なろう小説で英雄譚   作:hotice

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ちょっと明日から友達と旅行行くので遅れます。


4話

 そいつは唐突に表れた。不吉な靄に包まれた狂戦士。全身を覆う黒い甲冑は靄によって上手く認識をずらされる。

 ただ一つだけ、頭部の兜から一筋の赤い光がアーチャーをじりじりと睨み付ける。

 

 「俺に何か用か?バーサーカー」

 

 アーチャーは前に出て問いかける。その手は既に、剣へとかけられていた。

 尋ねなくとも見ただけで分かるほどに漆黒の戦士は狂っていた。バーサーカの名に相応しいほどに狂気をただ振りまく。

 

 「■■■■■■■■■■■ーーー!」

 

 二度目の咆哮が響く。

 

 バーサーカーは重心を落とし、全身に力を籠める。獣が今にもとびかかろうとするようであった。

 

 「…………仕方ないか。おい、すまんがライダー達よ。こいつは俺に用があるらしいんでな、少し戦わせてもらうぜ」

 

 その場にいた誰もに利のあることであったが故に、誰も異論を挟まない。

 恐らく一対一でアーチャーに勝てるサーヴァントはほとんどいないだろう。しかしそれがどれ程飛び抜けているかを誰もが知りたがっていた。

 ステータスを見るに大英雄クラスであるのは間違いない。下手をすれば対アーチャー同盟も必要になるかもしれない。

 

 

 「さて。では、行くぞ。バーサーカー!」

 

 アーチャーがその手に弓を出現させる。

 そうして目にもとまらぬ速さで弓が引かれ、矢が飛び出す。まるでマシンガンの如く、矢が吐き出される。

 しかしながら連射にも関わらず、威力は圧倒的。

 バーサーカーがいた場所は爆撃でも受けたかのように轟音とともに爆散する。

 

 

 イスカンダルが思わず「おお……」と感嘆と唸りの混ざったような声を上げた。

 

 「坊主、お前さんは見えたか?」

 

 「いや、早すぎて全く矢が見えなかった……。さすがはアーチャーのサーヴァントだな」

 

 ウェイバーは緊張した表情で答える。先ほどのセイバーとランサーの戦闘がかすむほどの破壊力。

 そのステータスの圧倒的な蹂躙は、ウェイバーの目に焼き付いていた。

 

 「そんなことではないわ、戯け。

 

 

 いいか?あいつが撃ちよったのは、──剣だ。それも間違いなく宝具レベルの物を、何種類も、だ」

 

 その言葉にウェイバーは振り返る。余りにも理解しがたい言葉であった。

 

 「そんなことありえない!じゃああいつは何種類も宝具を持ってるのか!?」

 

 本来、宝具はサーヴァント一人当たり一つや二つしか与えられない。言うなれば宝具は必殺技なのだ

 それを十数もの宝具を持っている上に、雨の如く降らせる等考えられないことなのだ。

 

 セイバーやランサー達もその事実に気付いたのであろう。驚愕を顔に張り付けていた。

 

 「そんでもってバーサーカーもだ。あいつ狂っとる割に、中々芸達者な奴だのう」

 

 イスカンダルは顎に手を当てて、また唸る。

 バーサーカーは最初に飛んできた宝具を掴んだ後に、致命的な場所に飛んでくる物だけを弾き、残りの宝具は全て紙一重で避けていた。

 

 「ああ、あれだけの数の宝具を捌いて、鎧の傷だけしか負わないとは。恐らくはさぞ高名な武芸者だったのだろう」

 

 ランサーもイスカンダルの言葉に賛同する。狂っていてもなお発揮される技は、絶技と称されるべきものだった。

 

 

 「中々やるな、バーサーカー。これ以上撃ったところでお前にはあまり意味はないか」

 

 アーチャーはそう言って、弓から剣へと持ち替える。腰にかけた剣が、するりと引き抜かれる。

 

 「その剣は!?」

 

 思わずセイバーが驚愕とともに言葉を溢した。

 

 何故ならその剣は、彼女に仕えた騎士が振るった剣にあまりにも似ていたのだ。湖の騎士、ランスロットの振るったアロンダイトそっくりであったのだ。

 細部を細かに見れば少々違うものの、決して刃の毀れることのない神造兵装であるアロンダイトと同様の素材でそれは出来ていた。

 

 そしてセイバーはおずおずと自身のマスターに訪ねた。もしあの剣がアロンダイトに近しいものであるのならば、どうしても確認せねばならないおとがあるのだ。

 

 「アイリスフィール。今アーチャーのステータスはどうなっていますか?」

 

 「え?………ッ!!」

 

 アイリスフィールは目を見開いた。その目に映るのは暴力的な光景であったために。

 

 「全て、A++だわ……」

 

 開いた口が塞がらないとはこのことであろう。今この場にいるサーヴァントのどのステータスもアーチャーには勝てないのだ。

 間違いなくセイバー達は一流のサーヴァントである。にも関わらず、アーチャーとの間には絶望的な差が開いていた。

 

 「やはり、ですか……」

 

 アロンダイトの能力、持ち主の身体能力の向上まであの剣は持っているのかとセイバーは歯噛みする。最早考えたくもない組み合わせであった。

 

 

 

 そんな間にもアーチャーはバーサーカーへと剣を向ける。

 

 「行くぞ、バーサーカー」

 

 アーチャーは剣を構えて突撃する。けれどその暴力的なステータスによってアスファルトはめくりあがり、アーチャー自身は砲弾の如くバーサーカーへと詰め寄っていく。

 俊足のランサーよりもなおも早いアーチャーにすれば、バーサーカーとの距離など無いに等しいものである。

 

 次の瞬間にはバーサーカーに剣を斜めから振り下ろしていた。

 バーサーカーも淀みない動きで剣を合わせる。

 

 一度目の衝突。剣を合わせたとは思えないような重く低い音が辺りに響く。

 しかしステータスの差を考えれば当然のことではあるが、バーサーカーだけが剣をはじかれバランスを崩す。そのままアーチャーは切り返して、バーサーカーを叩き切ろうとする。バーサーカーは咄嗟に剣を間に滑り込ませるも踏ん張ることも出来ずにそのまま弾き飛ばされる。

 

 まるで砲弾の如く弾かれたバーサーカーはそのままコンテナへと突っ込む。

 

 

 「圧倒的すぎる……」

 

 ウェイバーはぽつりと呟いた。最早ステータスに差がありすぎて、勝負にすらなっていなかった。

 もちろんバーサーカー故にステータス差を考慮できずに力押しでつぶされたのだが、分かっていても簡単にどうにか出来る差ではなかった。

 

 先ほどの戦闘を鑑みても、間違いなくセイバーとランサーでは打ち合うことは不可能であった。

 打ち合った時点でバーサーカーの二の舞、バランスを崩されて終わりである。しかし守りに身を固めて、カウンターで倒せる相手にも見えない。それ程の隙をアーチャーは与えてくれないだろう。

 

 

 しかし、まだ戦いは終わらない。コンテナから現れたバーサーカーが右手を掲げる。 

 

 「■■■■■■■■■■■ーーー!!!!!!」

 

 右手に黒塗りの剣が現れる。それと同時にバーサーカーを覆っていた靄が消え、鎧がはっきりと映し出される。

 その場にいた面々は、一人を除き似たような形の剣が二つ揃ったことに驚いていた。持ち主のアーチャーまで驚いた顔をしていたのがウェイバーには印象的であったが。

 

 そして残りの一人。ただ一人だけ、セイバーだけがその露わになった鎧のことを、手に現れた剣のことを知っていた。

 鎧だけでもすぐに分かった。何せそれは戦場を共にし、何度も背中を預けたのだから。

 

 「ら、ランスロット……」

 

 

 




雁夜おじさんぶち切れで令呪解放
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