突然と現れたその男は檻の格子を掴んで、あろうことかも頑丈なはずの格子をグニャリと捻じ曲げた。
ひゃ~!この男、力ステータスがかなり高いよ!!
突然のの出来事に啞然としている私とめぐみん、カズマ君を尻目に、その男は同じく啞然としているアクア様に手を差し伸べて………
「……おい、私の仲間に馴れ馴れしく触るな。貴様は何者だ?知り合いにしてはアクアが全く反応してないのだが!」
ダクネスさんに遮られた。
いつもの変体騎士様とは違い、凛々しいその姿は何処に出しても恥ずかしくないクルセイダーです。
この子、うちのパーティーメンバーなんですよ~!
と自慢したくなる姿だ。
話は現場に戻り、ダクネスさんの動きで状況を理解できた私も参戦します。
「何勝手にアクア様に気安く触れようとしてんだぁ!!あ゛ぁ゛!!??」
ちょっぴり重力操作も加えて、男に詰め寄る私。
客観的に見ると、私って893さんじゃないですか?
まぁ、アクア様の為なら、893にも魔王にもなりますよ。
あ、アクア様は魔王が嫌いでしたね。
魔王は却下と。
と、私が脅した見知らぬ男と言えば、私の重力操作を物ともせずに私とダクネスさんを一瞥すると、溜息を吐きながら首を振った。
何ですかその、自分は厄介ごとに巻き込まれたくないが仕方がない、みたいな態度は!!
厄介ごとを作っているのは貴方じゃないですか!!?
隣を見てみると、普段は怒ることが少ないダクネスさんが、イラって表情を出している。
このままでは埒が明かないと思ったらしいカズマ君が、アクア様にそっと耳打ちしています。
何を言っているかは聞こえないけど、この男を知らないか?と聞いているんでしょう。
「……あぁそうよ!!私は女神よ!!女神なの!!それで、女神たる私にこの状況をどうにかしてほしいって訳ね!!」
アクア様はそう言ってようやく檻の中から出てこられましたが、何を言ったらアクア様が女神様だと再確認されるような事になったのでしょうか?
まさか、今回のクエストがトラウマになり過ぎて、ご自身が女神様だと言う事をお忘れになられていたとか!!?
私が心配している中、モゾモゾと檻から出てきたアクア様は目の前の男を見て……………
「……あんた誰?」
知り合いじゃないよ宣言。
よーし、なら早速この男には重力操作で重さを加えていって……………
「何言っているんのですか女神様!!僕です、御剣御夜ですよ。貴女様に魔剣グラムを頂いた!!」
「……ん?」
アクア様は唸っている。
御剣御夜とかいう奴が何者か分からないらしい。
かという私も彼が何者か分からない。
なんか引っかかっているんだけどな~。
う~~~ん