この素晴らしい駄目神様にお祈りを!   作:与麻奴良 カクヤ

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262 私に指名依頼?パート7

 

 ここで分かった事をおさらいしよう。

 一つ、噂は本当で、魔王軍幹部は確かにいる。

 二つ、廃城の付近には結界が張ってあり、破るのは困難。

 三つ、廃城内には敵が一体もいなくて、幹部だけである。

 四つ、幹部の名前はベルディアで、禍々しい鎧さん。

 以上の四つの事である。

 

 もう、これで良くね?

 私、頑張ったよ?

 大した努力はしてないけど。

 もう帰ろう。

 これだけでも十分な成果と言えるでしょう。

 

 そう思った私は、テレポートの発動準備をする。

 

「それでは、私はこの辺で……………」

 

 鎧さんに帰りの挨拶をしようとした所で、昨日のルナさんの言葉が甦った。

 

『幾らゆになさんでも、それ(幹部の討伐)は難しいのではないでしょうか!?』

 

 なんかムカついてきた。

 これでもし私がルナさんに、鎧さんを倒したと言ったら、ルナさんはどういう表情をする?

 どんな顔をするのか見てみたい。

 ……………ならば倒そう、鎧さんを!

 

 急に言葉を止めた私に、疑問を抱いた鎧さんが心配して声をかけてくれる。

 

「お、おい?急にどうした。大丈夫か?」

「ん?親切にどうも。ちょっと思考の渦に入っていただけです。それでは私はこの辺で……………………目標を討伐するよん!!」

「ふぁっ!?」

「『グラビティ』!!」

 

 不意打ちで、鎧さんに向かって横方向の重力を喰らわせる。

 私の攻撃を食らった鎧さんは広い部屋の壁まで吹き飛ばされる。

 が、何とか態勢を整えて、腰に差してあった大きな剣を私に向けてきた。

 

「不意打ちとは感心しないな。それに、なんださっきの魔法は?」

「禁術ですよ!知らないんですか~?」

「禁じられた術を知る訳がないだろ!!」

 

 相手のペースにはさせない。

 取り敢えず、鎧さんを煽ってみた。

 うん、結構な乱れっぷり。

 煽り作戦は使えるっと。

 

 鎧さんを煽りながらも、作戦を立てる。

 未知の攻撃にも反射で耐えた。

 流石幹部と名乗る程の実力があるね。

 まだ、一ターンも終わってないけど。

 

「ふん!変な魔法を使うのだな?俺に攻撃を当てた事を褒めてやろうではないか。しかし、貴様はそれまでだ」

「それまでかどうかは……ってええぇぇぇぇ!!!」

 

 鎧さんはかぱぁ、と自分の首を引き千切った。

 いや、引き千切ったと言うのは違う。

 だって千切った音がしなかったもん。

 取ったと言う方が正しい。

 

「まさか人間じゃない!?」

「魔王軍の幹部と言っただろう!?」

 

 人間じゃない種族で首が取れる種族?

 …………いた。

 種族と言っても良いかわからないけど、アンデットモンスターの一つに首が取れるのが。

 ウィズさんと同じくらい強くて、未練のある騎士の鳴り果てたアンデットモンスター。

 

「鎧さんじゃなくて、デュラハンさんでしたか」

 


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