「以上、コレがユウ・エンプティ革命……俗称『道化革命』と呼ばれる事の全容です」
「なるほど……よくわかった。」
目の前にいるクロノ・ハラオウン提督に資料を渡し、一礼する。
ズレたメガネをかけ直して、足をキチンと整えて立つ。
「それで、保護したとされるジェイル・スカリエッティ達はどうなっているんだ?」
「はい。彼らはかの英雄、ライト・タカマチ特殊一佐の保護監視下の元、研究に励んでます。研究員達の評判は悪いですが、彼の頭は確かに有能なので問題はありません。ナンバーズ達はそれぞれ教育不足としてナノハ・タカマチ一等空尉、リインフォース・ツヴァイ空曹長が教育係をしています」
「そうか……順調なのか?」
「はい。今の所ナンバーズ達は現状維持……家族の平和を望んでます。あと、耳に入れたい事が」
「どうした?」
少しだけ声を小さくして誰にも聞こえないようにする。これはなんせ極秘情報なのだ。
「革命前に六課が保護していたとされる少年……ユウと名付けられた少年なのですが」
「あぁ……ソレがどうかしたのか?」
「実は、ナンバーズと一緒に保護されてます」
「なんだと!?」
「うひゃぁい!?」
「む、すまない」
突然立ち上がったクロノ・ハラオウン提督に驚き思わず変な声が出てしまった。いやはや、もう少しどうにかしたいモノだ。
「で、ソレは本人なのか?」
「はい。ソレは確実に。どうやらスカリエッティが前もって準備していた身体にユウ・エンプティが少年ユウをインストールしたみたいです。名前もユウ・ミカゲと第97管理外世界のチキュウ、ニホン、でしたっけ? その国の名前が登録されているようです」
「……そうか」
「……私の一存では何もできませんので、報告だけしようと思ったのですが……」
「この事を他に知っている者は?」
「ハヤテ・ヤガミ陸上二佐、フェイト・テスタロッサ執務官、他、元機動六課の武力部隊は知っています」
頭を抱えてしまったクロノ・ハラオウン提督。
近くにあったコーヒーを飲んで落ち着いて、改めて口を開く。
「そのことは……まぁいい。それで、死傷者は?」
「……未確認ですが、おそらくユウ・エンプティ。そしてスズカ・ツキムラ准陸尉……いえ、今は二等陸尉が」
「……そうか」
「けれど、管理局の死傷者はゼロです」
「……そうだな」
クロノ・ハラオウン提督は眉を寄せる。珈琲が苦かったのか、それとも影の権力者たる上の存在が消された事を隠すためか。
どちらにせよ、そんなこと報告書に書けるわけがないのでここでは伏せている。
「しかし、あれだな。君の報告書は実によく纏められている」
「そうですか? ありがとうございます」
「本当に、よく纏まっているし、管理局が知るはずない情報まで微細に書かれているよ」
「……ちょっとしたツテがありまして」
「……そうか。まぁ追求はしないさ」
「ありがとうございます」
「いや僕にしてもこうして纏められている方が助かる。いや、本当に、まるでその場に居たかの様な報告書だよ」
「お褒め頂き感謝に極みです」
踵を返して扉に向かう。そろそろ出なければあの人が怒る。というか、殺されるかもしれない。
「ふむ、あぁ、そうだ」
「はい?」
クロノの声に止まり、後ろを振り向く。クロノは報告書に目がいっていてコチラを見ていない。
「そういえば、君は結婚するそうじゃないか」
「え、えぇ。管理局も今日が最期ですが」
「それはおめでとう。紫色の髪の彼女によろしく言っておいてくれ」
「…………えぇ、ありがとうございます」
「あと、次はどこか仕事の関係ない所で会おう。親友」
「……」
俺はソレに応えず手を軽く上げて応えた。
メガネを外して堅苦しい制服のボタンを緩める。
‐バレる前提で話すのは面倒だ
‐尤も、これ以上バレるつもりはないけどさ
‐これで俺の存在は消えました、と
管理局の目の前の広場で鳥に餌をやっていた彼女は俺に気づいたようで、ニッコリと微笑む。
「御帰り」
「全部終わったよ」
「そっか、今からどうしようか」
「そうだなぁ、金はあるし……」
「アナタもいるしね」
その言葉に思わず彼女の頭を軽く叩いてしまう。
彼女は頭を抑えて笑っている。照れ隠しだということがバレているのだ。
「うーん、いっそフリーランスの傭兵にでもなるか」
「どうでもいいよ。アナタの隣に在れるなら」
「…………はぁ、まったく」
思わず頭を撫でてしまう。照れ隠し。
‐とりあえず、もうその辺りの物陰に連れ込もうぜ
‐俺が絞れらる未来しか見えない
‐ナニソレコワイ
‐おいおいちゃんと計算したのかよ
‐誤差が……ない、だと
‐もう絞られればいいんじゃないかな
カット。
「そうだな、まぁ適当に世界を練り歩いてみるか」
「私達の冒険はまだこれからだ?」
「続きはないから何とも言えないさ」
「そっか」
不意に彼女が帽子を深く被った。視線を辿れば、銀色の髪が眩しい男とその隣に黒髪の少年がいる。
親子、にしては似ていない。まぁ親子でも無いのだろう。
彼らは俺達を横切って管理局の中に入った。少年だけは、どうしてか俺を凝視していた。
「ふふふ、やっぱり似てるね」
「当然さ。彼は俺で、俺は彼なのだから」
「けれど彼はアナタじゃなく、アナタは彼でないんでしょ?」
「当然さ。この世界にミカゲユウはただ一人。今や俺は単なる
そんな言葉に苦笑する彼女に、俺も苦笑してしまう。
「あぁ神様、ミカゲユウに幸福を……なんてね」
「ゆぅ君が神頼みなんて、珍しいね」
「そりゃぁ、最後の願いだからさ」
「?」
首を傾げたすずかの手を取り歩き始める。管理局には背を向けて、彼らから離れる為に。
彼らとは別の道を選ぶ為に。
くぅ~疲れました!(ry
RING、つまり円です。
別に、こうして簡易的なループ設定にしなくても良かったのですが、実際の物語では語られる事の無かった二つの物語なので、出口も入口もありません。
IF_END⇒
RING_END⇒ミカゲユウ(過去も未来も含めた)に幸福を⇒IF_IN
本編の完結方法は、ユウの死亡なのです。
だからこそ、もし物語、ということでこうした矛盾小説を書くにいたりました。
どちらも観測する事は出来ないのだから、もしかしたら、という事です。量子的な話ですね。
私個人は楽しみました、三者視点の練習、戦闘描写の練習が出来ました。
おそらく読者は楽しめないでしょう。なんせ、蛇足ですから。
どちらにせよ、誰かが求めた結果です。
革命後の英雄とかの状況も書いてよー、と言われましたが、それほど元気もありませんし、東方の更新も滞るので、諦めてください。
いや、本当に。うん。