自分のために、謎の巨岩へと向かう決意をする。その意を汲み取ったのか、ボコは気合の声を上げて一気に加速する。

 

 何故か先程の昼寝で見た夢が頭から離れない。自分の状況が何一つわからないのに自分の意思とは無関係に話だけは進んでいく。夢とは概してそういうものなのかもしれないが、妙に実感がある夢だった。まるで誰かの視点を盗み見しているような、そんな感じだ。謎の輝石――クリスタルのことを知っていたのも夢の世界の登場人物だったからではなく、現実の自分が知っていたからだ。そんな気がする。

 またもバッツは記憶に触れられる感覚に襲われた。自分の無意識が見せた夢が、風の異変と謎の巨岩に関係があるとは流石に思えないが。

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