カズマが驚いているが、ゆになは無視だ。
ギルドに入った途端、最敬礼姿のゆになに出迎えられたアクアはと言うと。
「ふぁああ、おはよ~」
「む!?アクア様はまだ眠いのですか!?カズマ君カズマ君、アクア様をたたき起こしたりしてないですよね?」
「おい、まさかそれだけで怒るなよ」
「ハハハ、まさか。夜道にはちょっと気を付けないといけない様になるだけですよ~!」
「やる。此奴ならやる。絶対にバレないようにしなくては!」とカズマは心に決めた。
時間的にもうお昼ご飯なので、ゆになはアクアをテーブルに案内して、好きなものを頼ませた。
途中でめぐみんも合流して、皆でお昼を食べる。
ゆになとカズマは普通に一人前分を食べ終わると、残りの二人が食べ終わるのを待っていたのだが、今アクアはお代わりを頼みに店員を捕まえ、ゆになが何日間か放置していた為、食べれなかった分を補給するように一心不乱に食べ物にがっつく。
それを見ていたカズマにゆになはこっそりと言った。
「今何を考えているか、当てましょう。ハーレムパーティーなのに、色気がない。でしょ~!」
「何で俺の心が分かるんだ!…それよりも、聞きたいんだがスキルの習得ってどうやるんだ?」
カズマの質問にフォークを握りしめたまま答えた。
ゆになはそのやり取りをボケーと聞きながす、アクアの食事シーンを脳内に記憶するためである。
「誰が宴会芸スキルを教えろつったぁぁ!!!!」
「えーーーー!!」
「アクア様アクア様!こんなクズ、ほっときましょう。それよりもほら」
ゆになが頭の上に水の入ったコップを置くと、何処から取り出したのか、種を指ではじいてコップの中に入れる。
すると、種は水を吸い上げ、にょきにょにと育っていく。
スキルの話の過程でアクアが宴会芸スキルをカズマに見せると、ゆになは速攻でそのスキルを習得したのだ。
職業の壁?そんなのは信仰心の力には通用しない。
ゆになが教えて貰った宴会芸スキルを披露しながら、アクアを慰めていると、横から声がした。
「あっはっは!面白いねキミ!ねぇ、キミがダクネスが入りたがっているパーティーのひと?有能なスキルが欲しいの?だったら、盗賊スキルなんてどうかな?」
ゆになも突然の声に、宴会芸スキルを止めて声の方を振り向くと、そこには。
「へ、変態にエンカウントした!!」
「失礼だろうが!!」
思わず声に出してしまったゆになに、カズマは頭を叩く。
なぜなら、頬に傷を持った軽装備の銀髪女の子の後ろには、昨日の変体騎士様がいたのだから。