この素晴らしい駄目神様にお祈りを!   作:与麻奴良 カクヤ

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オリジナル回ですが、直ぐに終わる予定です。


217 宿泊先のおば…お姉さん

 

  カズマと別れたゆになは、教会に今日のお布施を届け、露店で安い果物を買うと、泊まっている宿に帰った。

 

 ゆになが泊まっている宿は家族経営の普通より割安なところだ。

 

 住民の家と全く変わらない玄関ドアを開けると、帰って来たと経営者に伝える。

 

 

「ただいまです!!おばちゃん」

 

「お帰り、ゆになちゃん。今日もお布施をしてきたの?」

 

 

 ゆになを出迎えてくれたのは、二十代後半の女性だった。

 

 決して、おばちゃんとは言えない外見である。

 

 

「はい、欠かさずやらないと意味が無いですからねー。『継続は力なり』と言う言葉が古い古い故郷にありましたから!」

 

「古い…故郷?」

 

 

 ゆになはセミロングの黒髪に赤い瞳を持っている。

 

 どう見ても紅魔族の娘に見えるゆになが言う「古い古い故郷」におばちゃん(二十代後半)は疑問を抱く。

 

 

(故郷は確か、紅魔の里だったはず。でも、古い古い故郷ってどこの事を指してるのかしら?紅魔族が紅魔の里に住む前の話?それとも、ゆになちゃんには誰にも言えない様な秘密が!?)

 

 

 おば、ねえさんは「ゆになには物凄い秘密があるんじゃないかな?」と予想を立てるが、あながち間違っていない。

 

 古い古い故郷とは勿論、日本の事だ。

 

 ゆになは肉体を初めからやり直した為、故郷と言ってしまえば紅魔の里になってしまうのだ。

 

 そこでゆになは、日本を表す時は古い古いと枕詞を入れる。

 

 紅魔族相手に言うときは考えた設定いう風に、我が記憶に残る前世の地では!という風に言っている。

 

 勿論、誰もが設定だと思っているが、それはゆになの狙い通りなのだ。

 

 

 しかし、その凝った設定が仇となってしまった。

 

 普通の人ならそこまで気づかないのだが、このお姉さんは一体何者なのだろうか?

 

 読書が趣味なごく普通のお姉さんです。

 

 

 「いつかゆになちゃんの秘密を!!」と燃えているお姉さんの気を知らず、ゆになは部屋に戻ろうと、階段に足をかけた。

 

 はっ!としたお姉さんが、ゆになにいつも通り聞いた。

 

 

「ゆになちゃん、今日の夕飯はどうする?」

 

「…今日も大丈夫です。これを買ってきましたので……………」

 

 

 「いらない」と答えたゆになは心なしか元気がない。

 

 そのことに気付くお姉さんだったが、ゆになは先ほど買ったばかりの果物をお姉さんに見せた。

 

 値段が低いものを買った訳で、普通のサイズよりも小さい。

 

 

「……ゆになちゃん?」

 

「ごめんなさ~い!!日課のお祈りをしなきゃ!!また明日の朝で」

 

 

 ゆになの小食に納得がいかないようだったが、ゆになが強引に階段を駆け上がった。

 

 




知ってた?ゆにははセミロングなんだってー!

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