ディオドラとの邂逅
人間界のホームに到着し、俺達は列車を降りた。
「やっと着いた〜。」
俺は降りて体を伸ばした。
「早く家に帰ってゆっくりしようぜ。」
みんなに声を掛けた時アーシアの前に見慣れない優男が立っていた。
「アーシア・アルジェント・・・やっと会えた。」
「あ、あの、あの。」
アーシアが戸惑っていたので俺は2人の間に割って入った。
「家の可愛い妹になんか用か?」
優男は俺に構わずアーシアに聞く。
「僕を忘れてしまったのかい?僕達は一度会っているんだよ?」
そう言うとおもむろに服の胸元を開いて見せる。
男の胸元には深い傷痕が残っていた。
「っ!その傷はもしかして!」
男の傷を見て驚いた顔をしているアーシア。
アーシアには見覚えがあるようだ。
「ああ、そうだよ。あの時顔は見せられなかったけど君に傷を治してもらった悪魔だよ。」
こいつが!?
「僕の名前はディオドラ・アスタロト。あの時傷痕が消える迄治療する時間は無かったけど、君の
ディオドラ・アスタロト!
若手悪魔の会合にいた奴か!
「ディオドラが!?」
リアスも驚いている。
こいつがアーシアを魔女に貶めた悪魔の張本人か!
「アーシア、僕は君を迎えに来た。あの出会いは運命だ!僕は君を愛している。──結婚して欲しい。」
そう言ってアーシアの手を取ろうとするが──
バジッ!
俺が腕を掴んで止める前に朱乃が張っていたらしい結界にはじかれる。
「私達の可愛い妹に気安く触ろうなんて、上級悪魔には礼儀ってものが無いのかしら?」
朱乃がディオドラに嫌悪の念を込めて言い放つ。
「朱乃お姉様!」
「下級悪魔のくせに言うじゃないか。まあ、こちらにも非はあった事は認めよう。また改めて伺うとするよ。」
そう言ってディオドラは魔法陣で転移していった。
「アーシア大丈夫か?」
「あ、はい!大丈夫です。」
俺の言葉に放心していたアーシアが答える。
「それにしてもいきなり求婚なんて何考えているのかしら?」
嫌悪を隠さずにイリナが言う。
「ん〜、なんか胡散臭いわね?」
「なんか感じたか?」
「はっきりとじゃないんだけど・・・強いて言えば勘?かしら?」
女の勘ってやつですか。
「私はどうしたらいいんでしょう?」
「アーシアの思う通りにしたら良いわよ。」
アーシアの言葉にリアスが答える。
「私は──治療したことを後悔はしてません。ですが結婚なんてしたくありません。私は今の生活に満足してますし、それに、みなさんと離れるなんて考えられません。」
「それなら、私達がアーシアを守ってあげるわ。ディオドラが何を言ってきても貴女を渡したりはしないわ。」
リアスがアーシアを抱きしめながら言う。
「まずは家に帰ってゆっくりしましょう。ディオドラの件はそれから考えましょう。」
『はい、部長!』
「はぁ〜、これどうにかならんのか。」
ディオドラの一件から数日後の朝。俺は玄関ホールに積まれたプレゼントの山を見てため息を付いた。
「それだけじゃなくて手紙も毎日来てるのよ。」
リアスもそれを見ながらうんざりした顔をしている。
「いっそ朱乃に頼んで朱雀で灰にしてもらおうか?」
「さすがにそれは・・・。」
ですよね〜。
「アーシアも対応困ってるみたいだしな〜。どうしたもんかな?正式に断りいれたんだよな?」
「ええ、ディオドラ本人とアスタロト家の両方に送ったんだけど・・・。」
「それでも駄目って事だと仮に誰かと既に婚約してるっても通じないんだろ〜な〜。」
「面白い案だと思うけど時間空いてるし、そもそも相手は誰にする気だったの?」
「いや、今思い付きで言っただけだからそこまでは。」
俺の言葉にリアスは溜め息を付く。
なぜ?
「それだと自動的に相手はイッセーになるじゃない。」
「お、俺!なんで!?」
「眷属以外だと仲の良い男子っていないでしょ?それで眷属内だとイッセー、裕斗、ギャスパーで、一番アーシアが信頼してるのってイッセーじゃない。」
そう言われるとそうなんだろうけど妹として見てたからな〜。
「妹──って感覚で考えるのは駄目なんだろうか?」
「イッセーはそれで良いかも知れないけれどアーシアがどう考えているかよね。」
何となくそうなのかな?って思った事もあるからな〜。
何時までも鈍感じゃいられないか。
「まあ、それはこれから俺が考える。問題はディオドラの対策だな。」
「ほんと、どうしようかしら?」
リアスも思いつかないらしく困り顔をしていた。
そんなこんながありながらも日常は過ぎていく。
今日から2学期だ。
俺はこの後起こるであろうクラスの騒動について自分の席で一人考えていた。
「おい、イッセー。一人で黄昏て何考えてるんだ?」
「彼女持ちのくせに暗い顔とか許せん!」
「ははは、何でもねぇよ。」
俺に話しかけてきたのは小学校からの友人で松田と元浜だ。
エロいことが大好きなところは玉に瑕だが、いい奴らで親友でもある。
「あら~、兵藤が男とつるんでるなんて珍しいわね~。喧嘩でもした?」
「してね~よ!てかそんなに珍しいか?桐生。」
そんでこいつが桐生藍華。高校に入ってからちょくちょく話したりしている。
どっちかというと朱乃やイリナのほうが仲がいい。こいつもエロい。いい奴なんだけどな~。
「だってあんた大体朱乃かイリナと一緒じゃない?」
そう言われるとそうだな。
「そうだぞイッセー!お前が朱乃ちゃんとイリナちゃんと付き合ってから俺達とつるんでる時間減ったんだからな!」
「その上美女が多いオカ研にも入りやがって!うらやましい!」
本音駄々漏れじゃないか。
とはいえ最近忙しかったからな~。たまにはこいつらと遊ぶのもいいな。
「それよりも!転校生が来るらしいわよ?」
「なんだと桐生!」
「詳細は!」
こいつら・・・。
「人数は3人で全員女の子らしいわよ?」
「3人!?」
思わず声を上げる。
「あらあら兵藤も気になるの?最近リアス先輩とも仲がいいみたいよね~、それでも気になるの?」
「ちょ!おま!」
「なんだとイッセー!朱乃ちゃんとイリナちゃんに飽き足らずリアス先輩までもか!」
「詳しく説明してもらおうか!」
「私も気になるわね?」
「待て!おまえら!そうじゃなくて!2人は知っていたけど3人とは思わなかったんだよ!」
黒歌と怜奈さんは知っているがもう1人って誰だ?
「なんでお前が知ってるんだ!」
「2人の情報だけでもよこせ!」
しまった、思わず言ってしまった。それにしてもこいつら必死すぎだろう。
「ああ、仕方ね~な~。1人は親戚の子でもう1人は──」
ガラッ!
「お前等席に着け~。松田と元浜はエロ本しまえよ~。」
そう言いながら入ってきたのは朱璃さんだった。なんで?
「出してね~よ!」
そう言いながら席に着く。
「前の担任の石田先生は事情があって転任してしまってな、急遽で悪いが今日から私がこのクラスの担任になったこれからよろしく頼む。」
・・・何かあるな?
「それから知ってる奴もいるみたいだが転校生が3人入ることになった。」
朱璃さんの言葉に教室全体がざわざわし出す。
「ふふふ、早く見たいか?」
意地悪そうな顔でみんなに聞く。
先生早く!とかみんなも乗っている。
「まあ、この後始業式もあるし紹介するか。入って来い。」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
3人が入ってきた瞬間教室全体が沸いた。気持ちはわかるが俺と朱乃とイリナは違う意味で驚いていた。
「お前等煩い!!!」
朱璃さんの言葉でみんな静まり返る・・・なんつ~威圧。
「じゃあ、順番に自己紹介な。この後始業式だから終わったら移動だ。その間は気になるだろうが終わるまで静かにな。」
「初めまして!兵藤怜奈といいます。名前から分かると思いますが兵藤君の親戚になります。これからよろしくお願いします。」
怜奈さんは緊張してるらしくガチガチになっている。
「塔城黒歌にゃ。1年の塔城小猫の姉にゃ。これからよろしくにゃん。」
言葉使い素で押し通すのか。手を猫手にしてポーズまでしている。
「ゼノヴィア・クァルタだ。今迄教会にいたので色々分からない事が多いので教えてくれると嬉しい。よろしく頼む。」
まさかのゼノヴィアだった・・・天界からってことでいいんだろうか?
「色々聞きたいだろうが先に始業式だ~。移動するぞ。」
朱璃さんの言葉でみんなが移動する。さすが朱璃さん信望厚い。怒ると恐ろしいのを知ってるのもあるけどね。
そして俺、朱乃、イリナが素早く移動中にゼノヴィアのところに行く。
「ゼノヴィア、どういうことだ?」
「ああ、みんな久しぶりだね。詳しい事は放課後旧校舎で話すよ。」
そうして俺達は体育館に移動した。
ディオドラ登場に加え松田、元浜、桐生をやっと出せました。
ゼノヴィアも再登場です。