長いので半分とは言えませんが、二話に分けました。
朝起きると体が重かった。
あれ?と思ったものの、昨日の出来事を思い出して納得する。
あ、そういえば昨日は沢山動いたからな~。
あの後、宿に帰ってから直ぐに寝たんだった。
そっか、初めて実力を出しまくったその反動か。
つまり、私は筋肉痛と言いうものに襲われた。
前世では、適度に身体を動かしていたから筋肉痛というものは皆無だったし。
今世でも、アークウィザードと余り動かない職業と言えど、そこは冒険者だし、しかも常に補助系魔法をかけている。
更に言うと、私は昨日程の力を出した事がなかった。
そう、今まで筋肉痛になりようがなかったのである。
身体痛いなぁ。寝ていても痛いって拷問だよコレぇ。
お布団にくるまっていても襲ってくる痛みに、私は「睡眠魔法でも自分にかけて意識を強制的に落とそっかな~?」と考えていると、部屋の前から声が聞こえてきた。
「ゆになちゃん起きてる?」
「あ、はい。起きてますよ?どうかしました?」
私が返事をすると、ガチャ……キィーと音を立てて部屋のドアが開いた。
ベットに転がったまま視線を入口に向けると、私が止まっている民営宿のおば……お姉さんが立っている。
どうしたのかな?
いつもは朝に来るなんてしないのに。
「ゆになちゃんおはよう」
「あ、はい。おはようございます。今日はどうしたのですか?」
「えぇ、ゆになちゃん起きるのが遅かったから…………大丈夫?」
「…………大丈夫?私はいつもと変わりませんが?」
私の姿を見たお姉さんは、心配した表情を顔に浮辺ている。
私は、え!?何か心配されるようなことしたかしら?と考えるが特に思いつかなかった。
しいていえば昨日の緊急クエストだが、一応帰ってから無事だということを説明してある。
全くもってお姉さんの心配の意図が分からないでいると、お姉さんがしびれを切らしたのか、指摘してくる。
「ゆになちゃん、今10時過ぎよ」
「…………マジですか?」
「ホントよ。全く起きてこないから心配したのよ」
「それはそれは。心配かけました」
なるほど、いつもよりも起きてくるのが何時間も遅かったら心配して部屋に来るのは当然か。
しかし、10時過ぎ。
まぁ、疲れていたから妥当な時間だと言え、流石に遅すぎたらしい。
さて、お姉さんをこれ以上心配させないためにもそろそろ起きますか…っと。
「いっ…タタタ」
「だ、大丈夫!?やっぱり怪我でもしているのかしら?」
ベットから起き上がろうとした私はだったが、筋肉痛の存在を忘れていたらしく、動いた衝動に筋肉が悲鳴を上げてしまった。
理不尽だ、と急いで強化魔法をかけようとして、辞めた。
元々は私の運動不足が招いた筋肉痛だ。
誠に悔しいけど、あの剣を扱う時以外は魔法に頼るのを辞めよう。
わっはっはっ!
私は考えるから日に日に進化するのである。
目指せダクネスさん並みの体力と筋力!!
……………………やっぱり普通Levelでいいや。
魔法に頼る事を辞めた私は、まだ痛む体を必死に動かしながら「やっぱり昨日の緊急クエストで怪我でも…!」と慌てているお姉さんに大丈夫アピールをする。
「心配ご無用!昨日の緊急クエストで疲れただけです。正確にいえば、久々に本気の一部を出してしまったので筋肉痛なのです」
「そ、そうなの?」
「そうなのです!高ランクな有名冒険者たる私はこれしきの事で敗れたりしないのだぁ~!!」
だぁ~と掛け声と共に私は気合いを入れてベットから起き上がる。
三度目の筋肉痛による痛みが身体を襲うが、一度起き上がると痛いながらも日常的な事が出来るまで回復した。
オートにしてあった『自然回復』と『自然回復速度UP』が発動したのだ。
ありゃりゃ、魔法に頼るのは辞めようを宣言した途端にこれか~。
…………………うん。
強化魔法は辞めるけど、オートにしてあるスキルは別だよね!
少しのミスでオートにしてあったスキルが発動できずに、死ぬ。
それは……………………
少しだけそれでもいいかも知れない、と言う考えが頭の片隅に現れたが、演技演技と押し込める。
オートで回復したお陰で大分動けるようになった私は、お姉さんにピースサインを送った。
もう動けるぞ!と言う意味を込めて。
「ふっふっふ、私はアークウィザード。自分の筋肉痛を治す魔法くらい使えるのです。ご心配をおかけしました。朝ご飯はありますか?」
「ごめんなさい。起きてこなかったからもう下げちゃったわ」
ガーン!!?
朝ごはんが無いだと!!
はぁ~、無いって分かったら余計にお腹空いちゃった。
「そうですか。ではギルドで食べることにしますね」
「分かったわ。それじゃあ行ってらっしゃい」
ギルドでご飯を食べることにした私は、お姉さんに見送られて宿を出た。
ギルドに向かう道をのんびりと歩きながら、私は今後について考える。
魔王軍幹部は思ったよりも強かった。
それでこそ、私一人では対処できない程だった。
もっと強く……………………いや、技術を伸ばさないと。
取り敢えずショートカットスキルで直ぐに使える様に色んなスキルを覚えていかないとね。
ほら、熟練度を上げる的な感じ。
そうやって考えてアクセルの街を歩く。
いつも通りの日常。
それを守ったのは私たち冒険者。
昨日、あんなことが有ったのに毎日は続いている。
この光景を見ていると、昨日の事が無かったみたいだ。
でも、この日常が何時までも続くとは限らない。
そして、私が何時までもこの日常を守る側に居るともかぎらないのだ。
あ、カズマ君が歩いている。
脅かしてやろう!
少し前を歩いているカズマ君を見つけた私は、後ろからの飛びついて脅かしてやろうと考える。
筋力強化は使わない。
それでも人である私の体重は、ただの冒険者であるカズマ君にはある程度の被害を与えるだろう。
そうと決まれば……………………
「かぁ~ずぅ~まぁ~君!!」
「うぉっ!!何だよ、ゆになか!!?」
私はカズマ君の背中に向かってダイブした。
顔面ダイブを決めるかと思ったけど、前に少しだけ前乗るだけにとどまる。
少しだけ残念な感じになったのは、別に悪い感情だとは思わないでおこう。
「はぁい、そうですよ。カズマ君も今からギルドに向かっているのですか?だったら一緒に行きましょう!」
「行くのはいいけど、早く降りろよな!!重たいんだから」
「あ~!!女の子に重たいって言ったらダメなんだよ!!私はダクネスさんじゃないんだから」
「じゃあ降りろ!」!
これこれ、他人との会話は楽しい。
カズマ君は元日本人だから、あっちのネタも分かってくれるから最高。
めぐみんとは違ったタイプの掛け合いが出来る。
カズマ君の背中から降りた私は、カズマ君と並んで歩き始めた。
のほのほと歩く私とカズマ君。
カズマ君が気まずそうにしているのは、私の気のせいだろうか?
私は思い切って聞いてみることにした。
「カズマ君、カズマ君。私に何か言いたいことがあるんだったら、言ってくださいな。答えれる事でしたら答えますよ?」
「あー…………お前は…………いや、何でもない」
「そうですか?ならいいですよ」
カズマ君は何かを言いかけて辞めた。
何を言いたかったのかは私には分からないし、聞き返しもしない。
だって、それが最良だと思ったから。
気まずいなら、そんな空気はぶち壊してしまえば良いの精神で、私は何気ない話題をカズマ君に投げる。
それをカズマ君が返してくる。私がふざけた回答を投げ返す。カズマ君が声をあげる。
本当にいつも通りの会話。
そんな事を繰り返しながら数分後、私とカズマ君は目的地の冒険者ギルドにたどり着いた。
ドアを開けるとむせかえる空気が私とカズマ君を襲う。
うへぇ~。
人とお酒の匂いだぁ。
魔王軍の幹部を討ち取った記念に宴会をするのは良いけど、真っ昼間からやらなくても……………………。
もしかして、昨日の緊急クエストが終わってから続いていたとか言わないでよね!?
カズマ君の表情を見るに、それはなさそうだけど……………………真実はどうやら。
人の熱狂とお酒の匂いに少しだけ頭を痛めながらギルド内に入った私とカズマ君に、アクア様が駆け寄って来られた。
お酒の影響なのか、ただ単に宴会が楽しいからなのかは、ただの人如きである私には測れないけど、アクア様は上機嫌に笑っている。
「あっ!カズマにゆにな、ちょっと遅かったじゃない!!皆出来上がちゃってるわよ?ほら、二人ともお金を受け取って来なさいよ」
大金を貰ったアクア様は、嬉しそうに私とカズマ君に報酬の入っている袋を開けて中身を見せてくる。
確かに大金。私でもこの大金を稼ぐのに、幾つもの高難易度クエストを達成しないといけない。
鎧さんの討伐報酬はこんなにも高かったのか。流石魔王軍幹部。
「分かりましたアクア様。その後は是非ともお酌をさせて下さい」
「分かったわ!!ぜひお願いするわ!!」
お酒を飲んでいるせいか、既に出来上がっちゃっているアクア様にお酌をさせてもらう予約をして、カズマ君と共にカウンターに向かう。
ギルド内を見渡したら、アクア様と同じように出来上がっちゃっている人やもう既にぐでんぐでんに酔っている人だらけ。
「この世界の飲酒に対する年齢制限はどうなってやがる」
「大分緩いですよ?飲んでどうなっても自己責任の世界ですから。私くらいの年で飲んでいる人も珍しくないんじゃないですか?」
「………言っておくが俺はお前とめぐみんには飲ませないからな」
「いいですよ。付き合い程度で飲んだことはあるけど、あんまり美味しくなかったから。それに、緊急事態になった時に直ぐに動けないのは冒険者として困るでしょ?」
「………………………それもそうだな」
私がお酒を飲んだことがあったのが以外だったらしく、カズマ君はジト目で私を見つめた後、自分たちといる間は飲まないと分かったのか、投げやりみたいに私の建前に賛同する。
カウンターに向かうと既にダクネスさんとめぐみんが待っていた。
「来たか。カズマにゆにな。ほら、お前たちも報酬を受け取ってくるといい」
「待ってましたよカズマ!聞いてください、ダクネスが私にお酒はまだ早いって、ケチな事を言っているんですよ!!」
「いや、ケチではなく………」
「そうだよ!めぐみんはお子様なんだからまだ飲酒はダメですよぉ~」
「誰がお子様ですか!!それならゆになだって私と同じじゃないですか!!?」
「誰が同じだと思っていたの??ねぇ?私はお酒くらい飲んだことありますよ~」
「はぁ!!?い、いったいいつの間に飲んだのですか?あれですか?私と違って頼んでも断られなかったのですか!!?やっぱり背なのですね。見た目が原因なんですか!!!?」
「め、めぐみん落ち着け。ゆになもめぐみんを挑発しないでくれ」
興奮しためぐみんが私に突っかかってこようとするが、ダクネスさんがめぐみんを止めてくれる。
めぐみんを止めるダクネスさんに「めぐみんへの挑発を辞めて」と言われたが、こちとら辞めるわけにもいかない。
何故なら、楽しいからである。(超自分勝手)
その位で、私達を見守っていたカズマ君が私を引っ張ってカウンター前に突き出した。
「ほら、その辺にしとけ。それよりも報酬を受け取ろうぜ。受付のお姉さんも待ってるみたいだし」
「だからって根っこを掴まないで!!でも、報酬を受け取ったら勝手にやらせてもらうからね!」
「分かったから、面倒事を起こさないでくれ」
カズマ君に根っこを掴まれてギルドカウンター前に突き出される私。
目の前には何時ものギルド職員、ルナさんが微妙な顔を浮かべて私達を待っていた。
「ああ、その、サトウカズマさんですね。お待ちしておりました。先ずは、そちらのお三方に報酬です」
ルナさんは歯切れの悪い声で私とめぐみん、それとダクネスさんにお金が入っているであろう袋を渡して来た。
めぐみんとダクネスさんが小袋に対して、私の袋の大きさは中くらい。
ダクネスさんとめぐみんに比べて報酬金額が多いそうです。
報酬について、私は特に反論は無いのだが、袋から目を離すとめぐみんがじーっとこちらを見ていた。
なので……
「……ふん(ドヤァ)!」
「……………………(プルプルプルプル)納得がいきません!!どうしてこの私が、ゆになよりも報酬が少ないのですか!!?」
「これが実力と言う物なんだよ、めぐみん」
勿論自慢して、めぐみんを挑発しましたが何か?
こんなところで差がつくなんて、めぐみんは大層悔しそうだねぇ。
仕方が無い!
今回だって私も頑張ったんだもん。
私にだってそれくらいの………カズマ君、分かったからその左手をこちらに向けるのは辞めて欲しい。
まだ女の子は辞めたくないです。
又してもめぐみんを挑発してしまった私に、カズマ君から魔の左手を向けられる。
辞めてぇ~私が悪かったですぅ~と反応を取りながらも、魔法反射の魔法を構築して……
「もう!説明の途中なんですから暴れないで下さい!!めぐみんさんもダクネスさんも、一般の方に比べては報酬が多い方ですし。それよりもゆになさんが多いのは、魔王軍幹部を単独で追い詰めたり、偵察のクエスト報酬の上乗せと、何よりもウチのエースだからです。ゆになさんにはこちらもお世話になっているので、こういった時にちょっと色を付けているんです。分かりましたか?」
「………ぐぬぬ!!私だってあれくらい出来ないこともないのですから。………それにしてもいったいいつの間に、この私を差し置いてエースになったのですか」
「それは…………ごめんなさい何でもないです」
私の報酬が多い理由を一気に説明してれたルナさん。
それでも納得できないめぐみんに、私が反応しようとして、カズマ君とルナさんに思いっきり睨まれたので辞めた。
鎧さんよりも怖いよぉ~。
あ、あれはギャグキャラでしたか。
私を睨んで止めたルナさんは、コホンと咳払いで雰囲気を変えた後、話の続きを言いにくそうに話した。
「……………あの、ですね。…カズマさんのパーティーには、実は特別報酬が出ています」
「……えっ!?俺達だけが!!?」
私達のパーティーだけに特別報酬が出ていると聞いて喜ばしくも不思議に思ったカズマ君。
そんなカズマ君に、特別報酬が出ていると聞いた酔っ払い冒険者が、私たちがいなければダメだったと語る。
「おいおい!VIP!!お前たちがいなければ、魔王軍幹部のデュラハンなんか倒せなかったんだからな!!」
私達を持ち上げる酔っ払い冒険者の声に反応して、他の酔っ払い共もそうだそうだと騒ぎ出す。
楽しいのは私も好きだけど、騒がしいのはあんまり好きじゃない。
そんなちょっとした矛盾を抱える私は、騒ぐ酔っ払い冒険者達に顔をしかめる。
騒がしいわ~!!
これだから酔っ払いは嫌いなんだよ。
ってあれ?
カズマ君の目元が潤んでいる?
もしかして、ジンと来ちゃった?
今までの苦労が報われた的な?
まぁ、今までめぐみんとかダクネスさんとアクア様の手綱を握ってきたと考えたら、苦労が報われたと涙が出るのもいな仕方なし。
え?私も入ってるって?
むしろ、私はカズマ君と一緒になって手綱を握っていた方だと自己弁護したい!
私が一人でごちゃごちゃと考えている間に、カズマ君が私達のパーティーを代表して特別報酬を受けとることとなった。
この中でカズマ君だけが報酬を貰っていないので、当然といえば当然の人選。
後、なし崩し的なリーダーでもあるからね。
格式ばった物なのか、ルナさんが咳払いをして空気を変えると、
「えー、それでは魔王軍幹部ベルディアを見事討ち取った事を讃えて、冒険者サトウカズマさんのパーティーには特別報酬………三億エリスを与えます」
「「「「「さっ!?」」」」」
ルナさんが言った報酬金額を聞いて、私達は五人とも絶句した。
耳を立てていた酔っ払い冒険者さん達も、金額を聞いてシンと静まり返る。
それほどの金額だからだ。
この世界では一エリスが一円程の価値がある。
つまり、宝くじの一等に当たった程の金額なのだ。
この世界で考えると、上級冒険者の年収がポンッと手に入ったのと同然。
五人で山分けしても、数十年は働かなくても暮らせる。
鎧さんの討伐報酬はそのくらい高かった。
絶句している私達を差し置いて、始めに反応したのは酔っ払い冒険者さん達だ。
「おいおい!三億ってなんだよ、奢れよカズマ!!」
「うひょ~!!カズマ様奢って下さい!」
「今日はカズマの奢りで飲み明かすぞ!!!」
嵐の様な酔っ払い冒険者さん達の奢れコール。
それを聞いた私は、もしかして私もカズマ君に奢られる事が可能性なのでは?と騒がしい耳を塞ぎながら考える。
自分の報酬?私そんなの知らな~い。
私、特別報酬は要らないから、今日の飲み代だけは奢らされていただきます。
一億くらいある私の報酬の使い道は、ちゃ、ちゃんと決めてあるから!
そんな感じで、手に持っている金貨袋を死守している風を一人芝居していると、カズマ君が思い出したかのように宣言した。
「おいダクネス、めぐみん!お前らに一つ言っておくことがある。俺は今後、冒険の回数が減ると思う。大金が手に入った以上、のんびりとスローライフしたいからな!」
「おい待て!強敵と戦えなくなるのは困るぞ!っというか、魔王退治の話はどうなったのだ!!?」
「私も困ります!カズマについて行き、魔王を倒してゆになよりも優れている事を証明して、世界最強の魔法使いの称号を得るのです!」
「カズマ君カズマ君!お駄賃をくれたら、この二人の面倒を見ますがどうでしょうか?」
カズマ君が働きたくない、と引きこもりニートを再現したセリフを言うと、ダクネスさんとめぐみんがごねた。
そこへすかさず、私が介入。
カズマ君は二人の面倒を見なくてもいい、私はお駄賃が貰えて良いお小遣い稼ぎ、実にうぃんうぃんな関係を提案した。
ダクネスさん、別にカズマ君といなくても強敵とは戦えますよ?
あ、攻撃が出来ないから、盾役としか機能しないんだったこの人。
だったら別のパーティーに……入れないからこのパーティーに居るんだったな。
めぐみんは爆裂魔法だけで魔王を倒せると考えている………頭がオワコンだね。
そ・れ・に・、めぐみんがもし、万が一、奇跡的に魔王を倒したとしても、私が魔王を倒せれる実力があったら、魔王を倒しただけだったら私よりも優れているとは言えないよね?よね?
私はカズマに君に提案しただけでその後は何も騒ぐようなことはなかったけど、ダクネスさんとめぐみんはまだ騒いでいる。
しかしその声も、飲み放題だぁ!!っと騒いでいる大勢酔っ払い冒険者さん達の声にかき消されてカズマ君には聞こえていない様子。
聞こえてないスタンスを取っているな。
ギルド内はドンドンと騒がしくなっていく。
そんな中、ルナさんだけが申し訳なさそうしているのを私は見た。
見てしまった。
せいっかうに言うなら、見えてしまったことに感謝を申し上げます。
それほどヤバくて、事前行動を行える事に感謝しないといけない紙だったから………。
まだ続くよ!