「はい、ヴィヴィオ。バンザーイ」
「ば、ばんざーい」
両手を上げた幼女、失礼、ヴィヴィオの服を器用に脱がす高町なのは。
んー、と両手を上げる幼女の服を脱がす、なんとも微笑ましい光景である。
どうしてソレが先程の脱衣所で出来なかったのか…理由は作者にしか分からない。
さてさて、場面はコッテリ、というのはオカシナ話なのだが、とにかくポックリ変わってしまい、機動六課の大浴場に場所は移ったのだが。どうしてこんなモノが六課の本部に建てられているのか、作者はさっぱり分からない。
どうせ金髪白衣の狂喜的科学者と機動六課が誇る生ける遺物こと狸様が浴場の重要性及びそれによる仕事の効率化などなど、ともかく理論武装で上司に掛け合ったのだろう。
もしくは黙って設立して、事後承諾か、はたまた直属の上司でもあるムッツリ既婚者に承諾させたか。
ともかくとして、機動六課には大浴場“カッコ”混浴ではない“カッコ閉じる”なんて素晴らしいモノが存在している訳だ。カッコの中身さえ無ければ、きっと、いや、必ずと言っていい程作業効率は上がっただろう。ナニの、とは言わないが。
「んしょ、っと」
着ていた白衣を綺麗に畳み、タイトスカートを下ろしたのは紫髪を背中の中程まで垂らした彼女である。
上着も既に畳まれていたようで、彼女が纏うのは白いYシャツ、そしてその中に着けられているであろうブラジャー、そして下半身を守るショーツである。
健康的な、それでいて少しばかり白いと思える肌。それに包まれたはち切れんばかりの瑞々しい太もも。指で押せばそれに反発してきそうな程に、いっそのこと一級の美術品と言っていい程に素晴らしい。
「じゃぁ、君も脱ごうか」
「……」
そんな中、無反応と言える狂人、いや、強靭な感性を持ち合わせた彼。正確には強靭な感性も持ち合わせていないのだけれど、普通の少年のように真っ赤にもならずアワアワもせず。正直な話、描写に苦しむ。
そんな無反応な彼の拘束衣を慣れた手つきで外していく月村すずか。どうして慣れてるか、そんな事はどうでもいい。拘束衣と首輪を着けている少年をYシャツとショーツのみの美女が脱がしているのだ。傍から見るとどうなるか。
「――――」
空いた口が塞がらない、高町なのはの様になってしまう。当然だ。もう、思春期も超えてしまった少女とも言えない女の子(重要です)がコレを見て何も思わない?そんな筈がない。
彼女の頭の中で巡るめく痴情が妄想という形でアレヤコレヤと成っている。彼女自身も下着のみの姿で口が空き、まるで時間が止まってしまったかの様に痴態を晒している訳だから、もう、誰かここに正常な思考を持ち合わせた人間を連れて来てほしい。
もしくは、紳士が来るべきだ。来たれ、紳士。ジーク・ジオン。
「?どうしたの?」
「ハッ!!、な、なんでもないよ、ヴィヴィオ。さ、さぁ!おっきなお風呂に行こう!!」
「ぉー」
そんな時が止まってしまった中、正常な認識を未だに保有できてはいない、汚れを知らない幼女の声が響き現実に引き戻される。
つい先ほどまで、
「あぁ、ゆぅ君!ここが、ここがいいんでしょ!!」
「んぁ!!らめぇ、そんな、そんなところらめぇ!!」
なんて成長した親友と全てを持って逝ってしまったかの友人に似た子供の情事を想像していた、なんて彼女に言える訳もない。言えれば彼女はどこに出しても恥ずかしい痴女なのだろう。
ともあれ、そんな妄想をしてしまった頭を冷たい水で冷やす為に桶一杯に溜めた水を彼女は被るのだけど、当然冷たい訳であり、「ひゃぁッ!!」だのと声に出てしまったのは仕方ない。ヴィヴィオが真似をしそうになるのを止める彼女のことはとにかく放置して視点を切り替えよう。
手際よく、と言っても拘束衣を脱がすというのは些か時間が掛かることであり、ちょうど痴女さんと幼女が浴室に入り込んだ時にようやく彼の拘束衣が外れる。
研究室に入り浸り、時に買い物に出かける程度しか外出をしていない彼の体は白く、細い。目新しい傷も無いのだけれど、一つだけ、たった一つだけ左胸辺りに縦に長い菱形の傷がある。
ソレも古い…言ってしまえば痣に近いモノなのだけど、しかし確実にあるモノ。何かに貫かれた様な、痕。
少しだけ顔を歪めてソレを細い指でなぞる。何度か触れて、掌をペタリ、と彼の胸に置き、瞼を下ろす。
トクン、トクン、トクン、トクン。静かに、しかし確実にソレは脈動している。
「……」
「……」
「はぁ……さて、私達も行こうか」
下ろした瞼をゆっくり上げて、手を離し、彼女は微笑む。
ユウは胸に手を置いて、首を傾げる。ソレは彼女が触っていたことでは無く、苦しそうに微笑む彼女を見た時にどうしてかソコがズキリと痛んだからだ。
まるで自分を罰しているかの様に、確実に、脈動しているソレと同じように、ズキリ、ズキリと。
そんな事は何処か途方の彼方へ飛ばしておこう。
プチプチとYシャツのボタンを外し、袖から手を抜く。
髪と同色、いや、少しばかり淡い紫の布が彼女のたわわな胸を支えている。普通の少年とならばあわわとなって意識が落ち、別の場面に移り変わるだろう。
そう!普通の少年ならば、だ!!
非常に、本当に非常に残念な事ながら、次元犯罪者である狂気の博士は彼の復活において記憶とソレに伴い感情も僅かながら削除してしまった。非常に!残念だ!
ともあれ、普通とは掛け離れた少年がこの小説の主人公であるから仕方がない。イヤーシカタナイネ。
そんな彼にボーッと見られながら彼女は背中に腕を回す。
プチッ、と小さな音が鳴り、ブラジャーの止め具が外れる。片手でブラジャーを支えながら肩紐を外し、そして堅牢なソレは意図も容易く、ふわりと、それこそまるで下着の様に取り払われた。いや、下着なのだけど。
前述していた、胸を支えている。そんな事は虚実だった。その事をまず詫びよう。
胸を守っていたソレを外されて尚やんわりと重力に逆らい、円錐型を綺麗に保った胸、否、おっぱい。
そんな触れば指に吸い付きそうなハリのあるおっぱいの上にちょこんと乗っている可憐なポッチ。
もう、何て言うか、最高です。
今、その場に安っぽいライトノベルの主人公がいたならばきっと鼻血を出して倒れていたかもしれない。
今、あの場にエロい小説の主人公が居たならば、濡れ場になってもう筆舌し難い情事に発展したかもしれない。
今、この場に軟派な軽い男が居たならば、きっと彼女を口説き落とすのに人生を掛けただろう。恐らく二秒程度で頭蓋骨が消し飛ぶだろうが……。
そんなブラジャーを脱衣カゴに置き、彼女のしなやかな手は下に伸びる。そう、まだ彼女のターンは終わってない!ヒョッ!?と驚いたところでしっかりと目に焼き付けるのが彼の仕事である。
尤も彼は今、目の前で起こっている事に関して甚だ無関心なのだけど。
ともあれ、第三者として楽しむべきなのだろう。
ここならば軟派な男が襲われる事も無ければ、そんな男が対物ライフルの一撃を喰らって頭が消し飛ぶこともない。ちなみにいつもの本編はこの辺で規定の文字数を突破している。まだ浴室にも突入してないんだぜ……驚きだろう?
ゆっくりと、スルスルと下ろされるブラジャーと同色のショーツが彼女自身の手によって下ろされる。
ぴっちりと閉じられた太ももとその付け根にある薄らと生えた紫色のふんわりとした柔らかそうな草原。その草原の奥には丘があり、谷があるのだが、残念ながらソレを視認することは出来ない。出来ないたら出来ない。
さて、彼女を守る着衣が何もなくなったところで、彼女はタオルを取り、ソレを体の前に垂らす様に持つ。
隠すものがそれだけしかない、というのも何だが、ある種の鉄壁補正が掛けられたタオルである。
「さ、行こうか」
「……ん」
相変わらず反応の薄い彼の手を取りすずかは歩き、浴室の扉を開く。
カコーン、だなんて鹿威しもないこの浴室には聞こえてこない。それは当然の事である。予算は厳しいのだ。厳しい筈なんだけどなぁ…。
ともあれ、ワシャワシャと優しくヴィヴィオの髪を洗うなのはと目をギュッと閉じながら洗われているヴィヴィオ。なんとも微笑ましい光景である。え?なのはさんの描写?こまけぇことはいいんだよ。それこそタオルを身体に巻いているなのはさんの描写なんて、描写なんて……。
さて、しっかりと身体を洗う、なんて嬉し恥ずかしの描写は省かせて貰おう。何故か?面白みがなかったのだ。
別段、彼女が彼のアレをこうして、あぁなる、だとかそういう描写をしてもいいのだけど、ヴィヴィオもいるのだからすずか様、勘弁してください。
「ふふ、」
「すずかちゃん、どうしたの?」
「何でも無いよ?ふふ」
そんな嗤いにゾクリと背筋が凍ったなのははこれ以上聞かない方がいいと判断した。頭にハテナを浮かべる少年と幼女が一人ずつ。
湯船にゆっくりと入り、なのははようやく落ち着く。少し立て込んでいて碌に休憩もしてなかったのだ。勤務中、勤務業務であってもこうして休憩出来る時はするべきだ。
そんな完全にリラックスしている隣で、ソレを見よう見まねで肩まで浸かるヴィヴィオも顔を弛緩させている。
我らが少年に至っては、
「……」
「ほら、逃げちゃダメだよ」
「……」
すずかに抱きつかれて借りてきた猫の様にお湯に浸けられていた。
少年の肩に顎を置き、手を彼の前でクロスさせて少しだけ力を込めて抱きついてるすずかは、もう本当に幸せそうでした。
その手はゆっくりと、文字通り水面下で彼の下腹部に伸びていくこともない。幼女がいるんだから仕方ないね。
「…ッ」
「んー?」
ビクッと動いてしまった彼を抱きしめていた彼女は当然気がついた。
ふと視線をずらせば、白い首に真っ赤な首輪が有り、そしてその首輪の下がやや焼けている事に気がついた。気がついてしまった。
すずかの背筋に何かが走り、自身を呼び掛ける何かを感じる。
――。
――、――そう。
――。――――。
少しだけ彼女の動きが止まる。止まった事を不思議に思い、彼が肩にいる彼女に視線を落とす。
すずかは静かに、絶対にバレない様に呼吸をして、脳に囁いてくる煩悩を振り払おうとする。
流石にコレは、マズイ。とも言うべき欲求を必死で抑える彼女は浅い息を何度か繰り返す。
「ハァ……ンック、ハァ……ハァ……」
そんな熱っぽく、色情溢れた吐息を耳元で受けている少年。幸いにして、彼が無表情な御蔭で彼女は親友にその本能がバレていないのだが……不幸ながら、彼が無感情な御蔭で欲情が収まりそうにない。
なんという無限ループか…ッ。
なんて思考を飛ばせる程度に安定した彼女は、ようやく深呼吸をして欲望を振り払う事に成功する。
成功したのだ、バレないようにペロリと彼の首元を舐める、なんて事、彼女はしていない。していないったら、していない。