明久たちが作戦通りに戦ってレベルを上げているころ、雄二と翔子は別れて戦っていた。
雄(なんだ、楽勝じゃねーか。)
雄二は翔子が危ない時にはすぐに助けにいけるくらいの距離ではあるが、それぞれが別々の戦っていた。
雄(ただ単に相手が攻撃できないように攻撃しまくればいいだけのゲームじゃねーか)
雄二は、《アッパー・スウィング》で相手を吹っ飛ばしては体制を建て直す前にボコる。そしてまた吹っ飛ばしてボコるの繰り返しだった。
ただ単純な作業の繰り返し。そして自分が既にレベル2であること。
そしてなにより、自分が元悪鬼羅刹であること。
それらが、雄二を傲らせ、油断させていた。
自分は喧嘩になれているしレベルも上がっているから負けない。そんなふうに、油断しながらも、目の前の《フレンジーボア》のHPを0にした。
雄(所詮はこんなもんか。さて、次の奴をボコるか)
今の雄二には、周りのことは何も見えていなかった。再び単純な作業を繰り返そうとするだけだ。
雄二は、近くを歩いてきた《フレンジーボア》めがけて攻撃を開始した。
これまでとかわらず、まず《アッパー・スウィング》を叩き込んだ。コツをつかんできたのか、今までよりも少し遠くまで飛んだ。
そのため、追撃はできないと感じた雄二は、再び棍を構えた。
雄「さて、もう二三発叩き込むか」
そういって距離をつめて、再び《アッパー・スウィング》を放った。
が、今までのようなとらえた感覚はいつまでたっても訪れず、雄二は先程まで目の前にいた青い猪ではなく、青い空を見ていた。
雲がゆっくりと流れる空。
猪とはまた違う青さを持った空。
雄(空?????なぜ俺は空を見ているんだ?)
雄二の頭に疑問が次々浮かび上がった。
雄(なにがおこった…?なぜ俺は寝ている?なぜ左半身に痛みがある?なぜ手応えがなかった?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ…)
フゴォ
あまりのことから雄二 を現実へと引き戻したのは、自分の左に現れていたもう一体の《フレンジーボア》だった。
雄(二体目だと!?)
気づいて慌てて起き上がると、雄二は三体の《フレンジーボア》に囲まれていた。一体は既にゲージが赤色だったものの、他の二体は無傷だった。
そして、自身のゲージにふと目をやった。そこで雄二は見たくないものをみた。
雄二のゲージは既に赤色で、最初の10分の1しかなかった。
そこで雄二が感じたものは、
死
悪鬼羅刹だったころ、そして、Fクラスでも何度となく体験した死の感覚。
雄(俺はこんなところで死ぬのか?明久たちに大口たたいといて自分はこんなところで死ぬのか?それよりも、翔子を守る役目はどうしたんだ?死んだらすべてが終わる。明久と下らないことでケンカもできない。秀吉とムッツリーニとバカやって笑えない。そして、翔子ともう会えない…)
雄二の呆気に取られていた顔が歪み始め、そして恐怖へと変わった。涙を流し、震え、怯える恐怖の顔に。
雄「いやだ…。いやだ…。いやだいやだいやだ。俺はまだ死にたくない。誰か、明久、秀吉、ムッツリーニ、誰か、助けてくれ。俺は、死にたくない!」
雄二の叫びもむなしく、一匹の《フレンジーボア》が突進を仕掛けてきた。
しかし、そいつは、目の前で動かなくなり、そのまま消えた。
?「大丈夫か?お前さん?あぶねーとこだったぜ」
目の前に急に赤髪でバンダナを巻いた男が 現れた。
どうやらその男の放った《リーパー》で目の前に来ていた《フレンジーボア》を倒したらしい。
?「ポーション持ってるか?」
雄「……持ってます」
雄二はアイテムストレージからポーションをとりだし、HPを回復した。
?「よし!おい、風林火山の残りのメンバーでもう二体は頼むぞ!絶対に二人で戦えよ!」
メンバー1「あいよ!」
2「もちろん!」
その男の声に従って近くにいた仲間が残りの二体と戦い始めた。
そんな中、呆然としていた俺に、その男が聞いた。
?「俺の名前はクラインって言うんだ。一応ギルド風林火山のリーダーをしてる。お前さん名前は?」
雄「雄二だ…」
ク「雄二か、じゃあ聞くが雄二よ、お前さん何であんな戦い方してたんだ?少し前から見てたが、あんな戦い方じゃ無謀としかいえねーぞ?」
雄「……」
雄二は何も答えなかった。
ク「お前さん、仲間は」
「雄二!」
翔子がかけてきた。どうやら雄二の様子に気づいたらしい。
翔「雄二大丈夫!?」
雄「翔子、大丈夫だ。このクラインに助けてもらった」
翔「ありがとうございました」
ク「いやいーってことよ。てかお前さん仲間いるんじゃねーか。しかもこんなべっぴんさんが…。ならパーティー組んでちゃんと連携しながら戦えばいいじゃねーか」
雄「必要ないな。さっきは油断しただけだ。もう同じミスはしねぇ。すまなかったな、ありがとう」
雄二は落ち着きを取り戻してクラインと話した。
雄「じゃあ俺は違う奴を倒しに行く。翔子がいると自由に動けないからな。邪魔になるんだ。だから一人のほうがいい。本当に助かった。じゃあ」
雄二はクラインに礼を述べ立ち去ろうとした。
ク「ふざけんな!」
クラインが雄二の頬を殴り飛ばした。
翔「雄二!?」
雄「っ!いってぇな、何しやがる!?」
ク「邪魔になるだぁ?ふざけたこといってんじゃねぇぞ!!」
雄二は突然豹変したクラインを見て殴られたことも忘れあっけにとられていた。
ク「俺はよ、このゲームを始めてすぐにあるやつに戦い方を習ったんだ。そいつはキリトっていってな、βテストの参加者でこのゲームを俺達より断然知っていた」
荒げていた口調をもどし話した。
ク「そいつはあの茅場の話のあとすぐに次の街に向かっていった。俺も来るよう誘われたけどな、見ての通り俺にはあいつらがいてさ、行かなかったんだよ。
それでキリトのやつ、俺がまだ仲間探せてなかったから一人で行っちまったんだけどな…俺はあいつの判断が間違ってるとは思わねぇ。ただ、俺はあいつを一人にはさせねぇ。今はまだ風林火山全員のレベル上げもしなくちゃなんねーし、あいつの足元にも及ばないがたとえ周りが全員敵にまわってもおれはあいつの味方でいるって決めた。
あいつも気づいてるはずだが、ソロプレイには必ず限界がくる。ましてお前さんみたいなやつならすぐにだ。お前さんは強いから大丈夫とか思ってるかも知れねぇが俺から言わせてもらえばお前さんは弱い。お前さんがやってるのはただの独りよがりだ」
雄二はクラインの話を聞いていてあることを思っていた。
(また自分は一人になっていた)と。
悪鬼羅刹だったころ。周りのすべてを見放し、壊し、遠ざけていたころ。
だが、ある日、俺を『悪鬼羅刹』でなく、『坂本雄二』として怒るやつが現れた。
明久だ。
その後いろいろバカやって、騒いで、おもいっきり笑える。そんな仲間を明久がくれたんだ。
そして、だんだん俺は『坂本雄二』になっていった。あの時以来明久はいつも周りにいてくれた。
明久だけではない。秀吉も、ムッツリーニも、もちろん翔子も。
それを俺は捨てて一人になろうとしていた。
雄「………俺はだめなやつだな」
ク「どうした急に?」
雄「俺はだめなやつだ。せっかくのものをまた壊すところだった。クライン、いやクラインさんありがとうございました」
雄二は両手をついて頭を下げた。
雄「頼みがあるんだが、あんたの仲間がやってる戦い方を俺に教えてくれ」
ク「スイッチの連携のことか?」
雄「あぁ。俺は、俺達はこの世界のことを知らなさすぎる。基礎的なことだけでいい。幸いにも作戦をたてるのは得意でな、それに翔子の学力ならすぐに対応できる。だから5分でもいい。頼む」
ク「それくらいだったらかまわねーさ。じゃ、クライン先生の連携講座でも開きますか!」
その後、クラインに連携の基本的なことを教えてもらい、礼を述べて雄二と翔子は宿に向かった。
雄「翔子」
翔「……なに?雄二?」
雄二は顔を真っ赤にしながら言った。
雄「これからもよろしくな」
翔「………うん!」
その時の翔子の笑顔はとても輝いていた。
どうもコクトーです。
今回、なんと3200文字!!
自分の決めていた1000~2000の誓いがあっさりくなりました。
やたらクラインさんの話が長いです。
書きたいこと書いてたらこうなりました、すいません。
そもそもクラインさんの口調あってるかな……
違和感を感じるかたすいません。
ただいまUAが2700(現状)!!!
前回が1900だったのでとても嬉しいです!
お気に入りに登録してくださったかたも47名と、こんな駄作者の駄文を登録していただきありがとうございます。
受験勉強に追われるなか日々1桁ずつでもUAがのびていくのをみると、とても励みになります。
受験勉強の最中に小説ばっか読むのはどうかとも思いますが…
最近現実逃避しかけてるので危ないです……
次回は宿に戻った後の話です。
ムッツリーニと工藤愛子の戦いはありません。
ムッツリーニファンのかたすいません。
未だに文章がむちゃくちゃの駄作者ですが温かく見守ってくださるとありがたいです。
では感想お待ちしております。
ありがとうございました。