なんか引っかかる感じ。
御剣御夜……………あ、日本人の名前だ。
よく思い出せば、女神様って言ってたね。
要するにこの人はアクア様に魔剣グラムとかいうチートアイテムを貰い、特に苦労もせずに強くなった転生者って訳か!
ズルいぞ。
私は一からやり直したって言うのに。
君と違って、努力はしているぞ。
この人が転生者と分かったら、容姿に目がいった。
アニメや漫画の主人公っぽい名前に合うように、茶色い髪の毛のイケメンですわ。
鮮やかに輝く青色の鎧を身に付け、腰には黒い鞘に入った剣がある。
あれが魔剣グラムなんだろう。
後ろにはきれいな女の子を二人引き連れていてる。
三人ともカズマ君と同じくらいの歳。
正義感が強そうなその姿は、差し詰め『勇者』が似合いそうな人だ。
よし、これからお前は『勇者(笑)』だ。
「ああ!!居たわね!!そういえばそんなん人も!!ごめんね、すっかり忘れてて。だって何人もの人を送り出していれば、忘れるのも仕方が無いわよね」
カズマ君と勇者(笑)によってようやく思い出したらしいアクア様に、勇者(笑)は顔を若干引きつらせながら挨拶をする。
そう言えば私も初めは思い出してもらえなかったよね~。
まぁ、仕方のないことです。
で、勇者(笑)の挨拶を聞くと、色々とツッコミどころが多かった。
貴女に選ばれた?
確かにアクア様に選ばれたかもしれないけど、アクア様に転生させて貰った転生者は何人もいるんだぞ!
少なくともここに二人は!!
で、レベルが三十八?
ふっ、勝った!
私は四十だ!!
この世界で生きている時間が、文字通り違うのだよ!
と勇者(笑)を笑っている間に、カズマ君がアクア様が檻の中にいる経緯を話した。
「馬鹿な!!アクア様をこの世界に引きずり込んだ上に、今回のクエストでアクア様を湖に浸からせた!!?君は一体何を考えているんですか!!?」
カズマ君の説明を聞いた勇者(笑)がカズマ君の胸倉を掴んだ。
こらこら、暴力はいかんよ。
アクア様が慌てて止めに入る。
「ちょちょっちょっと!!いや別に、私は結構楽しい毎日を送っているし、ここに連れて来られたことはもう気にしてないんだけどね?それに魔王を倒せば帰れるんだし!!ゆになと言う私の信者もいるし。今日のクエストもちょっと怖かったけど、結果的には誰も怪我をせずに無事完了できたわけだし。しかも、今回のクエスト報酬三十万全額くれるっていうのよ!!」
アクア様が全力で弁解して下さる。
がしかし、勇者(笑)には違う解釈になったらしい。
流石勇者(笑)だ。
ゆになのレベルが四十なのは適当です。キョウヤ君が何年か分かりませんが数年で三十八に比べて、ゆになは十四年で四十なのは、子供の頃は効率よくレベル上げが出来なかったせいですね。