「っていうか、なんでだいたい私が席を外しているときにトークしているの?」
この新しい別のメッセージ群も、お風呂に入っていた時刻と一致する。ひょっとしたら、私の部屋に隠しカメラでもあるんじゃないか。被害妄想に囚われて5分くらい捜索したけど、時間の無駄だった。――それにしても、ほんとに知佳のノリが可愛いな。頬っぺたつんつんしたい。
「お。天野さん、記号が使えるようになったんだ。私のおばあちゃんより飲み込みが早いな……?」
ひとり呟いてから気付いたけど、理解力が御年80の祖母に負けるJKなんて居てほしくないや。いちおう脳みそは若いんだし、スマホを操作する能力くらい人並みにあってほしいな。うん。
被害妄想して嘆いていると、ベストなタイミングで私の話題になっていた。御園さんのコメントで数時間前のやりとりへとスクロールしていく。確かに私がこのグループでスマホ入力したのは『じゃあ、4コメ』だけだった。ご飯を食べたりしていると、メッセージする暇がなくってね。
意識の高い大学生みたいな、忙しいアピールではないけど、返信することはめったにないんだよね。そもそもSNSを使いこなせるタイプのJKじゃないし。天野さんのことを笑える次元に居る訳じゃないんだよね、実を言うと。
「読み専……まあ、気付くのが遅いってだけかな。通知もオフにしているし」
四六時中、誰かと繋がるのは好きじゃない。だから私は、知佳が呟くアプリを勧めてきてもダウンロードしなかった。独り言を公開して何の意味があるんだろう、としか思わなかったし。
「さすがに自分だけのプライベートな日記を晒す勇気はないかな……そんなの、生き恥ものだよ」
トーク画面を更新すると、メッセージの通知がゼロになった。ということは、現在進行形で彼女たちがやりとりをしていることになる。いえーい、見てる~?
「……いやいや。私だって好きで読みに徹している訳じゃないよ。タイミングが合わないだけで」
いつの間にか、読み専のプロフェッショナルと言わせしめるレベルにまで格上げされていた。でも、その感じは悪くない。少し上のステージでみんなを見下ろしている気分になれる。
「まあ、楽しんでいると言えばそうなのかもしれないね。みんなの可愛いやりとりが見れているし」
なんなら、このままプロの腕を磨いてもいい。みんなには嫌われるかもしれないけど。
「あ、花城さんがスベッている……触れないでおこうかな」
なんか寒気がしてきたな、花城さんのせいだろうか。ホットミルクでも作ろうかしらん。