ハリー・ポッター 新月の王と日蝕の姫   作:???

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第3話 ホグワーツ特急


第3話 Hogwarts Express

 ホグワーツ特急のあるキング・クロス駅をレクスはフリードとカイルと歩いていた。マグルに混じって大荷物でカートを押して歩くホグワーツ生が見えるが、奇妙な事に2人は軽装でそんな大荷物など無くレクスに至っては本当に何も手にしていなかった。それに他のホグワーツ生は人混みを苦労して抜けているというのに、レクスの向かう先が拓け道となる。それはレクスの容姿だけでは無く近寄りがたい雰囲気も相乗してのことだろう。そのまま歩いて行き9番線を通り抜け10番線との間にある4本のうち3本目の柱の付近で立ち止まる。

 

「柱の向こうか……。本当に大丈夫かこれ?」

「大丈夫だフリード。ぶつかる心配はない」

「……邪魔」

 

 意を決したフリードが、勢い良く通り抜ける前にレクスがその背を蹴り9と四分の三番線に押し込む。変に力が入ったフリードは転びそうになったが何とか堪え後から入ってきた無表情のレクスの顔を軽くにらむ。その時カイルに話しかける声が聞こえフリードは声のした方を向くが、それを意に介さず足を止めないレクスの手を引いて止めるのを忘れなかった。カイルに話しかけたのは1人の少年を連れた男だった。

 

「おや?これは久しいなカイル」

「お久しぶりです。ルシウス先輩」

「そういえば君の息子も今年からホグワーツだったか。ドラコ挨拶しなさい」

「初めまして、ミスタ」

「これは丁寧にありがとう。……フリード、レクスも挨拶しなさい」

「は、初めましてミスタ」

「……」

 

 ドラコと呼ばれた少年が畏まった挨拶をするのを見てカイルは自らの息子にも挨拶するよう促す。フリードは見よう見まねでぎこちない態度で挨拶するが、レクスはちらりとルシウスの顔を一瞥しそれだけだった。ルシウスはそれに対し僅かに眉をひそめたがそれだけだった。その後ドラコに言付けて去って行った。

 

「そろそろ乗り込んだ方がいいだろうドラコ。穢れた血と同じコンパートメントになってしまうかもしれない」

「分かりました父上。それで君たちも一緒に行かないかい」

「おう。え~と、悪いな名前聞いてもいいか」

「手短にいこうか。僕の名前はドラコ。ドラコ・マルフォイさ」

「よろしくなドラコ。俺はフリード・・ヴァルトフォーゲンだ」

「……レクス・ヴァルトフォーゲン」

 

 3人はそのままホグワーツ特急に乗り込み空いているコンパートメントを探すが、途中でドラコが何かを思い出したように叫ぶ。

 

「ああ!くそっ。すっかり忘れていたクラッブとゴイルはどこだ」

「どうしたんだドラコ」

「なんでもないがすまない。父上に面倒を見ろと言われていた奴らを探さないといけないんだ」

「だったら手伝うぜ?」

「それには及ばないよ。彼奴等図体ばかりデカくてトロールみたいで5人も入らないんだ。だからまたホグワーツで。同じ寮になることを祈っているよ」

「ああ俺もだ。ホグワーツで」

 

 ドラコと分かれたその後も空いているコンパートメントを探すが見つからない。しかしちょうど覗いたコンパートメントに少年が1人だけ座っているのが見えた。フリードは軽くノックしレクスを連れて中に入る。

 

「よう、ここ空いてるか?どこもいっぱいでな」

「あ、空いてるよ。ここは僕1人だったから寂しかったんだ。あ、僕はネビル。ネビル・ロングボトムだよ」

「俺の名前はフリード・ヴァルトフォーゲン、よろしくな。この無愛想なのが弟のレクスだ」

 

 レクスはネビルの横に座りフリードはネビルの対面に腰掛ける。フリードとネビルが隣で会話するのを尻目に、ポケットからペンと紙を取り出し宙に浮かべて魔法薬の材料のリストと並べて改良していく。紙は次第に枚数を増やしていき既に5枚目の半ばまで埋まっていた。ペンを走らせる音はそれなりに離れているフリードにもはっきりと聞こえるほどだった。しばらくするとネビルが立って椅子の下を探ったりトランクの中を探り始めた。隣でそんなに動かれては気が散るし邪魔だとペンと紙をしまう。

 

「……何?」

「トレバーが、僕のペットのヒキカエルがいないんだ。知らない?」

 

 これはペットの管理も出来ない間抜けなのかと責めるのか、それともヒキガエルにすら逃げられるどんくささを笑えばいいのだろうか。そう考えたレクスだったがこれはめんどくさい事になったと内心ひとりごちる。こんな状況で動かないわけない奴がいるではないか。

 

「なんだって。そりゃ大変だ。俺らも探すの手伝うぜ」

 

 そして当然のような顔して此方まで巻き込んでくる。別に動かなくてもいいがその間騒ぎ続けられると思うと鬱陶しいので、ポーズだけでも取るのが得策かとコンパートメントを出る。この短時間でフリードもネビルが大層な間抜けであると気付いたらしく1人にしないように汽車前方に向かい歩いて行った。ようやく離れられると後方に向かって行く。とは言えトレバーとやらを探す気はさらさらない。そもそも探す気が有るならあの場で呼び寄せ呪文を使っている。

今ひとつひとつのコンパートメントを覗いてまわっているのは数少ない知人であるリーゼやセラを探すのとあのハリー・ポッターを探すのが目的だ。死の呪文を受けて死なないという事はある程度の推測は付いているが、それでも本当に不死であるという可能性も極めて少ないがあり得ると思っている。

そうこうしているうちに妙に甘い香りのするコンパートメントを見つけ気になって覗いてみればなんといるではないか。目的であった3人が。中にいるのは4人だが最後の赤毛は知らない奴だった。とりあえず軽くノックして扉を開ける。

 

「……久しぶり」

「あら、レクス。久しぶりね」

「やっほー。久しぶり」

 

中を見渡すと床一杯に菓子の山が出来ていた。先程からのカートを押すのを見たが買い占めたのはここだったか。にしてもこれほどまでの量をホグワーツまでに食べきれるのだろうか。そのやって見ていると赤毛が端に寄ってスペースを作ったので一瞥して座る。

 

「わぉ、とりあえず座ったらって言おうと思ったら言う前に座られちゃったよ」

「あれ?そういえばフリードはどうしたの?」

 

セラの問いには汽車の前方を顎で指して答える。そしてハリー・ポッターを近くで見て大凡の判断はついた。大穴の不死はやはり無く、それなりに古い強力な魔法、加護の領域まで達するモノだろうと判断し興味を無くす。

 

「それで君は誰なの?」

「……レクス・ヴァルトフォーゲン」

 

赤毛はマグル生まれでは無いようで名乗れば面白いくらいに顔を変え驚く。

 

「ヴァルトフォーゲンだって⁈わぉ本当に驚いた。それでレクスはどの寮に入りたいと思う?」

 

寮か。正直言ってどこに所属してもやる事が変わるわけでは無いが、寮の適正で選ばれるのであればボクの様なモノはスリザリンだろうか。慈しむ心なぞとうに捨て去ったし、ただ知識欲を満たした訳では無いし、勇気が無いわけではないだろうが蛮勇では無い。

 

「……スリザリン」

「何でまたスリザリンなんかに?あんなとこ闇の魔法使いが行く所だって聞くぜ」

「さっきも言ったけれどその言い方はどうかと思うわ。それに彼は人を助けられるヒトよ」

「ふーん。まあでも同じ寮になったらよろしくね。フレッドとジョージの話だとトロールとタイマンで喧嘩させられるんだって」

 

赤毛がそんなことを言い始めしかもそれを信じている様だ。少しは考えろ馬鹿か?寮の適正試験だぞ?100歩譲ってそうだったとしてもそれじだと勇気しか判断できないじゃないか。内心罵倒しているとドアが開かれフリードがネビルと知らない女を連れ立っていた。

 

「このネビルのヒキガエルを探しているんだが知らな__」

 

コンパートメント内を見渡したフリードがその言うと自分と目が合い憤怒の表情へと変える。そういえば名目はネビルのヒキガエル探しだったか。

 

「何やってんだお前は。ハーマイオニーまで手伝ってくれてるってのに呑気に座って休みやがって、此奴め」

「……じゃあリーゼ。ホグワーツで」

「え、ええ。ホグワーツで」

 

鬱陶しく絡んでくるフリードを引き剥がしながらリーゼに手を振り立ち去る。去り際に呼び寄せ呪文でトレバーを引き寄せネビルに渡す。

 

「おい!なんだその魔法は!あるなら最初から使えよ!」

「……煩い。黙れ」

「ガハッ⁈」

 

耳元で騒ぐフリードがいい加減鬱陶しくなり腹に軽く拳を当て黙らせる。腹を押さえて蹲るフリードの襟首をつかんで引き摺り元のコンパートメントに向かう。

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