明久一行のSAO   作:コクトー

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雄二とアルゴと体術と

 僕達が街に戻ると、もう二層への門が繋がっているらしく、かなりの人数が移動した後だった。僕達もすぐに二層に移った。

 

僕達が宿を探して歩いていると、向こうから忍者の格好をした、奇妙な二人組がやって来た。

 

忍1「まったくひどい目にあったでござる」

 

忍2「まったくでござる。《体術》スキルを知る情報屋は他にいないでござるか?」

 

忍1「他には聞かないでござる。どうしたものか…」

 

その二人組は、そのまま歩いていった。それにしても変な人たちだったな。

 

雄「明久、交渉に使うぞ。とりあえず用ができた。お前らは先に宿に行っててくれ」

 

 そう言うと雄二は二人組の後を追って行ってしまった。僕達は、雄二を追うようなことはなく、そのまま宿に向かった。

 

 

 

雄「そこの二人、ちょっと待ってくれ!」

 

忍1「拙者達でござるか?」

 

忍2「何用でござるか?」

 

雄「いや、あんたらがさっき話していた《体術》スキルを知ってる情報屋って誰のことだ?」

 

忍1「アルゴでござるが?」

 

忍2「でも彼奴は教えてくれないでござるよ」

 

忍1「知っているが教えないと言って聞かないのでござる」

 

雄「そうかありがとな。立派な忍者になれよ(笑)」

 

 雄二は聞くだけ聞くとその場から離れた。

 

雄(まずはアルゴがどこにいるか聞かないとな…アスナなら知ってるか?)

 

 雄二はフレンドリストを開くと、その中からアスナを選択してメッセージを飛ばした。

 

雄『アルゴの居場所ってわかるか?』

 

 それほど待たずしてアスナから返信が来た。

 

ア『私は知らないわ。キリトならたぶん知ってるよ。でも今出るかなぁ…』

 

雄『そうか、すまんな。キリトに聞いてみる』

 

 アスナはわからないそうなので、すぐフレンドリストを開きなおしてキリトを選んだ。

 

雄『アルゴの居場所を知ってるか?』

 

 今度はすぐには帰ってこず、雄二は一人宿に戻った。

 

 宿に着くと、皆部屋で休んでいた。

 

明「あっ雄二、用事は済んだの?」

 

翔「……雄二の分」

 

雄「サンキューな翔子。まだ済んでない。アルゴの居場所がわからなくてな、今キリトに連絡を取ったんだが、返事がな……と、今来た」

 

キ『ついさっきあんなことがあったばかりであんまり俺とかかわろうとするなよ。今アルゴと一緒にいるぞ。アルゴに用事か?』

 

雄『聞きたい情報がある。今どこにいる?今から向かう』

 

キ『いや、アルゴが街に戻るから待っててくれってさ。ゲートのところでいいか?って』

 

雄『かまわない。あと、アルゴに伝えてほしいんだが、《体術》スキルについての情報で少し交渉がしたいと伝えてくれ』

 

キ『どこでその話聞いたんだ?テストのときに六、七層あたりで出た情報だぞ?』

 

雄『変な忍二人組から聞いた。そこでアルゴがなかなか教えないと言ってたからな交渉がしたいんだ。知っといて損はない情報だと思うぞ』

 

キ『お前《体術》覚える気か?やめたほうがいいぞ。交渉材料はどんなのか?ってさ。アルゴの知らないことじゃないと意味ないぞ』

 

雄『あまり詳しくは言えないが、《ユニークスキル》とだけ言っとくよ』

 

キ『なんだって!?もう見つかったのか!?たしか十個しかないはずだが…。アルゴがすごい勢いで街に向かっていったぞ。すぐゲートに行ったほうがいい』

 

雄『サンキュー』

 

 キリトとのやりとりが終わった雄二は、翔子さんから渡されたパンを食べきると言った。

 

雄「今からアルゴがゲートのところにくる明久とムッツリーニ、来てくれ」

 

明「僕たちもいるの?交渉だけなら必要なくない?」

 

ム「……俺もいるのか?」

 

雄「実際に見せたほうが効果的だろ?それに、ムッツリーニはチャクラムについても聞くつもりだからいたほうがいいだろ」

 

明「なるほどね、わかった。あっでも、男子が皆行っちゃって大丈夫なの?」

 

秀「わしがのこっとるじゃろ」

 

明「何言ってんのさ~秀吉は女の子でしょ?」

 

秀「わしは男じゃ!何度言えば分かるのじゃ!」

 

優「大丈夫よ明久君。私たちだけじゃ不安なわけ?」

 

明「不安に決まってるじゃないか!優子さんたちみたいなかわいい女の子だけ残していくなんて…」

 

優「かわいい//」

 

雄「明久、大丈夫だ。ここは圏内でなおかつ宿の中だ。そうそう何か起こるとは思えん。それにアルゴを待たすわけにはいかない。行くぞ」

 

 こうして僕は雄二につれられてアルゴとの約束の場所へと向かった。

 

 

 

 ゲートに着くとまわりには何人かのプレイヤーがいた。アルゴを探して見渡していると、一人のプレイヤーが話しかけてきた。

 

?「君が雄二だネ?オイラはアルゴ。鼠のアルゴとでも呼んでくれ」

 

 フードをかぶっていて、その顔にはネズミのようなペイントがあった。だから鼠のアルゴなのか。

 

雄「俺は『FA騎士団』団長の雄二だ。こっちが」

 

アル「副団長の明久で、康太だロ?」

 

雄「既に知っているか。なら話は早い。早速だが、《体術》スキルについて教えてほしい」

 

アル「イヤだ。オイラは情報を売った挙げ句恨まれるのはイヤなんダ」

 

雄「じゃあ交渉といこう。どこか人のいないでとこでやりたい。どこかないか?」

 

アル「まぁオイラも他の情報屋にあんたのもつ情報を聞かれる訳にはいかないからナ。こっちダ」

 

 そう言うと、アルゴはフィールドに出ていった。その後をついていくと、森の中に小さな小屋があった。

 

アル「ここならモンスターもいないしNPCもいないから誰もこなくて最適ダ。で、そっちの交渉材料はたしか《ユニークスキル》だよナ?」

 

雄「あぁ。俺達のギルドにいるユニークスキル使いについてだ。これの代わりに《体術》スキルについて教えてほしい」

 

アル「それ以外じゃダメなのカ?それ以外ならなんでもいいヨ。その情報が本当ならナ」

 

雄「俺は《体術》スキル以外の情報にこのカードは切らないさ。頼む、教えてくれ。俺は強くならなきゃならねぇんだよ」

 

 そのときの雄二の顔はいつにもまして真剣なものだった。その表情を見て、僕とムッツリーニは聞いてはいけないと思い、一旦小屋を出た。

 

雄「今の俺じゃあ仲間を守れねぇんだ。このまままじゃあ、俺はあいつらの足を引っ張ることになる。正直俺には武器が合わねぇ。今までずっとそうだった。それに、俺はこのままじゃあいつにいつまでたっても追い付けねぇんだ!頼む、教えてくれ」

 

 アルゴは、長い沈黙の末答えを出した。

 

アル「…………………わかった。交渉成立ダ。先に見せてくれユニークスキルをナ」

 

雄「ありがとう。おい明久!ムッツリーニ!入っていいぞ!」

 

明「いいってさ、ムッツリーニ入ろう」

 

ム「……ようやくか」

 

僕達は小屋に入った。

 

雄「じゃあ早速やりたいと思う。俺達のギルドの明久がある時突然ユニークスキル《ダブル》を覚えた。明久見せてやってくれ」

 

明「わかった。《ファントム》!」

 

僕の隣に幻影が表れた。アルゴはそれをまじまじと見つめた。

 

雄「これは《ダブル》のスキルの中の一つだ。今のところはこれとあともう一つの能力しかわかってねぇ」

 

アル「へぇ……《ダブル》カ。自身の幻影を作り出す力ってとこカ。こいつは確かに、誰も知らない情報だナ」

 

雄「これで教えてくれるか?」

 

アル「あぁいいヨ。大ニュースだナ!サービスでもう一つ教えてもいいくらいのナ」

 

雄「ならチャクラムを使う条件を教えてくれるか?」

 

アル「チャクラム?二層の迷宮区で手に入るあれカ?」

 

雄「あぁ、わけあって手に入ったものの使えなくて困ってたんだ」

 

アル「それなら単純だヨ。《投擲》スキルと《体術》スキルの二つがあればいいんダ。さて、行くとするかナ。しばらくフィールドを進むがバトルは頼むヨ?オイラは戦わないからナ」

 

雄「どれくらいかかる?」

 

アル「つくだけなら三十分くらいでつくはずだヨ。キー坊とそれくらいで行けたしナ。まぁスキル取得にどれだけかかるかは個人によるヨ…」

 

 なぜだかアルゴは若干遠い目をしていった。そして、小屋を出て森の奥へ入っていった。

 

 その後、僕たちは崖を登ったり小さな洞窟を抜けたり地下水流を抜けたり時々戦闘をこなしながら進んだ。それが三十分以上続いた。すると、そこには小さな空間に一軒の小屋が建っていた。そして、その裏ではキリトが一心不乱に大きな岩を殴っていた。

 

明「あれ?キリトじゃないか!何やってんの?ってかその顔…」

 

 キリトの顔にはどこかで見たことがあるような青色の自称ネコ型の狸っぽいロボットに似た絵が描いてあった。雄二もムッツリーニもアルゴも笑いをこらえているようでピクピク震えている。当然僕もその一人である。

 

キ「顔のペイントに関しては何も言うな。後ろの笑いそうな三人もな!」

 

アル「にゃハハハハハ!何度見てもその顔最高だヨ!キリえもん!」

 

雄「あははははは!まったくだ!なんだよそれ!」

 

キ「うるせー!クエスト受けたら書かれたんだよ!お前らも受けにきたならこうなるぞ」

 

 キリトは、例の忍者二人組からアルゴを守って(?)その後ここに連れてきてもらっていたのだ。そして見事にキリえもんとなったのだ。

 

キ「てかこのクエはやめとけ。アルゴ、内容は言ったのか?」

 

アル「クエストの内容自体はまだいってないヨ。で、二人はクエストをやるのかナ?やるなら小屋の中に体術マスターがいるから話しかけてきなヨ」

 

雄「ここでやめるやつがいるかよ。ムッツリーニ、行くぞ」

 

ム「……わかった」

 

 そして二人は小屋に入っていった。

 

明「それにしても、《体術》を覚えるためのクエストって何をするの?」

 

キ「この岩を割るんだよ。素手で」

 

アル「一つ教えてあげると、この岩…鬼だヨ!」

 

明「以前召喚獣で壁を壊したことはあるけど…素手は痛そうだなぁ…」

 

キ「召喚獣?なんかのゲームか?」

 

明「い、いや!なんでもないよ!」(危ない危ない。学校でのことを話すとこだったよ)

 

 そうしてるうちに、雄二とムッツリーニが体術マスターの老人とともに小屋から出てきた。雄二の顔には、アルゴに似た感じのひげが、ムッツリーニは頬に十字にそれぞれ書かれていた。

 

明「あれ?意外と二人とも普通のペイントだね?」

 

キ「ずるいぞ!なんで俺だけこれなんだよ!」

 

雄「しらねぇよ。で、俺はどの岩を割るんだ?」

 

 雄二が体術マスターに尋ねると、キリトの岩の隣にあった一際大きな岩を指した。

 

キ「俺のやつよりもでかいな…ドンマイ、雄二…」

 

雄「べつにかまわねぇさ。すぐ終わらせてやる」

 

 そう言って雄二はその大岩の前に構えた。

 

雄(とは言ったものの…さすがに大きいなこれは。だが、こんなところで躓いてるわけにもいかねぇ。明久には《ダブル》を隠さなくていいと言った。広まるのも時間の問題だろう。となるとただ一人しかいないユニークスキル使いだ。ねたんで襲ってくる奴もいるだろうし、そうなれば明久だけじゃねぇ、翔子やみんなにも被害が及ぶ可能性が十分にある。それだけは絶対させねぇ!今だけは、悪鬼羅刹にもどってもかまわねぇ。だが…何かを壊すために壊すんじゃねぇ。守るために壊すんだ!)

 

 雄二の目に火がともった。

 

雄(大きく右腕を引き、しっかりと、力強く拳を握り、大岩の、ただ一点に向けて、全身の力を振り絞って、全力で……叩き込む!!!!)

 

      ドォォォォオオオン!!!!

 

 雄二の渾身の一撃が放たれた大岩は、拳が当たった瞬間、大きな音をたてた。雄二は、しばらく拳を大岩にぶつけたままだった。

 

キ「この岩の強度はほんとに鬼だから一撃では無」ピキッ

 

 雄二が大岩から拳を離した瞬間、岩の表面に亀裂ができた。それはみるみる広まっていき、全体に広まり、ついにはポリゴンとなって砕け散った。

 

 僕たちは、皆唖然として見ているだけだった。

 

雄「これで《体術》を教えてくれんだろ?じいさん?」

 

体マス「まさか…あの大岩を一撃で砕くとは……………お主ならわしの秘伝の技を使いこなせるかもしれん。多少のリスクは伴うが、どうだ?わしの《体術》を超える秘伝の技、《爆裂拳》を使う気はないか?」

 

雄「《爆裂拳》だと?」

 

体マス「うむ。少し待っておれ」

 

 老人は、小屋の中に行き、箱を持ってまた出てきた。

 

体マス「これは《レーヴ・ナックル》だ。この装備を身に着けることで《爆裂拳》を習得できる。ただ、この装備は一度つけるともう外せない。使用者の技量に応じて強くなる武器だ。そして《爆裂拳》は習得時に身に着けているスキルを喰らう。今のスキルはすべてだ。それでもいいならお主にならこの装備をやろう」

 

キ「外せない装備?それも聞いたことない。雄二、危険すぎる。剣や斧に拳で立ち向かうことになるんだぞ!このデスゲームでそれは危険だ!」

 

雄(そうだな…まともに武器もなく、拳で斧や剣を持った相手との勝負。そんなの聞いたこと…)「なくもないな」

 

キアル「「へ?」」

 

雄(もともと俺の召喚獣の設定じゃねぇか。試召戦争でそんな状況何度もあったはずだ。不良とのけんかも、FFF団とのけんかももともとこっちが素手で相手は釘バットや鉄パイプやカッターナイフ。)「いつも通りじゃないか?」

 

 雄二や僕は常日頃からFFF団とキリトが言ったような状況でのある意味デスゲームを繰り広げてきたのだ。雄二の言葉に、僕とムッツリーニには思い当たる節がありすぎた。

 

雄「いいぜ、貸してくれ。今日からおれの武器はそいつだ」

 

キ「雄二!考え直せって!」

 

 キリトの忠告を軽くスルーし、雄二は装備をはめた。そして、スキル画面を開くと、そこには言われたとおり《爆裂拳》しかなかった。そのスキルの説明を見ると、僕のものと同じように、まだほとんど?で見えなかった。

 

雄「なになに…えーっと、ユニークスキル《爆裂拳》。拳での攻撃に爆発の威力を付加するスキル。かこれで俺もユニークスキル使いだな」

 

キ「ほんとにやるなんて…」

 

 キリトとアルゴはあきれていた。

 

雄「さて、試してみるか。外の岩でいいか」

 

 僕たちは外に出た。そして雄二は、軽めに近くの岩を殴った。すると、殴られた岩は小さな爆発を伴い、あっさりと砕けた。

 

ム「……雄二、俺の岩だったんだが」

 

雄「なに?そうだったのか。悪いもう一度受けてきてくれるか?」

 

 ムッツリーニはうなずいてもう一度小屋に入った。しかし、すぐに出てきた。顔のペイントがなくなって。

 

明「あれ?ムッツリーニ、ペイントは?」

 

ム「…消してくれてスキルも教えてくれた」

 

明キアル雄「「「「へ?」」」」

 

アル「他人が壊してもいいのかヨ」

 

雄「らしいな…」

 

明「でも、これで早く戻れるじゃん。早く戻ろうよ」

 

雄「だな。アルゴ、ありがとな」

 

アル「こっちもナ。これでいいネタができたヨ。二人のユニークスキルを要するギルドの誕生だナ」

 

雄「あんまり翔子たちに迷惑がかからないようにしてくれよ」

 

アル「まぁそれなりに気を付けるサ」

 

キ「雄二」

 

 街に戻ろうとする僕たちをキリトがとめた。

 

雄「どうしたんだ?キリト?」

 

キ「いや~俺の岩も壊してくれると、うれしいかな~なんて」

 

雄「俺お前に『あんまりかかわろうとするな』って言われたしなー。ってわけで…」

 

 雄二はキリトの肩に手を置いて言った。

 

雄「頑張ってくれよ。キリえもん♪」

 

キ「薄情物ぉぉぉぉおおおおお!!!!!」

 

 僕たちは叫ぶキリトを背に、速足で街に向かった。

 

 後日知ったことだけど、結局キリえもんからキリトにもどれたのは三日後だったらしい。

 

 

 

 

 こうして雄二は《爆裂拳》を、ムッツリーニは《体術》を覚えることができた。

 

 宿に戻って休んだら次は二層の攻略だ。




どうもコクトーです。
なんと二日連続!!そして6000字オーバー!!!!!!
たぶん来週は台風です。


では物語へ
今回、双方の原作を読んでいないとわからないところがあります。すいません。
FFF団とは、Fクラス男子で結成された、もてない男のひがみグループです。
また、キリトがアルゴを助けたシーンは、忍者たちがβテスト時に七層で発見された二層の体術マスターに関する情報を聞きに来て、それをキリトがとめたところ、モンスターが忍者をおいかけるという状況ができたというシーンです。
ちなみに忍者たちは、ギルド『風魔忍軍』のコタローとイスケといいます。
とくに絡みはありません。
また、ムッツリーニが雄二に壊してもらって《体術》を覚えた件ですが、
ムッツリーニが実際にやった場合を考えたら、三日どころじゃすまない気がして、あまり日にちをかけるわけにもいかないのでこのような形になりました。
キリトには自力で頑張ってもらいました♪


最後に、読んでくださった皆様ありがとうございました。
次はたぶん空きます。さすがに勉強サボりすぎました…。
お待ちください。
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