学校が終わり、俺と百は共に帰っていた。
ついでに買うものもあったので買い物をしている。
「そう言えば理央はどこの高校に行くのですか?」
「・・・ああ。そのことか、・・・そのことだがまだ決めてない。」
「雄英には行かないのですか?」
「・・・保留中だ。」
そう言いながら二人で買い物をさっさと済まそうと急いだ。
「・・・・・・百、ちょっと先に行ってろ。」
「え?何かあるんですか?」
「・・・・・・察しろ。生理現象だ。」
「!!し、失礼いたしました。!!///」
百は顔を赤くして先を急いだ。
さてと、
「・・・いい加減に出てきたらどうだ。分かりやすい尾行なんかしやがって、おまけに下手な殺意も向けやがって。」
百がいなくなって後方を向いて警告するとゾロゾロと男共が出てきた。
よく見てみるとうちの学校の制服だな。
「なんのようだ。」
「単刀直入に言う。八百万さんから離れろ。もしくは消えろ。」
コイツら・・・大方百に思いを寄せているんだろう。
「・・・俺にメリットがない。大体、百に断られたんだろ?お前ら。」
「気安く八百万さんを呼び捨てにするな!!」
・・・うるさい奴だ。
「お前がいるから優しい八百万さんが断るんだよ!」
「お前がいなくなれば八百万さんは解放されて俺たちを見てくれるんだよ!」
「これは警告なんだよ。さっさと八百万さんの前から消えろ!」
「・・・断れば?」
「ここでお前を痛めつけて二度と八百万さんに近づけないようにするだけだ。」
「どうせ今頃は他の同士が計画を進めている頃だろうしな!」
「バカ!余計なこと言うな!」
「良いじゃねぇか。どうせこいつをここでボコるんだから。」
そう言いながら各々の個性を出し始め、臨戦態勢に入る者。何か言い争いしている者といた。
・・・こいつらだけじゃないとは思ったが・・・やっぱりな。
それにしても・・・見ていて不愉快だな。百をどうするか・・・というより、こいつらの浅ましくもくだらなく、ちっぽけな欲望に。
そんなちっぽけな欲望の為に授かった個性・・・力を使おうとする目の前のクズ共に。
・・・・・・さっさと済まそう。
場所は変わりとある倉庫
薄暗く鎖の音がジャラジャラと鳴り響き、空間内でこだまする。
「貴方達こんな事して許されると思っているんですか!!」
「怒った顔も魅力的ですねぇ。八百万さんは。」
「もう少しの辛抱ですよ八百万さん。」
「今頃俺たちの仲間が黒光子の奴をボコってここに向かってくるだろうな。」
手足を鎖で拘束されている八百万を下種の視線で見る男共
それを鋭い目つきで睨み返す八百万
しかし、内心では焦りと心配で溢れていた。
先程の理央の行動は襲うメンバーが近くにいることを見抜いて自分に心配させないようにしていたことに気付かなかった自分に情けなく、理央ならそう簡単にやられないとは思っていてもやはり不安に思うものだった。
「(理央・・・どうか御無事でいてください。)」
八百万がそう思い願っていると、入口の方からカツン、カツンと足音が響いてきた。
八百万は理央がやって来たと思い。
男共は仲間が戻って来たと思っていた。
しかし・・・この時どちらも思ってもみなかった出来事に言葉が出ず、息をのんだ。
やって来たのは理央一人だった。
だが、その場にいる誰もが目を疑った。
本来黒い髪の理央が白い髪だったのだ。
しかも瞳の色も変わっており血のように紅い真紅の瞳になっていたのだ。
更に、理央の右手には一本の刀が握られていた。その刀の先からポタ・・ポタ・・っと赤い液体が流れていた。
異様な姿の理央の登場に深い沈黙が続いたが男共の一人が理央に向かって何かを言おうとした瞬間、突如理央の姿が目の前から消えた。
沈黙から動揺に変わる中、八百万と男共の背後でザクッと音が響いた。
振り返るとそこには先程声を発しようとしていた男と消えた理央がそこにいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
理央が男の心臓部を刀で刺し壁に刺し込んでいる光景がそこにはあった。・・・・・・
『!!?』
その光景を見て皆が驚き理解出来なかった。
理解が追い付かない中再び理央が姿を消した。
再び動揺が広がる中、ザシュ・・・ザシュ・・・ザシュ・・・と音が鳴り一人、また一人と切られ血を吹き出し倒れていく。
いくら何でも追い付かない思考も一つの答えがまとまった。
このままでは確実に殺されると・・・。
『う、うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』
一人一人殺されていくことに恐怖した者共が悲鳴を上げ逃げようとする。
しかし、そんな者もまた簡単に殺されていく。
八百万は目を疑い混乱していた。
目の前の惨劇についていけないのだ。
何が起こっているんだ。これは夢なのか、はたまた現実なのか。アレは自分の知っている理央なのかと。
そう思い続けているなか、とうとう大勢いた人はたった一人になりその男の目の前に白い髪の自分の身体に返り血一つ浴びず、刀にべっとりと血が付着している刀を持つ幼馴染・・・理央が立っていた。
辺りは血に染まり、文字通りの血の海が広がり出来上がっていた。
「な、なんなんだよ・・・・なんなんだよ!!お前!!」
残った男が叫ぶ。
「なんでこんなことするんだよ!!確かに俺たちは八百万さんを拉致ったよ!?お前をボコるためのメンバーを向かわせたよ!?お前から八百万さんを奪うつもりだったよ!?だけど・・・だけど!!殺す気はなかったよ!!なのに・・・なんなんだよお前!!!!!」
男が理央に向かって怒涛の声を荒げる。
しかし理央はそんな男を冷たく、汚らわしそうに、つまらなさそうに、喜怒哀楽の感情などもないと感じさせるように、睨み付けるわけでもなく、ただただ、無心で見つめていた。
「・・・・・・つまらないことを聞くなよ。」
沈黙のなか静かに理央はそうつぶやいた。
「そんなつまらなく、くだらないことを聞くなよ。・・・・・・理由は簡単だ。・・・生贄だよ。」
『!!?』
理央の呟きに男と八百万は驚愕した。
「お前たちが今回の事をしでかしてくれたおかげで吹っ切れた。・・・迷いがなくなった。・・・やはりこの世は腐っている。・・・・・・こんなくだらなく、しょーもない欲の為に個性を・・・力を無駄に使うお前らがひどく醜くて、汚らわしくて、惨めで、愚かだから・・・こんなバカが蔓延る世界なんて・・・必要ないって理解したからだ。だから・・・お前たちには感謝しているよ。・・・そのお礼でな・・・これで俺が何をすべきか分かったから・・・その新しい自分のための生贄だよ。お前らは。」
理不尽過ぎる。
混乱する八百万はそう思った。
男の方も理不尽だと思い抗議の声を上げようとした。
しかし、その声を聴くことはなかった。
キンッという音が鳴り、理央は刀を鞘に納めた。
納めたと同時に男は真っ二つに切り裂かれた。
八百万は呆然と理央を見つめていた。
すると、理央はこちらに近づいてきた。
八百万の中では助けてくれた喜びはなく、恐怖一色で染められていた。
こわい・・・こわい!!
そう思っていると手足が急に軽くなった。
どうやら気付かぬうちに鎖を切ってくれていたらしい。
呆然とする八百万に背を向けて理央は歩きだした。
「もう・・・これで、白い光らしいことはお終い。」
理央はそうつぶやいた。
八百万はその言葉の意味が理解できなかったが・・・理央がどこか、自分の手が届かない場所へ行ってしまいそうな気がした。
「待って下さい!!理央!!!」
八百万の叫びに一度足を止めた理央は振り返り・・・
「さようなら・・・・・・・・・八百万さん」
そう答え、再び背を向け歩きだし、八百万の前から姿を消した。
残された八百万は涙を流し泣き叫んだ。
たった一人の鳴き声が倉庫の中で、虚しく、儚く、無情に響いた。
ああ・・・グダグダだよ。
どうしようもなくグダグダだよ。
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