あの後、私は四人の好意を丁重にお断りした。
アクア様、申し訳ございません。
報酬の一部は後でお渡しします。
その後、バイト雑誌を必死になってめくっているアクア様に、二、三日は食べていけるお金を渡してパーティーを一時離脱した。
そうして迎えた次の日、私は高難易度クエストを受けようと、掲示板で依頼を選んでいる最中だった。
ルナさんが再び私を呼んだのは。
「えーっと、私にお話ですか?」
「はい、昨日の件と別という訳では無いのですが……………。ここでは話難い依頼なので、別室にお願いします」
「あ、はい」
なんということでしょう!
個室での依頼説明は指名依頼と言うこと。
一体誰が私に依頼をしてきたのでしょう?
昨日話した内容とは別件、しかし全く別と言う訳でもない。
まぁ、個室に着いたらルナさんが話してくれるでしょう。
勿論、お茶の準備は出来ていますよね?
そんなことを考えながらルナさんの後をついて行く。
やがて個室に辿り着きました。
フカフカなソファーにドガッと座る私に、ルナさんが苦笑い状態。
苦笑い状態のルナさんに、私は追撃を仕掛けます。
「ルナさ~ん」
「?何でしょうか?」
「お茶とお菓子はどこですか?」
「こんな時にふざけないでください!」
あらら、怒られちゃいました。
流石にお茶とお菓子を強請るのは図々しかったですかね?
私は一人笑って、ルナさんに謝りました。
すると、ルナさんは諦めたような顔になって、私を残して個室を出ていちゃった。
ん~?
少しおふざけが過ぎましたか?
まぁ、どうでもいいや。
私はこの世界で、面白可笑しく生きる演技を続ければいいだけ。
今まで転生特典のお陰で負けた事がないけど、もし負けたのならその壁をぶち破ることなどせず、壁に沿って行けばいい。
楽に生きれるのなら、それでいい。
楽に生きようとして死ぬのなら、それもいい。
結局私は、生きる理由を見つけれないでいた。
アクア様がその理由になってくれれる期待はない。
あぁ、一人の時間は、こんなにも考えさせてくれる。
久しぶりに一人になった私は一人、ポジティブな雰囲気を醸し出しながら思考の渦潮に身を投じていた。
しかし、ルナさんが戻って来た時には、何時ものニコニコした混沌ゆになちゃんが戻ってきます!
「ゆになさん、お待たせしました」
「あ、はい。勝手にくつろいでいましたのでお構いなく」
瞬時にどうしたら面白いか?と考えた結果、ここは冒険者ギルトの個室、つまりは緊張するべき場所と言うこと。
そんな場所でどうやったら緊張とはかけ離れた空気に出来るか?を考えた私は、
「ソファーに寝っ転がるのはどうかと思いますよ!自宅では無いので、もう少し場をわきまえてください!!」
ソファーに寝っ転がることが限界でした。