この素晴らしい駄目神様にお祈りを!   作:与麻奴良 カクヤ

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219 ゆになの本性

 

 (折角地球という世界から逃げれたと思えば、まだ生きて行かなくちゃいけなのか……………)

 

 

 グルグルと今までのゆになでは考えない様な内容を頭の中で繰り返す。

 

 

 

 ここで、ゆになと言う人物に付いて振り返って見よう。

 

 ゆになは普通人として生活を送っていた。

 

 親に怒られる事も殆どなく、友達と呼べる存在もいた。

 

 ゆになを知っている人に「ゆになはどんな人?」と聞けば、ほとんどの人がこう答えるだろう。

 

『元気のいいユーモア溢れる女の子。ちょっと考え方がズレてるけど……………』と。

 

 本当にどこでもいる女の子。

 

 

 

 だったらよかった。

 

 ゆになの場合、ちょっと考え方がズレている。そのズレがちょっとどころではないのだ。

 

 普通の女の子だと思われているゆになの本性は、空っぽ。

 

 何もないのだ。

 

 

 何も理解出来ない。

 

 子供の頃から、人が楽しいと感じることが楽しいと感じられない、悲しいと感じることが感じられない。

 

 運動会や学習発表会、社会科見学、修学旅行で思ったことは、

 

 

『何で他の人はこんなことで喜ぶんだろう?』

 

『何でこんなことをしなきゃいけないのだろう?』

 

 

 小学生の頃はそう考えて過ごしていた。

 

 中学に上がると、勉強を頑張る生徒が増えてくる。

 

 それに対しても、

 

 

『何で点数なんか気にするんだろう?』

 

『何で必死になってまで高校に入りたいの?』

 

 

 おおよそはそんなことを考えて過ごした。

 

 勿論、心の奥底でしか考えず、親しい人には微塵も悟らせなかった。

 

 ゆになは元気のいい女の子を演じて生きていった。

 

 誰にもゆになの本心を見抜けない。

 

 そんなゆになは学年が上がるに連れて社会というものを知っていくと、こう考える。

 

 

『どうして生きて行かなきゃいけないの?』

 

『この世界に生まれたから?』

 

『望んだわけでもないのに?』

 

 

 一体いつまでこの演技を続けなければいけないのだろうか?

 

 そう思ったゆになは、周りに合わせる演技の為に高校生になると、ある本に出会う。

 

 地球で死んだ主人公が異世界で本気で生きる話だ。

 

 これを読んだゆになは、オタクを演じ始めた。

 

 

 そして自殺に至るのだが、実際に異世界に行けるとは思ってもいなかった。

 

「異世界に行けると信じて自殺をした」そう周りに見せかけて、唯の自殺をして自分と言う存在を消してしまいたかったのだ。

 

 そう考えて自殺を諮ったゆになだったが、世界はそう簡単には行かなかった。

 

 異世界転生が起き、今度は女神を拝めるという演技を始めた。

 

 ゆになはまだ、演技をして生きていかなければならない。

 




 何を言いたいのか分からない?

 大丈夫だ、自分にも分からん!

「ゆになの行動は全て演技。ホントは何も感じない人形のような存在だった」そう思って下さい。

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