ゆになの恐ろしい拷問を聞いたカズマは、アクアがこの世界にいるのは自分の転生特典に選んだと話した。
「…俺の転生特典に選んだのがアクアなんだ」
「……で?」
「お前が言えって脅したんだろうが!!」
身を決して白状したカズマにゆになは怒った様子もなく「それが何か?」と言いだたげな態度だ。
いつの間にか頼んでいたジュースをちゅーっと飲んでいる興味の無さ。
まるで、ハチャメチャな三兄弟の1人が隠していた秘密を聞いた時に、鼻をほじりながら反応したのこりの二人にそっくりである。
違うのが、元ネタの様に何も考えずにそう反応したわけではなく、考えがあってボケたところだ。
(カズマ君のお陰でこうしてアクア様とお会い出来たわけだし、もう良っか?アクア様は楽しそうだったし)
「アクア様が何も言ってないのならどうでもいいのです。ところで、転生特典がアクア様と言う事はアクア様はカズマ君に逆らえないんですか?」
「いや、俺に不満だらけだと思うよ。自由はしばってないし」
「だけど、アクア様は何も言ってきませんよ。なら構いません。アクア様が何も言わないのなら、私も何も言いません」
「そうか……で、ユニーク魔法ってどんな魔法だ?」
ゆにながちゃっかりと言わなかった魔法の内容に付いて、追及してくるカズマにゆになは舌打ちをしそうなった。
「ちっ!」
「舌打ちしてんじゃねぇ。まぁ、お前が言わなくてもアクアに聞いたらいいだけだけだからな。自分の口で話すか、お前の敬愛するアクア様にお手を煩わせるか、のどっちかだぜ。俺はどっちでもいいぞ」
「ひ、人質とは卑怯な!!?」
カズマは短期間でゆになの手綱の握り方を覚えていた。
アクア様のお手を煩わせるという人質を取られたゆになは、内心でカズマに対する復讐の仕方を考えていた。
(クエストの最中に「モンスターと間違えてたー」と言って重力で潰すか?それとも、気のせいとしか感じない程度に弱めた重力を何日間もぶっ通しで掛け続けるか?ってなんで私がアクア様のお手を煩わせることが確定しているのだ!!…まぁアクア様はアクシズ教徒には優しい方だから、謝ったら許してくれるはず)
そう思いながらも、自分の魔法を隠すデメリットがないので、ゆになは素直に要求に応じた。
「私の魔法は重力です」
「重力!!?」
「イエス!グラビティマジック!!!」
「何で片言になる!!?それは置いておいて……隕石とか落とせるのか??」
「あー、それは難しいですよ」