アクア様の『ターンアンデット』が怖いのか、部下を召喚して自分は引き下がろうとする鎧さん。
そんなの、アクア様が見逃すはずなどなくて…………
「『セイクリッド・ターンアンデット』!!」
「ひぃぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
普通の『ターンアンデット』よりも強力な『セイクリッド・ターンアンデット』を使い、今度こそ消滅させようとするアクア様。
でも、前よりは効きはしたものの、消滅までは行かない鎧さんを見て、アクア様は慌てた様子で、
「ど、どうしようカズマ!!やっぱりおかしいわ、私の魔法がちっとも効かないの!!」
「アクア様アクア様、ちっともは過小評価ですよ。ある程度、にしときましょう」
ゴロゴロと、体に付いた火を消すかのように地面をのたうち回っている鎧さんを見て、ちっとも効いてない、と評価するアクア様を私はある程度効いてますよ、と慰める。
そんな私を見たカズマ君が、状況を考えましょうね!?と言ってきた。
「ある程度どころか、かなり効いてるぞ!ってか、あの人お前らのせいで怒ってるんだけど、どうしてくれんの!!?」
いやほら、私の計画だと、女神様であるアクア様の魔法で隙を付いたら消滅出来て終わるよ!
って思ってたわけだし、その作戦が思った以上に効果が出なくて、敵を怒らせても仕方がないことだと思うよ?
狩りゲーでも、モンスターに強い攻撃を与えると、怒り状態になるって言うし。
あーでも、今回の攻撃で鎧さん、堪忍袋の緒が切れたっぽい。
「このーー!!セリフは最後まで言わせるものだぞ!!?もういい、お前らを皆殺しにしてやる!!!」
鎧さんは、あちこちから黒い煙を上げながら、ゆらりと立ち上がり、右手を天に掲げて振り下ろした。
「クソッ、物理攻撃が効かないぞ!!」
「おわー!!プリーストだ、プリーストを呼べ!!」
「聖水よ、聖水を教会からありったけ持って来て!!」
「腕をやられた!下がらせてくれー!」
あちらこちらから、冒険者の皆さんの切羽詰まった声が聞こえてきます。
戦っている相手が強過ぎるのでしょう。
鎧さんが呼び出した部下は、アンデットナイトと言うゾンビの上位互換のモンスターです。
ボロボロだけど、鎧を装備しているアンデットナイトは駆け出し冒険者にとっては十分脅威となる。
鎧さんの部下だけに。
アンデットナイトに少しずつ押され、遂に街に侵入してくる所を何とか耐えている冒険者さん達。
そろそろ、私が出た方がいいかな~。
魔力も全回したし。
そう思っていると、鎧さんの哄笑が聞こえてくる。