第一層ボス、《イルファング・ザ・コボルトロード》を倒した興奮がなかなか覚めずにいた。が、その空気は一瞬で壊れた。
「なんでだよ!」
そんな叫びが唐突に場を静まらせた。
声をあげたのはディアベルの隊にいた槍使いだった。顔をくしゃくしゃにして涙をこらえながら叫んだ。
槍使い「なんで、リュウを見殺しにしたんだよ!」
キ「……見殺し?」
槍使い「そうだろ!だって…お前やつが武器を変えたとき、『やっぱり刀か』って言ってたし、それに、ボスが使う技とか知ってたじゃないか!!あんたが最初からその情報を伝えていれば、リュウは死なずにすんだんだ!」
「そういえばそうだよな?」「攻略本にも載ってないのに?」「やっぱりってどうゆうことだ?」
再び場に声が戻ってきた。ただ、その声は先ほどの歓喜の声とは違う疑いの声だが。
雄「全員聞け!やっぱりって言ったのは俺のせいだ!」
雄二が大声で叫んだ。
「俺のせいってどうゆうことだよ?」
雄「俺が以前会議で出した《フルヒトベアー》の名前を覚えてるか?俺達が倒したそいつはとある羊皮紙をおとしたんだ。そこには《イルファング・ザ・コボルトロード》に関する情報があった。だが、まったくそれが真実だという確証が皆無だった。まして《刀》なんて武器があることすらわからないのにあそこで言っても場を混乱させ皆に不安を与えるだけだと思ったから伝えなかったんだ。すまなかった。明久、出してくれ。ディアベルと、槍使いのあんた、確認してくれ」
明「はい、どうぞ」
ディ「ありがとう。…確かに、書いてあるねそれに雄二さんの言うことももっともだ。この情報を会議で言っても混乱の元になっただけだっただろう」
ディアベルさんが言った言葉で若干非難の声はやんだ。だが、
「おれ知ってる!そいつβテスターだ!だからスキルのこととか知ってたんだ!知ってて隠してたんだ!」
急に声を荒げたのはキバオウの隊のメンバーだった。
「もしかしてあの攻略本自体も嘘なんじゃないか?アルゴってやつもテスターのはずだからただで情報を教えるはずがなかったんだ。実は知ってたのに嘘を書いたんだ!」
ディ「それは違う!アルゴが書いた情報はβテストの時のもので間違いない!オレはテスターだ!この目で見たものだ!間違いない!」
ディアベルの唐突な告白に皆が耳を疑った。
キバ「な…なにを、ゆうとるんや?ディアベルはん?あんたが…テスターやって?冗談やろ?なぁ!」
槍使い「本当かよ!ディアベルさん、あんたが…」
キ(やばい。ディアベルはアルゴへの糾弾をかばうつもりだ。そうなれば、あんたはただじゃすまないはずだ。攻略パーティーのリーダーで、九千人を越えるビギナーの代表。そんな存在だったあんたがテスターだなんて知ったら、どうなるかわからないのに…。こうなったら…)
キバ「あんたがテスターやなんて、今までわいらのことをだま」
キ「フハハハハハ!」
明「キリト?」
ア「キリトくん?」
キ「元テスターだって?お前ら、俺をそんな似非野郎と一緒にしないでくれないか?」
キリトはキバオウの言葉を無理矢理止めさせて言った。
キバ「な…なんやて?」
キ「思い出せよ。βテストの倍率はとんでもなかったんだぜ。受かった千人のうち本物のゲーマーが何人いたと思う?ほとんどは今のあんたらの方がよっぽどましな初心者だったよ。でも、俺はそこの似非野郎や初心者テスターとは違う」
明(キリトは突然何を言い出すんだろう?これじゃあまるで…)
「キリ」 ガシッ
キリトに話しかけようとした僕の肩を雄二が掴んだ。そして、目で何も言うなと語っていた。僕達には何もできない。と。
キ「そいつらならせいぜい二層が限界だっただろう。だが俺は誰も到達しなかった層まで登った。《刀》を使うモンスターともそこで戦ったんだ。だから知っていただけだ。他にもたくさん知ってるぜ。アルゴなんか問題にならないくらいな」
「なんだよ…それ」「そんなの、もうチートじゃねぇか!チーターだ!」
その後、周囲からチーターだ、ベータのチーターだといういくつもの声が上がるなか、誰かが言った《ビーター》という響きがキリトに届いた。
キ「《ビーター》か、いいなそれ。そうだ。俺は《ビーター》だ。これからは元テスターごときと一緒にしないでくれ」
キリトの発言によって、《素人上がりの単なるテスター》と《情報を独占するビーター》にわかれた。おそらくディアベルは前者ととらえられるだろう。
言い終わると、キリトはLAボーナスで手に入れた、《コート・オブ・ミッドナイト》というアイテムをまとうと、ボス部屋の奥の小さな部屋へ歩き始めた。
キ「二層の門は俺が有効化してやるよ。ついてくるなら初見のモンスターに殺される覚悟しとけよ」
キリトはそのまま歩いていった。
階段を上がり、扉を開くと、そこには二層の草原が広がっていた。
キ(少しくらいこの景色を独り占めしててもいいだろう。それくらいの権利なら俺にもあるはずだ)
キリトは、近くの岩場に腰をおろした。すると、三つの足音が近づいてきて、キリトの前で止まった。
キ「来るなって言っただろう?」
雄「覚悟があるならこいって言ったんだろう?」
明「雄二の言う通りだね」
ア「えぇ。」
キ「そうだったっけ?ごめんな」
明「何を謝ることがあるのさ?キリトはよくやったよ。謝るのはこっちだよ。僕達はあの場で何もできなかった…」
キ「明久……きにしないでくれ。俺はもともとソロだからな。ギルドに入れてもらえなくなっただけだ」
明「なら僕達のギルドに入ればいいよ!ねぇ雄二?」
雄「あぁ。俺達はいつでも大歓迎だ。キリトならな」
キ「今はまだ無理だよ。しばらくはまだソロでやる。これは俺の宿命なんだろうな。でも、お前らは違う。仲間がいるだろ?ソロにはいずれ限界がくる。ソロでやってきた俺が言うんだから間違いないよ」
ア「………三人から伝言があるわ」
キ「へぇなんて?」
明「ディアベルさんから、本当にすまない。必ず借りは返す。って」
ア「エギルさんから、二層のボス戦も一緒にやろう。って」
雄「サボテンから、今回は礼を言うがお前をやっぱり認められない。自分のやり方でクリアを目指す。ってよ。あと、エギルの言葉と同じ言葉を俺達からも送るぜ」
キ「ありがとう。」
ア「最後に私から、頑張って強くなるわ。あなたの隣で戦えるくらいに」
明「僕達もね。じゃあ……またね、キリト!」
キ「あぁ。またな、明久、雄二、アスナ」
そう言ってキリトは二層の町へ向けて歩いていった。僕達はそれをただ見ているしかできなかった。
雄「……明久、お前次回からもうスキル隠さなくていいぞ。隠してたらあいつには追い付けねぇ」
明「いいの?」
雄「ただ少し交渉で使いたいからその後ならな」
ア「隠してるスキルって何?」
明「内緒にしてくれる?」
ア「いいわよ」
明「《ファントム》」
明久がそう唱えると、隣に幻影が表れた。
明「これが僕のスキル《ダブル》だよ」
ア「…そう、ありがとう」
僕は、見せるとすぐに幻影を消した。
ア「そうだ、私をあなたたちのギルドに入れてくれない?ただ、今は一緒には入れないけど…」
雄「かまわんさ。もともとあんまり規制とかないしな。基本二人組以上で動いてるくらいだ。誰かついていった方がいいか?」
ア「大丈夫よ。どこかの黒い剣士さんでも捕まえるから」
明「なら大丈夫だね」
その後、雄二がアスナさんのギルド加入の申請を受理し、はれて『FA騎士団』のメンバーとなった。そして、三人はボス部屋に戻っていった。
ボス部屋に戻ると、そこには既に僕達『FA騎士団』と何人かしか残っていなかった。アスナさんは先に戻っていった。
優「無事伝えられた?」
明「うん。大丈夫だよ。ディアベルさんは?」
優「自分達の隊の人とキバオウさんの隊の人を連れて出ていったわ。自分のことを話すって。テスターだったことを隠していた罰なんだって言っていたわ」
明「ディアベルさん……大丈夫…だよね?」
秀「大丈夫じゃろう」
優「えぇそうね。彼は間違ってないわ。隠れたままのテスターも反テスターも全員をまとめて引っ張っていたんだもの。彼が例えテスターだったからといっても、その事実は決して消えないわ」
明「そう…だね。僕がここで考えてても変わることじゃないし、きっとみんな受け入れてその上で先に進むよね!」
秀「では、わしらも戻るとするかの」
愛「僕お腹すいちゃったよ」
ム「……疲れた」
翔「……私も」
ボス部屋に戻ってきてからずっと黙っていた雄二は皆に向けて言った。
雄「…お前ら、強くなるぞ。キリトを早く救い出すためにも」
明ア優秀翔ム愛「「「「「「「おう(ええ)(うん)!」!」!」!」!」!」!」
こうして僕達はさらに上を目指す決意をした。
どうもコクトーです。
今回はかなり早く書けました!
次もはやいうちにあげれると思います。それと言うのも、今回の話と次回の話で一話にしようとしたら五千文字越えたので二つにしました。
次回、まさかの忍者コンビ登場????
とまぁ物語へ
とりあえず話の振り方や繋げ方がめちゃくちゃですいません。
どうしてそこに繋がるんだよってことが多々あります。ご了承ください。
ディアベルがテスターだと打ち明けました!
このあのディアベルさんがどうなるかは後々わかるはずなのでお待ちください。
あとアスナさんがギルド加入しました。結盟騎士団どうなることやら?
最後に、今回もこの作品を読んでくださった皆様本当にありがとうございます。
感想をくださった方々、誤字の指摘をしてくださった方々とてもありがたいです。
これからもがんばります!