ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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タイトル通りの特訓回となります。この兄妹の絡みが描きたかった、と言うのが本音です。


リーリエVSグラジオ!Z技を習得せよ!

「それでは行きますよ!シロン!」

『コォン!』

 

私は今、シロンと共に誰もいない海岸を見つめ準備をしました。それがなんの準備かと言うと……。

 

「行きます!私たちの全力!」

『コン!』

 

そして私は手を前にクロスさせてポーズをとります。そう、今私たちがやろうとしていることはZ技の練習です。

 

私はこおりタイプのZ技のポーズをとります。そしてZ技のパワーが左腕のZリングを伝わり、全力のパワーを纏ったオーラがシロンを包み込みます。

 

シロンも私からの気持ちを受け取り、全身に力があふれ出るのを感じていき大きく咆哮しました。その咆哮と同時にシロンの足元から氷の柱が立ちシロンを上空へと持ち上げました。

 

シロンも構えをとり、全身の力を一気に解き放つかのように放出しました。

 

「私たちの力を一つに!」

『……コォン!』

 

 

 

 

 

――レイジングジオフリーズ!

 

 

 

 

 

 

シロンの解き放った全力の氷のブレスが海を一瞬で氷漬けにします。しかし、それも長くは続かず、一瞬であっさりと割れてしまいました。シロンを持ち上げていた氷の柱も徐々に下がっていき、シロンも疲労からその場で座り込んでしまいました。

 

「はぁ……はぁ……シロン、大丈夫ですか?」

『こぉ……ん……』

 

シロンは返事をするものの、その声にはいつものような元気が見られませんでした。かく言う私も今のZリングに体力を奪われたのではないかと言うぐらい力を消耗してしまっています。

 

キャンプの時に使用した練習用のレプリカと違い、今回使用したのはシンジさんからいただいた本物のZクリスタルです。やはり本物と偽物では込められている力の差が歴然、という事でしょうか。

 

「苦戦しているようだな、リーリエ。」

 

そんな時、私の耳に聞きなれた声が入ってきました。私はハッとなり、その声の方へと振り向いてみると……。

 

「バトルロイヤルの時に会ったばっかだったな。」

「お兄様!?」

 

そこにいたのはグラジオお兄様と、お兄様の相棒のシルヴァディさんでした。今のセリフからすると、先ほどの私のZ技を見ていたのでしょうか。

 

「Z技の練習か。」

「は、はい、やっぱり実際の戦いで使用する前に練習で成功させないとと思いまして。」

「そうか。」

 

少し見っともないところを見られてしまったので少々恥ずかしいです。

 

「と、ところでお兄様はどうしてここに?」

「俺は今、そこのモーテルに宿泊している。2年前にもここに泊まっていたからな。」

「そうだったのですね。」

 

2年前、と言うと私がカントーに行く前の頃ですね。シンジさんもまだ島巡りをしていた頃です。その時もお二人は色々なところでバトルをしてお互いを高め合っていたのでしょうね。

 

「……その様子だと、上手くいっていないようだな。」

「はい、実はそうなんです。Z技発動までは上手くいくのですが、集中力と言うか、力が長続きしないんです。」

『コォン……』

「…………」

 

お兄様は少し考える素振りを見せました。そしてその後、私にある提案をしました。

 

「リーリエ、こっちにこい。」

「え?は、はい。」

 

お兄様は私についてこいと促してとある場所へと案内しました。私はお兄様について行くと、そこには大きなバトルフィールドがありました。

 

「ここは……」

「モーテル側が自由に貸し出しているバトルフィールドだ。ここで俺がお前のバトルの相手をしてやる。」

「え!?お、お兄様がですか!?」

「ふっ、俺では不満か?」

「い、いえ!寧ろ嬉しいです!でもどうして突然?」

 

私は突然の提案に驚いてしまいました。お兄様が相手なのに不服なわけがありません。

 

ですがお兄様が突然私とバトルをするという提案をすることに疑問を感じる事もまた事実です。お兄様は私の疑問に答えてくれました。

 

「Z技を練習するなら戦いの中で実践した方が身になるだろう。」

 

お兄様は「それと」、ともう一つの理由を付け加えました。その理由は、お兄様にしては珍しく至極単純な理由でした。

 

「手強いライバルがいた方が、俺にとっても大きな理になるからな。」

「お兄様……」

 

お兄様にそう言われ、嬉しくないわけがありません。シンジさんはもちろんですが、シンジさんのライバルでもあったお兄様にライバルとして認識されるのは、私にとってとても嬉しい事です。

 

「分かりました!よろしくお願いします!」

「これから戦う相手に律義な挨拶をするとは、相変わらずだな。」

「そう言うお兄様は昔に比べて柔らかくなりましたよね!」

「……ふっ、そうかもな。」

 

お兄様はいつものように左手を顔の前に構えてポーズをとりました。昔に比べて変わられましたが、変わらない部分もあるんだなと思い私はどことなく安心感を感じました。

 

お兄様はシルヴァディさんと向かいの場所に立ち、私とバトルフィールドを挟んで向かい合いました。

 

「準備はいいか、リーリエ。」

「はい!いつでも!」

「行くぞ!シルヴァディ!」

『シヴァ!』

 

私とお兄様は向かい合い、互いに準備ができたことを確認し合います。そして確認が終わると、お兄様の合図と共にシルヴァディさんが一歩前に出ました。

 

「行きますよ!シロン!」

『コォン!』

 

同時に私もシロンに合図を出し、シロンも一歩前にフィールドへと足を踏み入れました。

 

「思えば、俺とお前が面と向かって対面するのは初めてだったか。」

「はい、前回は4人で戦うバトルロイヤルでしたし、トレーナーとしては今回が初めてですね。」

「ふっ、トレーナーか。随分と一人前の事を言うようになったじゃないか。」

「これでもお兄様の妹ですからね。それに……」

 

私にも目指すべきものはありますから!

 

「ならば俺に見せてみろ、お前の覚悟を!」

「はい!行きます!お兄様!」

 

私とお兄様はいくつかの言葉を交わしたのち、次のお兄様のセリフと同時にバトルが開始されました。

 

「シルヴァディ!エアスラッシュ!」

『シヴァア!』

 

シルヴァディさんは頭部から空気で出来た鋭い刃、エアスラッシュを放つ。その動きには無駄が少なく、鋭くシロンに接近してきます。

 

「躱してれいとうビームです!」

『コン!』

 

シロンはエアスラッシュをジャンプして躱しました。躱した先の地面がエアスラッシュにより軽く切り裂かれています。その様子からシルヴァディさんの攻撃の威力が如何に高いかが伝わってきます。

 

エアスラッシュをジャンプして避けたシロンは、すぐさまれいとうビームで反撃しました。

 

「シルヴァディ走れ!」

 

シルヴァディさんは横に走ることでれいとうビームを回避します。シロンはれいとうビームを撃ち続けて追いかけますが、シルヴァディさんのスピードが速く捉えることができません。

 

「ブレイククロー!」

『シルヴァ!』

『コォン!?』

 

シルヴァディさんは遠回りをしつつシロンに接近し、ブレイククローで近接攻撃を仕掛けてきました。空中という事もあり、シロンは回避も防御も間に合わずにブレイククローの直撃を受けてしまいます。

 

「シロン!大丈夫ですか!?」

『コン!』

「どうした!その程度じゃあまだまだZ技を使いこなすことは出来ないぞ!」

『シルヴァア!』

「くっ!?」

 

シロンはまだまだ戦いに支障はなさそうですが、お兄様の言葉が私の胸に突き刺さりました。

 

シロンとの絆や信頼は自分でも感じられるほと確かなものです。ですがそれ以外になにか必ず足りないものがあるはずです。それを見つけない限り、お兄様に勝つことはおろか、Z技の発動もままならないでしょう。だったら!

 

「このバトルで見つけるまでです!シロン!こおりのつぶてです!」

『コン!』

「ふっ、そうこなくてはな!シルヴァディ!エアスラッシュ!」

『シヴァヴァ!』

 

シロンとシルヴァディさんの攻撃が中央でぶつかりました。シロンの無数に放った細かいこおりのつぶてを、シルヴァディさんのエアスラッシュで相殺します。

 

「ブレイククローだ!」

『シルヴァ!』

 

シルヴァディさんはブレイククローで先ほどの技で発生した衝撃ごと切り裂き突進してきました。しかし……。

 

『シヴァ!?』

 

しかしそこにはシロンの姿はありませんでした。

 

「ちっ、上か!」

『シルヴァ!?』

 

シロンの姿はシルヴァディさんの斜め上空にありました。しかし気付いたときには既に準備は整えていました。

 

「シロン!ムーンフォースです!」

『コォ……コォン!』

 

シロンは力を溜めて最大パワーのムーンフォースを解き放ちました。

 

「シルヴァディ!ラスターカノン!」

『シッヴァ!』

 

シルヴァディさんは即座にラスターカノンで反撃をしました。しかしムーンフォースの勢いも早く、互いの技がぶつかりあったのはシルヴァディさんの目の前でした。

 

ムーンフォースとラスターカノンにより発生した衝撃がシルヴァディさんを襲い、シルヴァディさんはその衝撃で押し戻されると同時に微量ながらダメージを受けている様子でした。

 

そしてそれと同時に、最大のチャンスが訪れていました。

 

「今こそが好機です!シロン!」

『コォン!』

 

私はその瞬間に手を目の前でクロスさせ、すぐさま準備をしました。Z技の態勢です。

 

「今の私たちの全力、全てお兄様にぶつけます!」

『コン!』

 

全力のZ技、こおりZのポーズをとり、シロンは氷の柱に持ち上げられて力を最大限溜め込みます。そしてその力を、一気に解放しました。

 

 

 

 

――レイジングジオフリーズ!

 

 

 

 

その全力のZ技、レイジングジオフリーズが解き放たれます。氷のZ技がシルヴァディさんに接近し、これは決まったと思いました。しかし……。

 

「甘いぞリーリエ!そんなZ技で、俺とシルヴァディを貫くことはできない!」

『シルヴァア!!』

「っ!?」

「シルヴァディ!マルチアタック!」

『シィヴァ!』

 

なんとシルヴァディさんは躊躇なくZ技に向かって突進してきました。そしてシルヴァディさんの爪と、シロンのこおりZがぶつかりあいましたが、結果は驚くべきものでした。

 

 

 

 

 

 

――パリンッ!

 

 

 

 

 

互いの攻撃が拮抗したかと思いきや、シルヴァディさんの攻撃がZ技を砕き割ってしまいました。まさかのその光景に、私とシロンは絶句するしかありませんでした。

 

「本物のZ技を見せてやる!シルヴァディ!」

『シルヴァ!』

 

お兄様とシルヴァディは息を合わせ、同じようにポーズを取り始めました。

 

「熱きZよ、今こそ真の能力を解き放ち、全ての敵を蹂躙せよ!」

 

お兄様のその口調と共に、シルヴァディさんに全てのエネルギーが集約されていきます。

 

「これが、俺とシルヴァディの全力だ!」

『シヴァア!!』

 

 

 

 

――ウルトラダッシュアタック!

 

 

 

 

そしてシルヴァディさんの全力の力が解き放たれました。ノーマルタイプのZ技、ウルトラダッシュアタックです。

 

シルヴァディさんは先ほどよりも凄まじいスピードでフィールドを一直線に駆け抜けます。対抗したいものの、私もシロンも先ほどのZ技で体力を消耗してしまい立つことだけで精いっぱいでした。

 

私もシロンも対抗することができず、シルヴァディさんの全力のZ技で貫かれてしまいました。

 

「っ!?シロン!」

 

シロンはウルトラダッシュアタックで吹き飛ばされてしまい、耐え切ることができずそのまま戦闘不能となってしまいました。私は悔しくも、シロンをモンスターボールへと戻しました。

 

「お疲れ様でした、シロン。ゆっくり休んでください。」

「よくやったな、シルヴァディ」

『シルヴァ!』

「……だから噛み付くなと言っているだろう。」

 

シルヴァディさんはお兄様の頭にガブリと甘噛みでかぶりつきました。その姿からお二人が仲がいいのだということがよく分かります。

 

「……リーリエ」

「お兄様……」

 

お兄様はゆっくりと私に近付き声をかけてきました。

 

「確かにお前は充分力をつけている。その辺のトレーナーでは相手にならないだろうな。」

 

私はお兄様の言葉を静かに聞きます。するとお兄様は私にある質問をしてきました。

 

「リーリエは目指したいもの、もしくは守りたいものはあるか?」

「目指したいもの、守りたいものですか?」

 

お兄様の質問を聞いた瞬間、私はある人物の姿がすぐに思い浮かびました。お兄様の質問に対し、私のその問いの答えをすぐに出すことができました。

 

「はい!もちろんあります!」

「……ふっ、それならばすぐにZ技を使いこなせるようになるさ。焦る必要はないだろう。」

「お兄様……」

 

その言葉は、お兄様に私の実力が認められた気がして心から嬉しくなりました。もう一つ、私の目指すべき目標ができた瞬間でした。

 

「今日は俺の部屋で休んでいくといい。……久しぶりにお前の話も聞きたいしな。」

「!?はい!」

 

私はお兄様の部屋に一日泊めてもらう事になり、その日の夜を明かすことにしました。

 

私はお兄様とまたゆっくり話すことができるのが嬉しくて、その日の夜までお兄様と色々なお話をしてしまいました。

 

カントーでの旅はもちろん、シンジさんと巡った場所、自分のポケモンさんと出会ったキッカケ、戦ったトレーナーのこと、そしれカントーリーグでの戦い。

 

そのどれもが私にとって大切な時間で、お兄様も終始笑顔で私の話を聞いてくれました。それが嬉しくて、眠りにつくまで私の話は止まることがありませんでした。

 

今度は、家族全員でもっともっとお話ししたいです。お兄様とお母様、それから……お父様も一緒に。




先日発表されたポケモン × BUMP OF CHICKENのMVが神過ぎて泣きました。

特にアローラ組のシーンと剣盾のジムリーダーラッシュからのホップ君がダンデさんに切り替わり、エースバーンVSリザードンのシーンで鳥肌が立ちました。

出だしの線路の上を4人の男の子が歩くシーンも初代ポケモンを思い出して泣きましたね。……ぼくももういかなきゃ!

あと細かい点ですけど、ラストのクダリさんが原作ドット絵みたいに少し微笑んだ瞬間もグッときました。色々と再現率が高くシリーズの魅力を全て詰め込んだ神MVだったので、まだ見てない方は是非見るべきです!情報量が遊戯王ゼアルの映像並に多いので忙しいですけど

今回登場したヒナちゃんの出番は?

  • 予定通り3話~4話でおk
  • アーカラ島は同行してほしい
  • ライバルとして参戦(リーグで再登場)
  • 旅中同伴してほしい

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