竿魂   作:カイバーマン。

37 / 92
私と共にジャンプしてコインを掴もう


第三十七層 Jump with me, grab coins with me

迷いの森攻略中、幽霊と思われし少女にビビッてキリトとはぐれてしまった銀時は

 

前に二十層で会った奇妙な人物と再会した。

 

胡散臭い、謎が多い、電波気味と非常に接し辛い少女・アリス

 

そして彼女に言われるがまま銀時は手を繋ぎながら

 

最深部のボスが待ち構えているという場所へと向かっている真っ最中である。

 

「おい、こっちで本当に会ってるのか? さっきから迷いなく進んでるみてぇだけど」

「問題ありません、お前は黙って私と一緒にいればいいんです」

「……」

 

さっきから何度もこんな感じのやり方を続けながら、ズンズンと前へと歩いてくアリスに半ば引っ張られてるような感じで銀時は渋々ついて行く。

 

「それにしても明かりも付けずによくもまあ平然と歩けるもんだなお前、まさかこの暗闇の中をハッキリと見通せるスキルでも持ってんのか?」

「持ってますよ、暗い洞窟や廃坑でも真昼の外の様に見えることが出来る『暗視』です」

「ホントに持ってたのかよ」

「欲しければ手に入るクエストまで案内しますよ」

 

こちらに若干光っている二つの目を向けながら、アリスは自分が持っているスキルが手に入る場所まで案内しようと誘って来た。

 

彼女が何故にそんな事を言ったのかは大体検討が付く、彼女は一緒に出発する前に言っていたのだ。

 

自分と同じ時間を共有すればいずれ忘れている記憶を思い出すかもしれないと

 

それがどういう意味なのかは全く分からないが、とにかく彼女が自分と行動したがる理由は恐らくそれなのであろう。

 

「確かに便利そうだし欲しいと言えば欲しいけど、今はとりあえずボスの所までの案内だけで良いから」

「ならばボスを片付けた後に……」

「いや流石にボス戦をやり終えたら俺も疲れて休憩したいから、しばらくログアウトしてリアルの方で休んで来るわ」

「休んだ後いつこっちに戻って来るのですか? 私は何処で待っていればいいのですか?」

「いや待ってなくていいから、今度会う時に教えてくれればいいから」

「今度会う時とは何時ですか? 明日ですか? 明後日ですか?」

「え~……」

 

何度も真顔でしつこく尋ねて来るアリスに銀時は頬を引きつらせて固まってしまった。

 

コレはもしやストーカーという奴なのであろうか、まあお妙に付き纏うあのゴリラよりも、この様な美少女に付き纏われるのであれば普通なら喜びたい所だが

 

こうも澄んだ目でグイグイと迫って来られると、なんだか不思議な恐怖感を覚える。

 

「あ~とにかく今は先の事は考えずにボス戦に集中しろよ、二人だけでやんだろ? どうせ勝てねぇだろうから引き際のタイミングとかちゃんと考えておけよ」

「引き際など考える必要はありません、私とお前であれば確実に勝利出来ます。自信を持ちなさい」

「なんなんだよお前のその根拠もねぇ自身は……どうしてそこまでポジティブに考えれんだよ、最近の子はみんな怖いモノ知らずなの?」

 

ボス戦ともなれば戦う時はそれなりの人数を揃える必要がある。

 

今回銀時がキリトと共に迷いの森へ来たのもボスを倒すのではなくあくまで軽く下調べしたらすぐに帰って、もっとメンバーを集めてからボス戦をするという、EDOの中では定石のパターンでやっていこうと思っていたのだ。

 

だがこのアリスはというと、相手がどんなボスかさえもわからないクセに、自分達の二人だけで勝てると自信満々に言ってのける。

 

「そりゃ現実世界の銀さんならそんぐらいの無茶はいくつもこなしてるけどよ、この世界だとそうそう上手くいかねぇんだよ実際、この身体が本物の身体ならそれなりに立ち回れっけど……」

「無駄口はその辺にしてください、着きましたよ最深部に」

「へ?」

 

所詮この体はデジタルで作られた偽の身体、本物の身体同様には使いこなせるわけがない。

 

銀時がそんな事をぼやいていると、ずっと進み続けていたアリスの歩みがやっと止まった。

 

彼女が向いてる方向に銀時も顔を上げると……

 

 

 

 

そこには綺麗な装飾が施された巨大なモミの木がぼんやりと光に照らされながら美しく輝いていた。

 

「うおすっげぇクリスマスツリーだなオイ、切り取って売ればいくらになるんだ?」

「下衆な考えしてないであの木の下をよく見てみなさい」

 

つい余計な事を考えてしまう銀時にアリスが冷ややかなツッコミを入れつつ、木の下の部分を指差して銀時に促す。

 

彼女に言われて銀時は視線をそちらに向けると

 

赤い帽子と服を着た太った白髭のオッサンと

 

頭に角を生やした、一応トナカイ的な存在と思われる赤鼻のオッサンがこちらに気付きもせずに口論していた。

 

「だからアンタはこんな所で油売ってねぇでさっさと子供達にプレゼント配れって言ってんの!」

「るっせぇ俺はもう自分の道は自分で決めんだ! 俺はもうサンタの仕事なんざゴメンなんだよ! 去年子供の親に見つかって通報されてブタ箱にぶち込まれてから辞めるって決めたんだ!」

「アレはお前! 家に忍び込んだ時にドサクサに冷蔵庫開けて、中にあった酒飲んで朝まで爆睡してたテメェの自業自得じゃねぇか!」

「良いだろうが別に! サンタだってな! 酒で嫌な事忘れてぇ時があんだよ! サンタだって過去に囚われて間違いを犯す事だって日常茶飯事なんだよ!」

「日常茶飯事に人の家の酒飲んでたらもうサンタじゃねぇから! それもうただの空き巣だから!」

 

プレイヤーがボス付近に到着した時に自然と発生するイベントなのか

 

二人でギャーギャ―怒鳴り合いをしている二人に、銀時はアリスと共に隠れもせずに堂々と近寄って行く。

 

「おい小娘、ホントにあれがボス? なんか落ちる所まで落ちぶれたサンタにしか見えねぇんだけど?」

「気配からして間違いなくボスです、それと小娘という呼称は不愉快です、私の名前はアリス・シンセシス・サーティと前に教えた筈です」

「長ったらしいんだよその名前、覚えられないから金髪電波で良い?」

「もう一度その呼び方をしたら本気でぶった斬ります」

 

銀時の呼び名にアリスがほんのりと殺意を込めた返事をしていると

 

サンタとトナカイと思われし二人がようやくこちらへ振り返った。

 

「ってオイ! なんだコイツ等! いきなり俺の領域に土足で入ってくんじゃねぇよ! 入るんならちゃんと玄関で靴を脱いでから上がって来い!」

「玄関なんてねぇだろうが! つうかコイツ等! 見た目からして俺達を倒しに来たんじゃね!?」

「マジかよ! もしかして最近若者の間で流行ってるとかいう親父狩り!? ふざけんなよもう~! 俺もう周りからおっさんとして見られちゃってるのかよ~!」

「いやとっくに昔からあんたおっさんだから!」

 

顔に手を当てながらショックを受けたリアクションを取るサンタにトナカイがすぐにツッコミを入れると

 

サンタの方はやれやれと首を横に振った後、改めてこちらの方へ顔を上げた。

 

「テメェ等よく聞けよ、俺は『背教者ニコラス』ってモンだ、そんでこっちが元相棒のトナカイのベン」

 

まさかの結構カッコいい名前だったおっさんが名乗りつつ相棒の名もこちらに教えると

 

ニコラスは酒の入った瓶片手に千鳥足でこちらへ歩いて来る。

 

「ここに入り込んで来たって事は大方俺が持っている伝説のアイテムが狙いだろ? だがそう簡単に渡す訳にはいかねぇな、もし欲しかったらベンの屍を超えて自力で取ってみやがれ」

「いやそこは「俺の屍を超えていけ」って言う所じゃねぇの!? どうして俺一人死なせて自分は助かろうとしてんだよ! 命乞いでアイテム渡す気なのお前!」

「やかましいぞベン、ちょいとしたジョークだ、笑え」

「笑えねぇよクソジジィ!」

 

本気で酔っぱらているのか、さっきからふざけまくるニコラスにベンが額に青筋浮かべて怒鳴り散らすも

 

ニコラスは聞いていない様子でフラフラ~と銀時とアリスの方へ接近してくるも、距離の間2メートルぐらいになった時に急に……

 

「さて、まずはお手並み拝見と行こうじゃねぇか、よ~い……ドォン!」

「「!!」」」

 

前傾姿勢を取って急にこちらに向かって全力で突っ込んで来たのだ。

 

酔っ払ってる様子はただのフェイクで、動体視力が優れている銀時でさえ追えぬ程の俊敏な動きで

 

ニコラスは懐から取り出した物をこちらに向かって突っ込みながら投げつけて来た。

 

「これは、く!」

 

アリスに向かって放たれたのは謎の小さな球体

 

それを彼女はギリギリ避ける事に成功するが、ニコラスがグイッと自分の手首を引っ張った瞬間

 

「紐……? なるほど、まずは私達の動きを止めるのが目的だったのですか」

「チッ、とんだ食わせモンだなこのジジィ」

 

何が起こったのか、一瞬にしてアリスと近くにいた銀時が背中合わせの状態で細い1本の紐に絡め取られて拘束されてしまったのだ。

 

身動きできない状態で二人は冷静に今の状況を観察していると、ニコラスが得意げに手に持っていたある物を掲げる。

 

それは自分達を拘束する際に使った丸い球と紐が付けられた

 

「どうだ勇者さん達よ、俺の”けん玉”の威力は……」

「ってなんでけん玉なんて武器に使ってんだこのサンタ!」

「去年のクリスマスプレゼント用に大量に用意しておいたんだよ、誰も欲しがらなかったせいで結局倉庫に沢山残ってて困ってんだわ」

「今時のガキはけん玉なんてやらねぇよ!! どうしてそれでいけると思った! どうしてけん玉一本でいこうと思った!」

 

けん玉を手に持って世知辛い話を呟くニコラスに、相手がプレイヤーではなくボスだというのも忘れてつい銀時がツッコんでいると

 

「うおぉぉ! 隙ありッ!」

 

今度はトナカイ(?)のベンの方が雄叫びを上げながらこちらに向かって飛び掛かる。

 

「食らえ親父直伝 長年ソリを運んだ事により生まれた脚力から誕生する! その名もジョンソォンキィィィィィィク!!」

「名前長ぇよ! おい! 地面蹴って避けるぞ!」

「言われなくても私もそう思っていました」

 

ニコラスが拘束してベンが回転しながら渾身の飛び蹴りをプレイヤーにかます。

 

そういったコンビプレイを繰り出すボスだとわかった銀時は即座に紐に巻かれたままアリスと共に思いきり地面を強く踏んで横に倒れる。

 

すると先程いた自分達の場所にベンが回転しながら着地し、深々と足を地面に突き刺した。

 

「あんなの食らったらヤバかったな……」

 

その威力を倒れた状態で眺めつつ、銀時は紐を力づくで切ろうと拘束されている両腕を動かそうとする。

 

しかし紐は見た目に反してかなり頑丈なのか、一向に切れる様子がない。

 

「思ったより硬てぇぞコレ……武器で斬るにも俺等両方共縛られて……あ、そうだ」

 

ピーンと何か閃いたのか、銀時は背後のアリスに声を掛ける

 

「おい、そっから俺の腰元に手を伸ばして差してある脇差し抜いてくれ、そんでこの紐さっさと切ってくれ」

「わかりました、それでは……」

 

言われるがままにアリスは右腕を銀時の腰に手を伸ばして脇差しを掴もうとする、

 

だがその時、銀時はきゅっと締め付けられる感覚を覚えて顔色が悪くなった。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!! その剣じゃない! アリスちゃんその剣は掴んじゃダメェ!」

「随分とフニャフニャした脇差しですね、これで本当に切れるんですか?」

「それは切るモンじゃねぇ突くモンだ! いいから真面目に脇差しの方を抜けってんだよ!」

 

ある場所まで手を伸ばしてそこにあるもう一つの剣をピンポイントに鷲掴みにし来てたアリスに銀時が叫ぶと

 

彼女はすぐに手で彼の身体をまさぐりながらようやく脇差しの方に手を引っ掛けて一気に引き抜くとけん玉の紐を切ってようやく拘束を解いた

 

「テメェ! ゲームの世界だからってなに男のデリケートな剣を握り潰そうとしてんだコラ!」

「紐は切れたんだから別に良いでしょ、それより今は眼前の敵を見据えて下さい」

「コイツ……!」

 

しれっとした表情で目の前の敵を見ろと指示してくるアリスにイラッと来るも、渋々従って銀時はボス・ニコラス&ベンの方へ振り向くと

 

「俺達の前でイチャついてんじゃねぇ!」

「のわっと!」

「二人だけのデート感覚で俺達に挑むとか! ナメんのも大概にしろ!!」

「うおっと!!」

 

こちらの様子をずっと眺めていたのか、ニコラスの方が激昂した様子でけん玉の玉を投げつけて

 

ベンの方もまた今度はタックルをしながらこちらに襲い掛かって来る。

 

慌てて銀時はそれをヒラリと避けながら、アリスの手を掴んで走りながら態勢を整えようとする

 

「ちょっと待てアイツ等本当にゲームのキャラか!? なんかプレイヤーみたいに感情に身を任せて攻撃してきたぞ!」

「この世界は階層を上がる事に敵のAIも成長していきます、今は三十五層、よって彼等もその階層に相応しい知能を得ているという訳です」

「いや相応しい知能ってアレがか!? むしろバカになってるような気が済んだけど!?」

 

アリスの説明を聞いてこれまで戦っていたボス達とは違うと理解した銀時は

 

逃げ回るのを止めて腰に差してある別の得物を取り出す。

 

三十層で手に入れたGGO型近接特化武器・両端に刃を付けた風変わりなビームサーベル

 

仙風鬼を手に取ってすぐ様ブゥンと青白い光の剣を両端から放つ。

 

「けど敵の戦い方が変わっても俺達プレイヤーがやる事は何も変わらねぇだろ、どんな敵だろうが斬り捨てれば勝ち、そうだろ?」

「そういう事です」

 

ローブを翻しながら取り出した銀時の得物をしばし見つめた後、アリスは彼の腰から抜いた脇差しを彼の方へポイッと渡す。

 

「相手は巧みな連携を使って私達に挑んで来ます、ならば目には目を。私達は奴等以上のコンビプレーを用いて勝負を仕掛けましょう」

「簡単な事言ってくれるぜオイ、会ったばかりのお前なんかとまともに共闘できるかどうかもわからねぇってのに」

「お前と私であれば可能です」

 

腰に差す洞爺湖と彫られた、あの例の木刀を抜きながらアリスが自信満々にそう言うと

 

「では反撃と参りましょうか」

「っておい!」

 

なんの合図もせずに単身でボス達の方へ突っ走しってしまう。

 

前傾姿勢を保ちながら地面を滑る様に無駄のない動きで駆ける彼女の姿に一瞬見とれてしまいそうになりながらも

 

慌てて銀時も彼女の後を追ってボス達の方へ真っ向から勝負に挑んだ。

 

「見ろよベン、アイツ等小細工もせずに俺達と正面からかち合うつもりだぞ」

「何も考えてねぇバカか、策も労せずに俺達に勝てると踏んでる自信家か、どっちにしろさっさと片付けようぜ」

 

こちらに突っ込んで来る二人にニコラスは再びけん玉を構え、ベンはニヤリと笑いながらダッと地面を蹴って返り討ちにしようと駆け出した。

 

「食らえ俺の親父直伝! 当たった瞬間粉々になるといわれる地獄の極意! ハリケーンミキサァァァァァァ!!!」

 

頭に生えた二本の角を武器としてこちらに突き付けながら、まっすぐ突っ込んで来ながら咆哮を上げるベン。

 

しかしアリスは表情一つ変えずに、無謀にも自ら彼の方へを突っ込んでいく。

 

すると

 

「親父直伝ハリケーンミキサーって……」

「!」

 

アリスとベンが衝突間近の瞬間

 

寸での所でアリスが足でブレーキをかけ、そのタイミングを見計らったように彼女の真上から銀時がベンに向かって飛び掛かり

 

「それただのパクリ技じゃねぇかぁぁぁぁぁぁ!!」

「ぐおッ!!」

 

走るアリスの後ろを追走しながら身を潜めていた銀時による上空からの奇襲

 

ベンの頭部目掛けて銀時は右手に持った二つ刃の得物を振り回しながら手痛い一撃を浴びせる事に成功した。

 

「へ、思ったよりやるじゃねぇか……」

「おいベン! お前油断してんじゃねぇぞ! 真面目にやりやがれ!」

「うるせぇアンタも見てないでちゃんとや……!」

 

背後にいる相方のニコラスに応戦要請を試みるベンだが

 

その隙を突いて今度はアリスが木刀を振るいかざし

 

「おべろ!」

 

横薙ぎの一閃を無言で思いきり振り抜く。

 

ベンの2本あるHPバーがちょっと減り、それと同時に彼に奇襲をかけていた銀時が地面に着地してアリスと代わりばんこに

 

「あふん!」

 

グルンと得物を回転させて一振りで二つの刃をベンに浴びせていき、減ったばかりのHPをみるみる削っていく。

 

「コイツ等思った以上に速いぞ! 早く加勢してくれ!」

「にゃろうよくもベンを! 食らえ俺のけん玉アタァァァァァク!!!」

 

ベンが圧されている事に気付いたニコラスは怒りを露にしながら

 

ベンを切り刻んでいる銀時目掛けてけん玉の玉を当てようと振るう

 

しかし紐に繋がれたけん玉は銀時に当たる直前で

 

アリスが前に立ち塞がって自分の木刀にその紐を絡みつかせる。

 

「は!? うお!」

 

紐を絡ませた木刀を両手で握ると、アリスは乱暴にグイッと引っ張って、けん玉を持っていたニコラスを強引にこちら側に引き寄せた。

 

そして驚きながらアリスの方へと引き寄せられて宙を舞うニコラスに

 

先程ベンに攻撃していた筈の銀時がいつの間にか上から振って来て

 

「でべしッ!」

 

脳天に思いきり刃を垂直に突き刺し、3本あるニコラスのHPバーをかなり減らしていった。

 

「おいおいなんだコイツ等の動き! ヤベェぞチクショウ!」

 

ニコラスの頭に深々とビームサーベルを突き刺しているのを見て合わってベンが駆け寄ろうとするが

 

「どこ見ているんですか、お前の相手はこっちです」

「な!」

 

銀時の方に目を向けていたベンにヒョイッとアリスが身を乗り出して回し蹴り

 

足払いされて体勢を崩し、倒れかけている彼に、アリスは両手に持った木刀を振るい上げて

 

「ばべるッ!」

 

豪快に振り下ろす。

 

木刀とは思えない強烈な攻撃にベンは成す術なく地面に倒れた。

 

「な、なんなんだコイツ等……」

「お、俺達のコンビプレイを相手にしてビビるどころかその上をいく連携攻撃だと……!?」

 

倒れながら二人の動きに驚いている様子のベンとニコラスだが

 

ベンはアリスが、ニコラスは銀時がヒョイと持ち上げて

 

目も合わせずにお互いの方へと乱暴に投げてそして……

 

「「ってぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

相手が投げた敵を互いに鋭い剣筋でぶった斬る。

 

しかし流石はボスモンスター、このフィニッシュ攻撃を食らってもなおまだHPバーは1本目の半分も削り切れていない。

 

「チッ、やっぱ大勢を相手にした前提で戦うボスだからそうとう堅ぇなこりゃ」

「しかしこれでわかったでしょう、私達が負ける筈がないと」

「……」

 

2体のボスが苦悶した表情で地面に再びドサリと倒れる様を見届けた後、銀時はアリスの方へと振り返った。

 

(なんだコイツ……俺の動きに完全について来てやがる……しかも打ち合わせも一切してねぇのに俺の動きや考えを瞬時に読み取って上手く対応して合わせて来やがった……)

 

スイッチの掛け声さえ必要としない程の抜群のコンビプレイがアリスと出来た事に銀時は内心驚いていた。

 

ここまで自分と呼吸を合わせられる人物がかつての戦友たち以外にいたとは……

 

「とことん訳わかんねぇ野郎だ、まさか俺の本気の動きについて来れる奴がいるなんてよ」

「おかしいですね、今の動きがお前の本気ですか?」

「あん?」

「その程度の動きがあなたの限界なのですか? だとしたら少しお前を買い被っていたみたいですね私は」

「んだとこの野郎、ちょっと褒めてやったらすぐ図に乗りやがって……」

 

真っ直ぐな目をこちらに向けながら辛辣に言ってくれるアリスに

 

銀時はイラッとしつつ得物を構え直す。

 

「前言撤回だ、俺の本気はまだまだこんなモンじゃねぇ、そのむっつり口が開きっ放しになるぐらいすげぇモン見せてやる」

「では口だけでなく己の剣で見せて下さい」

「へ、言うじゃねぇか小娘」

「だから私を小娘と呼ぶのは止めなさい」

 

小娘と呼ばれる事を本気で嫌がっている様子のアリスと共に得物を構えたまま並ぶと

 

ヨロヨロと起き上がるニコラスとベンを前にして二人は一斉に飛び掛かる。

 

「そんじゃあちょいとボスを二人で捻ってやろうじゃねぇか! アリス!」

「やっと私と組めば勝てると理解できたようですね、それでは改めて参ります」

 

木刀とビームサーベルを持った二人の男女がボス目掛けて会話しながら襲い掛かった

 

この日、坂田銀時は

 

アリスとの接触をキッカケに

 

現実とゲームの間に存在する壁の一つを破壊する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




成長のキッカケを作ってくれたのはやっぱり”彼女”でした

前回の予告で言ってた意外な人物の正体はベンとサンタのおっさんです。

一体どんな奴が来るのかなと期待してた人マジでごめんなさい

脇役も好きなんです私
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。