今度は火種を変えて、ヒートアップするゆになとめぐみん。
「同期の中では一番、稼ぎもいいし、冒険者レベルも高いですよ~っだ!!」
「ふんっ!我の爆裂魔法を使うまでもない敵しかいないからです!!強い敵が現れたら、我が爆裂魔法で一撃粉砕ですよ!!」
「そんなに強い敵と戦いたいなら、最前線でも行ったら?それとも、怖いの~!!?」
「こ、怖くなんてないですよ!!最前線に向かうまでのお金がないのです。そ、それに、何事にでも用意周到なのです!!気分で行動するあなたとは違うのです」
そう言いながらも、めぐみんの足は少し震えている。
ゆになはそれに気付き、「足、震えてる…っふ」と笑い、めぐみんは「武者震いです」と言い返す。
この二人は、混ぜたら危険な薬品みたいな様だった。
次第に二人は
「つべこべ言わずに、かかって来なさいよ!!」
「あぁいいですね、いいですね!!町の外で決着です!!我が爆裂魔法で一撃必殺!!」
「長い演唱を完成させる前に抑え込めばいいだけ!!簡単簡単ん~」
「その減らず口、直ぐに――」
「町の外に出て決闘をやるかぁ!!」と言うまで熱くなった二人に雷が落ちる。
特に、ゆになにとっては特大の。
「うるさい!!!!人が落ち込んでいるっていうのに!!隣でぎゃーすかぎゃーすかと、いい加減にしなさいよ!!」
「す、すみません」
「も、申し訳ございません、アクア様!!この通りでございます。ははぁ~」
アクアがキレた。
それもそうだろう。
テーブルに撃沈している所を隣でぎゃーすかとケンカだ。
アクアでなくてもキレる。
キレたアクアに怒鳴られ、我を取り戻すめぐみんとゆにな。
ゆになはひれ伏して、大げさに謝った。
珍しく、常識人のアクアだった。
………だったのだ。
「もぉぉぉ!!頭来た!!ゆになもめぐみんも、今から私が宴会芸スキルを披露するから、よ~く見るように!!」
「は、はぁ」
「はい!瞬きせずに拝見いたします」
どういう思考回路をしたら、宴会芸スキルを披露するという事になるのだろうか?
全く不思議であるが、アクアの勢いにゆになは勿論、めぐみんまでもがアクアに物申せない。
そこからがカオスの始まりだった。
アクアが次々と披露する宴会芸スキルに興味を惹かれてか、続々と集まってくる冒険者達。
しかも、如何やら宴会芸スキルは覚えれる人が少ないスキルだったらしく、珍しいのだ。
「アクア様、お金を出すので、もう一度『花鳥風月』をお願いします」
「バッカ野郎!!アクアさんには金よりも食い物だ!ですよね、アクアさん!!」