めぐみんもダクネスさんも、特に反論することなくアクア様に報酬を全額渡す事が決まりました。
報酬を全額貰えると聞いたアクア様の肩がピクリと動く。
だけど、檻から出てくる雰囲気はない。
「……おい、いい加減に出てこいよ!もうブルータルアリゲーターはいないから!」
全く動かないアクア様に、カズマ君が切れ気味に言う。
そのカズマ君の声に反応して、アクア様が小さな声で呟くのが聞こえた。
「………まま連れて……………」
「え?アクア様どうしました?もうちょっと聞こえるように言って下さい」
聞こえにくかったので、もう一度行って下さるように促すと、アクア様は言った。
「…檻の外は怖いから、出たくない。このまま街まで連れて行って」
今回のクエストで、アクア様は重度のトラウマを負ったようです。
誰だ、こんな作戦を考えたのは!!?
カズマ君ですね、カズマ君ですね!!
本人は良かれと思ってやったことと言え、結果が全てです。
後でO・HA・NA・SIしませんと。
アクア様ご本人たっての希望もあり、私達はアクア様を檻の中に入れたまま、街に帰って来ました。
現在アクア様は、
「ドナドナドーナドーナ……………」
解体される廃列車の歌を歌っています。
「なぁ、街に着いたんだから、その歌は辞めろよな。ただでさえ、ボロボロの檻に入ったお前を運んでいるだけで、街の注目を浴びているんだから。っていうか、安全な街の中なんだから、いい加減出てこいよ!!」
アクア様を檻に入れて運んでいる姿は、まるで奴隷商人のよう。
住民に生暖かい目で見られているのが我慢ならないカズマ君が、アクア様にもう一度出てこいと言うが、アクア様は、
「……いやよ。ここは私の聖域。外の世界は怖いからしばらく出ないわ」
「……ドナドナドーナドーナ、ドナドナドーナドーナ……………」
「おい、こっそりと歌ってんじゃねぇよ!しかも楽しそうだな、おい」
ちっ、歌ってたのがバレましたか。
だって、歌っているアクア様の表情が心なしか、楽しそうだったもん!
不謹慎ってのは分かっているんだよ?
でも、歌いたかったもん、歌いたかったもん!!
大事なことなので二回言いました。
声に出して歌うと、また怒られそうだったので、心の中で歌っていると、後ろから大きな声が聞こえて来た。
「め、女神様!!?女神様じゃないですか!?こんな所で何をやっているのですか!!??」
突然叫んだ男は、檻の格子まで近づいて来た。
なんか見たことのあるような対応の仕方なんですが……………誰でしょう?
やっと出てきた勇者(笑)さん。ゆになはどうでるのか?