長くなってしまったのでわけました。
全員のレベルが2になったことから、少し強い敵と戦ったほうが効率がいいという話になり、僕たちは青イノシシやら巨大イモムシがでる平原を抜けて森に入っていた。
雄「翔子!スイッチ行くぞ!」
翔「…わかった」
雄二が《アッパー・スウィング》で浮かせた《ブルウルフ》に翔子さんがリニアーを当ててHPをゼロにした。
今僕達は全員で行動している。といっても固まって移動しているだけど…。
モンスターが出たときは、交代で戦っている。僕達3人のペア、雄二と翔子さんのペア、ムッツリーニと愛子さんのペアの順で、戦いに加わらないペアは周囲の警戒をしている。戦ってる間に囲まれてたとかごめんだしね。
雄「さて、進むぞお前ら。いつまでも一ヶ所にいるのは危険だからな」
明「そうだね。誰かさんみたいになりたくないしね」
雄二を見ながら言ってみた。雄二も目をそらすだけで何も言ってこない。
秀「明久よ、あんまり言ってやるでないぞ。雄二も反省しておるんじゃ。じゃから今のように周りの警戒もしつつ戦っておるんじゃから」
優「そうよ明久君。いくら事実でもいつまでも言うものじゃないわ」
雄「ともかく、先に進むぞ。このアルゴってやつの書いたガイドブックによると少し行ったところに《ホルンカ》って村があるらしい。今日からはそこを拠点にしよう。」
雄二の言ったガイドブックとは、この世界で情報屋と呼ばれるプレイヤー通称《鼠のアルゴ》が書いたこのあたりのモンスターについてとか、フィールドについてとか様々な情報の入った本である。ギルドを組んだ後向かった道具屋で偶々発見したものだ。それぞれのペアで一冊ずつもらって昨日のうちにあらかた情報は入っている。
いや、僕もしっかりわかっているからね?優子さんに教えてもらって…。
ム「……次がいる。2体一緒だ」
そんなことをしていると、《探索》スキルを取っているムッツリーニが敵の接近を知らせてくれた。
雄「2体か…ムッツリーニ、2体の距離はどれくらいかわかるか?」
ム「…きわめて近い。2体で動いてる。両方オオカミだ」
雄「1体ずつは無理そうか…。なら、今回は俺とムッツリーニと愛子、秀吉と優子のペアで行ってくれ。明久は俺たちとともに周囲を警戒しろ。2組とも自分たちの敵を倒し次第周囲の警戒に移ってくれ」
全員が無言でうなずいた。そして実行に移した。初めはムッツリーニが《投擲》スキルでダメージを与えるとともに2体のタゲを取った。そしてムッツリーニに襲い掛かる2体のオオカミを愛子さんと秀吉がソードスキルではじいた。
雄(順調そうだな。俺のほうは何もなさそうだ。このまま無事にいけばいいが…)
明「雄二、こっちは大丈夫そうだよ。みんなの戦いももう終わるし」
そう言ってすぐ、ムッツリーニの《アーマー・ピアス》で1体のHPがゼロになった。一方秀吉と優子さんのほうはあと3分の1ほど残っていた。両手斧の攻撃力がやはりきいているのだろうか。
雄「ふう。なんともなさそ」
翔「雄二!モンスターが!」
雄「何体だ翔子?」
翔「1体だけど今までとは違う!」
あわてて翔子さんの方を見ると、少し離れたところに3mは越していそうな熊がこちらに歩いてきていた。どうやら既に見つかっているらしくいつ襲ってきてもおかしくない。
雄「やばそうなのがいるな。逃げるのは……厳しいか」
雄二がそういうのも無理はなかった。ここは森の中で茂みや根があちこちにある。そんな中でモンスターを警戒しながら素早く逃げ切るのは不可能に近い。
雄「全員で倒すしかないか…翔子、ムッツリーニたちと一緒に秀吉たちの戦ってるやつを倒してこっちに合流してくれるか?」
翔「…わかった」
雄「明久は俺とあいつを倒しに行くぞ。初めのタゲは俺がとる。一発目をはじいたら攻撃してタゲをとれ。そん時スキルは使うなよ」
明「どうしてさ?スキルのほうがダメージが大きいのに」
雄「スキルだと外した時のリスクが高すぎるからだ。1発目は特に大事だからな。そのあとは普通にスキルと攻撃をまぜながらでいい」
明「りょーかい!」
僕たちは熊のほうへ向かっていった。
その熊の名前は《フルヒトベアー》という中型モンスターだった。といっても大きさは3mだが…。
HPバーを見ると、緑色のバーが2本あり通常のモンスターとは違うということが見てわかった。
明「ねぇ雄二、なんかバーが2本もあるんだけど…勝てるのこれ?」
雄「勝てるじゃなくて勝つしかねぇよ。アルゴのガイドブックには載ってなかったぞこんなやつ」
明「で、こっちから動く?それとも向こうが動くのを待つ?」
雄「とりあえずは俺がタゲを取って攻撃をはじくからそこからはスイッチで行くぞ」
明「りょうかい。じゃあ頼むよ雄二」
雄「俺を誰だと思ってるんだ?まかせとけ!」
僕たちと熊との戦いが始まった。
熊は明久たちを見た瞬間に明久を狙って突進してきた。それを雄二が《アッパー・スウィング》で迎え撃とうとした。雄二の棍は熊の顎をとらえ、熊は突進をとめて上体を起こして雄二に向き合った。
明久は当初の予定通り剣で熊の腕を切った。が、熊は特に気にすることなく雄二に反対の腕を振りおろした。なんとか棍で防いだが、力負けし1mほど後ろに下がった。
明「雄二、大丈夫?」
僕は雄二のそばへ行き尋ねた。幸い熊は戦闘態勢ではあるが一定の距離でこちらをうかがっている。
雄「正直言ってまずいな。早くみんなが合流してくれたらいいんだが…」
明「それは無理っぽいよ雄二。さっき少しむこうが見えたんだけど新しいオオカミが見えた限りじゃ3体やってきてたから」
雄「こいつがモンスターを呼び寄せてると思ったほうがよさそうだな。それと、俺たちだけで倒さないといけないってこともわかった」
先ほどの攻防で熊は数ドット、雄二は10分の1ほどHPを削られていた。防御してなおそれだけ削れているのだからよほど攻撃力が高いのだろう。
雄「明久、出来る限り俺が腕をはじくからお前は攻めまくれ。お前にタゲが移ったらすぐ距離をとってくれ。俺がスキルをぶち当ててタゲを取る。それでいくぞ」
明「でもそれだと雄二がきつくない?」
雄「まぁきつくなったら少し代わってもらうかもな」
雄二は言い終わると熊に向き直り、戦闘を再開した。
雄二が棍を振りかぶると、熊は待ちかねていたかのように雄二に対して腕を振るってきた。雄二は棍の軌道をずらし、その腕をはじいた。それによって開いた胴に明久は《スラント》をいれた。熊のHPバーは今の攻撃で一本目の10分の一ほど減った。攻撃を受けてもまだ雄二にタゲがいっていたため明久は続けて《スラント》を放って再び同量のHPを削った。
と、そこで熊は明久に向けて腕を振るってきた。スキル後の硬直の最中で雄二がなんとか軌道をずらしたが爪が当たって明久のHPも5分の1ほどもっていかれた。それにかまわず熊から距離を取ろうとすると熊はそうはさせまいと近づいてきた。
雄「明久!」
雄二は合図を出すと同時に熊の背後から《アッパー・スウィング》を放ち、熊のかかとを少し浮かせた。そのすきを逃さず、明久は正面から突進技である《レイジスパイク》を放った。こちらに向かってきていた勢いに加えて雄二がバランスを崩していたから見事に決まった。すると熊は右方向にとばされた。
でもなんで右に飛んだんだろう?僕正面から放ったのに…。雄二がもう一発攻撃したのかな?
そんな風に思っていると、視界の右のほうで僕と同じように攻撃したような影が消えたが、僕はそれに気が付いていなかった。しかし、雄二は違った。
雄(今の影はなんだ?明久がスキルを当てたと思ったら急に表れて同じ攻撃をして消えた?たしか《レイジスパイク》にあんな効果はなかったはずだ。明久に何か起こってるとしか思えない…。それと、明久のスキル使用時の異様なダメージに関係あるのか?)
雄二は今の攻撃で様々なことを考えていた。それというのも、今の二人の攻撃で熊のHPバーは1本目が半分になった。しかし、雄二が攻撃した段階でまだ敵のHPは7割は残っていた。STRを重点的にあげている雄二の攻撃より明久の攻撃のほうがダメージが上だったのだ。
雄(まぁこのことは後にしよう。今の状況で言えばうれしい誤算だ)
翔「雄二!」
そんな時、むこうの戦闘が終わったらしく翔子さんたちがこちらに合流した。みんな無事そうでよかった。
秀「雄二よ、いったいあやつはなんなのじゃ?ほかのモンスターと違っておるようじゃが?」
雄「おそらくだが戦ってる限りただのモンスターではないらしい。強さがけた違いだ」
ム「……逃げるか?」
愛「いやそれは無理じゃない?たしか熊って足早いんだよ」
雄「愛子の言うとおりだ。それに、お前らが来たことで勝算がたった。勝てる勝負は逃さねえよ」
そう言って雄二は若干笑みを浮かべた。
雄「今までみたいにペアごとでやってても厳しい。今回は俺と秀吉と翔子とムッツリーニで相手の攻撃をはじき明久と愛子と優子はガンガン攻めろ。ムッツリーニはできればやつの目をつぶしてほしい一時的にでも視力が落ちればその間にダメージをあたえるんだ。いけるか?」
ム「…やってみる」
雄「よし、じゃあFA騎士団行くぞ!」
全「「「「「「おう(ええ)(うん)!!」」」」」」
そして《フルヒトベアー》対FA騎士団の戦いが始まった。
次の話でまとめてやります。
すいません。