欠片も応えて下さらなかったルナさんに、私は当然のことの様にその名を言った。
「アクア様ですよ!ア・ク・ア・様!!この街にこの方以上に強大な力を持つ人なんて存在しません!!」
「あ、アクアさんですか……」
何だその「以外な人だった!?」って目は!!?
アクア様だぞ!
アクシズ教の御神体のアクア様だよ!
女神様本人なんだよ!!
って言いたいけど、グッと我慢する。
「ゆになさん、幾らアクシズ教徒で、御神体と同じ名前の彼女を敬おうと、強大な力を持っていると言うのは言い過ぎではないでしょうか?」
「言い過ぎじゃないし!アクア様はちゃんと強大な力を持った女神様だし!!」
はい、我慢出来ませんでした。
私は悪くない、ルナさんが悪い。
アクア様が女神様である、とカミングアウトしてしまった私だけど、ルナさんの目は「また此奴はおかしなことを」って目になっている。
私にとっては都合のいい事ですが、何か釈然としないのは気のせいじゃないよね!
「女神様?ゆになさん私は、アクアさんが女神様には思えませんよ?ギルドでウエイトレスのバイトをしているアクアさんが女神様な訳がないですよ!!」
「お、おぅ?」
何故か逆に力説されてしまった。
まぁ、ルナさんの言ってる事が分からなくもないよ。
初めてお会いして時は神々しかったんだけどなぁ~。
何で残念な性格になってしまわれたのでしょう。
元々残念な雰囲気があったと言え、これもかれもカズマ君のせいだな!
後でとっちめておこう。
それにしてもアクア様、此処でウエイトレスのバイトをしているんだ!!
これは見に行かなければ。
アクア様に給仕してもらい、チップを渡す。
完璧な作戦だ!
と私が妄想トリップしている間に、今回の指名依頼の報酬額が決まった。
高難易度クエストよりも高額な報酬額だが、鎧さんの賞金額よりは少ない額。
キャベツ狩りに匹敵するよ!
難易度も高難易度クエストよりも簡単だったから、実にラッキー。
これは、教会に寄付するお金と宿などの生活費、アクア様への賄賂と払っても、一か月は働かなくてもいいや。
わ~い!
と思っていたその時、ルナさんが絶望を投下する。
「では、明日からもよろしくお願いします」
「へぇ!?明日から?」
明日から?
何なんでしょう?
ワタシは全くワカラナイヨ~!
「あ、ごめんなさい。お疲れと思いますし、明日からでは無くても結構ですが高難易度クエストの件よろしくお願いしますね」
「あ、ハイ。明後日から取り組みます」
私が一人で行動する発端を忘れてた。
あ~っ!
移動が怠いんだよな~。
まぁ、未来の事は置いておいて、アクア様のウエイト姿を拝見しに、いざ出陣!!
今回で「私に指名依頼?」編は終了です。長かったなぁ。