初投稿です。
文章力、構成力、描写力全て未熟でしかないですが、温かい目でお読みいただけると幸いです。
ここはジョウト地方、ワカバタウン。
どちらかといえば田舎に分類されるこの町を1台のトラックが走っていた。
そしてそのトラックは、1軒の家の前で止まった。
「………ん?止まったってことは着いたのかな?」
トラックの荷台の中に居た少年は、トラックから伝わる振動がなくなったことで、そう思った。
すると荷台の扉が開けられ、
「ツバサ、起きてる?到着したわよ」
「了解、すぐ行くよ」
そう伝えに来たのはツバサの母、ソラであった。
ツバサは道中の暇つぶしに読んでいた本をカバンにしまうと、トラックの外に出た。
「ここがワカバタウンか……ニビシティとはまた違った雰囲気だな」
そう、彼らはカントーのニビシティからここ、ワカバタウンへと引っ越して来たのだ。
「まずは荷物降ろさないとな…っと、その前に…」
ツバサは自身の手持ちである、荷台で寝ているポケモンたちを起こすことにした。
「カブト、オオタチ、もう着いたぞ。荷物降ろすから起きろ」
石のような甲殻を持つポケモン―――カブト。
尾の長いイタチのようなポケモン―――オオタチ。
どちらもツバサが幼いころから一緒にいるポケモンだ。
2匹は目を覚ますと、すぐに荷台から降りた。
「さて、とっとと終わらせるか…」
取りあえずは引っ越し作業を終わらせなくては、ツバサたちは荷降ろしを始めた。
「……まぁ、こんなもんでいいか…」
程なくして、ツバサは自分の荷物、部屋の整理を終わらせた。
訳あってツバサの荷物はそう多くないため、それほど時間はかからなかった。
「お前らもありがとな」
カブトとオオタチに礼を言うと休憩も兼ねて2匹にポケモンフーズを渡し、ツバサ自身のお茶で一息ついた。
すると、
「ツバサ~!これから挨拶に行くから、あなたも来なさい」
「わかった母さん。すぐ行くよ」
こちらも荷物の整理を終えたであろう母に呼ばれ、ポケモンたちと向かった。
「確か、父さんはもう行ってるんだよね?」
「そうよ。色々と打ち合わせとかも必要だったみたいだからね」
そんな話をしながら、目的地へと向かっていた。
そして数分も歩くと目的地へと到着した。
「……ここがウツギ研究所か。最近出来たってだけあって、結構きれいだね」
「ええ。といっても研究所なんて外観がいくらきれいでも、中が散らかっているのが定番だからね。まずは整理整頓から始めないとかしら……」
「どうだろ?ウツギ博士はそういったタイプの人には見えなかったけど…」
「あのころは年齢的にも一番下だったもの、そりゃあキッチリしてるに決まってるわよ。でも実際はどうだかは別よ。これからは上司になるといっても、厳しくするところは厳しくしな
いと…」
「……ウツギ博士、ご愁傷様……」
そう、二人の目的地は、有望な若手研究者ウツギ博士が所長を務めている研究所であった。
ツバサの両親は研究者であり、今回ウツギ研究所に異動するということで、はるばるジョウトまで引っ越して来たのだ。
隣の母の表情に何やら恐ろしいものを感じるが、とりあえずは研究所に入ることにした。
「……思ってたほどは散らかってないみたいね……」
「まあ、ある程度乱雑なのは仕方ないとしても、これくらいなら問題ないでしょ」
「それもそうね……」
多少書類などが散らかってはいるが、想像していたよりは片付けられていた。
するとそこへ、
「あ、ソラさん、いらっしゃってたんですか!ツバサ君も久しぶりだね」
「よ、思ってたよりも早い到着だったな」
奥から現れたウツギ博士とツバサの父、カイが二人を出迎えてくれた。
「お久しぶりです、お邪魔しています」
「ウツギ君、久しぶりね。アナタもお疲れ様」
「いやあ、まさかお2人がウチに来てくれるなんて、心強い限りです」
「といってもウツギ君の専門である”進化”については専門外だから、そこまで力にはなれないわよ?」
そう。ウツギ博士の研究テーマがポケモンの”進化”であるのに対し、カイとソラのテーマはポケモンの”生態”。野生のポケモンの行動などを主としており、かの有名なポケモン図鑑
の開発にも関わったほどの研究者である。
「いえいえ、野生ポケモンについての知識があるだけでも相当頼れますし、最近では特定の場所でなければ進化しない、といった報告も出てきてますからね。非常に頼りになります。そ
れにですね……」
「(……話に入れない……)」
段々と研究者同士の話に熱が入って来てしまったために、その場を離れるツバサ。
仕方なしにと研究所内を見て回ることにした。
その時、ツバサはふと何者かの視線を感じた。
「(ん?他に誰かいるのか?)」
ならば挨拶せねばと思い視線を感じた先へと向かうが、
「(……誰もいない?気のせいか?)」
視線を感じた先には誰も居らず、積まれた書類と、書籍類があるだけだった。
「ゴメンゴメン、ツバサ君!放ったらかしにしちゃって…」
疑問を抱くツバサの元へ、ウツギ博士がやってきた。
「いえ、別に気にしていないので構いませんよ。家でもよくあることですから」
何故に研究者というものは夢中になると周りが見えなくなるのか、ツバサにとっては永遠に解けることのない謎である。
「いや、君も似たようなものだって聞いてるけどね…」
夢中になると周りが見えないのはツバサも同様。正しく研究者の血を引いている。
傍らのカブトもオオタチも、ウツギ博士の言葉にうなずいている。
ポケモンたちに気付いたウツギ博士は、特にカブトをじっと見ると、
「…実際に見るのは初めてだよ。ツバサ君、この子が”例の”カブトなのかい?」
「…ええ。恐らくウツギ博士の考えている通りだと思います」
「いやあ驚きだよ。まさか化石から復元されたポケモンに逢えるなんて…」
そう。ツバサの持つカブトはただのポケモンではない。
ニビシティにある化石研究所の研究成果である”化石復元マシン”。そのマシンによって初めて復元されたポケモンなのである。
今のところは野生での目撃例、生息例は報告されていないことから、所謂「伝説のポケモン」と同列に扱われる、非常に希少なポケモンでもある。
「オレとしてはもう、そんな感覚はありませんけどね。長い付き合いですし……」
当のカブトは目を輝かせるウツギ博士を見て少し恥ずかしそうに照れている。
そんなカブトを「調子に乗るな!」と言わんばかりに叩くオオタチ。
自分に興味を持たれないことに嫉妬しているのだろうか、叩かれておきながらカブトは微笑ましそうにオオタチを見ている。
またいつも通りのやり合いが始まりそうなので、ここはウチじゃないんだから…と2匹を諌めるツバサに、ウツギ博士はあることを尋ねてきた。
「そういえばご両親から聞いたけど、ツバサ君は旅に出るつもりなんだって?」
「ええ、せっかくジョウトに来たので。カントーは旅する意義があまりなかったので」
「まあ、ご両親に着いてあちこち行っていれば、自分で旅しようって気にはならないか」
生態調査のためにフィールドワークを主とする両親に連れられ、既にカントー地方のほとんどの場所を訪れているツバサ。
ツバサとしてもフィールドワークではなく、1人のポケモントレーナーとして旅をしてみたいという気持ちはもちろんあった。
しかし、既に訪れた土地をわざわざ巡るというのはどうにも気が進まなかった。
だが今回のことでジョウトという未知の地方に来たために、旅に出る意思が生まれたのだ。
「うん。ツバサ君が将来をどうするつもりなのかボクには分からないけど、そういう経験はいつか役に立つと思うよ。ボクからもいくつか餞別を送るつもりだから」
「ありがとうございます、ウツギ博士。あ、そういえばなんですけど…」
ツバサは先ほど感じたと思われる視線について尋ねてみた。
「う~ん……今はボクとツバサ君、後はキミのご両親しか居ないはずだけど…」
少し思案顔のウツギ博士であったが、突然「あっ」と何かを思い出したようで、
「もしかしたら”あの子”かもしれないな…」
「あの子?」
「うん。あ、ホラ、今後ろに…」
「えっ!?」
ウツギ博士に言われて振り向いた先に居たものとは……
To be continued……
ありがとうございました。