「あー、それは難しいですよ」
ゆになは一言で、カズマの期待に満ちた表情を殺した。
カズマは腑に落ちない表情でゆになに難しい理由を訪ねる。
「理屈じゃあ出来なく無さそうだけど?」
「考えてみて下さいよ。宇宙空間に漂っている手頃な岩まで引力を届かせるのに、爆裂魔法なんか比じゃない位の魔力を使うんですからねー。後、運よく引き寄せられたとしても、コントロールが殆ど出来ないから周囲諸共ドッカンッ~~~~!!ってなります。奥の手レベルです」
「……そんなに現実は甘くないよな」
「ですねぇ」
カズマは考えなかった理屈をゆになから教えられ、はぁと溜息が出る。
カズマが考えた重力魔法のテンプレ『メテオストライク』はご存知、隕石を引き寄せて地上に落とす殲滅レベルの魔法だ。
もし本当にメテオストライクをゆになが起こせば、小型なら地形破壊、大型なら星の崩壊を引き起こすだろう。
中型でも、星の軌道がずれて、別の意味で人類が滅亡してしまう。
幾らゲームのような世界だとしても、小説の中にあるように上手くいかないのだ、現実とは。
その後は、地球の話をした。
カズマがニートだったことにゆになが羨ましがったり、ゆになが転生したいが為に777日間に及ぶお祈りの末自殺したことに引いたり、ワイワイと話をしてゆになのジュースが二杯目を飲み終わった。
「ふぅー、結構話をしましたね。もうお腹がタプタプです~」
「何でそんなになるまで飲んだんだよ」
「いやー、いけるかな~?って…………っとちょっと席を外してもいいですか?」
「ん?トイレか?」
「うむ、セクハラ発言だが、尊大である妾は許そうぞ。……って違います~~!知り合いを見つけたのでからかいに行ってきます」
ゆになはそう言うと、席を立ってギルドを出ていった。
(あれ?知り合いって見かけるとからかいに行くような関係だったけ?)
残されたカズマはゆになの「知り合いを見つけたら、取り敢えずからかう」と言う行動原理について考え始めた。
一方でゆになと言うと、
「いつもニコニコあなたの背後から這い寄る混沌、ゆになちゃんで~~す!!」
そう言うがと共に、とぉお~っ!!と言う掛け声を発して、知り合いに背後から背中に飛び乗った。
「っわぁぁぁぁああああ!!だ、誰!!?」
「だぁ~れだ?」
「そ、その声はゆにな!!脅かさないでよ!」
ゆになの知り合い一号、『ボッチの極み』ゆんゆんである。
ゆんゆんに飛び乗ったゆになはそのまま、目隠しをして遊んだ。