この素晴らしい駄目神様にお祈りを!   作:与麻奴良 カクヤ

29 / 116
225 口喧嘩2と女神の奇行

 

 今度は火種を変えて、ヒートアップするゆになとめぐみん。

 

 

 

「同期の中では一番、稼ぎもいいし、冒険者レベルも高いですよ~っだ!!」

 

「ふんっ!我の爆裂魔法を使うまでもない敵しかいないからです!!強い敵が現れたら、我が爆裂魔法で一撃粉砕ですよ!!」

 

「そんなに強い敵と戦いたいなら、最前線でも行ったら?それとも、怖いの~!!?」

 

「こ、怖くなんてないですよ!!最前線に向かうまでのお金がないのです。そ、それに、何事にでも用意周到なのです!!気分で行動するあなたとは違うのです」

 

 

 そう言いながらも、めぐみんの足は少し震えている。

 

 ゆになはそれに気付き、「足、震えてる…っふ」と笑い、めぐみんは「武者震いです」と言い返す。

 

 この二人は、混ぜたら危険な薬品みたいな様だった。

 

 

 

 次第に二人は

 

 

「つべこべ言わずに、かかって来なさいよ!!」

 

「あぁいいですね、いいですね!!町の外で決着です!!我が爆裂魔法で一撃必殺!!」

 

「長い演唱を完成させる前に抑え込めばいいだけ!!簡単簡単ん~」

 

「その減らず口、直ぐに――」

 

 

 「町の外に出て決闘をやるかぁ!!」と言うまで熱くなった二人に雷が落ちる。

 

 特に、ゆになにとっては特大の。

 

 

「うるさい!!!!人が落ち込んでいるっていうのに!!隣でぎゃーすかぎゃーすかと、いい加減にしなさいよ!!」

 

「す、すみません」

 

「も、申し訳ございません、アクア様!!この通りでございます。ははぁ~」

 

 

 アクアがキレた。

 

 それもそうだろう。

 

 テーブルに撃沈している所を隣でぎゃーすかとケンカだ。

 

 アクアでなくてもキレる。

 

 キレたアクアに怒鳴られ、我を取り戻すめぐみんとゆにな。

 

 ゆになはひれ伏して、大げさに謝った。

 

 珍しく、常識人のアクアだった。

 

 ………だったのだ。

 

 

「もぉぉぉ!!頭来た!!ゆになもめぐみんも、今から私が宴会芸スキルを披露するから、よ~く見るように!!」

 

「は、はぁ」

 

「はい!瞬きせずに拝見いたします」

 

 

 どういう思考回路をしたら、宴会芸スキルを披露するという事になるのだろうか?

 

 全く不思議であるが、アクアの勢いにゆになは勿論、めぐみんまでもがアクアに物申せない。

 

 そこからがカオスの始まりだった。

 

 アクアが次々と披露する宴会芸スキルに興味を惹かれてか、続々と集まってくる冒険者達。

 

 しかも、如何やら宴会芸スキルは覚えれる人が少ないスキルだったらしく、珍しいのだ。

 

 

 

「アクア様、お金を出すので、もう一度『花鳥風月』をお願いします」

 

「バッカ野郎!!アクアさんには金よりも食い物だ!ですよね、アクアさん!!」

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。