深夜のクエストから何日か経った頃、いつも通り冒険者ギルドに集合していた。
私とめぐみん、ダクネスさんとアクア様は四人でテーブルの中央に置いた野菜スティックをポリポリとかじっていた。
あ~野菜スティックは美味しいなぁ。
口に咥えて、少しずつポリポリとかじるの感覚がクセになっちゃうのだ。
「カズマ楽しそうですね」
「一人だけシュワシュワを飲んで。私達は野菜スティックだけよ!?」
「あ~、アクア様、シャワシャワなら私が払って上げますので、頼んでいいですよ?」
「全くゆになは、アクアに甘いのだな。……それにこうもカズマに置いてけぼりにされているとは、んっ!これはこれでそそるぞ」
今、私達が着いているテーブルにはリーダーであるカズマ君がいない。
カズマ君はゲームっぽい事をしたい、と言って他の冒険者相手に情報収集に行っている。
全く、仲のいい友達のように話しているカズマ君を見ると、「コイツ、こんなにもコミュ力があったのか!!?」と驚いてしまう。
カズマ君はヒキニートではなかったのでは?
こんなにもコミュ力があるのなら、何故引きこもりなどになっていたのだろうか?
疑問だぁ。
それにしても野菜スティック美味しい、おかわりもういっちょ!
カズマ君がいないと話は始まらない為、私達のパーティーメンバー四人はする事がなく、暇そうに野菜スティックを齧りながらカズマ君の帰りを待った。
「どうした?」
「別にー?カズマが他のパーティーに入ったりしないか心配なんてしてないし」
カズマ君が帰って一番初めの会話だ。
ツンデレアクア様!!
可愛いです!!
カズマ君なんかよりも私にもっとツンデレアクア様を見せて欲しいよ!
ってカズマ君、野菜スティックの摘まみ方を知らないの?
カズマ君がアクア様野菜スティックに手を伸ばすけど、野菜スティックに避けられる。
「何やってんのよカズマ」
アクア様はテーブルをバンッと叩くと、一瞬動かなくなった野菜スティックを掴み取って口に運ぶ。
「むぅ、楽しそうでしたね。楽しそうでしたねカズマ。他のパーティーと楽しそうでしたね」
一度、二度とならず三度強調して、カズマがこのパーティーといるよりも楽しそうだったのをカズマに問い詰める。
拳を握って、テーブルを叩いて、野菜スティックを口に運びながら。
「なんだこの新感覚は!?カズマが余所のパーティーと仲良くやっている姿を見ると、胸がモヤモヤしてくる反面、何か新しい感覚が……これが寝取られ!!」
違う、絶対に違う。
そんな例えを言いながら、顔を紅くしてダクネスさんはコップを指でピンっと弾き、ひるんだ野菜スティックを取った。
「カズマ君、こうやるんですよ?」
私は野菜スティックの正しい食べ方をカズマ君に教える為、野菜スティックに軽く重力を当ててから掴みとって口に運ぶ。
この世界での野菜は生きが良いですからね!
地球とは根本的に常識が違うんですよ!