この素晴らしい駄目神様にお祈りを!   作:与麻奴良 カクヤ

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206 クエスト完了

 めぐみんを煽って遊んでいるゆになにカズマが声を掛ける。

 

 

「一先ず、帰ろう」

 

「えぇ、ではめぐみんを背負ってあげて下さい。私はアクア様を慰めると言う大役がありますから」

 

「俺がこのヌメヌメをか?」

 

「……………さっ!アクアさ、ぐへっ!!」

 

「冷静に話し合いをしようじゃないか。同じ転生者だろ?」

 

 

 アクアの下に行こうとしたゆになを後ろから根っこを掴み、引き止めるカズマ。

 

 キッ!!とカズマを睨むゆにな。

 

 

「…なぁ、ジャンケンで決めようか?」

 

「ジャンケンですかぁー?」

 

「知らないとは言わせないぞ。これなら公平だろ?」

 

 

 ニヤニヤとグーの手を出してくるカズマに、ゆになは違和感を感じる。

 

 

(確かに公平そうに見えるけど、何か策でもあるのかな~?まっ!別に負けても他の策があるから良いけどね!)

 

「いいですよ~!」

 

 

 ゆになはできる限りの笑顔で返事を返した。

 

 カズマはゆになの笑顔を見て、ドキッとするが直ぐに顔色を変えてジャンケンを開始する。

 

 

「「最初はグー、ジャンケンポン!!」」

 

「「……」」

 

「「あいこで、しょっ!!しょっ!!しょっ!!」」

 

 

 偶然か、何かの力でも働いているのか、ゆになとカズマのジャンケンは中々終わらない。

 

 通算で八回目のあいこの後、遂に決着が着いた。

 

 

「…マジか!」

 

「フッ!自分から自殺をして異世界に転生できた私の運をナメんじゃなかったね」

 

「クソッ!!初めてジャンケンで負けたーー!!」

 

 

 勝者はゆにな。

 

 実はこの勝負、両者とも負けなしだったのだが、毎日アクアにお布施やお祈りをしていたゆになに軍配が上がった。

 

 ゆになは敗者であるカズマに、もう用はないとばかりにスタスタとアクアの下に向かった。

 

 そんな背中をカズマは悔しそうに見ていたのをゆになは知らない。

 

 

 

 

 

 クエストが完了した一行はアクセルの町をトボトボと歩いていた。

 

 視線はかなり痛い。

 

 粘液塗れの女の子が二人、その内一人は少年に背負われている。

 

 もう一人の女の子は「うぅ…ぐすっ……」とめそめそと涙を流し、三人目の女の子が泣いている女の子を慰めている。

 

 

「頑張って下さいアクア様!!大浴場までもう少しですよ。それに気に病むことは何もないですって、アクア様の体を張った時間稼ぎのお陰でクエストも完了しました。かっこよかったですって!!」

 

 唯一粘液にまみれていない女の子、ゆにながアクアを慰める。

 

 もう十回は繰り返した内容だった。

 

 

「カエルの体内って臭いけど、以外と温かいんですね」

 

「よかったね、知らない知識が増えて!!」

 

 めぐみんの呟きに、可笑しく煽るのを忘れないゆになだった。

 

 




 カズマにジャンケンで負けて貰いました。
 負けて欲しくなかったと言う方は連絡ください。
 一応、ゆになが負けたバージョンも考えてあります。

 最後のセリフが誤字がりましたので修正しました。

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