竿魂   作:カイバーマン。

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春風駘蕩さんからイラストを貰いました。

どこぞのテロリストとシノン+謎の化け物を描いて下さりました

【挿絵表示】


果たして本編でもこの二人と一匹が一緒になる事はあるのでしょうか……

いつもイラストを提供して下さり感謝を申し上げます。


第三十三層 ジェダイ散る

心機一転で新しい武器と防具を手に入れた銀時

 

しかし調子に乗って暴れたら流れ弾に当たりゲームオーバーになってしまったので

 

彼は今頃、街の前にリスポンされているのを把握しながらキリトとユウキ、そしてこの町で知り合ったシノンと共に町の入口へと向かっていた。

 

「あーだこーだ言いながら散々渋ってたけど、ようやくあの人も装備一新出来たな」

「まあでもボクの考えだと、物干し竿は今後も頻繁に使い続けると思うよ銀時は。なにせ大好きだった姉ちゃんの愛刀だから」

「銀さんの大好きだった姉ちゃん……?」

 

入口に出向いて復活しているであろう彼を迎えに行きながらキリトとユウキがそんな会話をしているのを耳にし

 

一枚の紙を読む事に夢中になっていたシノンが顔を上げた。

 

「もしかして藍子さんの事?」

「え、なんでシノンが姉ちゃんのリアルネーム知ってる訳?」

「いやだって、あなたや銀さんによく店で話聞いてたから当たり前じゃない」

 

真顔で不思議がっているユウキに、シノンはジト目を向けながら髪を掻き毟る。

 

「いい加減これ以上こっちの世界でリアルネーム言わせないでよ、私は正真正銘本当の朝田詩乃。あなた達の事や、銀さんの恋人だった藍子さんの事も当然知ってるに決まってるしょ?」

「えぇ……でもなぁ、詩乃って言ったら眼鏡なのに、シノンは眼鏡掛けてないじゃん、だから詩乃っぽくない」

「私のアイデンティティって全部眼鏡に吸収されてるの!?」

「俺も新八が眼鏡外した時は、「このモブキャラ誰だっけ?」って誰だったか思い出そうとした事あったな」

「あなたはあなたでもう新八から離れて!」

 

もはや眼鏡の方にしか意識がないユウキとキリトに急いでツッコミを入れながら

 

こうして幾度も素性を明かしてるのに信じてくれないなんて、ホントはからかってるんじゃないかと疑うシノン。

 

するとそこでユウキの方がふと彼女が手に持っている一枚の紙が気になって振り返って来た。

 

「そんなどうでもいい事よりさ、シノン、君が手に持ってるそれってもしかしてあの店で買ったアレ?」

「いやどうでもいい事でサラッと片付けないでよ、私としてはかなり悩ましい事態なんだから……」

 

地味に酷い事を言ってくるユウキを不満げに見つめつつ、シノンは持っていた紙をユウキに見せる。

 

「貴女が想像している通りのモノよ、神器の場所が書かれた地図」

「へぇ、随分とびっしり書かれてるね」

「コレだけ神器の在り処について情報量が書かれているんだ、そりゃあの変な連中も欲しがるわけだ」

 

神器の名や性能、どこのダンジョンにあるか、そしてそのダンジョンは一体どんな構造しているのかさえ事細かく書かれた内容の地図をユウキやキリトがまじまじと見つめていると、すぐにシノンは自分の手元に戻して隠す。

 

「もしかしてあなた達も狙ってるとかないわよね?」

「いやーないない、ボクとキリトも剣しか使えないし、銀時もGGO型なのに銃とか興味無いから」

「片手剣の神器だったら俺も泣きながら土下座するぐらい欲しいけど、銃は専門外だしいらないな」

「そ、そう……それなら見せても安心ね」

 

泣きながら土下座って……普通に言い出すキリトにシノンは若干引きながら再び持っている地図に視線を戻す。

 

「実は私、この神器をずっと探していたんだ。どこかのショップで高値で取引されているって聞いてはいたけど、まさかあんな穴場で売っていたなんてビックリしたわ」

「そりゃ運が良いな、でもよく買えたな、強盗が押し入るぐらい高かったんだろその地図」

「前々からコレを手に入れる為に貯金してたから、それに銀さんが連中をおっ払ってくれたとかで、店主さんが特別にちょっと値引きしてくれたし」

 

この地図の存在を前々から知ってはいたのだが、どの店を探し回っても一向に見つからず正直半ば諦めていた。

 

しかし偶然銀時達に出くわし、偶然彼等が探していた店に案内したら、まさかその店にずっと欲しがっていたコレが売っていたとは……

 

「あなた達に出会えてラッキーだったわ、今度お礼させて頂戴」

「いいよ別に、剣系の神器の居場所とか教えてくれればそれでいいから、些細な情報でもあればそれでいいんで、ホントお願いしますなんでもしますから」

「ブレないねぇキリト、そしてブレない時の君はホントにめんどくさい」

「剣系の神器……」

 

軽くお礼を言うとすぐ様顔を近づけて神器の情報をくれとせがむキリト。

 

後ろで笑みを浮かべながらユウキがそんな彼にサラリと毒を吐いていると、シノンは思い出すように顎に手を当てて

 

「そういえば前に酒場で聞いた事あったけど、どこかの階層に破壊不能オブジェクトじゃないかと思うぐらい耐久値が高い大樹、えーと名前は……ギガなんちゃらだったかしら? それをどうにかして斬り付けて枝を取れば片手剣の神器の素材になるって」

「マジでか!? それ物凄いお宝情報じゃないか! ありがとうございます!」

「あくまで噂で聞いた話よ? 真に受けないでね」

 

金も取れる位有力な話だったのでそんな話をシノンから聞けたことにキリトは驚きつつも歓喜の声を上げる。

 

「フ、ようやく俺の手に収まるべき神器が遂に見つかった……」

「まだ手に入るかどうかすらわからないのに……」

 

既に手に入れる事を確信した様子でニヒルな笑みを浮かべるキリトに呆れつつ、ユウキはシノンの方へ

 

「でもシノン、ホントにこんな凄い情報どこで聞いたの? 情報屋が喉から手が出るほど欲しがるネタだよ?」

「GGO型って基本的に銃以外の武器には興味無いからさ、銃以外のレア物の情報は結構オープンなんだよ。下手すれば情報屋よりもぺらぺらと喋るよ、私達は」

「へぇ初めて知ったかも」

 

結構タメになる話を聞けてユウキは感心したように頷く。

 

「今度何か知りたい事あったら聞いていい?」

「まあ私の知る限りでね、でもあんまり期待しないでよ、GGO型が銃以外の武器に関心が薄いって事は、その情報も信憑性があまり無いって事だし」

「あぁやっぱそうだよね……だってよキリト」

「とりあえず貰った情報を参考にしてアルゴに話でも聞いて整理してみるか……いや待てよ、その前に心当たりのある場所へ片っ端から回った方が良いな……概ね情報を把握していればアルゴからの情報料も安く済むし……」

「あーダメだ、こりゃ聞いてないわー」

 

既に神器の事で頭が一杯で、どの様にすれば効率良く目的を達成できるか計算し一人ブツブツ呟くキリト。

 

こうなってはもう誰の話も聞こうとしないので、ユウキ話し掛けるのを止めた

 

「まあ神器なんて誰だって欲しくなるのは当たり前だよね、ボクもキリト程じゃないけど欲しいモンなら欲しいし」

「そりゃあね、神器の入手はある意味この世界のプレイヤーにとっての夢みたいなモンだし、私もずっとこの武器を欲しいと思って探してたから、念願が叶うかもしれないと思うとやっぱり嬉しくなっちゃうな」

「シノンが欲しい神器はそんなに凄いの?」

「PGM・ウルティマラティオ・ヘカートⅡ……狙撃銃の中では多分EDOの中でトップの性能を持つ神器だよ」

 

その名を聞いてユウキは「ヘカートⅠはどうしたんだろう……」とかちょっとした疑問が浮かぶも、なんらかの事情がるのだろうと聞かない事にした。

 

「私、どうしても勝ちたい相手がいてさ、その人に勝つ為にはこの武器しかないと思ってずっと探し回っていたんだ」

「勝ちたい人? 神器が必要になるぐらいなら相当強そうだけど誰?」

「……ADAM・零≪アダム・レイ≫」

「ADAM・零!?」

 

シノンが勝手みたい相手がいるとボソリト呟き、その名を言うとユウキは目を見開いてビックリする。

 

それもその筈、その名を持つプレイヤーは現在……

 

「GGO型最強のトッププレイヤーじゃん! ボクは見た事無いけど滅茶苦茶強いって聞いたよ!?」

「強いわよホントに、それもあまりにも圧倒的な強さね……私は何度か遠目で見てたけど、アレはもはや別格と呼ぶしかないわ」

「でもなんでそんな凄い人に勝ちたいの?」

「まあ挑戦みたいなものね、誰もが倒せないと諦めるしかない絶対強者をこの手で倒せば」

 

ユウキの問いに頭を掻きながら、照れくそうにシノンは苦笑する。

 

 

「もしかしたら私の中で何かが変わるかもしれないと思ってさ……シノンじゃなくて朝田詩乃として」

「シノンがADAMを倒せば詩乃が変わる……ごめんちょっと何言ってるかわからない」

「あー……もういいやめんどくさい」

 

怪訝な表情で首を傾げるユウキに、もはやシノンは諦めた様子でため息を突きつつ、ふと町の入り口近くまで来ている事に気付いた。

 

「もうすぐ町の入り口だけど、銀さんいる?」

「うーん多分じっとしてるの苦手な人だからその辺ウロチョロしてると思うんだよねー」

 

銀時の性格を誰よりも把握しているユウキはどこにいったのかと周りを見渡すも

 

相変わらずヒャッハー言いながら半裸で駆け回っているモヒカン集団しか見当たらない。

 

「……見た感じ原先生の描いたキャラしか見当たらないや、空知絵はいないね。それにしてもここの人達って基本みんな荒れてるけどなんで?」

「この辺の連中は上の階層に行けずにここでドンパチして憂さ晴らししてる人ばかりだしね、真面目にプレイしてる人に迷惑かかるから定期的にPK狩りして懲らしめてるけど、やっぱキリがないんだよねホント」

 

PK狩りというのはPKをしている輩を逆にPKするというこのゲームにおけるプレイの一つであるが

 

どうやらシノンがここに来ていたのはそれをやるのも目的の一つだったらしい。

 

PK行為自体あまりよろしくない行いだが、シノン本人はあまり悪い事だとは思っていない様子。

 

「ったく上に行きたいならこんな所で遊んでないでさっさと装備や自分を鍛えればいいのに」

「そういえば姉ちゃんも一時期上の階層に行けなくて、ここでヤケになってヒャッハー言いながらバイク乗り回してたっけ」

「え……藍子さんってそんなアグレッシブな人だったの? 銀さんからは結構おしとやかだと聞いたんだけど……」

「銀時が知っていたのは現実世界の姉ちゃんだけ、こっちの世界の姉ちゃんはもう誰も手が付けれない自由奔放型だったよ」

 

藍子、つまりランの意外なエピソードを聞かされてシノンが唖然とするも、ユウキはまだ銀時の事を探している。

 

すると彼女はある物を見つけてすぐに指を差した。

 

「そうそう丁度あんな風にバイク乗り回しながらモヒカン頭に八つ当たり……あ」

「あ……」

 

ユウキが指差した先にいたのは、派手な黒いバイクを乗り回しながら他のプレイヤー達に向かって容赦なく突っ込んでいる……

 

「オラオラどきやがれ! この町はもう俺達、坂田ファミリーのモンだ! ヒャッハー祭りはもうしめぇだコラァ!!」

 

某人気SF映画に出てくるとある偉大な騎士の衣装をモチーフにしたローブを羽織って

 

二つ刃のビームサーベルをブンブン音を立てて振り回す坂田銀時がそこにいた。

 

「死ねぇコラァァァァァァァ!!」

「ギャァァァァァァァ!!」

「みんな逃げろ! ジェダイのコスプレした天パの男が厨二臭いビームサーベル振り回してバイク乗りながら襲い掛かって来るぞ!」

「誰が厨二だぁ! あんな痛々しい連中に成り下がるつもりはねぇぞコノヤロー!」

 

何故か激昂している銀時がバイクを運転しながらも片手で剣を振り回して次々とモヒカンを殲滅させていく。

 

その姿にユウキとシノンが無言で固まっていると、彼女達の前を通った所で、銀時がふとバイクを止めた。

 

「あれ、何してんのお前等? さっさとモヒカン狩りやんぞ、ここにいる奴等全員皆殺しにしろ」

「いや何があったの銀時? そのバイクどうしたの?」

「その辺に転がってあったらから拾った」

 

黒い二輪車でハンドルを回してエンジン音を吹かせながら、銀時は平然とした様子で答える。

 

「アイツ等よ、俺がゲームオーバーした時に町の入り口に出て来た時によ、新しい装備に着替えてる途中で俺に襲い掛かって来たんだよ」

「お気の毒だね……襲った連中が」

「最初は何人か倒して終わりにするつもりだったんだけどどんどん湧いて来るからさ、いっその事ここにいる奴等全員殺した方が早いなと思って」

 

飛んでくる弾丸を得物で器用にはじき返しながら、銀時はユウキに説明を続ける。

 

「新武器振り回せる良い機会だなってのもあったからな、こうして使いこなせるようモヒカン相手に練習してんだよ」

「いやそこはモンスターとかを相手にして練習しようよ、なにいきなりPKに目覚めてんのさ……」

「なんだろうな、この格好に着替えたら無茶苦茶悪い奴をぶっ殺したいって衝動に駆られるんだよ、もう胡散臭い奴なら即斬ってもいいよねって思うぐらい。俺間違った事してないよな?」

「うわ! ジェダイの恰好したら頭の中までジェダイになってる! 悪い奴絶対ぶっ殺すマンになってるよ銀時が!」

「あなた達それジェダイに対して失礼じゃない……?」

 

服装を変えたら何かが乗り移った様にマナー違反の連中をたたっ斬りたいと思う様になってしまった銀時。

 

そんな彼を見ながらシノンはハハハと頬を引きつらせて苦笑する。

 

「でもまあ買ったばかりの武器をもう使いこなせるようになってるって凄いわね、最初使った時も流れ弾が当たったとはいえ綺麗な動きしてたし」

「まあ銀時はバカだけど戦闘のセンスだけはボクやキリトよりもずっと上だからね」

「誰がバカだコラ、こちとらモノホンの経験者だぞ? 素人相手との対人戦なんて欠伸が出る程楽勝だわ」

 

フンと鼻を鳴らしながらこの世界での対人戦では負ける気がしないと豪語する銀時

 

彼からすればこの世界のプレイヤーなど現実世界では満足に剣を振るう事も出来ない素人相手にヒケを取る筈ないと思っている様だ。

 

そんな彼が言っていた、モノホンの経験者ってどういう事なんだろうかとシノンがふと疑問を浮かべていると……

 

 

 

 

 

突如、この町全体に激しい揺れが起き始める。

 

「あ? なんだ急に地震か?」

「銀時……なんかしたでしょ?」

「流石に俺でも地震は起こせねぇよ、なんでもかんでも銀さんを疑うな、俺はただモヒカンハンターしてただけだ」

「よし、俺の神器入手という悲願もすぐそこまで……ってなんだこの揺れ!?」

「これはまさか……」

 

徐々に揺れが強くなっていき、ずっと夢中になって黙り込んでいたキリトもやっと異変に気付く。

 

シノンの方はこの揺れに何か覚えがあるかのように反射的に空を見上げた。

 

するとなんと……

 

「どうやら揺れの原因はアレみたいね……発射される噴出力だけで町全体を揺るがすなんて、あの神器であれば容易にできる芸当だわ」

「あん? ってうおわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! なんだアレぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

空を見上げながら呟くシノンに釣られて銀時も見上げてみると、すぐに仰天した表情で大声で叫ぶ。

 

見るとそこには巨大で黒いシルエットが、自分達から少し離れた場所にゆっくりと降下しているではないか。

 

その際に周りの物全てを吹き飛ばして、無理矢理平面にさせると綺麗に着地した。

 

ぱっと見18メートルはあろう巨大なシルエットに銀時達が困惑していると、シノンはそれを眺めながら静かに呟く。

 

「間違いない、アレはGGO型トッププレイヤーの者が持つこの世界の中で最も巨大な神器……」

 

 

 

 

 

「有人操縦式の人型ロボット神器……! 通称『満駄侍≪マンダム≫』」

「いやただのガンダムじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

白と青で構成された見事な色付きをした、誰もが確実に見た事はあるであろうロボット。

 

あのロボットと唯一違う点を言うのであれば、それは目の部分に何故か黒いグラサンを掛けている事であろう。

 

「なんでガンダムが当たり前の様に出て来てんだよ! もはや別ゲーじゃねぇか!」

「満駄侍はGGO型最強の座に長年君臨しているADAM・零が所有している神器よ」

「神器っつうより完全なるモビルスーツだろ! 大丈夫なのアレ!? このゲームの開発元、サンライズに訴えられない!?」

「公式運営が「グラサン掛けてるから全くの別物です」の一点張りで裁判を乗り切った事は記憶に新しいわね」

「やっぱ訴えられてるんじゃねぇか! そこは勝てよサンライズ!」

 

シノンのかなり詳しい説明を聞いて銀時は即座にツッコミを入れつつ、唖然とした表情で目の前に現れた最も巨大な神器・満駄侍を見上げていると

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「GGO型最強のADAMがまた俺達にけしかけて来た!!!」

「チクショウ俺達のユートピアがまたアイツに荒らされちまう!!」

 

大量のモヒカン達が自分達の横を通り抜けて逃げ去っていく。

 

すると満駄侍はゆっくりと動き出し、右手に構えた巨大なビームライフルを構えると

 

 

「「「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

パキューン!という音を立てて発射し、自分達よりもずっと後方に逃げていたモヒカン達を一撃殲滅してしまった。

 

その光景を振り返ってみていた銀時は虚ろな目をすると……

 

「ふざけんなぁぁぁぁぁ!! あんなのもはや反則じゃねぇか! そりゃ最強と呼ばれるに決まってんだろ! だってガンダムだもの! 白い悪魔だもの!」

「銀時、対人戦では俺はここの連中にはまず負けないとか言ってたよね?」

「は!?」

「ちょっと最強に挑んでみたら? 勝てば銀時が最強だよ」

「はぁ!? お前バカじゃねぇの?」

 

衝撃的な破壊力を前にして銀時がすっかりビビっている中で、ユウキはそんな彼にまさかの無茶振り

 

しかし流石に銀時であってもあんなの相手じゃまず勝てる気がしない

 

「対人戦なら勝てるとは俺も確かに言ったよ! けどアレどう見ても人じゃねぇだろ! ロボだろロボ!」

「銀さん、満駄侍は内部のコクピットから操作するの、つまり操縦しているのは私達と同じ生身のプレイヤーだから」

「だってさ銀時、つまりアレを相手にするのもれっきとした対人戦だよ」

「いやいやいやいや! いくら中で誰かが操縦してるとしても結局は人対ロボじゃねぇか! 勝てる訳ねーだろ!」

 

行って来いと真顔で言ってくるユウキと、つい悪乗りしてくるシノンに銀時が必死に嫌がっていると……

 

「だったら神器に選ばれた俺が行くしか無いみたいだな」

「おぅいキリト君なにバカな事言ってるの!? まさかガンダムに挑む気なのかテメェ!」

「いや実を言うとな、あの神器を持っているADAMってプレイヤーには色々とムカついてる所があるんだよ俺」

 

まさかのキリトがやる気に満ちた表情で満駄侍に挑もうと前に出たのだ。

 

銀時がすぐに止めようとすると彼は心底面白くなさそうにボソリと

 

「ADAM・零ってプレイヤーは常にあの神器の中に籠っていて、その籠りっぷりは本人を見た奴は誰一人いないぐらいなんだ。神器に完全に頼り切って自分はひたすら隠れてるだけのクセに最強を名乗るなんて、俺としてはマジで腹が立つんだよ」

「つまり仮想世界の引きこもりかよ……流石は現実世界での元引きこもり、同属嫌悪か」

「違うわ! 俺達が必死に己を磨き上げている中で! 偶然手に入れた神器で余裕こきながら好き勝手暴れ回るあの引きこもりが許せないだけだっての!!」

「あ~まあ確かに腹が立つと言えば立つな」

 

いつもは飄々とした態度で他人に喧嘩を売られても積極的に戦おうとしないスタンスのキリトだが

 

今回は珍しく敵意を燃やしつつ、目の前の巨大兵器に向かって真っ向から見上げながら

 

 

バイクに乗っている銀時の後にちゃっかり座る。

 

「よし、じゃあいっちょかっ飛ばしてくれ」

「ってオイ! 俺まで巻き込むつもりかテメェ!」

「二人がかりで敵の懐に突っ込めば勝機もあるだろ、ユウキの前で良い所見せてやれよ」

「結局他人頼りかよ……まあ俺もユウキの鼻をあかしてやりてぇとは思ったし……俺の腰に掴まってろ」

 

舌打ちしつつ銀時はハンドルを強く握り、腰にしがみ付いたキリトと共に

 

眼前にそびえ立つGGO最強の象徴・満駄侍を睨み付けながら

 

「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」

 

一気に加速して猛スピードで駆け出すと、満駄侍によって崩れ落ちていた家を利用して上手く運転しながら徐々に上へと昇り上がっていき……

 

「「どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

最後に大きな屋根をジャンプ台代わりにして、更に加速をつけて一気に飛ぶ銀時とキリト。

 

そして満駄侍と同じ目線まで飛び上がり、銀時がビームサーベルを、キリトが片手剣を抜いたその時

 

 

 

満駄侍は自分達が持っている得物のサイズとは桁違いの長さを誇る

 

10メートルは容易にある巨大なビームサーベルをギュィンと背中から抜いていた。

 

 

あれ? 思ったよりスケール感が半端ないんだけど? コレヤバくね?

 

空中を漂いながら銀時とキリトが同時にそう考えていると

 

満駄侍は即座にこちらを敵と定めて、右手に持ったビームサーベルを縦に一振りすると……

 

「「あん」」

 

ジュッと短い音を立てて一瞬で二人は高熱刃の餌食となってしまうのであった。

 

 

あの銀時とキリトが二人がかりで挑んたというのに

 

まるで飛んで来たハエを打ち落とすかのようにサクッと秒殺してしまった満駄侍

 

それを見上げながらユウキとシノンはしばし黙り込んだ後

 

「んじゃ帰ろうか」

「そうね……そろそろ仕事の時間だし私も失礼するわ」

「帰る前にフレンド登録しておこうよ」

「いいわよ、気軽に声掛けてね」

 

何事も無かったかのようにフレンド登録を済ませながらユウキとシノンはその場を後にする。

 

 

かくして銀時は新武器と新衣装を手に入れたにも関わらず

 

わずか数時間の間で2回もゲームオーバーになってしまうという悲しい醜態を晒す羽目になってしまった。

 

銀時の道のりはまだまだ険しい

 

 

 

 

 

 




ADAM・零

正体が奴だとわかる人はわかるギリギリの境界線上の名前を閃いたのたでこうなりました

次回 明日菜回

お妙に付きまとう悪しきストーカーに天誅を!

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