あらすじ
小傘と出会った。
「お邪魔しまーす」
家に入って小傘の目に入ったのは、殺風景な景色が広がる家の中だった。
あるものと言えば、囲炉裏にぶら下がっている鍋。服を入れるタンス。それと布団が敷いてあるだけの部屋。
1番小傘が驚いたのは、風通しがとても良すぎる事だ。
(こんな所で暮らしてるんだ……。夏場はいいかもしれないけど今日みたいな雨降りな日や冬の季節は寒いだろうなぁ……)
少しだけ同情をする小傘。
しかし、それと同時にあることが浮かんだ。人間にしては生活感が無さすぎると。
特にこの風通しによって家の温度は格段に低くなる。そんな中、人間が生活など出来るわけが無い。
幾ら、囲炉裏の火があるからと言っても、火が消えてる状態で気温が下がる朝方に行動出来るはずが無いと。
この事から、彼は人間なのかと疑問に思う小傘。
「ごめんね……寒いよね。ちょっと待っててね」
そんな事を思っていた小傘の後に続いて入ってきた少年は、囲炉裏に薪を組むと火打石で火をつけていく。
その数分後、パチパチと音を立てて火がついた。
「暖かい……」
小傘は笑顔で火に当たる。その光景を少年は微笑みながら台所で米を洗い鍋に入れていく、囲炉裏に吊るす。
「今日は何なの?」
「今日は……お粥だよ。とは言っても毎日お粥なんだけどね。1日1日献立を変えられる程のお金は無いからね」
「ええ!?なのに……わきちが食べてもいいの?」
流石の小傘も悪いと思い、遠慮しようとするが少年はにこやかに
「いいんだ。誰かと一緒に食べたいんだ。ずっと1人だったからさ」
少年は、苦笑いを浮かべつつ口を開く。その言葉に小傘はどこか悲しげなものを感じた。
まるで、ずっと1人でいたかのように。
「なら……食べてもいいの?」
「うん。いいよ、召し上がれ」
少年は微笑みつつ、鍋の中身をお椀に移すと箸と共に小傘に手渡す。
小傘はそれを受け取ると、少年に対して申し訳なさそうな表情を浮かべるが、笑顔の少年を見てすぐにこちらも笑顔になる。
「それじゃいただきます!」
小傘は笑顔で、お粥を口に入れていく。
その様子を微笑みながら見つめる少年。
「美味しいよ!久しぶりにこんな美味しいご飯を食べたよ!」
「それならよかったよ。簡単なお粥で申し訳ないけどね」
「ううん、気にしないで。食べさせてくれるだけで有難いもの」
小傘の言葉に少年は、また笑顔をこぼしてしまう。こんなに笑ったのはいつ以来だろうかと思い始めていく。
(随分笑ってなかったな……。まぁ、仕方ないよな。ずっと1人だったんだから)