ケ○ト死の国姉妹の妹の衣装は何時もアレなセンスであるということはカルデアでは常識だ。
そう思っていないのは彼女だけであるということも。
例えば、良い年になった女性がセーラー○ーンのコスプレをしていて、
しかもそれがコスプレで無く普段着だと言われたら最早何も言えない。
それを言えるとしたら英雄、いや、大英雄が必要だろう。
それこそ猛犬の様な気概のある大英雄が。
どこぞの兄貴が、妻には色々と負い目がある上で、敢えて
「もう少し、普通の女みたいな服を着たらどうだ」
と苦言を呈した。
誰もが彼を男らしいと思った。思っていても口には到底出せないような事を平然と言ってのける。
誰もが其処に痺れて憧れた。
そして、夫に免じて偶には自分のセンスを周囲に合わしてやるか。
そう思った彼女が見回した周囲は参考にするには悪すぎた。
カルデアは奇人・変人の類が跋扈する魔境。当然そのファッションもキ○ガイ染みていた。
偶々彼女の近くを歩いていたナイチンゲールをファッションの討議をするためにと自室に連れて行った彼女は、
『普通の女の子( )』な服装を作り上げてお披露目に来た。
コンセプトは『大衆にウケそうな作品を作るヒットメイカーが魔法戦士を企画したら』だった。
ナースでエンジェルな魔法戦士装束を纏った彼女は、色々とキツいところが無い訳ではないが、
今までの衣装と比べればマシだった。
彼女の認識する普通が他とは違うという事は完全に証明されてしまったが。
尚、何処かの婦長さんは一瞬でその戦装束を気に入ったらしく、
折角、元々悪くない趣味の服を着ているにも関わらず、
どちらかと言えばまともな方のケ○ト女王(まともとは言ってない)の新作を絶賛した故に、
変身グッズはその婦長さんと、魔法少女でホムンクルスな娘さんに後日贈られる事となった。
因みに、その変身グッズは使い続けると、誕生日の日に一輪の花に変えられてしまうという呪いの欠陥があったので、
魔法少女の親御さんたちに没収されることになったのは完全に余談である。
果たして『普通の女の子』の概念とは何か?
そんな素朴で深い疑問を多くの者に残したこの事件だったが、ディルムッドを看護師萌えの境地に送った事以外には、
大した余波も生む事は無かった。
後に、彼がナースエンジェルSOS事件を起こす事も含めて完全に余談である。
だが、今回の事件に密かに影響されたものがいた。
そう、蜂蜜の女王メイヴだった。
「何あれ、あざとい…。そう、普段はあっさりした態度と冴えない服をアピールしておいて、
時折見せるあざとさで落したのね」
ケ○ト姉妹の妹の方は、夫に惚れられたときは、普通に何時ものセンスの無い魔法戦士装束だったが、
そんな事を知らないメイヴは、彼女に振り向かなかった男がいたのは、
彼が看護師衣装にしか欲情できないのが理由なのだったのかと判断した。
その結果、メイヴはナース服を常に着用するようになった。
勿論、ナイロン生地のコスプレ染みた丈の短いナース服だ。
そして、その奇行は更に感染した。
姉の方もピッチピッチのサイズ小さ目のタイツの様なナース服を着用し始めた。
こういうのが妹の旦那の好みだと、メイヴが言っていたのを聞いたからだ。
それは、なんというか、色んな意味でキツ過ぎた。
ケルト女王3人衆がそれぞれのナース服で身を包む。
圧巻というよりかはカオスだった。
その様にケルトの英雄は頭を抱え、その伯父は眼福だと喜んだ。
何処かの妹は自分よりセンスの無い姉の衣装を失笑していた。
だが、彼女は気が付いていない。
傍から見れば、自分の衣装こそがアレなんだ…。そう思われていることを。
更に、妹本人だけでなくケ○トへの熱い風評被害も沸き起こった。
イギリス勢は、火を通してしまえば何でも食べられると思われていると同様に、
アイルランド勢は、服を脱がしてしまえば、どうせやる事は同じだから一緒だと考えているんだな、と思われ始めてきたのだ。
だが、在る時彼女のセンスへの周囲の印象が、更に大きく変化する事態が起きた。
聖杯の欠片とケル○な姉の所業により、夏の無人島へと向かうになったカルデアの人々。
それぞれが姉の仕業により、露出度の高い水着衣装に姿を変えられた。
妹は、姉に霊器を弄られるのは御免だと、弄られる前に自分でその姿を変えた。
具体的には、魔法騎士と書いてマジックナイトと呼ぶ。
即ち、
海に入る為の水着を着るという事を、水中戦に特化したロボットの中に入るという事と結びつけた。
海=足を奪う砂地と、潜み隠れる場所がある水中。そう捉えるところが戦闘民族らしいと言えばらしいが、
他のサーヴァント達が水着を着てはしゃいでいる中、その背景に巨大ロボットがいるというのは何ともシュールである。
実はロボットの中では、制服の様な衣装を着ているのだが、
この異変解決の間、ロボットから降りる事は殆ど無かったので、
ケ○トの一部では、鋼鉄のロボットの事を水着と言うのだと、カルデアでは益々ケ○トのセンスに疑問符を抱く者が増加した。