ゆになが冒険者という職を選んだのも、周りに合わせていると見せかけて、事故死が起こりやすいからだ。
そんな毎日に、ゆになは疲れたのだ。
楽しく明るい自分を演じなければならない、そう考えると、誰も見ていない所ではボケーっとなる。
(このまま消えてしまえればいいのに。栄養失調で死ねないかな?)
冒険者として仕事に出る。
そして収入のほとんどをアクシズ教とアクアにつぎ込んで、自分は時々食べ物を食べるだけ。
まるで日本の社畜の様だった。
しかし、それがゆになの現状だ。
このような様生活が続くとなると、いづれ倒れるのは明確だった。
ベットに倒れて、ごちゃごちゃと考えていたゆになの耳に、誰かが階段を登ってくる音が聞こえる。
(誰だろう、おばちゃんかな?それとも他の宿泊客?)
足音は段々と近づいて、ゆになの部屋の前で止まった。
ゆになは素早く起き上がり、身なりを整えた。
演技三十年の変わりようは素早い。
そして、コンコンとノックと共に、お姉さんの声が聞こえる。
「ゆになちゃん起きてる?入るわよー」
「どうしたんですかぁ?………それは?」
「夕飯よ。ゆになちゃん何も食べてないでしょ?」
「でも、お金が………」
「いらないわ。ゆになちゃんがご飯を食べて、元気になってくれたら、それが一番の報酬になるのだから、食べて元気になって」
ご飯を全然食べないゆになを心配してか、タダでご飯を持って来てくれたお姉さんにゆになは、しまった!と焦る。
(油断していた!ご飯を食べないと周りの人は心配するのか)
反省をしたゆになは自分に暗示をかける。
自分は出来る、普通の女の子を演じられる。と心の中でお姉さんにばれないように。
「ごめんなさい、今日はちょっと収入が少なくて。それにかなり疲れてしまいまして。……………ご飯、頂きます」
ゆになは即興で、それでもあながち間違っていない言い訳を言った後、晩御飯を頂いた。
お姉さんは少しだけ「ホントに大丈夫なのかしら?」と思うが、ゆになが元気よくご飯を食べる姿を見ると、いつも通りのゆになだと勘違いすると、微笑んだ。
ゆにながご飯を食べ終わると、お姉さんはゆになに言った。
「ゆになちゃん、辛いことがあったら、何時でも頼って良いのよ」
「ありがとうございます。出来るだけ収入を得れる様にしますが、少ない時は頼らせてもらいますね!」
何時でも頼れと言ってくるお姉さんにそう言って、ゆになはその場を過ごした。
その夜、ベットの上でゆになは今後の方針を考える。